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読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年11月11日(土)23時53分41秒
  『ファーストブック 生化学がわかる』
 田中 越郎
 株式会社技術評論社
 2011年

生化学の基本について説明した本。
初学者向けにわかりやすいだけでなく、ストーリー性を持たせたり1頁の文章量を少なくしたり図をこまめに入れたりと、読みやすく工夫されている。
気になった点を抜粋。

・糖質:炭素C、水素H、酸素Oからできている。
    構成成分比は通常Cn(H2O)nであるため炭水化物や含水炭素などとも呼ばれる。(n:個数)
 単糖:糖質の基本的な最小単位。通常は炭素数が6個のもの(六単糖「ヘキトース」C6H12O6)が基本。
    6個の炭素の内の5つと酸素で環状になり、残り1個の炭素が外側にくっつく形。水溶液だと炭素6個が鎖状になる。
    六単糖の例として、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなどが挙げられる。
    ブドウ糖は、生化学分野で最も基本的で最も重要な物質。ブドウ糖と果糖は同じC6H12O6で異性体
 二糖:単糖が2個つながったもの。
    麦芽糖(マルトース)=ブトウ糖2個、ショ糖(砂糖)(スクロース)=ブトウ糖+果糖、乳糖(ラクトース)=ブドウ糖+ガラクトース
    麦芽糖+マルターゼ(酵素)⇒ブトウ糖
 多糖:単糖がたくさんつながったもの。同一種の単糖から成るものを「ホモ多糖」、2種類以上の単糖から成るものを「ヘテロ多糖」という。
    デンプンやグリコーゲンなどは、ブドウ糖がつらなったもので、1本鎖とは限らず枝分かれなどがある。
    デンプン+アミラーゼ(酵素)⇒麦芽糖

・脂質
  油:常温で液体のもの
  脂:常温で固体のもの
  鉱物系油脂:鉱物からとれる石油など。生物系油脂とは化学組成が全く異なる。
  生物系油脂:植物や動物からとれる。基本骨格は炭化水素で、-CH3が-COOH(カルボキシル基)になったものを脂肪酸という。
        分子式は、CnH2n+1COOH(nは奇数)
        例「エタン(C2H6)⇒酢酸(CH3COOH)」
   飽和脂肪酸:炭素間の結合はすべて一重結合。「飽和」は水素で飽和されているという意味。
         融点が比較的高い。
         哺乳類と鳥類(体温37℃程度の恒温動物)の脂に多い。体温のおかげで液体の状態を維持できるため。
         食べ過ぎると動脈硬化を起こしやすい傾向があるがその生化学的メカニズムは不明。
   不飽和脂肪酸:炭素間の結合に二重結合を含む。
          融点が低い。
          魚の脂と植物油に多い。体温が外の温度と同じになるため、低温でも脂質が固体にならないようにする必要があるため。
   動物性油脂:ラードや蜜蝋など。
   植物性油脂:オリーブ油ややし油など。
 ヒトの体内にある代表的な脂質
  中性脂肪:グリセリンに脂肪酸が3個くっついた形。
  リン脂質:中性脂肪の1個の脂肪酸がリン酸に置き換わったもの。
  コレステロール:中性脂肪とは全く異なった形。動脈硬化の原因だが、胆汁の成分やホルモンの材料にもなる。

・タンパク質:アミノ酸が鎖のように1本鎖で多数連なったもの。(短いものを)ペプチドと呼ぶこともある。
       三大栄養素のうち、タンパク質だけ基本構造にCHO以外の元素である窒素Nを持ってる。
       一次構造(一列に並んだ一次元の状態)、二次構造(折り畳まれるようにらせん状になったりシート状や屏風のように折れ曲がった二次元の状態)、三次構造(複雑に折れ曲がって三次元になった状態)があり、一次構造が決まると三次構造まで決まる。
       働きとしては、
       ・構造物として細胞を支えたりする(コラーゲンなど)
       ・いろいろなものを結合する(抗体など)
       ・酵素として化学反応を触媒する(アミラーゼなど)
 アミノ酸:炭素原子の4本の腕にアミノ基(-NH2:アルカリ性)、カルボキシル基(-COOH:酸性)と水素がくっ付いたもの。
      なお、最後の1本には側鎖という独特のややこしい化合物がくっつく。この側鎖の違いだけで、いろいろなアミノ酸ができるが、基本的に20種類ある。
      このうちヒトが体内で合成できないアミノ酸が9種類あり、それを必須アミノ酸といい、食事でとる必要がある。
 ペプチド結合:アミノ基とカルボキシル基が水を失う事で結合すること。

・核酸:ヒトを含む生物にとって最も重要な物質。
    主成分はヌクレオチド(塩基と糖とリン酸)。塩基にはプリンとピリミジンというグル―プがある。糖は炭素数5個の単糖でリボース、デオキシリボーズがある。
    ヌクレオシド:塩基に糖がついたもの
    ヌクレオチド:ヌクレオシドにリン酸がついたもの。DNAやRNA、ATP(アデノシン三リン酸)で使われる。
    プリン:アデニン、グアニン
    ピリミジン:シトシン、チミン、ウラシル
    リボース:C5H10O5
    デオキシリボーズ:C5H10O4(デオキシ:酸素がとれる)
    AMP:リン酸が1個ついたアデニンのヌクレオチド。
    ADP:リン酸が2個ついたアデニンのヌクレオチド。
    ATP:リン酸が3個ついたアデニンのヌクレオチド。ミオシン(構造タンパク質であり酵素)で分解することで筋肉の収縮に必要なエネルギーを得られる。

・糖質の代謝
  解糖:細胞質で行う。酸素は不要だが、ブドウ糖1分子から2個のATPを生成。
  クエン酸回路、電子伝達系:ミトコンドリアで行う。酸素が必要だが、ブドウ糖1分子から36個のATPを生成。

・脂質の代謝
  β酸化:脂肪酸の長い炭素鎖を、(カルボキシル基側から)2個ずつ切れて酸化され、それぞれアセチルCoAとなり、クエン酸回路に入る。
      このように炭素が2個ずつ切れて酸化されること。
      炭素数16のパルミチン酸の場合、8分子のアセチルCoAが産出され、最終的に129分子のATPが作り出される。
  インスリン:ブトウ糖代謝などのエネルギー代謝を円滑に進めるホルモン。膵臓のランゲルハンス島から分泌される。分泌されると血糖値が下がる。
        インスリン不足⇒血糖値が高くなる(糖尿病)⇒糖質によるエネルギー代謝が円滑に行われず、ケトン体という物質が体内に蓄積する
  ケトン体:脂肪酸の代謝過程でできるもので「アセト酢酸」「3-ヒドロキシ酢酸」「アセトン」の3者をいう。
       アセト酢酸、3-ヒドロキシ酢酸は酸性物質、アセトンは揮発性物質なので、体内にケトン体が増えると体液は酸性に傾きアセトンの口臭(マニキュアの除光液の臭い)がするようになる。

・タンパク質の代謝
 窒素は燃やせないので、アミノ酸を酸化、つまり燃やしてATPを作る時、燃えない窒素成分(アミノ基)を外してからクエン酸回路で燃やす。
 肝臓では、アミノ基を外してアンモニアにした後、このままだと有毒なので尿素回路で尿素に変換して無毒化した上で、腎臓に持っていき尿として排泄。
 なお、魚類はアンモニアをそのまま排出。
 脱炭酸:アミノ酸はカルボキシル基が外されてCO2として取り除かれると「アミン」と呼ばれる物質に変化。
     アミンは何種類もあり、アドレナリンなどが有名。

・三大栄養素のいずれかが足りない時に、他の栄養素を使って足りない栄養素を合成して補う。
 ・糖新生:ブトウ糖を作り出す。
  グリコーゲン:普段は肝臓や筋肉に貯蔵され、分解するとブドウ糖になる。ただし少量しかない(肝臓での貯蔵量はほぼ半日分)。
  タンパク質:アミノ酸を使ってピルビン酸から解凍系を逆に辿ってブドウ糖をつくることはできる。ただし20種類のうちの約半分しか使えない。
  脂質:解凍系とクエン酸回路のほとんどの部分は逆に辿ることができるが、ピルビン酸⇒アセチルCoAの逆は辿れないので不可。

 ・脂質合成
  糖質、タンパク質とも、β酸化の逆を辿ってアセチルCoAを脂肪酸に合成することができる。
  肝臓で糖質やタンパク質を脂質に変換して脂肪細胞中に中性脂肪として蓄えられる。
  インスリン:脂肪細胞内に中性脂肪を蓄えさせるホルモン
  アドレナリン:脂肪細胞から、脂肪酸とグリセリンを放出させるホルモン
  ヒトの場合、いくつかの不飽和脂肪酸だけは自力で合成できないので食べ物から摂取する必要がある(必須脂肪酸)。
  必須脂肪酸:リノール酸、アラキドン酸、a-リノレン酸。

 ・アミノ酸の合成
  20種類中、9種類は自力で合成できない(必須アミノ酸)。それ以外はヒトの体内で糖質や他のアミノ酸から合成できる。
  必須アミノ酸:バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、メチオニン、ヒスチジン
  非必須アミノ酸:アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、システイン、チロシン、グリシン、セリン

 ・核酸の合成と代謝
  リン酸:体内ではごくありふれた物質。
  五単糖:ブドウ糖(六単糖)を五単糖リン酸回路(もしくは六単糖一リン酸回路)に通す事で作りだせる。
  塩基:細胞内でアミノ酸を材料に合成。その他、食事で摂取したり体内で不要になった核酸を再利用したりする。
     リサイクルされなかった分のプリン塩基は「尿酸」という形に変えられ尿中に捨てられる。
     なお、血中の尿酸値が上昇して、関節炎を起こす病気を痛風という。

・酵素:生体内で働く触媒。主にタンパク質。特定の基質(対象物質)にだけ作用する。
 触媒の働き
 ①過酸化水素水(2H2O2)をそのまま放置すると、1年かけて酸素が発生(2H2O+O2)。
 ②過酸化水素水に二酸化マンガンを加えると、数秒で酸素が発生。
 補酵素(コエンザイム):酵素にはタンパク質だけでは触媒作用を発揮せず、非タンパク質の助けを借りて触媒作用を発揮できる(酵素活性)ようになるものがあり、この場合の非タンパク質物質のこと。
             ビタミンの事。

・タンパク質の修飾
 DNAからの情報に基づいて、リボソームでRNAがタンパク質を生成した後、修飾を行う。
 アミノ酸だけからできている単純タンパク質を、アミノ酸以外のものを含んだ複合タンパク質にする。
 酵素によって遂行され、遺伝子レベルでは直接規定されていない。

・細胞の構造(基本)
 細胞質:細胞の液体部分。嫌気性解糖を行う(嫌気性解糖に関与する酵素は細胞質内にあるので、ミトコンドリアのない赤血球のような細胞でも酸素を使わずにATPを作り出せる)。
 ミトコンドリア:クエン酸回路(TCA回路)、電子伝達系、および脂肪酸のβ酸化を行う。いずれも酸素を使用して大量のATPを作り出す。
 核:遺伝子の貯蔵庫で、DNAが詰め込まれている。DNAにはすべてのタンパク質の一次構造の情報が書き込まれている。
 細胞膜:主成分はリン脂質。リン脂質の構造は、リン酸部分は親水性、炭化水素の部分は疎水性。
     二重のリン脂質が、リン酸部分を外界と細胞質に向け、疎水部分を互いに向け合った二重層の形になっている。
     実際にはこの脂質の膜にタンパク質が埋め込まれている。

・エネルギーの貯蔵
 筋肉のように短時間に大量のATPを必要とする細胞は、効率よくエネルギーを蓄えておくシステムを持っている。
 肝臓でクレアチンという物質を合成し筋肉に運び込み、そこでATPを使ってリン酸化してクレアチンリン酸にする。
 筋肉が収縮を続けるために大量のATPを消費するが、細胞内にはそれほど大量のATPを貯蔵できず、かといってクエン酸回路からATPを作るにもそれなりの時間がかかる。
 ATPがADPになることで筋肉の収縮が起こるが、クレアチンリン酸は、このADPにリン酸を渡し、自らはクレアチンになることによりATPを作ることができる。
 この反応はきわめて速く、筋収縮によりどんどん消費されるATPをどんどん補給することができる。
 筋収縮をしていない安静時に、クエン酸回路などからATPを補給してクレアチンリン酸を作って貯め込んでおく。
 使用済みのクレアチンは、代謝を受けてクレアチニンという物質に変化して、尿中に捨てられる。
 なお、筋肉細胞以外の一般の細胞はクレアチンを持っていない。

・細胞がやるべきこと
 ・ATPを作り出す
 ・何かを取り込んで何かを出す
  チャネル:細胞膜にあるタンパク質を介した出入り口の1つ。ATPを必要としない。ゲートがあり何らかの刺激で開閉する。
  トランスポーター:細胞膜にあるタンパク質を介した出入り口の1つ。ATPを使って物質を輸送する。
  エンドサイト―シス:細胞膜が変形し、そこが陥没して細胞膜ごと細胞内に取り込む方法。取り込んだものは小胞の形になる。
  エキソサイトーシス:エンドサイトーシスの逆で、小胞が細胞膜に近づき、やがて小胞と細胞膜が融合して小胞内部のものを外に分泌する方式。
 ・形を変える、構造物となり体を支える
  筋肉細胞:収縮時に形が変わる。主成分はミオシンとアクチンという2つのタンパク質。これらがたくさん長く連なって繊維状になっている。刺激が来るとミオシンが変形してアクチンの位置がスライドし収縮を行う。
  コラーゲン:細胞同士を結びつけているタンパク質(細胞外基質)。体内のタンパク質総量のおよそ半分を占める。合成にはビタミンCが必要。
 ・自分を複製する

・細胞の構造(細胞小器官)
 リボソーム:核の遺伝子情報を元にアミノ酸を次々連結してタンパク質をつくる。
       細胞質の液体中に浮遊しているものと、小胞体の表面にくっついて存在しているものがある。
       液体中に浮遊しているリボソームはその細胞内で使うタンパク質を作り、小胞体の表面にくっついているリボソームは、外部に分泌するためのタンパク質を作る。
 小胞体とゴルジ体:両者とも中に液体を入れた袋のような構造物。
          ゴルジ体の端っこが切れて小さな球になったものを小胞という。
          小胞の中身はゴルジ体の中身と同じで、この小胞はやがて細胞膜に近づき最終的に細胞膜と融合してその中身を細胞外に放出する。(エキソサイトーシス)

・細胞分画法:核だけ、ミトコンドリアだけ、細胞質だけなど、細胞を目的に応じて集めたい部分だけに分けること。
       通常は細胞を物理的に細かく破砕し(ホモジナイズ)、遠心分離機などを用いて目的のものだけを集めていく。
       ホモジナイズを行うと、小胞体やゴルジ体などはバラバラに破砕される。これらの断片をミクロソームという。
       遠心分離後、下に沈んだ固形成分を「沈殿」、上の液体成分を「上清(じょうせい)」という。
       遠心分離の強さはg(ジー)で表す。重力:1g
       核は1000gの遠心分離で沈殿し、その上清を10000gで遠心分離するとミトコンドリアが沈殿し、さらにその上清を100000gで遠心分離するとミクロソームが沈殿し、上清は細胞質になる。
 
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年11月 9日(木)22時46分20秒
  『ゲームを動かす技術と発想』
 堂前 嘉樹
 ソフトバンク クリエイティブ株式会社
 2012年

 コンピュータにおけるゲーム開発について主にプログラム面から説明した本。
 基本的に、限られたサイズのメモリとCPU(GPU)速度、その他の制約の中でゲームの処理や2D(3D)表示、アニメーション等を実現する方法をわかりやすく説明している。
 詳細な内容として、ゲーム機ごとのハードウェア仕様(CPU、GPU、メモリ、ディスプレイとそれらの接続)の簡単な考え方や、メモリとディスク、CPUとGPU、数値表現と演算、3Dグラフィックの数学、アニメーション、3Dグラフィック(頂点、ポリゴン、ピクセル、テクスチャ、シェーダー、高速化)、ゲームプログラミングの物理学について記述している。
 

雑然草

 投稿者:管理人  投稿日:2017年11月 9日(木)01時27分3秒
編集済
  「友食い」
ホームルーム後の休み時間、俺は友人と他愛のない話をしていた。
友人曰く、最近、思考実験というものにハマっており、いろいろ哲学的な問題を考えているらしい。
その流れで、「自分が餓死寸前の時、友人の死体を食べる事ができるか?」という問題を俺に押し付けてきた。
俺は散々迷った末、「食える」と答えた。
この日から俺のあだ名は「友食い」になった。

「這う男」
あぜ道を匍匐前進している男がいた。
時折、細い棒を指して地面の下に何かあるか確認していた。
人々は彼を愚か者だと嗤った。
ある日、あぜ道で爆発事故が起きた。
警察の発表によると昔の戦争の時の不発弾が爆発したとのことだった。
だが人々は、あの男が爆弾を埋めたのではないか、と疑っている。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 7月 3日(月)00時20分5秒
編集済
  『サイエンスジョーク 笑えたあなたは理系脳』
 小谷太郎
 株式会社亜紀書房
 2013年

科学に関するジョークとそれに関連した科学知識を解説した本。
理系ならこれらのジョークを面白いと思えるらしい。

科学知識の解説で気になった所を抜粋。

【不確定性原理】
 下記は共に同じ法則を別の数学手法で表したもの。
 ・ハイゼンベルクの行列力学
  ミクロな測定値だけに頼ってミクロな測定値を予測する手法。
  この手法によって原子か出る光の波長を計算する事に成功した。
 ・シュレーディンガーの波動力学
  行列力学よりもうちょっと直感的かつ視覚的に原子を描写している。
  イメージしやすいので広く応用されている。
 ハイゼンベルクの不確定性原理
  ミクロな物体の測定には限界がある。
  ミクロな物体の二つの物理量、例えば位置と運動量は、同時に精確に測定することができない。
  運動量:運動の「勢い」を表す量。質量と速度をかけたもの。
  原子が一瞬で潰れないのも、決まった波長の光を発するのも、この原理に従ってのこと。
  電子の位置の測定には電子を照らす光の波長くらいの不確定性がつきまとう。
  波長が極端に短い光(X線やγ線)を使えば位置を精確に測定できるが、光を構成する光子1個の運動量は大きい。
  光子の運動量=プランク定数h/波長
  プランク定数:6.626×10の-34乗J(ジュール)・秒
  位置の不確定性と運動量の不確定性の積は、必ずプランク定数より大きくなる。
  位置の不確定性×運動量の不確定性≧h
【光速】
 光速度不変は真空中を走る場合であって、空気の中、水の中、その他特別な実験装置の中では299792458m/秒(約30万km/秒)より遅くなり得る。
 光を遅くすることに成功したという研究グループは、ナトリウムのガスを超低温に冷却し「ボース・アインシュタイン凝縮」させ、ここにレーザーパルスを照射した。
 すると光と原子が特殊な量子系を構成し、パルスが17m/秒(時速約60km)という低速でガス中を伝わっていくのが観測されたという。
【運動エネルギー】
 運動エネルギー=1/2×質量×速度の2乗
 これは運動量(質量×速度)を速度で積分したものだからなのだが、1/2を外し
 運動エネルギー=質量×速度の2乗
 と定義しても力学を矛盾なく構築することは可能。
【ロケットの原理:反作用】
 アメリカの物理学者ゴダードは、ロケットの研究開発を行い「ロケットの父」(※他にも「ロケットの父」と呼ばれる人は多数存在)と呼ばれ世界で初めて液体燃料を用いるロケットを開発し、打ち上げた。
 ロケットの原理は、ガスを後方に押し出せばその反作用でロケット自体は前方に推されるという、ニューロンの運動法則の「作用・反作用の法則」そのものを利用しているが、ニューヨークタイムズ紙は「高校で教わる常識を欠いている」と批判し、真空中でロケットは飛ばないと主張した。(48年後に訂正記事を掲載)
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 5月23日(火)22時48分28秒
  『"0"からはじめる入門データ・サイエンティスト』
 BSRビッグデータサイエンス研究会
 株式会社 秀和システム
 2014年

データサイエンティストについて、必要な知識や技術についてわかりやすく記載した本。
ドラッガー等の経営学との繋がりについても説明。
統計等についてExcelを使った算出法も分かり易く記載。

▼映画「マネーボール」
 メジャーリーグのオークランド・アスレチックスであった実話。
 GMに就任したビリー・ビーンは、従来の「打率や足の速さ、守備力や、身体能力をみて、スカウトの勘と経験で選手の有望性を判断」するやり方ではなく、データの相関から出塁率を重視してチーム作りを行った。
 さらに、データの側面から「野球における勝利の要因」を研究していたポール・デポデスタにより、「出塁率×3+長打率」の関係があることを突き止めた。
 これが今でいうデータ・サイエンティスト。

▼ビックデータとは、極めて膨大な量のデータ
 量が膨大、種類が多様、速度・頻度が速い(多い)
 母集団全体を分析できる可能性がある。

▼データ・サイエンティストとは、データで物事をわかりやすく語れる人
 統計学、分析だけでなく、マネジメント(企業の利益や成長)に結びつく知見を持つ。

▼マネジメントとは、組織に成果を上げさせるもの
 組織の成果とは、顧客創造
 顧客創造に必要な機能は、マーケティングとイノベーション
 マーケティングとは、ニーズに応えて利益を上げる事
 イノベーションとは、顧客がどうしても必要とするような新たな価値を開発して提供する事

▼リトル・ナンバーズとは、社内に埋もれた従来型のデータ
 ビックデータを持っていない企業や、そもそも従来型のデータすら使いこなしていない企業も多い。

▼バランス・スコアカード(BSC)
 当初は、企業の業績を評価するシステムとして開発。
 組織の基本戦略を構築するツールではなく、基本戦略をブレークダウンして個別戦略に落とし込む手法。
 <戦略マップ基本フォーマット>
 【戦略】 ◇達成!
  ↓
 ①財務の視点 ↑KPI(総資本利益率、総資本回転率、営業利益率など)達成
  生産性の向上、長期の株主価値、収益の拡大
 ②顧客の視点 ↑KPI(マーケットシェア、顧客ロイヤリティ、顧客満足度など)達成
  価格、品質、時間、機能性、パートナーシップ、ブランド
 ③内部プロセスの視点 ↑KPI(棚卸資産回転率、返品率、接客時間など)達成
  業務管理⇒顧客管理⇒イノベーションの管理⇒規制と会社のプロセスの管理⇒
 ④学習と成長の視点 ↑KPI(従業員満足度、従業員定着率、資格取得率など)達成
  人的資本+情報誌本+組織資本

・KPI(キー・パフォーマンス・インジケーター):重要な経営指標(尺度と評価基準)
 KPIオリエンテッド(志向)なデータ分析:データ分析で、常にKPIとのかかわりを意識する事。
 ①KPIに影響を及ぼす要因は?
 ②分析作業の設計
 ③データの収集と分析
 ④KPI改善策の立案
 ⑤改善策の提案
 ⑥改善策の導入
 ⑦KPIのチェック
 ⑧フィードバック(①に戻る)

・PDCAの落とし穴
 PDCA:Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(検証)⇒Act(改善)を延々と繰り返して、継続的改善をはかる
 制約条件:ボトルネックの事。鎖の一番弱い部分以外を強くしても効果がない(部分最適化)。鎖の一番弱い部分を強くすると全体が強くなる(全体最適化)
 <集中の5段階>
 ①システムの制約条件(ボトルネック)を見つける
 ②制約条件を徹底活用する
 ③制約条件以外のすべてを制約条件に従属させる
 ④制約条件の能力を高める
 ⑤制約条件が解消されたら惰性を避けて①に戻る
 PDCAの落とし穴:制約条件を考えないと部分最適化に終始してしまい、実質的に意味のないPDCAを行ってしまう。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 5月21日(日)02時06分11秒
  『物理のアタマで考えよう!素朴な疑問ほど奥が深い』
 ジョー・ヘルマンス 著
 村岡克紀 訳・解説
 株式会社講談社
 2014年

 一般に言われている物理現象で説明が実は間違っていたものについて指摘している本。
 結構言い回しが難しくある程度知識がないと分かりにくい気がする。
 気になった個所をピックアップ。

・飛行機はなぜ飛ぶ?
 一般に流布されているベルヌーイの定理による説明は間違い。
 なぜならそれだと飛行機の背面飛行できる理由が説明できないから。
 ケンブリッジ大学のホルガ―・バビンスキー氏によって2003年、
 翼に揚力を発生させるには、翼断面形状によって空気の流れが下向きに曲げられさえすればいい
 ということがわかった。
 翼断面が流線形の曲面をしていることがキーポイント。
 帆船の帆を翼に見立ててイメージすれば分かりやすい。
 なお、帆の場合、薄いので両面の長さに違いがなく、異なる空気通路長を用いたベルヌーイの定理は成り立たない。
 帆が非常に効率よく推進力を出すのは、空気の流れに曲がりを生じさせるから。
 式で表すと、dp/dn = ρv^2/R
 n:座標軸。流線に垂直方向に取る。
 ρ:空気の密度
 v:空気の速度
 R:曲率半径
 どんな形の翼でも流れの形状に曲がりを生ずれば揚力を発生できる。
 揚力の発生には迎え角(翼の前縁と後縁を結ぶ線と流れの方向がなす角)を適切に選ぶことが必要。

・高齢者の耳が高周波に弱い理由
 聴力について35歳以下なら心配ない。
 ライデン大学医学センターのジャン・デ・ラート博士によると、
 60歳になると、8kHzにおいて聴力損失が35dB(25歳の人の約3000分の1)にもなり、しかも5年ごとに10dBずつ悪くなっていく。
 80歳になると8kHz以上はほぼ聞えない。

・電子レンジはおもしろい
 電子レンジでは「マイクロ波」と呼ぶが、実際はマイクロメートル域の波長ではなく2.45GHz(波長は12cm程度)の長派長の端の方に近い周波数を使う。
 なお、本当のマイクロ波は波長100μm~1m(周波数では3MHz~3THz)のものを呼ぶ。
 電子レンジのマイクロ波の波長は、典型的なオーブンの寸法の中に入れた食べ物上で大きな強度分布を与える電磁波の定在波の領域ぐらい。
 電子レンジが作動するためには、食べ物に「水」という便利なマイクロ波の吸収物が必要。
 マイクロ波の吸収メカニズムは簡単ではなく、照射している電磁波が分子内に振動を起こしたり回転モードの運動をさせている訳ではない(そこまでのエネルギーを持ってない)。
 電子レンジで働いている電磁波吸収、すなわち加熱のメカニズムはマイクロ波が水分子の大きな双極子モーメントを周りの分子の中で揺り動かしている効果によっている。
 もっと正確に言うと、双極子緩和による誘電損失を吸収している。
 双極子緩和:物質の外部からかけた電場を変化させた後、その物質の分極方向の向きと平衡状態に至るまでの過程。
 誘電損失:誘電体に交流電場を加えた時に、誘電体中の分極が電界より遅れて起こる結果発生する熱損失エネルギー。よって誘電体中の分極と印加電圧に位相差が生じないと起こらない。
 マイクロ波域はこの目的に最適で、これより低い周波数では双極子が電場の変化に追随できるので吸収が起こらない。
 他方、もっと高い周波数では、双極子はその方向を変える暇がないので、この場合は何も起こらない。
 この中間の周波数域で双極子が電場に遅れて運動する場合に、広い吸収曲線になると期待されるが、実際の電子レンジでの周波数は吸収曲線の最大値(に近いところ)ではない。
 最大値(に近いところ)だと吸収が大きすぎて、食べ物の表面近くだけが加熱される。実際には周波数が数cmの侵入深さになるように設定されているので食べ物が均等に加熱される。
 双極子緩和のメカニズムでは、氷は分子がそれぞれの格子の位置に固定され過ぎているので、マイクロ波の変動電場に追随することができず、ほとんど吸収を起こさない。(水に比べて3~4桁小さい)
 金属の場合、マイクロ波は(金属中の自由電子がマイクロ波を再放射する事で)ほぼ完全に反射される。金属中へのマイクロ波の侵入深さは1μm程度に過ぎない。
 よってオーブンの蓋を閉めている限り、茶碗に金属のスプーンを入れたままでも問題ない。(スプーンのようなある程度の大きさがある固体金属では、熱伝導率と熱容量が大きいので発生熱を吸収して茶碗の中の液体に伝える)
 しかし、フォークを入れた場合、鋭く尖った先端が避雷針の先のような役割を果たし、電場が集中して絶縁破壊に至る(光のショーが起こり被害が発生)。
 また、薄い金による金属装飾が施された陶器では、陶器の熱伝導が悪いので、装飾部分で発生した熱は行くところがなく金属の薄い部分に集中せざるを得ない。その結果最も壮観なショーが起きるかもしれない。

・太陽光で熱くなるのは「白」と「黒」どちら?
 設問「太陽光が当たっている状態で、黒く塗った玄関ドアは白色のものより熱くなっているか?」
 ①黒い表面の方が白色より太陽光をよく吸収するから黒色の方が熱い。
 ②詳細バランスにより吸収が大きい表面は放出も大きいので白色も黒色も違いはない
  詳細バランス:ある波長での放射と吸収の係数は等しい。
 当然、白色のドアがより低温(黒色の方が熱いので『結果としては』①が正しい)になる。
 ドアの表面は太陽光の電磁波の可視域で吸収し、赤外域で放射する。ウィーンの変位則によればその強度比は太陽表面の温度と地上(我々周辺)の常温300Kの比で決まり、その間の波長比は約20。
 入射光の波長0.5μmに対して赤外光放射は10μmで、これだけ波長域が違うと物体の光学的性質は劇的に変わる。
 ほとんど全ての物体は10μm付近では「黒い」と言える。(その波長での放射率を調べるとどんなものでも1(黒体)に近い値になる。普通の塗料なら色に関わらず0.9以上、水やガラスでも0.9以上)
 但し金属は例外で、表面がきれいに磨かれていて、多重反射が起こらないようにしてあれば、0.05以下になる。
 普通の塗料(アルミ塗料(放射率0.3以下)は除く)は金属を含まないので、上記設問では2つの色での温度の違いの原因は「(放射については塗料の色に関わらず等しく「黒」なので)可視光域での光の吸収の違い」という事になる。
 ラジエータ(放熱機)についてはアルミ塗料以外はすべて「黒」とみなせるので無理に黒や暖色系を選ばなくても好きな色で問題ない。
 詳細バランスについては、あくまで「ひとつの同じ波長」について考えるべきこと。
 

読書感想(補足)

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 5月14日(日)12時48分43秒
編集済
  『第2次世界大戦で数学しよう―戦争と数学の歴史 (数学のドレミファ)』
仲田 紀夫
1989年

・内容補足
 数学や科学の発達に、戦争や(徴税等の)社会問題が大きく影響したという側面を記載。
 特に国や社会集団が「戦争に勝ちたい」という欲求は、数多くの悲劇を生みながらも科学を大きく発達させる原動力の一つにもなった。
 数学などは現実生活には縁遠いように思われがちだが、むしろそもそも現実生活の問題を解決するために数学が発達してきたという見方もできる。
 本書では、第二次世界大戦で発達したOR(オペレーションズ・リサーチ)をピックアップしている。
 OR:最適化(最小の努力で最大の効果を上げる)の問題解決のための学際的な方法。
    その問題は次の2つの条件を満たしている必要がある。
    ①問題が数量で表されること
    ②データは利用する手法に適応できること
    特に数学的なものとして、
    ・線形計画法(LP)
    ・ゲームの理論
    ・パート法
    ・ネットワーク理論
    ・待ち行列の理論
    ・モンテカルロ法
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 5月12日(金)19時50分59秒
  『とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト) ―データ分析のはじめかた』
 石田基広
 共立出版株式会社
 2013年

統計分析について架空の弁当屋を舞台に読みやすく説明した本。

▽中央値と箱ヒゲ図
 中央値:数値を小さい順に並べたときに真ん中に位置する値。数値が偶数個の場合は前半の最後と後半の先頭にあるものを足して2で割る。
     個数などの離散値を代表させる時によく使われる。
 四分位範囲:数値を小さい順に並べたときに小さい方から中央値までの真ん中に位置する値(第1四分位数)から、中央値と最も大きい値の真ん中に位置する値(第3四分位数)までの範囲。
       データを比較した時に四分位範囲が重なっていない場合、特別な意味がある(有意である)と考えられる。
 箱ヒゲ図:「四分位範囲を四角形」で表し、「中央値の位置に横線」を引き、「四分位範囲の高さの1.5倍((第3四分位数-第1四分位数)×1.5)の長さの縦線(ヒゲ)を四角形の上端から上、下端から下」へそれぞれ引く。
      ヒゲより先にあるデータは「外れ値」(特殊な事情がある)とみなす。上端のヒゲの先端から下端のヒゲの先端までで理論的に99%強に相当する。(この範囲を超えるデータが出る確率は1%もない)

▽平均値と標準偏差
 平均値:数値の合計を数値の個数で割る。
     連続量を代表させる場合によく使われる。
 分散:データのバラツキを表す代表値。データの1つ1つが、全体の平均値からどれだけズレているかを総合的に判断する数字。
    ①平均値を求める。
    ②個々のデータから平均値を引く。
    ③引き算の結果をそれぞれ自乗する。(足し合わせた時に0にならないようにするため)
    ④それぞれ自乗した結果を合計する。(=偏差平方和)
    ⑤合計値をデータの個数で割る。(※不偏分散の場合は、データの個数-1で割る)
 標準偏差:分散(自乗した値)を元の単位に戻した値。
    ⑥分散の平方根を計算:√分散
 ヒストグラム:データを区間に分けて、それぞれの区間に含まれているデータの数を調べて、棒の高さで表現したグラフ。
        データの平均値とバラツキは、平均値を中心に左右対称に散らばっているという特徴がある。
 不偏分散:分散を算出する時に「データの個数」で割らずに「データの個数-1」で割った分散。
      母集団全体のデータを使える場合は、通常の分散(個数で割る)でよい。
      しかし、通常は母集団全体を調べることはできず、その標本から母集団の平均値や分散を推測することになる。
      特に標本平均値から母集団の平均値の範囲を推測する場合、理論的には母集団の分散を使う必要があるが、実際上は標本から求めた分散で代用する。
      この際には、不偏分散を使った方が適切。(標本の分散は、母集団の分散より小さくなるため、それを母集団の分散に近付けるための補正として個数から-1する。)

▽母集団と標本
 母集団:過去から未来まで含む全ての(想像上の)データ。
 母集団平均値:母集団内の全てのデータを足し合わせてその個数で割った値。想像上のデータなので通常の計算はできない。
        そこで標本平均値と標本の標準偏差から推定する。
        標本平均値-1.96×標本の標準偏差/√データ数<母集団の平均値<標本平均値+1.96×標本の標準偏差/√データ数
        ※1.96は正規分布のため。
 標本平均値:母集団から実際に取得できるデータを標本として一定個数取り出して平均値を出したもの。
 標本平均の平均値:母集団から標本を取り出して平均値を求めることを何度も繰り返して、その平均値の平均値を出したもの。
 標本平均の標準偏差:標本平均の平均値と同様にして、標準偏差を出したもの。

▽正規分布
 確率分布:なにかが起こる確率を数学的に説明するもの。縦軸が確率密度、横軸が起こる現象(値)のグラフで表す。
 中心極限定理:平均を中心に偏差値1.96個分プラスマイナスした中央の範囲にデータの95%が集まる性質
 視聴率の推定:標本視聴率-1.96×√(標本視聴率×(1-標本視聴率)/調査世帯数)<本当の視聴率<標本視聴率+1.96×√(標本視聴率×(1-標本視聴率)/調査世帯数)
 二項分布:例えばコインを10枚投げて表が出た枚数を検討する時に使われる分布。(横軸は表の枚数)
      データが30個以上あるならば正規分布で近似することが可能(近似しても問題ないといいきるにはさらに数学的に厳密な条件がある)
 確率密度:10枚のコインを投げて表の枚数が何枚になるかの(離散値の)確率グラフではY軸が確率を表し、、X軸は表の枚数(0~10枚)の11通りあり、11個の確率を合計すると1(100%)になる。
      正規分布のような連続量の場合、Y軸の値は「確率」ではない。(X軸に無数の数値があるため、全ての数値でのY軸の値を合計すると1を超えてしまう。)
      連続量の場合は、X軸の数値1点に確率を対応させるのではなく、X軸のある数値から別の数値までの範囲(面積)を確率と考える。(X軸の数値1点に対応する確率は0とみなす)
      つまり、離散値型におけるY軸(確率)と区別するため、連続量型のY軸を「確率密度」としている。

▽相関と回帰
 変数(変量):データとしては既に記録されているので変わったりはしないが、再度同様な条件で新たに取得すると前回とは違った値になっていると思われる値。
 散布図:縦軸、横軸それぞれに別の変数を設定したグラフ。(例 横軸:気温、縦軸:ビールの消費量)
     二つの変数の関連性が確認できる。
 相関係数:それぞれの変数ごとに平均値を求めて、すべてのデータ点と平均値の差(偏差)を調べる。
      ・一方の変数でデータ点が平均値以上の場合、もう一方の変数のデータ点が同じように平均値以上であれば、正の相関がある。
      ・一方の変数でデータ点が平均値以下の場合、もう一方の変数のデータ点が同じように平均値以下であれば、やはり正の相関がある。
      ・一方の変数でデータ点が平均値以上なのに、もう一方の変数のデータ点が平均値以下の場合、あるいはその逆の場合は負の相関がある。
      2つの変数に正の相関があるのか、あるいは負の相関があるのかは、ペアとなるデータ点それぞれの偏差同士を掛け算した結果を、すべて合計してみれば分かる。
      (プラスなら正の相関、マイナスなら負の相関)※「ペアとなるデータ点それぞれの偏差同士を掛け算した結果」は、当然ながら2つの変数が混ざったものである。
      ⇒プラス・マイナスは問題ないが、数値の大きさはその数値の単位によって変わってしまうため比較には使えない。
      ⇒単位が消えた数字(無名数)を使いたい。
      ①2つの変数それぞれの共分散(それぞれの変数の偏差を掛け算して合計した値を、さらに(ペアの)データ数で割った数値)を求める。※それぞれの変数が12個ずつあった(12ペアの)場合は、12で割る
      ②それぞれの変数単独の標準偏差(分散の平方根)を求める。
      ③2つの変数の標準偏差を掛け算する。
      ④共分散から③の値を割る。
      ⇒これで算出された無名数が、相関係数。範囲は-1~1でマイナスが負の相関、プラスが正の相関。
      相関係数の大きさの目安。
      ・0.7~1.0:強い相関がある。
      ・0.4~0.7:中程度の相関がある。
      ・0.2~0.4:弱い相関がある。
      ・0.0~0.2:ほとんど相関がない。
      なお、相関係数が高いからといって、それが因果関係の証明にはならない。
      ※但し、相関係数は散布図で直線上にデータがのるかのらないかを基準に関係をはかる方法のため、データが散布図で二次曲線を描く場合等、直線以外の関係がある場合は使えない。
 正規化(標準化):個々のデータを単位によらないように変換すること。
          無名数(標準化されたデータ) = (個々のデータ - データ全体の平均値) ÷ データ全体の標準偏差

▽回帰分析
 単回帰分析:説明変数が1つの場合の回帰分析。
 回帰式:変数y = 係数a × 変数x + 切片b で表される式。変数yを目的変数(従属変数)、変数xを説明変数(独立変数)
 最小二乗法:散布図上の各点と直線とのズレが最小になるような直線(回帰直線)の式を求める方法。
 t検定:t値を使ってテストすること。
    ①帰無仮説(この説明変数の係数aは実は0(無関係))と対立仮説(この説明変数の係数aは0ではない(関係ある))を立てる。
    ②帰無仮説を前提とした場合のt値から、(回帰分析でその係数aが算出(推定)される)確率(p値)を求める。
    ③確率が0.05(有意水準)未満であれば、帰無仮説を棄却する。
    ④対立仮説を採択する。
 t値:説明変数として使った値が本当に意味があるのかを判定する指標。検定に使用される。
    t値 = 係数a ÷ 推定誤差。(係数aを標準化)
    自由度10のt分布の場合、t値(X軸)が-2.23~2.23の範囲内で95%の確率になる。
 浮動小数点表示:eの左側に書いてある数値の小数点を、eの右側に書いてある数字分、マイナスなら左方向、プラスなら右方向に移動させる。
         1.66e-06の場合、0.0000166。1.66e+06の場合、1660000。

▽重回帰分析
 重回帰分析:説明変数が複数の場合の回帰分析。
 カテゴリ変数(名義変数):曜日などの数値ではないデータ。
              取りうる項目ごとに変数を用意する。(例:血液型なら4個、または3個(全ての変数の値が0の場合も考慮する事で変数を1つ減らせる))
              変数には0か1が入る。変数毎に係数を変える事で、目的変数に影響を反映させることができる。
 残差:モデル式が予測した目的変数の値と実際の値との差。
 自由度調整済み決定係数:重回帰分析では説明変数を増やすと、実際に役に立つ説明変数であろうが無かろうが、あてはめそのものは無条件に改善してしまう。
             そこで、その改善分を差し引いて調整した値。
 F値:帰無仮説「説明変数にかかる係数はすべて0である」、対立仮説「説明変数にかかる係数の少なくとも1つは0ではない」で検定した場合の指標。
 自由度:データ数からパラメータ(係数や切片)の個数を引いた数。
     仮にパラメータが1つあってデータ数が3つの場合、パラメータ1つと具体的なデータの値が2つまで分かってしまうと残り1つは自動的に決まってしまう。よって自由度2。
 多重共線性:説明変数同士に強い相関がある場合に生じる問題。分析結果が安定しなくなったり信頼できなくなる。

▽ロジスティック回帰分析
 ロジスティック回帰分析:対数オッズを目的変数とした回帰分析。
             目的変数が二値(1か0のいずれかの値)の場合に一般的に利用されている分析方法。
             二値を確率に変換して予測する。縦軸は確率(0~1)、横軸はロジット。
             ロジットが0より大きい場合、確率は50%以上にはなるがどれだけロジットが大きくなっても100%は超えない、またロジットが0より小さい場合、確率は50%以下にはなるがどれだけロジットが小さくなっても確率は0%より小さくならない。
             ロジット(対数オッズ):log(P/(1-P)) P:ある事が起きる確率。1-P:ある事が起きない確率。log:自然対数(底:ネイピア数(2.718281…))
             目的変数が二値の場合、回帰式には直接使えないのでロジットで変換する。
             log(P/(1-P)) = a1×説明変数 + a2×説明変数 + b のようなモデル式を使う。
 z値:ロジスティック版のt値。

▽決定木
 決定木:何種類かある選択肢からある一つを選んだ時、その選択の決め手になった条件を探そうという分析手法。
 χ自乗分析:χ自乗分布を使った分析
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 4月30日(日)10時27分13秒
  『徹底図解 パソコンが動くしくみ』
 トリプルウイン
 株式会社新星出版社
 2009年

パソコンの仕組みについて、図解や写真を徹底的に使い、CPU、メモリ、チップセット、GPUなどの基本部分から
マウス、キーボード、タブレット、ディスプレイ、プリンタ、ハードディスク、フラッシュメモリ、BD、モデムなどの周辺機器、
OSやアプリケーションなどを網羅している。
パソコンやハードディスク、フラッシュメモリなどを購入する前に、一度は目を通しておいた方が良いと思う。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 4月23日(日)00時38分30秒
  『直感を裏切る数学 「思い込み」にだまされない数学的思考法』
 神永正博
 株式会社講談社
 2014年

数学の真理は「直感」や「センス」で解くものではなく、論理をひとつずつ追いかけて試行錯誤の果てにようやく辿り着くものであるということを例示した本。

●シンプソンのパラドックス
要旨「集団全体の性質(平均や比率)と、集団を分けたときの性質が異なる」
例:・年収について年収1000万以上、年収500万~1000万未満、年収500万未満の各階層で平均所得が上がっても、全体では平均所得が下がることがある。
  ・ある年とそれから20年後の年でアメリカ人と、アメリカに留学してきた学生の英語力を試験したところ
           ある年  20年後  成績の差
   アメリカ人平均:90    94    +4
   留学生平均  :60    70    +10
   全体平均   :84    82    -2
   となった。(なお、ある年の試験者数はアメリカ人80人、留学生20人。20年後の試験者数はアメリカ人50人、留学生50人)
  ・生まれてきた赤ちゃんの体重別に見ると、母親が喫煙する方が赤ちゃんの死亡率が低い。
   実際は、「母親が喫煙すると、赤ちゃんは低体重で生まれることが多い」、「低体重児は死亡率が高い」
  ・フロリダ州における殺人事件のうち「死刑判決を受ける割合と人種」を調べた結果、コーカソイド(以下、白人)とアフリカ系(以下、黒人)で下記のようになった。
              死刑判決を受けた数 死刑でない判決を受けた数 死刑判決の割合
   白人の被告         53          430      11.0%
   黒人の被告         15          176      7.9%
   これに、被害者の人種を考慮すると、
   白人被告/白人被害者    53          414      11.3%
   黒人被告/白人被害者    11          37       22.9%
   白人被告/黒人被害者    0           16       0%
   黒人被告/黒人被害者    4           139      2.8%

●平均余命
要旨「平均寿命より先に亡くなる人の数は、半数よりも少ない(4割程度)」

●ジップの法則
要旨「何らかの値とその順位(ランキング)の関係では、両対数グラフが直線になる」
大抵のランキングでは順位が高いほどぶっちぎりの圧勝になる。

●ベンフォードの法則
要旨「数字の先頭の桁について、1がもっとも多く出現し、数が増えるほどに出現頻度が減っていく」

●バースデーパラドックス
要旨「クラスの人数が23人の時、同じ誕生日の人がいる確率は50.7%。40人の時は89.1%」
一般に、「n通りある場合、50%になるのはおよそ1.18√n人集めた時」
生体認証やDNA鑑定などで、赤の他人が同一人物とみなされる危険性

●平均が存在しない(コーシー分布)
要旨「有限な平均が存在すれば、大数の法則が成り立つ⇔大数の法則が成り立たないなら、平均は存在しない」
大数の法則:標本平均は、標本の大きさが大きくなると真の平均に近づく
標本の取りうる値の範囲が無限の場合、試行回数を増やして平均値と思える値に近づいたとしても、ある時突然極端な値が出てくることで平均が大きくずれる。
値が「1、4、3、5、1億」のような事が起きる場合、どこまで行っても平均がわからない。

●待ち行列
要旨「物事は起きる時は固まって起きるが、起きない時はしばらく起きない」
・稼働率 = 一定の時間にさばく必要がある処理の数 ÷ 一定の時間にさばく事ができる処理の数。
 稼働率が1より大きいと処理能力の限界を超えて処理が溜まっていく(処理待ちの行列が長くなっていく)。
 平均待ち時間 = 稼働率 / (1 - 稼働率) × 処理1個当たりの処理時間
・「稀に起きる現象が、一定の間隔に何回起きるか」を記録した時に出てくる分布:ポアソン分布
 ある事が起きてから次にそれが起きるまでの間隔の分布:指数分布
 互いに無関係な現象は固まって起きやすい。

●アークサイン法則
要旨「勝負などで拮抗している(勝つ確率が1/2)の場合、一度勝ちか負けにある程度偏るとそのまま最後まで行ってしまう」

●ビュフォンの針
要旨「多数の平行線を4cm間隔で引き、そこに長さ2cmの針を落とした時、どれかの線と針が交差する確率は?⇒1/π」
平行線と針が交わる時の「角度」の中に円周率が含まれている。

●パロンドのパラドックス
要旨「勝率の低いゲーム同士を組み合わせて勝率が高いゲームに仕立て上げることができる」

●かぞえられない無限とかぞえられる無限
要旨「無限は一種類ではない」
数えられる=全ての要素に、重複なく番号を貼りつけていける。(自然数の集合と過不足なく1対1の対応がつく)
数えられる無限(数えきれる多さ):偶数全体や奇数全体、分数、有理数。
数えられない無限(数えきれない多さ):(0と1の間の)実数全体。(非可算集合)

●連続体仮設
要旨「否定も肯定も不可能な命題がある」
連続体仮設:「数えられる無限と数えられない無限の間には、何もない」
⇒これを証明する事も否定(を証明)する事もできない。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 4月20日(木)23時05分30秒
  『アパート経営はするな! -賃貸経営の落とし穴-』
 須田忠雄
 株式会社大空出版
 2011年

少子化が進み、需要より供給が多くなるのが確実な状況では、アパート経営はせず、遊んでいる土地は即刻売って現金化して、相続税が気になるのなら使い切れという主張の本。

特に、「(30年)一括借り上げシステム」は需要が高い物件では保険になりうるが、需要が低い物件では罠になる。
・(家賃保証ではないので、建物が古くなり価値が落ちるにつれ)もらえる賃料はだんだん少なくなる。
・毎月、管理料(家賃の1割程度)をとられる。
・固定資産税、都市計画税は一切変わらない。
・家賃を下げないためには、高額のリフォーム(メンテナンス費用)が必要。
・賃貸経営会社が倒産すれば一括借り上げ契約は失効する。
・建築費用に予め一括借り上げ分の家賃を含めてある。

不動産は金融が動かすもの
 銀行がお金を貸さなけば、ほとんどの人は土地が買えないので地価は上がらない。

表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 不動産取得価格 × 100
賃貸経営会社が示す利回り。諸経費が入っていない。

実質利回り = (年間家賃収入 - 諸経費) ÷ 不動産取得価格 × 100
実際の利回り。
諸経費:司法書士の費用、火災保険料、住宅ローン関連保険料、固定資産税、都市計画税、リフォーム費用、管理手数料

どうしてもアパート経営を行う場合は、借金しない事。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 4月14日(金)02時18分4秒
  『巨大ウイルスと第4のドメイン 生命進化論のパラダイムシフト』
 武村政春
 株式会社講談社
 2015年

一般に「生物である」とされている細菌より巨大なゲノムサイズや多数の遺伝子を持つウイルス(ウイルスは、一般的に「生物ではない」とされている)が発見された事から、「生物」と「非生物」の線引きについて再考する事を提案した本。
ミミウイルス、マルセイユウイルス、メガウイルス、パンドラウイルス、ピトウィルスといった巨大DNAウイルスが発見された。
ウイルスは複製遺伝子、複雑なウイルスなら転写遺伝子までは持っていても、翻訳遺伝子やリボソームを持っていないので自前で増殖できず、他の生物の細胞に侵入して翻訳遺伝子やリボソームを乗っ取って自分の子孫を増やす。
しかし、巨大DNAウイルスの中には、翻訳遺伝子を一部持っているものがおり、ウイルスと細胞(生物)の中間的なものがいる可能性が出てきた。
この中間的な存在を従来の細菌(バクテリア)、古細菌(アーキア)、真核生物の3つのドメインとは異なる「未知の生物グループ(ドメイン)」ではないかと考えている。

セントラルドグマ:中心定理(全ての生物が持つ共通の仕組み)
 複製:DNAを複製する
 転写:DNAからRNAに遺伝子情報を写す
 翻訳:DNAの遺伝子情報がRNAによってリボソームに運ばれタンパク質が作られる

リボソーム
 リボソーム自体は細胞核の核小体で作られるが、タンパク質合成装置としての機能を発揮するのは細胞質に運ばれてから。
 転写された後、スプライシング(イントロンを除去してエキソン同士をつなげる作業)を行うが、これが色々な酵素が働く作業で、この後にリボソームで行われる翻訳作業よりも時間がかかる。
 リボソームが核内にあると、速度差で処理が混乱するので、結局核外にリボソームをおこなうものが生き残ったのではないかとされている。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 4月 9日(日)18時04分39秒
  『あなたはコンピュータを理解していますか?』
 梅津信幸
 ソフトバンククリエイティブ株式会社
 2007年

コンピュータについての好奇心をかきたてることで、コンピュータについて学び続けるきっかけになる事を目指した本。
コンピュータについて独特の説明の仕方を行っているため、コンピュータをある程度知っている人にも違った視点から楽しむことができる。

・エントロピー
 ありがたさ:存在の稀さ。珍しい。
 エントロピー(平均ありがたさ)=(あるモノのありがたさ×その確率)の総和=((-log2その確率)×その確率)の総和
 特に、Bの確率=1-Aの確率、の場合
 エントロピー=(-log2(Aの確率))×Aの確率+(-log2(1-Aの確率))×(1-Aの確率)=-plog2(p)-(1-p)log2(1-p)←エントロピー関数 p:Aの確率
 エントロピー関数のグラフ(縦軸:エントロピー、横軸:確率p)⇒確率p=0.5の時エントロピー最大(1)、確率p=0または1の時エントロピー最小(0)の逆Uの字型。
 エントロピーの単位:2進数(log2)のとき「ビット」、10進数(log10)のとき「ハートレー」
 logについて
  2^4=2×2×2×2=16
  2×4=2+2+2+2=8
  8÷2=4 ⇒ 8-2-2-2-2=0 (4回)
  log216=4 ⇒ 16÷2÷2÷2÷2=1 (4回)
           16という数は、2で何回の割り算ができるか?と言う意味
 エントロピーの性質
 ①エントロピーが最大になるのはそれぞれの確率が同じとき
 ②たくさんのデータに対して計算してこそ意味がある
 ③わかりきっていること(絶対そうなること(100%)、絶対にあり得ないこと(0%))は、価値なし(エントロピー=0)

・チャネル
 「何か」が『何か』を通って「何か」が出てくる:「何か」⇒『何か』⇒「何か」
 この『何か』の部分を「チャネル」と呼ぶ。
 チャネルの性質
 ①「何か」を入れた後、出てくる「何か」の量は減ることはあっても増えることはない

・情報とデータ
 データ:情報をチャネルに通すのに用いる容器のようなもの。情報を失わない範囲で変形や圧縮が可能。
 情報:中身であり、これが減少すると正確さや意味が失われる。ただし、理解してくれる知性がいないとそもそも意味がなく、また、受け取る知性によってその意味を変えてしまう。
    情報理論の父シャノンの論文「通信の数学的理論」では、「情報とは何か」という問いには触れず、数学で追いかけられる範囲だけに絞って築き上げられた。

・有限オートマトン:丸が矢印でつながれたもので、丸の数が有限のもの「例:○→○→○→○」
 コンピューターが動く=たくさんの丸の上を、矢印に沿ってあちこちに移動していく(遷移規則に従って状態遷移繰り返す)

・プログラムカウンタ
 プログラムのスタート地点からの距離を測っている
 カウントの仕方
 基本型Ⅰ:順々に進む。カウンタが1つずつ増えていく。「参照の局所性」が起きる理由。
 基本型Ⅱ:ジャンプ台から飛躍。前後どちらにでもジャンプできる。カウンタの数値を差し替える。
 基本型Ⅲ:人のフリ見て、飛んだりやめたり。なんらかの状況を示す「フラグ」を見て基本型Ⅱにするか基本型Ⅰにするかを判断。

・参照の局所性
 メモリの参照:メモリの中身を見たり、いじったりすること。
 局所性:遠くよりは近くが好き
     空間的局所性:今見ている所の近くは、将来に見る可能性が高い
     時間的局所性:今見ている所は、近い将来にまた見る可能性が高い
 プログラムカウンタの動作は、基本型Ⅰがほとんど。
 よって、メモリの中で遠くより近くを見たりいじったりすることが好き=参照の局所性
 「超」整理法=LRU
 ①分類しない
 ②使った時間順に並べる
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 3月31日(金)23時10分32秒
  『「悪意の情報」を見破る方法 ニセ科学、デタラメな統計結果、間違った学説に振り回されないためのリテラシー講座』
シェリー・シーサラー 著
今西康子 訳
株式会社飛鳥新社
2012年

ある程度、「科学的方法」や「悪意の情報」というものに対して理解がある中級者向けの本。
一般的に科学的方法とされている
1.仮説を立てる
2.仮説を検証するための実験を計画する
3.実験を実施してデータを収集する
4.収集したデータを分析する
5.データが仮説を裏付けるか否かを判定する
という手順が行われていたとしても、様々な要因により間違った結果や解釈が行われてしまう事を事例を挙げて説明してる。

この本を読むと、いかに物事を正確に知るという事が困難で、どこまでいっても「自分は(ある)物事を理解した」ということなんてできないという気にさせられる。

この本で紹介している知恵は以下の通り
・科学発展のメカニズムと、科学者の意見が分かれる理由を理解する。
 1.正当な批判と単なる科学叩きには明確な違いがある
 2.意見が対立している、あるいは、科学的合意がなされている、といった主張はいずれも鵜呑みにはしないこと
 3.科学界が自分の真価を認めようとしない、と主張する自称「革命家」には要注意
・利害関係のある人々を見きわめ、その人々の立場を知る
 4.バイアスはどこにでもある
 5.一次情報に立ち戻って、利害関係者たちがそれぞれどのような見方をしているかを調べる
・ある決定を下した場合のメリットとデメリットをすべて明らかにする。
 6.2つの選択肢のいずれかを選ぶしかないように見えても、じつはそうでないことが多い
 7.リスクとメリットが示されていても、それがすべてではないことが多い
 8.あるイノベーションの応用方法の一つひとつに、それぞれ独自のリスクとメリットがある
・選択肢の比較検討は、適切なコンテクストに照らして行なう
 9.大きな視野にたつと、選択肢を客観的に評価することができる
 10.ある案の欠点を指摘しただけでは、それに代わる案が最善の策だという証明にはならない
・因果関係と偶然の一致を見分ける
 11.交絡因子は、あることがらの原因を見きわめるのを難しくする
 12.「盲検化」試験は、バイアスの影響を排除するのにきわめて重要である
 13.複数のタイプのデータを組みあわせると、因果関係を立証しやすくなる
・ある研究から導かれた結論を、どこまで広く当てはめられるか
 14.ある状況下で得られた研究結果は、他の状況には当てはまらないことが多い
・統計数字を読み解く
 15.データの収集方法によって統計数字が歪められることがある
 16.統計数字を額面どおりに受け取らないこと
・科学と政策の関係を見きわめる
 17.研究結果が真っ二つに分かれている場合、真実はたいていその中間のどこかにある
 18.費用便益分析はもっとも体系的な意思決定方法である
・論理をねじ曲げる策略にはまらないこと
 19.自分の思考プロセスの弱点を熟知していれば、あなたを操作しようとする相手の策略にはまらずにすむ
・偏りのない視点を得るための情報収集法
 20.1つの問題を掘り下げていくと、いくつもの理解レベルが、層をなしているのが明らかになる
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 3月31日(金)22時24分19秒
  『「悩み」は「お金」に変わる』
小野たつなり
角川学芸出版
2013年

自分が持つ「悩み」がお金儲けに使えるという内容の本。
「自分の悩み」は「他人の悩み」でもある可能性が高く、その悩みの「(同じ悩みを持つ人が感じる)共感」、「(その悩みがない人がその悩みを持つ者に対する)優越感」や「(その悩みに対する)解決法や経験談」には需要(価値)がある。
それをネット上やメルマガに無料(広告付き)で提供するとお金になる。
また、さらに商品の無料提供や賞金、ポイントや紹介とキャッシュバックなどで会員を増やし、その人数を背景に広告収入で儲ける。
さらに自分の会員の伝手で他のメルマガを勧めて、代わりにその広告料を他のメルマガから貰う。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 3月20日(月)19時49分14秒
  『どんな人でも買わずにはいられなくなる「欲望直撃」のしかけ』
殿村美樹
株式会社すばる舎
2013年

「ひこにゃん」「うどん県」「佐世保バーガー」等のブームを起こす方法について現場レベルの視点から説明した本。
インターネットでその商品を検索した時にでてくる検索結果などからその商品に対する人々の「隠れた欲望」を読み解き、そこから人々の心を刺激する商品の改良や売り方を導き出す、などの手法を紹介。
なお、隠れた欲望として、下記の5つを列挙している。

・負けたくない
・褒められたい
・安心したい
・感動したい
・一人だけ取り残されたくない
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 3月18日(土)23時17分34秒
  『模倣の経営学 偉大な会社はマネから生まれた』
井上達彦
日本経済新聞出版社
2015年

模倣は独創性やイノベーションの基本である、という事を様々な企業の事例を混ぜて説明した本。

気になった点を以下に抜粋。

モデリングの基本4類型
社外・肯定:単純模倣
社外・否定:反面教師
社内・肯定:横展開
社内・否定:自己否定

肯定的な模倣と否定的な模倣の両方が必要。(複眼モデリング)

守破離モデリング(弁証法モデリング)
師が守を教え、弟子がこれを破り、両者がこれを離れて新たに合わせ合う。
命題に対立命題を投げかけて問題点や矛盾を抽出し解消する事で統合命題を導く。

競争の戦略①迅速追随:迅速な2番手を目指す
競争の戦略②後発優位:経営資源に恵まれているならあえて遅れて参入する
競争の戦略③同質化:類似品を出すことで他社に差をつけられないようにする
後だしジャンケンとしての強さ。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 3月10日(金)23時32分9秒
  『あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか ~ネット時代の老舗に学ぶ「戦わないマーケティング」~』
仲山進也
株式会社宣伝会議
2014年

他の店と競合(消耗戦)しないで商売を行う方法について記載した本。

「究極の対面販売」の道を進み消耗戦を抜け出している店を「老舗」、「究極の自動販売機」の道を進み消耗戦を戦い抜いている店を「一発屋」、「連発屋」、「ジャイアント」として、「老舗」のやり方を奨励している。
「老舗」になる為には
①売れているモノを売ってはいけない
⇒ヨソでは買えない価値を売る
②ターゲット客を攻略してはいけない
⇒客は「価値観を共有した仲間」
③競合対策をしてはいけない
⇒魅力の追求を行う
④スケールメリットを強みにしてはいけない
⇒大企業にはできない(手間のかかる事や費用対効果が低いもの)をやる
⑤勝つためのスキルを磨いてはいけない
⇒戦わなくても済むよう工夫する
としている。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 2月28日(火)23時01分48秒
  『ぼくらは「数学」のおかげで生きている』
柳谷 晃
株式会社実務教育出版
2015年

数学をその成り立ちや実用面から、わかりやすく説明した本。
数学に興味を持ちたい、より身近に感じたい人向け。
数学が決して理論や理屈を扱うだけの学問ではなく、むしろ現実の諸問題を扱うために発展した学問だという事を主張している。
気になった部分を抜粋。

●数学における「前提(約束事)」

定義:最初に決める。その言葉が具体的に何を表しているのか。他人に正確に伝える。証明は不要。
   (例)二等辺三角形の定義:少なくとも2つの辺が等しい三角形。

公理:定理を証明するために公に認知された手段と約束事。
   数学の理論に意味があるかないかは、この公理からおかしなことが導かれないかどうかで判断する。つまり、1つの文章を考えた時に、それが正しいか間違っているか、どちらかの結果でなければならない(数学では、「無矛盾である」と言う)
   ユークリッドの原論の「公理」
   1.同じものに等しいものは、互いに等しい。
   2.同じものに同じものを加えた場合、その合計は等しい。
   3.同じものから同じものを引いた場合、残りは等しい。
   4.不等なものに同じものを加えた場合、その合計は不等である。
   5.同じものの2倍は、互いに等しい。
   6.同じものの半分は、互いに等しい。
   7.互いに重なり合うものは、互いに等しい。
   8.全体は、部分より大きい。
   9.2線分は面積を囲まない。

定理:公理や(別の証明された)定理を使って、定義から導き出される(証明される)もの。
   (例)二等辺三角形の定理:2つの底角は等しい。

証明:定義から定理を導くための文章。ある命題が正しい事を、いくつかの公理から論理的に導く事。

同値:AからBを証明できる、と、BからAを証明できる、が同時に成り立つ時、定理Aと定理Bは同値と言う。

公式;よく使う定理の中で、計算するのに便利なもの。

公準:公理よりも少し定理に近いもの。
   ユークリッドの原論の「公準」
   1.任意の一点から他の一点に対して直線を引く事が出来る。
   2.有限の直線を連続にまっすぐ延長することができる。
   3.任意の中心と半径で円を描く事ができる。
   4.全ての直角は互いに等しい。
   5.直線が2直線と交わるとき、同じ側の内角の和が2直角より小さい場合、その2直線が限りなく延長されたとき、内角の和が2直角より小さい側で交わる。(平行線の公準)
   平行線の公準について後世の数学者が「ユークリッドは第5公準を定理にしたかったのではないか?証明したかったのではないか?」と考えた。
   ユークリッドが第5公準の証明にこだわったのは、第5公準と同値な定理に幾何の重要な定理が多いから。
   第5公準と同値の定理は「ある直線上にない点を通る、もとの直線に平行な直線はただ一つしかない」「三角形の内角の和は180度」「平行線の作る同位角が等しい」など。
   なお、第5公準が成立しないという前提で作られた幾何が、「非ユークリッド幾何学」

●ピタゴラスの定理「三角形の辺aの2乗+三角形の辺bの2乗=三角形の斜辺cの2乗」
ピタゴラスの定理は、世界四大文明でも使われており、エジプトでは建物を歪まないように建てる際に使われ、中国では橋を架けるために川幅を測る際に使われていた。
つまり、ピタゴラスが生まれる前からピタゴラスの定理自体は知られていたが証明方法まではわからなかった。

●位取り記数法と「0の発見」
インドアラビア数字では、数字の場所で桁数がわかるのが利点。これを位取り記数法と呼ぶ。
(例)285=2×10の2乗+8×10の1乗+5×10の0乗
インドアラビア数字は、現在使われている中で筆算が機能的にできる唯一の数字。
しかし、当初この数字には「数字のない位はどう表記すればいいのか」という欠点があり、スペースを空けて表記していたが人によってスペース幅が違い間違いの原因になった。
そこで「この位に数字はない」という意味で「0」を使った。(0の発見)
これは「みかんが5個あったが全て食べたのでなくなった」という意味の0とは使い方が違う。

●背理法
幾何は「仮定→結論→証明」とロジカルに解いていくから、論理的な話し方の練習になると言われるが、数学の証明法は一般社会での議論に使うようにはできていない。それをわからずに「数学を学ぶと論理的な思考ができる」という考えは非常に危険。
「AならばB」という文章を数学で言うときには「X>2ならばX>1」のように「Aが成立するものの集合」は「Bが成立するものの集合」に含まれる、という関係が成立しなければならない。
つまり、議論をするときに「仮定」と「結論」を数学の集合として扱ってよいかどうかを考えて使わなければならない。
論理的な手順を踏む事と、数学の理論を一般社会で使う事は意味が違う。数学の論理はあくまで数学の証明をするためのもの。
背理法は、「AならばB」を証明するとき、結論Bを否定して矛盾を導く証明法。「Aであって、かつBでない」が間違っていることを証明する。「AならばB」が成立すると、Aの集合はBの集合に含まれるので、「Aの場所」と「Bでない場所」は共通部分を持たない。よって「Aであって、かつBでない」ということはありえない。
さらに言えば、「AならばB」とするとき、AとBに時間のズレはない。
背理法は数学の証明が簡単になるように使う手段であり、数学の中での厳密な約束の下で、はじめて使ってよい方法。

●六曜
(旧暦の月+日)÷6=商…余り
余りが0:大安 1:赤口 2:先勝 3:友引 4:先負 5:仏滅

もともとの発祥である中国の歴代王朝では、「暦注をカレンダーに書いてはならない」という指示が出されていた。
日本でも明治政府が同様の法律を出していたが、完全にやめさせられることはできなかった。
現在のように暦注付きのカレンダーを普通に売ることができるようになったのは戦後から。

●等比数列の和とネズミ講

ネズミ講は「親会員から子・孫会員へと会員が無制限に、ねずみ算的に増殖していくシステムを使う詐欺」

等比数列:a,ar,ar^2,ar^3・・・ar^n  (^n:n乗)
n番目の項an(一般項)は、an=ar^(n-1)
初項から第n項までの和はr≠1の時、a(r^n-1)/(r-1)

仮に5人ずつ会員を集める場合、
5+25+125+625+3125+15625+78125+・・・・

●漸化式
数列のいくつかの項の間に、常に成り立つ関係式のこと。漸化式で数列を定義(前の番号がついたいくつかの項を使って次の番号の項を計算していく定義)する方法を帰納的定義という。
例:等差数列 a(1) = a、a(n+1) = a(n) + d、a:初項、d:公差
後の項になるほど求めるのが大変なので、anを直接求める方法はないかということで、高校で漸化式の解法を習う。
漸化式は、今の状態から次の状態にどう変化していくかを表せる式。
例1:インフルエンザを1人がm人に感染させる場合、次の段階の感染者数a(n+1)は、現在の感染者数a(n)を使って、a(n+1) = ma(n)と表すことができる。
例2:うわさが正しく伝わっていく状態を漸化式で表す。
   間違って伝わる確率:α (この確率は少ないのでαは「0に近く」て、「0より大き」な数字とする)
   正しく伝わる確率:1-α
   n人目の人が正しいうわさを聞く確率:a(n)
   n人目の人が間違ったうわさを聞く確率:b(n)
   最初にうわさを流した人(正しいうわさを聞いた人):0人目 a(n)=1,b(n)=0
   隣接二項間連立漸化式
   a(n+1)=(1-α)a(n)+αb(n) ・・・(1)
   b(n+1)=αa(n)+(1-α)b(n) ・・・(2)
   0<α<1
   a(n)+b(n)=1 → b(n)=1-a(n) を(1)に代入
   a(n+1)=(1-α)a(n)+α(1-α)
   よって、a(n+1)=(1-2α)a(n)+α
   a(n)=1/2 + (1-2α)^n
   この式で0<α<1より、-1<1-2α<1なので、(1-2α)^n → 0(n→∞)が成立。
   a(n)は途中で何人も入ると1/2に近づく(正しいか嘘かは五分五分)ということ。

●統計法則
統計調査のために必要なサンプル数 = N/((e/k)^2×(N-1)/p(100-p)+1)
N:全体の人数(母集団)
e:許容できる誤差の範囲
k:信頼度=1.96(統計の5%検定)
p:想定する調査結果の返答割合

母集団の数(必要なサンプル数)
2(2)
100(94)
1,000(607)
100,000(1514)
10,000,000(1537)
1,000,000,000(1537)
※無作為で選ぶこと。

●指数関数と人口
指数関数:初項が1で公比が2の等比数列(1,2^1,2^2,2^3,…,2^(n-1),…)。
     これは2のべき乗が自然数であるが、これを実数にして、y=2^xという形の関数。
     変化量(速度):微分方程式dN(t)/dt=γN(t)の解はN(t)=N(0)e^γt

マルサスモデル:全人口をN、時間をt、死亡率αも出生率βも全人口に比例すると仮定。
        dN(t)/dt=βN-αN=(β-α)N
        β-α=yとすれば、dN(t)/dt=yN
        この方程式の解、人口の変化が指数関数になる。

マルサスの予想によると、人口はマルサスモデルから求められた指数関数で増える。
一方、当時の農作物は等差数列でしか増えなかったため、いつか必ず食糧危機が訪れると考えた。
しかし、現代における食糧不足の原因は貧困と戦争。
地球全ての人達に供給するために必要な食糧の総量は、日本人の平均摂取カロリーで試算した場合、全世界の今の食糧生産量でギリギリ。

●「正規分布」の発想から生まれた偏差値
正規分布:平均値の場所を頂点とした左右対称の山形で表示されるデータの分布。
     対称軸の左右に50%ずつわかれる。
     平均から±1σ(標準偏差)に入る割合が68.3%
     平均から±2σ(標準偏差)に入る割合が95.4%
     平均から±3σ(標準偏差)に入る割合が99.73%
     の性質を持つ。

分散、標準偏差:データがどのくらい平均値のまわりに集まっているかを調べる数値。
        分散V(X)、σ^2:(個々のデータ-平均値)の2乗、の合計。
        標準偏差σ(X)、σ:分散は元のデータと単位が変わってしまう(例:身長(cm)なら分散は(cm^2、平方センチメートル))ため、単位を揃えるため分散の平方根を使う。

偏差値:テストの平均点がmで、標準偏差がσとする。
    m+σ以上の点を取った人は、全体の50%-32%=18%いることになる。
    偏差値はこの発想で作られた。
    偏差値=50+(a-m)/σ × 10
    この処理を行うと、平均がいつでも50点に変換され、個々の平均点が違うテスト結果でも、自分がどのくらいの位置にいるか(相対評価)が数値でわかる。
    必要な知識を習得しているか等、本来の力を知りたい場合は絶対評価で考えないといけない。
    また、その母集団(点数)の分布が正規分布であるという前提が必要。

●「平均」から生み出される値頃感
・相加平均:一般的な平均を指す。n個の数があるとき、それらの和をnで割った数。相加平均=データの和/データの個数。
・相乗平均=n個の正の数があるとき、それらの積にn乗根。相乗平均=√n個のデータの積。この平均が人間が持つ値頃感に近い事が経験的にわかっている。
・調和平均=いくつかの、0出ない数がある時、それぞれの数の逆数の相加平均の逆数。調和平均=データ個数/データの逆数の和。ランチなどの食物の値段についてはこちらの方が値頃感に近い事が経験的にわかっている。

●「楕円の方程式」とケプラーの3法則
・楕円は、「2定点(焦点)からの距離の和が一定」という条件を満たす点の軌跡。x^2/a^2 + y^2/b^2 = 1 (a>b>0)
 焦点F1の座標(-f,0) = (-√(a^2-b^2),0)、焦点F2の座標(f,0) = (√(a^2-b^2),0)
・コペルニクスが太陽を中心に置き、そのまわりを地球が回る形で、太陽系のモデルを構築した(地動説)ことは有名。
 だが、軌道を真円で考えていたため不正確だった。
 それに対して地球を中心に置いた天動説は1000年以上も修正に修正を重ねて、実際の天体の運行を説明できるようになっていた。
 このため、天体の運行の正確さでも天動説が勝っていた。
・ケプラーの三法則
 第1法則:楕円軌道の法則(惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道上を動く)
 第2法則:面積速度一定の法則(惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は、一定である)
 第3法則:調和の法則(惑星の公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗に比例する)
・コペルニクス(修道士)もケプラーも敬虔なキリスト教徒だったため真円軌道に拘ったようだ。

●ホームランと「運動エネルギーの法則」
・運動エネルギーの法則;運動エネルギーK、物体の質量m、速度をvとすると、K=1/2×mv^2
・「仕事」という量は、(運動)エネルギーと同じこと。
 仕事は、「作用している力に、その作用方向に物体が移動した距離を掛けた値」で表される。(仕事=力×距離)
 力Fは、加速度aとすると、F=maで表される。
・運動エネルギーを大きくするには、質量を増やすより、速度を上げる方が効果的。

●四色問題
・地図で国境を接する国同士を別の色で塗り分けるのに4色でできるか?という問題。(5色なら可能、3色なら不可能であることは証明されている)
・グラフ理論(とコンピュータ)によって「4色は可能」だと証明されたと考えられている。
・グラフ理論では、色を塗る場所を「点」、隣り合う国境を「直線」で表す。例:○-○
・携帯電話の基地局で使う周波数の割り当てなどにも利用されている。

●トリチェリの定理
・(任意の形状の)容器の中の(粘り気のない)液体が「(十分)小さな穴」から流出するときの流出速度は次の式で表せる。
 v=√(2g(L-h)) m:水の質量、g:重力加速度、v:流出速度、L:水面の高さ、h:流出する穴の高さ
・基本的な考え方は、水の「「位置エネルギー」が流出する水の「運動エネルギー」に変わる(つまり2つのエネルギーは等しい)という仮定。

●ベルヌーイの定理
・水や空気のような流体は、流速が速くなるに従って圧力が小さくなる。
 翼の研究は実験と理論を組み合わせなければならない非常に難しい分野のため、細かい式が沢山ある。
 一番単純な式は、L=1/2×PV^2SC L:揚力(kg)、P:空気の密度、S:主翼の面積、V:飛行速度、C:揚力係数(翼の形で決まる)
 空気密度は地表近くでは0.125だが、高高度では空気が薄くなって減る。
・翼面加重:翼1平方メートルにどれくらいの重量がかかっているかを表す(L/S)。ジャンボジェット機の場合、約690kg。
・飛行機の翼は上側が丸みを帯び、下側が平面に近い曲線になっている。
 翼の上面のカーブを流れる空気は、翼の下面の平面を流れる空気より速度が速くなる。
 この時、ベルヌーイの定理により、翼の上面の空気の流れが速いと、圧力は下面の空気より小さくなり、下から上への圧力が揚力にになる。

●2次関数とカオス現象
・2次関数:y=ax^2+bx+c(a≠0)で表される関数。
      グラフは放物線になる。
・y = -ax^2+ax = ax(1-x)でa=4以上で考えると、カオスが起きる。
・カオスはほんの少しのズレが最終的に大きく異なる現象(初期値に神経質に依存する現象)

●対数公式
・logaBはaを何乗したらBになるか(logaB=X ⇔ a^x=B)を表す式。
 対数の「底」:logaXのaのこと。常用対数:a=10、自然対数(微積分を使う式等に利用):a=e=2.7182・・・
 例:log28=3。
 loga1=0、logaa=1、loga1/a=-1、logaM+logaN=logaMN、logaM-logaN=logaM/N、n×logaM=logaM^n
・マグニチュード:地震エネルギーの大きさを表す。地震エネルギーと対数関係にあり、リヒターの式ではリヒターマグニチュードMI=log10A。マグニチュードが1増えると振幅が10倍になる。(約0.3増えると2倍)
 現在のマグニチュードの式はリヒターマグニチュードの改良版。

●フェルマーの定理
・フェルマーの最終定理(大定理):3以上の自然数nについて、X^n+Y^n=Z^nとなる自然数(X、Y、Z)の組は存在しない。
・フェルマーの小定理:素数pで法(mod)を考えるとする。このときpと互いに素な整数rに対して、r^(p-1)≡1(mod p)が成り立つ。
 互いに素:pとrの公約数が1だけであること。
・フェルマーの大定理が注目を浴びる理由は「簡単そうで証明できないから」に尽きると思われる。
・「○○が存在する」という定理なら、それを使って何かできることがあるかもしれないが、存在しないとなると何もできないので、ほとんど実用性はない。
・使い道がなくても、大定理を証明しようとして様々な研究が進み「代数幾何学」や「楕円曲線」等の分野の発展の動機の1つになった。
 実際、フェルマーの大定理は代数幾何と楕円曲線の理論を使って証明された。

●証明
 数学の論理の特徴として、「「真」か「偽」のどちらかしかない」というものがあり、これにより、「偽」であると仮定して矛盾あれば「真」と決定する。
 現実の世界では、「真」と「偽」の境界があいまいであったり、「真」と「偽」の中間が存在したり、「真」と「偽」が混ざりあったりする事があるので、背理法等の厳密な数学の証明法は使えない。
 また、何らかの存在(例えばある関数の存在)を証明をするとき、背理法で存在を否定して矛盾を出してその何か(関数)の存在を証明しても、その何か(関数)がどこにあるのかといった何か(関数)そのものはわからない。
 結局、その何か(関数)を探すなり作るなりする必要がある。

●数学的帰納法
・自然数に関する命題P(n)が全てのnに対して成立する事を証明する方法。
 ①P(1)が成立することを示す。
 ②任意の自然数kに対して、P(k)⇒P(k+1)が成立する(すべての自然数の中から1つ(k)選んで、n=kについて定理が成立するなら、n=k+1についても定理が成立する)事を示す。
 ③①と②の議論から任意の自然数nについてP(n)が成立する事が結論づけられる。
 ※自然数の定義の中に「数学的帰納法が成立する」を意味する文章があり、数学的帰納法が成立する数が自然数。自然数は数学的帰納法を使っても矛盾を起こさないという証明もされている。
 

読書感想④

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 2月25日(土)00時49分55秒
  【美容と健康にまつわる超科学の真相】
●サプリメントで健康になれるか
〔この説の主張〕
 ・さまざまな栄養を手軽にとることができるサプリメントは、現代人の生活に欠かせないものである。
 ・現在では一流企業が参入し、たしかな科学的見地から効能が証明されたものが増えている。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・サプリメントはあくまで「食品」であり、本来食事で取るべき栄養が足りない時にその栄養を補うためのもの。
 ・「栄養機能食品」などの一部のものを除き、ほとんどのサプリメントの効能はほとんどないか、下手をすると毒にもなりうるものである。
 ・人間の心理的・生理的要因により、サプリメントは効果があると思わされている。
  但し、この思い込みにより結果的に効果がある場合もあり、また、サプリメントの購入は個人の責任という主張も一理ある。
 ・(サプリメントは効果がないという)実態の指摘自体は意義があるものの、強く主張するには悩ましい問題。

〔調査内容〕
 ・サプリメントとは、健康維持を「補助する」という意味から由来した名称で、食品の特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形状製品の通称である。
  いわゆる「健康食品」のひとつの形態であり、見かけは薬品であるが、あくまで「食品」である。
 ・食事で摂取すべきビタミンやミネラルが欠けている場合、しばしばサプリメントで補う方法がとられ、一定の効果があると知られている。
  このビタミンやミネラルを主成分とするサプリメントは「栄養機能食品」と認定されており、その有効成分には亜鉛、鉄、銅、カルシウム、マグネシウム、葉酸。ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、Eの17種類が定められている。
  また、DHAやグルコサミンなど、医薬品として認可されている成分は、一定の効能があるとみなす事ができる。(副作用にも留意する必要あり)
 ・一方、それ以外の多くのサプリメントに関しては、効果・効能は定かではなく、独立行政法人国立健康・栄養研究所の素材情報データベースを見ると、ほとんどの成分について「ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない」と記載されている。
 ・サプリメントは食品であるので、原則的に販売は自由で、薬品のように臨床試験をする義務もない。そのため効果・効能に関するデータも不足しているのが現状。
  ゆえに多くのサプリメントはほとんど効果がないか、特殊な状況にある人にのみ、特定の分量がごくわずかに効果があるにすぎない。
  また、多くの食品は毒に相当する成分を少しは含むので、食品の特定の成分を濃縮したサプリメントをそれも長期間服用した場合の危険性は未知数。
 ・サプリメントに効果があると錯覚してしまう理由は以下の通り。
  ・回帰効果を誤解:身体には治癒能力があり、一時的に体調が悪くなってもいずれ回復に向かう。この回復に向かう直前にたまたまサプリメントを飲んでしまうと、サプリメント自体に効果はなくてもサプリメントによって回復したように見える。これによりサプリメントの効果を信じてしまう。
           サプリメントの販売業者は、とにかくお試しで大勢に飲んでもらえば、この特定のタイミングにあたる人が一定数現れ、その人達がこのサプリメントを購入してくれるようになる。
  ・確証バイアス:サプリメント効果をいったん信じてしまうと、効果がある事を積極的に見出すようになる。つまり効果があると絶えず「確証」し、信念を不当に深めてしまう。
          こうなると、たとえサプリメントを飲んで体調に変化がなくても「より悪くなるのを防いだ」と解釈し、また、サプリメントを飲まなかった場合の検証(反証)を避けるようになる。
  ・認知不協和の解消:事実(高価なサプリメント)と認識(効果を感じない)にずれ(不協和)が生じた場合、より変更しやすい認識を(効果を感じた、に)無意識に変えてしまう。
            さらに問題なのは、自分の(変更した)認識をより確固なものにする為に、他人にすすめて他人からも同様の意見を引き出そうとする。
            また、認知不協和を強める原因になる「反証」の調査などには消極的になり、誤った信念は無意識のうちにどんどん深まっていく。
  ・偽薬効果(プラセボ効果):「薬」や「治療に効果があるとされる状況」にあると、(本当は効果がないはずのものであっても)それが実際に何らかの効果を及ぼす現象。
                効果があるはずと思い込めれば、自然治癒力などが高まり、効果があるかのような結果が出てしまう。
                この効果は、「サプリメントは効かない」という科学的で善良な指摘を消極的にしてしまう。

●健康食品の広告は正しいか
〔この説の主張〕
 ・テレビや雑誌でさかんに宣伝されている健康食品は、広告をみると「有名大学の研究所と共同で開発したもの」や「自然の食材を活用したもの」、さらには「多くの方が効果を実感」など、しっかりと効果を説明しているものも多い。
 ・国の認可を受けてないからといって、効果がないとは言い切れない。
 ・健康食品業者もわざわざ効果のないものを売りつけるはずがない。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・人間は、この食品は健康にいいか悪いかを、極めて単純に割り切ろうとする。(思考の節約)
  この性向を健康食品業者に利用されてしまう。
 ・健康とは複雑な代物であり、薬品が摂取の仕方によって毒にも薬にもなるのはよく知られた事実。(高血圧の薬を低血圧の人が飲んだら大変)
 ・食品は科学的な究明は十分に進んでおらず、毒か薬かの境目は闇の中である。
  一般市民が健康の維持を健康食品で行うのは至難の業。
 ・健康に問題があったり、生理的な数値に異常があった場合は、医者に通うのが得策であり、ときには健康食品の代金よりも医療費の方が安い場合もある。

〔調査内容〕
 ・日本健康・栄養食品協会によると、健康食品の2011年の年間売り上げは1兆7000億円にのぼる。
 ・昨今の低迷が著しいマスコミの広告収入を支える一大産業になっている。
 ・薬事法第68条(承認前の医薬品等の広告の禁止)により、仮に食品に効果や効能があっても、それを広告に記載すると薬事法違反となる。
  例外として、保健機能食品(栄養機能食品、特定保健用食品(トクホ))がある。
 ・保健機能食品以外の健康食品は広告に効果や効能をうたえないので、そのため「毎日忙しい方にオススメ」などのオススメ表示がなされる。
  これは、「飲めば元気が出る」と誤解させて売り込みをはかっている。
 ・「飲めば元気が出る」というデータは「お金をかけてデータを取っても広告に掲載できない」のでふつうほとんどとらない。
  本当に効果があるなら、ちゃんとデータを取って保健機能食品や医薬品の認可を受けられるのだから、認可を取ってない食品の広告には誇張がある、と考えるのが妥当。
 ・印象操作のトリック
  ・権威による価値づけ:ある種の権威(主に科学アカデミズム)がこの商品の効果を裏付けている、と思わせるテクニック。
   ・専門用語:専門用語を装った造語や誤った使い方。
   ・専門家の写真:白衣を着せるなどの科学的権威の演出。
   ・専門家の肩書:本当に該当の分野の研究者か。
   ・大学との共同研究:大学に研究資金を拠出すれば共同研究はできる。研究成果が出たか。
   ・特許取得:製品の効果とは直接関係ない製造特許や周辺特許ではないか。
   ・学会発表:ほとんどの学会では発表だけなら自由にできる。研究論文が「査読のある論文誌」に掲載発表されたか。
   ・○○賞受賞:その賞の性格、審査内容(「効果」を評価したのか)。
   ・○○医薬研究所の開発:名称は重複がなければ原則自由につけられる。団体の研究活動の実績はあるか。
   ・グラフや表:効果とは直接関係のないデータが、あたかも科学的に検討されているかのように表現されていないか。
  ・親密化と同調誘導:社会的生物である人間は、周辺の人々の行動を真似て社会に調和して生きている。また、他者の行動に同調し、他人と共感できる親密な関係にある時、心地よさを感じるようになっている。
            その基本的な傾向性を逆手に取る。
            例:生産者や開発者の写真、有名人の推薦、愛用者の感想の記載、「売上ナンバー1」の記載
              どの手法も「嘘であっても暴く事が困難」、「嘘でなくてもデータの取り方や表現による誇張が容易」
  ・印象操作:消費者の抱く印象を操作し、現実と異なる架空の良さを演出する。
        例:わずか3錠で1000ミリグラムもとれる = 3錠飲んでも1グラムしかならない
          成分をギュッと従来の2倍に凝縮 ⇒ 従来の製品を2錠飲んだ方が安い
          15種類の成分をすべて配合 ⇒ 食べ合わせの副作用の方が心配
          81%の方が実感されてます ⇒ 返送アンケートの2割近くが実感できていないというクレーム
          年齢を重ねるに従ってコラーゲンが体内から失われるので、コラーゲンが必要 ⇒ その通りだが、コラーゲンは体内で生成されるタンパク質で、飲んでも意味がない。(髪の毛を食べても増毛できないのと同じ)生成能力を復活させる必要がある。

●ホメオパシーで病気は治るか
〔この説の主張〕
 ・ホメオパシーとは「同種療法」とも呼ばれる自然療法。
 ・創始者は18世紀末のドイツ医師サミュエル・ハーネマンで、彼はマラリアの薬であるキナの皮を服用したところ、マラリアそっくりの症状が出たことから「症状を起こすものは症状を取り去る(類似のものは類似のものによって治療されなければならない)」とする「類似(同種)の法則」を発見。
  その法則を応用したのが、ホメオパシー。
 ・ホメオパシーでは、西洋医学のように薬で無理やり症状を抑え込むようなことはせず、レメディー(砂糖玉に植物や鉱物など自然界の物質のエキスを染み込ませたもの。高度に希釈しているため副作用もない)を使って自然治癒力で癒す。
 ・ヨーロッパなどでは広く知られており、イギリスでは王室にホメオパシー医がおり、王立のホメオパシー病院もある。保険が適用されるという国もある。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・ハーネマンは自著「オルガノン」の最初に「医師の最高で唯一の使命は病人を健康にすることであり、これが本来「治療」と呼ばれるものである」と記載し、また病人に多大な苦痛を強いる「英雄的療法」から人々を救うために考案されたものであり、ハーネマン自身は高潔な人物であったことは間違いないと思われる。
 ・ただ、残念ながらホメオパシーに気休め以上の効能はないことは明らかである。
 ・医師のパターナリズムを嫌い、英雄的治療を痛罵し、患者の健康を希求したハーネマンの願いを誰よりも踏みにじっているのが、彼の後継者を名乗る者たちであることは何とも皮肉な現実。

〔調査内容〕
 ・ホメオパシーのヨーロッパでの扱いは、主張通り。
  英国王室では、チャールズ皇太子が代替医療に熱心で、自身も関連ビジネスを行っている事で有名。
  イギリス、フランス、ドイツでは一部の症例に限って、ホメオパシーにも保険が適用されている。
  スイスでは、2009年に国民投票でホメオパシーを含む代替医療を医療として認めることが承認された。
  カナダ、アメリカでは健康食品扱いではあるもののレメディーがドラッグストアの医薬品の棚に並べられて販売されている。
 ・ホメオパシーは18世紀のドイツで生まれたが、当時の医療の現場では今から見るとかなり強引な治療法(その荒々しさから英雄的治療と呼ばれている)がまかり通っていた。
  例えば、しゃ血という病気の原因が体内に溜まった有害物質にあるとしてそれを血液とともに体外に排出させようとする治療法。(現在では真性多血症等の一部の特殊な症例で行われているが、当時期待されていたような医学的な効果はない)
  他には、胃の不調に吐剤を処方したり、炎症に吸血ヒルを貼り付けたり、腹痛に下剤を投与したり、下疳(性交渉で感染する伝染病の一種で、陰部や指、口等に病原菌性の腫瘍ができる)の傷口を焼きゴテで焼く、等といった治療法。
  また当時は薬にも危険な物質が用いられており、アヘンや水銀、鉛、亜鉛、硝酸銀、硫酸、樟脳といったものが処方されていた。
  こうした、患者に苦痛を与えるだけで病気を癒すものではない当時の医療に対して疑問を持ったのがホメオパシーの創始者ハーネマンだった。
  ハーネマンはは当時の医療を、「アロパシー医学(異種療法)」と呼んで軽蔑し、一度は医学の道を断念したほどだった。
  その後、復帰したハーネマンは患者に苦痛を与えない新たな医療の形を模索するようになる。そして体験したのが、キナの皮の服用である。
  ホメオパシーには「同種の法則」の他に、「物質を高度に希釈すると効果が高まる」とした「超微量の原則」がもう一つの柱である。
  ハーネマンはさらに震とうすることで活性化したエネルギーを利用できると考えた。
  現在、ホメオパシーで処方されている「治療薬」のレメディーは、この法則をもとに製造されたもので作り方はハーネマンが記したホメオパシーの指南書「オルガノン」に紹介されている。
 ・なぜレメディーで病気が治るのかは下記の理由による。
  ハーネマンは(性病を除く)病気の原因はマヤズム(ギリシャ語のmiasma(汚れ・穢れ)を語源とする言葉で大気中にある何らかの毒素に接触する事で伝染病が起きるとする考え方)であると考えた。
  ハーネマンは、マヤズムを急性マヤズム、慢性マヤズム(生涯消え去らない)の2つに分けた。慢性マヤズムの原因はスフィリス(梅毒)、サイコーシス(淋病)、ソーラ(疥癬)の3つで、これが全ての病気の原因であり、それ以外の病名は無意味であると主張。
  (その後、カシノシン(癌)、チュバキライナム(結核)が追加され、5大マヤズムとしている。最近では予防接種マヤズム、医原病マヤズム、サプリメントマヤズム、HIVマヤズム、人工的なマヤズム等新しいものが出現、増える傾向にある)
  ハーネマンは、人間の体をコントロールする何かがあると考え、それをバイタルフォース(人間の物質的な身体を制御する精神のようなダイナミック・エネルギー)と名付けた。
  このバイタルフォースが乱れた状態が「病気」である。
  バイタルフォースが乱れると、その状態を身体は症状という形で知らせてくるので、ホメオパシーの治療者はその状態を読み取り、症状に合ったひとつのレメディーを投与する。
  ハーネマンは、ひとつの身体に類似する2つの病気は存在できないとする。レメディーを通じて体内に入った成分は、ダイナミック化(震とうによって効力を高めた)を経ているため強力に作用し、もとあった病気を消滅させる。
  レメディーの作用が持続する期間は短く、レメディーの作用が消失するにつれ、バイタルフォースの乱れは収まり、そして病気も治癒する。
 ・実はホメオパシーには、その成り立ちそのものに意義が唱えられており、ハーネマンはキナの皮を服用してマラリアの症状が出たことから着想を得たというが、そもそもそれが勘違いだった可能性が高い。
  ハーネマンはキナの皮の服用に関して「1日2回、4ドラム(約15グラム)の良質のキナを服用」したと書き残しているが、キナの皮から抽出されるキニーネは、強い副作用があるため日本では劇薬に指定されている。致死量は8グラムであるため、15グラムのキニーネを飲んだとしたら無事では済まなかった。
  だが、ハーネマンが服用した当時は、キナの皮からキニーネを分離する技術は存在しなかったので、皮の量15グラムから考えると、ハーネマンが服用できたキニーネは400~500ミリグラムで、現在ではこの程度のキニーネでは副作用は生じない事が判明している。つまり、マラリアの症状は出たはずないのだ。
 ・レメディーの有効性にも疑問があり、ホメオパシーでは「高度に希釈し、震とうを加えることでダイナミック化された」とするが、このような調整方法では医薬物質の効果は期待できない。
  サイエンスライターのマーティン・ガードナーはこの事を「一滴の薬を太平洋におとし、よくかき混ぜてから、海水をさじ一杯すくいとるようなものである」と指摘している。
  レメディーの調整法では、単に薄めるだけでなく途中で何度も吸い取り紙に溶液を吸い取らせている。そのことを踏まえると、完成したレメディーには元の医薬物質は何も残っていないと考えざるを得ない。
  レメディーの中には、実体のないもの(インポンデラビリア:計り知れないもの)を原料としているものもある。そこに含まれるのは、ベルリンの壁や虹、電磁波、日本独自のものとして祝詞や般若心経、伊勢神宮などもある。
 ・ホメオパシーの根幹をなすバイタルフォースという概念も、もちろんそれを証明する証拠はなく、ハーネマン独自の考えでしかない。
  「オルガノン」では「それ(自然治癒の法則)がどのように起こるのかということを科学的に説明することはそれほど重要ではないし、それをすることはあまり価値のある事ではないと思う」とある。
 ・現代のホメオパシーではレメディーを服用後に一時的に症状が劇的に悪化する事を「好転反応」と呼んで、症状の悪化は、体内の毒素を排出するためのデトックス作用であるため、むしろ良い兆候としてとらえる傾向がある。
  しかし、ハーネマンの記した「オルガノン」、「慢性病論」には「好転反応」という単語はなく、似た表現に「ホメオパシー的悪化」というものがあるが、それはあくまで「軽い悪化」と定義されている。
  ハーネマンは著書の中で、レメディー服用で症状の悪化が生じることを認めている。しかし、あくまでそれは「本来の病気を少し悪化させたように見える一時作用の症状」であり、服用してから最初の1時間もしくは数時間で生じ、軽くて短時間ですむと繰返し強調している。
  その他、「治療を続けている期間中、本来の病気が明らかに悪化する現象は現れるはずもない」とも書いている。
  レメディーを服用した後に更に具合が悪くなる、あるいは本来の病気と関係のない症状が起きた場合は、ハーネマンの想定していた「ホメオパシー的悪化」ですらなく単なる病状の悪化の可能性が高い。
 ・近年になり、欧米のホメオパシーを取り巻く環境には変化が生じている。
  チャールズ皇太子の代替医療への肩入れは批判的に扱われており、彼が国民に不人気の一因とも言われ、しばしば悪いジョークとして扱われている。
  英国政府レベルではホメオパシー排除の是非を巡って議論が続けられているが、地方自治体レベルでは徐々にホメオパシーへの補助が打ち切られており、静かに関連病院が消滅している。
  王立ロンドンホメオパシー病院は、2010年9月に王立ロンドン統合病院と名称を変更し、(完全にはホメオパシーから足を洗っていないようだが)予防接種、マラリア予防、がん・HIV/AIDS治療にホメオパシーを使わない旨を明言。
 ・現在でもホメオパシーの無謀な運用によって、世界で多くの健康被害が報告されている。
  日本でも山口県で2009年8月ホメオパスの助産婦が新生児に必要なビタミンK2シロップを投与せず、代わりにビタミンKレメディーを与えたために死亡したという事故があった。
  東京でもレメディー服用後の症状悪化を好転反応と信じたため、医療機関での治療を全く受けず悪性リンパ腫で死亡した事例もある。

●マクロビオティックで健康になれるか
〔この説の主張〕
 ・肥満や糖尿病、がんや脳梗塞などの慢性的で難治性の現代病も、この食事法を実践すれば根本から治るという。
 ・この食事法はアメリカやヨーロッパなどでその効果が認められ、マドンナをはじめとする多くの有名人も実践している。
 ・桜沢如一(ゆきかず)という日本人が提唱した日本生まれの食事療法である。
  日本の伝統的な食生活である「玄米菜食」を基本に、「その土地でとれる旬の農作物」を中心とした食事を推奨、「独自の陰陽理論」で食物を分類し、崩れた身体の陰陽バランス調和させることで病気を根本から改善させるというものだ。
 ・現代の慢性病の多くは、肉や牛乳、人工的につくられたものを食べ過ぎることで人間本来の自然な生活から外れ、陰陽のバランスが崩れた事により発症したものである。
 ・こうした病気には、現代医学の対処療法では根本的な治療は困難である。傾いた陰陽バランスを理想的なバランスに近づける玄米菜食だからこそ、根本的に改善することが可能だ。
 ・マクロビオティックは、明治時代の軍医である石塚左玄が提唱した「玄米菜食」を中心とした「食養」と呼ばれる食事療法を元に、桜沢如一が独自の陰陽理論(無双理論とよび、全ての根本原理であるから全哲学、全科学をもこれを解する事により理解できるとしている)を組み合わせた健康長寿法である。
 ・このマクロビオティックの教えは生活全般に及ぶが、食生活については基本的に石塚左玄の教えを踏襲したものである。
 ・石塚左玄の「食養」には次の5つの原理がある。
  ・食本主義:食は生命の基礎であるとし、心身の病気の原因は食にあり、普段の食事があらゆる面に影響を与えるという考え方。
  ・人間穀食動物論:人間の歯の構成をみれば何が適した食事であるかがわかるという主張で、人間の歯は臼歯が20本、門歯が8本、犬歯が4本であり、穀物をすり潰すための臼歯が多い人間は穀食動物であり、穀物、野菜、動物性食品をおよそ5:2:1でとる食事が理想的。
  ・身土不二の原理:その土地で収穫された物を調理し食べるという、代々伝えられてきた食生活こそが正しい食事であり、みだりに他国の食習慣を取り入れるものではない、とする考え方。昔から日本の風土に馴染み、淘汰を受けてきた食品が正しい食べ物である。
  ・一物全体論:その土地でとれた食べ物はそこで生まれた人間にとって必要なものを全て備えているため、食材は丸ごと食べることを重要とする考え方。そのため、米は精白しない玄米を、野菜は皮を剥かずに、煮る場合もアクはすくわずに煮汁ごとすべて頂く事を推奨する。
  ・陰陽調和論:カリウム塩を陰、ナトリウム塩を陽と考え、丁度良いバランスのとれた食事をする事で身体の陰陽バランスを保つことができるという考え方。古来から陰性とされる食品にはカリウムが多く、陽性とされる食品にはナトリウムが多いことから、玄米がもっとも調和のとれた陰陽バランスであるとしている。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・マクロビオティックに限らず、健康になれると謳う食事療法は、開始すると一定の効果が出ることが多い。
  3食ジャンクフードを食べるような高脂肪食、過度の肉食、甘いもの中心の食事を続けていた人が、肉類や砂糖を制限する食事療法を取り入れれば、短期的に体調がよくなるのは当たり前である。
 ・しかし、マクロビオティックのような偏った食事療法を忠実に守れば、かえって健康を害してしまうおそれがある。
 ・極端(高脂肪食など)から極端(マクロビオティック)に走らず、良い所だけ採り入れるのが、賢いやり方ではないだろうか。

〔調査内容〕
 ・マクロビオティックの教えを守る事で様々な難治性の病気を改善すると謳っているが、どれも個人の体験談レベルの話ばかりで、それを実証するような信頼性の高い論文は存在していないのが実情。
 ・桜沢如一は、石塚左玄の提唱した「食養」の普及・啓発を目的とする団体「食養会」の3代目の会長であるが、検事局から医療行為に関連する行為について再三注意を受けていたことや食養会幹部との対立などをきっかけに昭和16年9月7日付で食養会を除名されている。
 ・日本人は特に腸が長いので玄米や野菜を中心とした食事が適していると説明される事があるが、日本人の腸が長いという事実は確認されていない。基本的に消化管の長さは身長が高いほど長い傾向にあるようだ。
 ・人間穀食動物論について、穀物が安定的に確保できるようになったのは、農耕が始まってからのことであり、数万年前には狩猟や採集が中心であったと考えられる。ところがホモサピエンスという生き物を考えてみると、ここ数万年ほど骨格や歯の特徴などに大きな形態変化は確認されていない。どうやら臼歯の発達は必ずしも穀物食に特化した形態ではなさそうである。
 ・身土不二の原理について、「その土地でとれる食材で伝統食を」と言えば聞こえは良いものの、「風土病」と呼ばれる病気には農作物の育つ土壌に含まれる必須のミネラルが不足している事等が原因で発症するものがある。
  また、伝統食には保存目的のために食塩を多量に使用したものが多く、多量の食塩は高血圧の原因にもなりかねない。
 ・陰陽調和論は、含まれるエネルギーだけで食べ物の価値は判断されるものではないという石塚左玄の着眼点は良かったものの、ナトリウムとカリウムの比で陰陽に分類し食品の価値を判断するというのはエネルギーだけで判断するのと似たような誤りといわれても仕方ないもの。
  また、理想的な陰陽バランスであるナトリウムカリウム比が1:5の食品であるとされる玄米であるが、最新の食品標準成分表を見ると実際には1:230であり、理想とされる数値とはかけ離れている。
  石塚左玄やマクロビオティックが忌避する肉や魚の切り身などの方が1:5のバランスに近い。
  そもそもナトリウムとカリウムは比較的性質の似ている元素でありナトリウムが陽性でカリウムが陰性であるという分類も根拠が乏しい。
 ・マクロビオティックで奨励するような食生活を厳格に守った場合、動物性食品からとる必要のあるビタミンB12不足が深刻な問題として懸念されている。
  通常ビタミンB12は肝臓等に数年分備蓄されているが、それが尽きると「悪性貧血」という深刻な病気になる。
  また、妊娠授乳期の食事では、昆布やひじきを多く使うマクロビオティックの食事は、ヨウ素やヒ素の過剰摂取になりやすく、それらのミネラルに対して敏感な胎児や乳児に悪影響を与えることが予測される。
 ・桜沢如一の著書には「獣肉や、砂糖や果実をとる必要は全くありません。嗜好品として、あるいは薬用として時に少量とることだけは許されますが、日本内地である限り必要品ではありません。この中でも最も自然に遠い砂糖が最も恐るべき効果を与えます。これらはいずれも活動期の大敵です。」
  「食養をやっても助からない人が時々ある。百人に一人位はある。それは、その心境が開けないからである」と、正しい食事を守らない場合には病気が治らない、治らないのは本人の心掛けに問題があると一喝しており、実践者がこれを読んで、「肉や砂糖は日常食べても良い食材」だとはおそらく思わないだろう。

●酵素栄養学は正しいか
〔この説の主張〕
 ・酵素という人間のありとあらゆる生命活動に重要な物質を「生の食材」から効率よく摂取する事で免疫力を高め、癌などの生活習慣病を予防し、健康で長生きをしようという学問。
 ・朝の生ジュースや手作り酵素ドリンクも、酵素栄養学の理論を元にしたものであり、日本でもその考え方が徐々に広まりつつある。
  新谷弘実のベストセラー「病気にならない生き方」の中で酵素の栄養素としての重要性について言及した事も大きく影響していると考えられる。
 ・酵素栄養学を提唱したのはアメリカの医師、エドワード・ハウエルは「酵素は潜在酵素から消化酵素と代謝酵素が作られる」こと、そして「潜在酵素の量は生まれながらに決まっており、酵素を無駄遣いしない生活が長生きの秘訣である」ことを明らかにした。
  生命の源である潜在酵素を使いきってしまわないためには、食事で分泌される消化酵素の節約が重要である。
  生の野菜や果物には食物酵素がふんだんに含まれており、そのまま食べることで、不足しがちな消化酵素を補う事が可能である。
  酵素は熱に弱い性質があるため、加熱せずにジュースやサラダなどにして食べる必要がある。
  食生活の欧米化により、肉や加工食品ばかり食べている現代人は酵素不足に陥っている。
  加熱調理した肉や魚は消化吸収するために大量の消化酵素を必要とするため、代謝酵素の合成が十分にできなくなるからだ。
  肥満や便秘、肌荒れなど様々な慢性病も代謝酵素の不足がその原因である。
 ・ハウエルは、野生動物と人間を比べて、「人間は様々な病気で苦しんでいるのに、病気で苦しむ野生動物は見たことがない」という事に着想を得て、「なぜ野生動物は病気にならないのか」と考えた時、「野生動物は生のものをそのまま食べているが、人間だけが加熱加工調理したものを食べて生きている」事が動物の健康の秘訣であり、生の食べものにあって加熱した食品にはない酵素こそ、健康の源であると導き出した。
 ・ハウエルは自著で酵素について「酵素は生理学的な力と化学的な力という2つの働きを持っており、触媒という化学的な力とは別に、生命元素という活動エネルギーを充電したタンパク質と考えられる。この生命元素は、酵素が放出する放射線のようなものであり、生理学的な方法により測定することができる」と書いている。
  生理学的な方法とは「The Mitogenetic Rays of Gurwitsch,Kirlian Electro-Magnetic Photography,Rothen's Enzyme Action at a Distance,and Visual Micro Observation of Working Enzymes」という機器を使い、酵素の出す放射線のようなものとして測定する。
 ・ハウエルは胃の噴門と上部の胃底部は消化酵素を分泌せずに食べた物を貯め込み、食物酵素を十分に働かせる食物酵素胃であると主張している。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・画期的な発見をしたと思った時ほど、注意が必要。
 ・加熱食品は消化吸収しやすいため、食べ過ぎてしまいがちになり、糖尿病や脂質異常症などの慢性疾患を招く恐れがある。
  それに対して、消化に負担がかかる生の野菜などは、ゆっくりと消化されることで、急激な血糖値の上昇を防ぎ、食べ過ぎを抑制する効果も期待できる。
  また、加熱すると壊れやすい栄養素を補給するためにも、生の野菜や果物を適度にとることは効果がある。
 ・だが、それだけで健康になれる食事法や健康法などは存在せず、なにごともバランスが重要。

〔調査内容〕
 ・そもそも、野生の動物がすべて健康であるはずがなく、着想の段階で大きな勘違いをしている。
  実際、命を落とした野生動物を解剖してみると、寄生虫が大量に見つかる事が多く、悪性腫瘍が確認されるケースも存在する。
  野生の世界では、病気になった個体はエサを食べられなくなったり肉食動物に捕獲されるなどしてすぐに命を落としてしまい、病気でフラフラになった個体を見かけることが少ないというだけのこと。
 ・生化学の世界では、酵素はタンパク質(タンパク質触媒)であり、(生まれながらにしてはじめから量が決まっているものではなく)アミノ酸を原料に必要な時に必要なだけDNAに存在する遺伝子情報に基づいて合成されるものである。
  つまり、ハウエルの考える酵素と、科学者が一般的に考えている酵素とは全く別物である。生理学的な方法として挙げられている機器も原理が示されていない。
  また、ハウエルの酵素栄養学の本では、生命エネルギーの正体を説明しないし、酵素ポテンシャルの測定方法や測定結果も示されていない。
  酵素ポテンシャルが生まれながらに決まっており使い過ぎると枯渇してしまうことの実証が、(表のタイトルには「酵素使用速度による寿命の制御」とあるが)ミジンコの寿命と生育温度の実験結果で(元の論文には酵素と寿命の関係に言及していない)あったり、野生動物と加工食品を食べた飼育動物の臓器重量を比較したデータであったりと、どれも直接その存在を示した資料は提示されていない。
 ・生の野菜には確かに栄養素を分解する酵素が含まれているが、それだけで十分な消化を行う事はかなり難しいと考えられている。(草食動物でも胃や腸に住まわせている微生物の力を借りて消化吸収を行っている)
  食物に含まれている酵素の役割はあまり大きくない。
 ・微生物であっても人間であっても「加熱した食品」の方が分解、消化を行いやすい。
  生の食べものよりも、火を通したものの方が腐りやすいのは常識。
 ・食物に含まれている酵素は、消化の段階で胃酸とタンパク質分解酵素(ペプシン)で分解されてしまい、さらに小腸でアミノ酸(一部オリゴペプチドの形まで)にまで分解されて吸収される。
  食物酵素が身体の中で大活躍する余地はほとんどないと考えてよい。
 ・胃底部から塩酸と消化酵素が分泌されており、人間に食物酵素胃がある事は確認されていない。


●オーリングテストは正しいか
〔この説の主張〕
 ・私達の身体は絶妙なバランスの上に成り立っているが、そのバランスが病気などで崩れると、筋肉に力が入らなくなるという現象が起きる。
  この原理を使って病気を診断するのが「アプライドキネシオロジー」の筋肉テスト診断で、アメリカのカイロプラクター、ジョージ・グッドハートが提唱して以来、広く世界で用いられるようになった。
 ・これをさらに深めたのが、「オーリングテスト」であり、これは米国在住の日本人医師、大村恵昭氏が長年の研究のすえに編み出したもので、「脳が電磁波を察知して身体に良いものと悪いものを判別」するのを、「指の筋肉」を用いて診断するのである。
  オーリングテストでは、身体に良いもの、悪いものといったことだけでなく、身体の問題のある個所やその治療に必要な薬なども判別できる。
  身体の事は身体が一番よくわかっている。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・オーリングの理論には、水の本質は酸素と水素だから水は燃えやすい、生物の身体はほとんど水だから実は生命は液体なのだ、というような話と同じように、大きな飛躍がある。
 ・自分が思った通りの診断と治療法を示してくれる治療者に巡り会った満足感までは否定できないが、客観的に筋肉テストは何も診断していないことは十分理解して、少なくとも抵抗できない子供やペットなどには使わない事が肝心だ。

〔調査内容〕
 ・キネシオロジーは、日本語で「身体運動学」という、本来は正統派の学問。
  身体を動かす仕組みを研究しており、骨格や筋肉だけでなく神経や知覚、認識といった分野も扱っている。
  リハビリで行われる理学療法や作業療法のベースになっている。
 ・アプライドキネシオロジーは、日本語で「応用身体運動学」だが、この分派の中には応用の範囲を越え、理論にかなりの飛躍が見られるものがあるため、正当な学問とは言い切れない。
 ・考案者のグッドハートはカイロプラクティックの世界にリンパや経絡といった東洋医学的なものを持ち込んだ人物だった。
  例えば、経絡のバランスの悪さが筋肉を弱らせ、腰痛などの原因になると説いたが、この説はグッドハートが元祖という訳ではなく、実際は当時の標準医学分野からの借り物であった。
 ・グッドハートは1970年代になって、「カイロプラクティックの治療効果を筋肉の改善具合で判断できる」として、キネシオロジーを提唱。この提唱が業界内で支持を集めると、その後、自説をさらに発展させ、「筋肉は身体に良い物には強く反応し、悪い物には弱い反応を示す」というアプライドキネシオロジーを提唱するようになった。
  現在、アプライドキネシオロジーには、様々な流派があるが基本的にはこのグッドハートの考えをベースにしている。
 ・グッドハート以降のアプライドキネシオロジーでは、全身の筋肉の状態を診断するのではなく、一部の筋肉(テスト用筋肉:腕や足といった独立性が高く、強弱がはっきりとした筋肉がよいとされる)を使用した診断法が主流になっている。
  子供やペットを診断する場合は、子供やペットに触れている親や飼い主、あるいは施術者自身の筋肉でも診断できるとする。
  仏像に見られるようなムドラー(印相)を使って身体のエネルギーを整え、その成果を筋肉テストで判定する流派や、身体が必要とする薬剤や食物、身体に害をなしている物(歯の詰め物など)に触れながら筋肉の強さを診る方法、言葉で質問して筋肉の反応を診る方法なども広く使われている。
 ・確かに脳と筋肉の関係はわからない点が多く、現代でもまだ謎が多く残されている分野といえ、本当に筋肉の反応で身体に良い、悪いを判断し、対象者の症状を診断する事が出来るのかについて下記のような検証が行われた。
  ・アプライドキネシオロジーの代表的な筋肉診断テストに「腕を押し下げて、その反応で診断する」というものがある。
   対象者を直立させたり椅子等に腰掛けさせるなどして、片方の腕を正面に向けてまっすぐ伸ばしてもらう。この時、もう片方の手には何か物を握らせる。
   握った物が身体に良いものならば、筋肉が強く反応するので伸ばした腕を上から押しても下がらない。逆に身体に悪いものだったら上から軽く押しただけで腕が下がるという仕組み。
   この診断法について、カナダ出身の懐疑主義者、ジェイムズ・ランディが検証を行っている。
   検証を受けたのは有名なクリスタル・ヒーラーのスージー・ホービッチで、まずクリスタル・パワーのデモンストレーションとして、何も握らない状態とクリスタルを握らせた状態で筋肉診断テストを行った。
   検証の協力者の女優を椅子に座らせ、何も握らずに筋肉診断テストを行うと、腕は簡単に押し下げられた。続いてクリスタルを握らせて再び筋肉診断テストを行うと、腕はピンと伸びたまま下がらなかった。
   次に、クリスタルを小さな袋に入れて口を固くヒモで縛り、大きな袋に入れる。他に見かけがまったく同じだが中身が違う小袋を4つ用意してそれも大きな袋に入れて、この袋から小袋を一個ずつ取り出し、筋肉診断テストでどれがクリスタル入りの小袋かを当てさせる検証を行った。
   この結果、1つの小袋に対して腕に強い反応が出たが、袋を開けてみると中身は殺鼠剤(黄リンやリン化亜鉛、タリウム等が代表的な成分)の塊だった。
   この結果を受け、ランディは「クリスタルにパワーがなかった」か、「筋肉診断テストが誤り」なのか、あるいはその両方だろうと結論付けた。
  ・オーストラリアの懐疑団体「skepticzone」も、「被験者が腕を水平に広げ片足で立っている状態で施術者が片腕を下に押す」という筋肉診断テストを検証したところ、施術者が腕を被験者の外に向かって押すと倒れるが、施術者が被験者の身体に向かって押すと倒れないという「てこの原理」を利用して動かしているだけという結論だった。
 ・日本で人気のあるオーリングも、広義にはアプライドキネシオロジーである。
  オーリングの特徴はテスト用筋肉に指を使う事にある。対象者に親指と人差し指で「O」を作らせ、施術者がそれを開こうとする。身体に良いものならば指は開かず、身体に悪いものならば指は簡単に開くというのが基本的な仕組み。
 ・大村は米国在住の医師という肩書だが、研究論文としてあげられているものは針治療に関するものがほとんどで、著書「「O-リングテスト」超健康レッスン」で述べられている「早稲田大学理工学部、横浜市立大学医学部を卒業後、東京大学医学部付属病院のインターンを経て、59年に渡米。コロンビア大学心臓外科研究員、同ガン研究所附属病院の研修医を経て65年に薬理電気生理学の研究で医学博士号取得」とは少し印象が異なる。
 ・さらに、「脳は電磁波に反応」し、それが「指の筋肉に反映」されると断言しているが、電磁波の身体への影響はかなり研究が進んでおり、身体に大きな影響がでることは疑問視されている。
  大村は、「脳が分子レベルの固有の電磁波を察知している」と主張しているが、物質に固有な振動があるとするのは代表的な「超科学」である「波動」の考え方と一緒である。
  波動ではその仕組みを説明する際、量子物理学を引き合いに出すことが多いが、そもそも物理でいう波動と、超科学の「波動」は意味合いが違う。
  極小の世界で観察されることが、私達が生きるサイズの世界でも起こっているわけではない。
  また、そもそも指に筋肉はなく、指を動かしているのは手のひらの筋肉と、腱でつながった腕の筋肉である。
  人間の手の仕組みは非常に細かく、主流科学でもひとつの大きな研究テーマになっている。そういったことに触れず「指の筋肉は疲れにくい」などとざっくりした解説をしているオーリングに説得力はない。
 ・実は、キネシオロジー側からOリングの誤用・悪用による悪徳商法についての注意を呼び掛ける文書が提示された。(但し、Oリング自体は否定していない)
  実際、霊感商法や悪徳商法の現場ではなにかとオーリングが登場する。
 ・治療者と患者の間に生まれる信頼関係をラポールと呼ぶが、臨床心理などでは不適切なラポールが生まれやすい身体接触はタブーとされている。
  ラポールのコントロールがうまくいかないと、患者の心に「治療者に気に入られる結果を出したい」という動き(実験者効果)が生じ、治療者の望む結果が出やすいという問題がある。
  身体に触れて動きの指示を与えながら会話するアプライドキネシオロジーの手法では、こうした強い信頼感が生まれやすく、暗示誘導も働きやすい。双方が同じような結果を望んでいればその結果が出てしまう。
  そうなれば、テストは治療者と患者の双方が納得できる、満足度が高いものになり、暗示がうまく働けば心因性の症状が消えたりするという「奇跡」も起こるかもしれない。
  (このためかアプライドキネシオロジーでは心の問題を扱うとする流派も多い)
  オーリングを推進する流派であるバイ・ディジタル(日本バイ・ディジタル オーリングテスト協会:オーリングテストの普及拡大を目的としている協会で、会長は大村氏が務める。協会本部は福岡県久留米市)の場合、施術者が医療関係の専門家で通常の検査による検証も推奨しているので、実態は問診と大きく変わらないとも考えられる。
  「長年の経験でわかります。この薬が良いでしょう」と告げるか「オーリングでもこう出ていますよ」と告げるかの差である。
 ・筋肉テストを主な診断方法とした結果、患者が死亡したとして何度も問題になっている。
  例:2003年、ニュージーランドのウェリントン医療懲戒審判でゴリンジ医師の医師免許が取り消された。その理由の一つが筋肉テストを診断法として使った事。
 ・医療分野の超科学は、診断ミスをしてもしなくても患者が死亡することがわかっている末期癌や、治療法がない自閉症、逆に生命の危険が少ないアトピー性皮膚炎などを対象にする事が多い。

●手かざし療法は有効か
〔この説の主張〕
 ・手かざし療法とは、施術者が患者に直接触れることなく、手を近付けるだけで疾病をいやすという一種の民間療法である。
 ・ドイツの医師フランツ・アントン・メスメルは磁石を身体に当てる治療法を研究している時、被施術者が感じる力の流れは施術者が磁石を持っている時と持っていない時とで変わらない事に気付いた。
  メスメルはその力が人体から発せられているものと考え、動物磁気と名付けた。
  さらにメスメルは宗教家が悪魔祓いと称している行為も実は動物磁気を無意識に応用したものであり、実際に施術者から悪魔を追い出しているわけではなくて精神の病を治療しているだけだとみなした。
  メスメル自身は被施術者の身体に直接指で触れて動物磁気を送り込む療法を行っていたとされるが、同時代のイラストには被施術者に直接触れることなく、手のひらから動物磁気を送り込むメスメルの姿が残っている。
 ・日本でも、新宗教で行う行法の中に類似のものを見ることができ、それらの教団の信者達の手記にはその行法で難病が治ったという体験譚がしばしば見つかる。
 ・現在の手かざし療法として代表的なのは、セラピューティック・タッチ(略称TT)と呼ばれるものである。
  アメリカ在住の作家で神智学者だったドラ・ファン・ゲルター・クンツとニューヨーク大学看護学教授のドロレス・クリーガーが創始したものである。(ただしクリーガーはその理論は古代以来伝承されてきた叡智に基づくと主張)
  人体は物質的な肉体に留まるものではなく、その周囲に生命エネルギーの場、すなわちエナジーフィールドを形成している。病気はこのエナジーフィールドが乱れている状態だから施術者のライフフィールドを被施術者のエナジーフィールドと重ね合わせ、エネルギーを送り込むことでその乱れを修正すれば治るというわけである。
  クリーガーが作ったプログラムに従って研修したセラピストは目に見えないエナジーフィールドの形や状態を手の感触によって確かめることができる。
 ・アメリカの病院では約70%が、セラピューティック・タッチによる治療を受けたいという患者の希望に応えるための制度をとりいれている。
  セラピューティック・タッチは既に80ヶ国以上もの看護師やホスピスに広まっているという。
  もちろん日本でもクリーガーによるセラピューティック・タッチの実習テキストはぞくぞくと訳されており、次第にその認知が進みつつある。
 ・アメリカでも日本でも手かざし療法に効果があることを示す学術論文も存在しており、その効能は科学的にも証明されたといってよいだろう。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・手かざし療法は「暗示」によるものと考えられる。
 ・アメリカでは通常の医療と並行して患者の自己責任で行っているので特に実害はなさそうだが、日本では宗教の教義などと結び付き通常の医療を遠ざける傾向があるため危険を伴う。

〔調査内容〕
 ・主にフランス科学アカデミー会員からなる特別委員会が1784年にメスメルとその門下の治療行為について調査している。
  その結果は施術者と被施術者の間に物理的な力のやりとりは認められず、代わりに被施術者の想像力によって生じたと思われる生理的反応が見られたというもので、フランス王立医学協会もその結論を追認する報告を出した。
  現在、メスメルは動物磁気の発見者としてではなく、(自覚的だったかどうかは別にして)「暗示」が精神と肉体に及ぼす作用の発見者として位置づけられている。(メスメルの生前にその治療行為を意味した「メスメリズム」という語は、現代では「催眠術」という意味)
 ・手かざし療法で生じるとされる作用もまたメスメルの治療行為と同様、「暗示」によるものと考えられる。
 ・コロラド州ボールダーに住む当時9歳の少女エミリー・ローザは自分の学校での科学コンテストに発表するため、同じ町で開業する21人のセラピストにセラピューティック・タッチの研究に協力するように頼んだ。
  エミリーは下記のような(実験装置製作費10ドルの)実験を行った。
  自分とセラピストがテーブルの前に向かい合って座る。2人の前には仕切りがあり、セラピストにはエミリーの姿は見えない。
  セラピストは両手だけを仕切りの穴から出す。
  エミリーはそのどちらかの手の上に、直接触れることなく自分の手を差し出す。セラピストはエナジーフィールドの感触だけでエミリーがどちらの手を出したかを当てる。
  エミリーがどちらの手を出すかは一回ごとにコイントスで決めるので事前の予測はできない。実験の過程の一切はビデオカメラに記録された。
  この結果、21人の合計で280回行われた実験の正答率は44%に過ぎなかった。(アトランダムに答えても確率は50%)
  エミリーが行ったのは、実験者と被験者の双方が答えを知らない状況をつくる「ダブルブラインドテスト」である。
  セラピストたちは結局、感触でエナジーフィールドの存在が確かめられるというセラピューティック・タッチの主張がウソであることを自ら証明してしまった。
  エミリーの実験結果は権威ある医学専門誌「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」(JAMA)1998年4月号に論文として発表され、さらにその年のうちに「ランセット」「英国医学雑誌」など英語圏の有名医学雑誌でもとりあげられた。(論文の名義はエミリーが筆頭だったが、これは同誌に登場した研究者としては最年少記録)
 ・主にアメリカで活躍しているデバンカー(エセ科学批判者)であるジェイムズ・ランディは、セラピューティック・タッチの効果を立証するための条件と賞金を提示し、しばしばセラピストとその団体に検証実験を申し入れている。
  1996年には74万2千ドル(当時のレートで約6千万円)をかけて60件ものセラピストおよびその団体に実験を申し入れたが、それに挑戦したのは1人だけで、その人物もランディが示した立証条件を満たすことはなかった。
  2013年4月20日、ランディは賞金額百万ドル(約1億円)を提示し、フィラデルフィアのフランクリン協会で新たな挑戦者であるセラピストを迎えて実験を行ったが、どうやらこの度も挑戦者はランディの示した条件をクリアできなかったようである。
 ・手かざしの効果を示す学術論文と称されるものは専門の医学雑誌ではなく代替医療の普及を目的とする「学術誌」に掲載される傾向があり、その内容も「効果がある事」を前提に、それをどのように解釈するかを主眼とするのが常で、そのような論文はいかに積み重なろうと実際に効果があることの証拠にならない。
 ・ボストン在住の医師・李啓充氏によると医学誌「Cancer」2012年2月号にめずらしくセラピューティック・タッチの効果を通常の医学的手法で検証する実験結果が発表されたという。
  それは「乳癌患者の倦怠感を軽くするためにセラピューティック・タッチがどこまで有効か」をダブルブラインドテストで確かめるというもので、結果はセラピストによる正規の施術と、懐疑的な研究者が形ばかりまねたダミーの施術との間で効果に差が見られず、結局、効いたとしてもプラセボ効果の域を出ないという結論になった。
 ・アメリカの病院でセラピューティック・タッチが容認されているのは、効果がないのは承知の上で大きな実害もない以上、患者の自己責任に任せるという程度の扱いのようである。
 ・日本の新宗教で事実上の手かざし療法が行なわれるようになった最大の理由は医師法への対策。
  昭和10年前後、クーデターを恐れる政府は不安要因としてさまざまな新興宗教を監視や弾圧の対象としたが、それを正当化する名目の一つに「医師法違反」があった。
  当時は病気治しを教義とし、施術者が被施術者の身体に直接触れる「手当て療法」を行っている教団が多かったが、当局は「手当て療法」を医療行為とみなすことで検挙の口実にした。
  そこで教団の方でも「手当て」を「手かざし」にきりかえ、「直接触れていない以上、医療行為にはあたらない」と主張するようになった。
 ・しかし、病気治しを教義とする教団にはしばしば「通常の医療を遠ざける」傾向があったため、(アメリカと違い)日本では手かざし医療を行う事が被施術者をより適切な治療法から遠ざけてしまう危険を伴いがちである。
  例:2010年1月13日福岡県福岡市で宗教法人職員(当時32歳)とその妻(当時30歳)が、教団が勧める手かざし療法を信じ、自分の子供に通常の医療を受けさせなかった事による殺人容疑(後に保護責任者遺棄致死に切り替え)で逮捕された。子供は2009年10月に皮膚炎が高じての感染症で死んでしまい、搬送先の病院は虐待の可能性があるということで警察に通報した。
    最近では、手かざし療法のセミナーを全国で展開している会社、アースハート(本社:福岡県篠栗町)の関係者が脱税容疑で逮捕・起訴され、(全く効果がなかったとして)受講者(2013年6月現在で122人)による損害賠償請求訴訟も生じるという事件が起きている。

【あとがき】
●科学的に考えるとはどういうことか
 ・科学とは、何か知りたい事があったときにそれを知る(事実を確認する)ために使う「方法」
  ・自然を観察して法則性を見つける。
  ・見つけた法則性が現実に合っているか、さらなる実験と観察で確認する。
  ・この時に、思い込みなどの間違いを防止するような方法を使う。
  以上のような方法を使って調べることを「科学的」という。
 ・科学理論:科学を使って確かめられた方法
 ・科学技術:科学理論を使って工業製品などをつくる
 ・科学自体は決して複雑ではないのに、科学理論や科学技術の高度化・複雑化により、普通の人と科学の間に壁が出来た。ここに「ニセ科学」が広まる下地ができた。
 ・正しい知識を得るコツ
  ・信じる前に調べる。
  ・自分の信念ではなく根拠に基づいて信じる。
  ・根拠の強さに応じて信じる強さを決める。
  ・信じるときは間違っている事を覚悟する。
  ・根拠が不十分ならば結論を保留する。
 

読書感想③

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 2月18日(土)00時41分3秒
  【人体にまつわる超科学の真相】
●血液型性格診断は正しいか
〔この説の主張〕
 ・血液型の違いによって、人の性格や行動、相性などが的確に予想できる事は、誰もが体験的な事実として知っている。
 ・科学的なデータによっても十分に支持されており、企業の人事や教育の現場で活用される例が増えている。
 ・現代の血液型性格判断を築い能見正比古・俊賢らは、数十万、数百万件ともいわれるアンケートデータや、政治家やスポーツ選手など100ジャンル以上の職業の血液型分布データを分析して、性格や職業が血液型に規定される事を実証的に明らかにしてきた。
 ・現在では海外の研究者からも肯定的なデータが次々と報告されるようになった。
 ・近年では医学や遺伝学の研究が進み、血液型によって特定の疾病へのかかりやすさが異なることも明らかになった。それが性格に影響していると考えられている。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・現在のところ、心理学の研究成果からは血液型性格判断の有効性は明確に否定されている。
 ・提唱者たちの主張には、科学的に不適切な方法論や統計のトリックが数多く使われている。
 ・将来的に、性格と血液型の関係性が見つかる可能性はあるが、それは現在の血液型性格判断(血液型で性格や適性が明確に診断できるという主張)とは関係がない。
  (宇宙探査技術の進歩によって他の惑星に生命が見つかる可能性があるからといって、現在UFOに乗った金星人が地球に来ているという話が支持されるわけではないのと同じ)

〔調査内容〕
 ・2012年に、筆者らの研究グループが学校教員と高校生を対象に実施した調査では「血液型性格判断はよく当たると思う」という質問に対する肯定率は、高校生で49%、教員でも36%。
  「血液型と性格の間には科学的に信頼できる関係があると思う」という項目には、高校生で24%、教員ですら18%が肯定的に回答。
 ・ABO式血液型は1900年(昭和2年)にオーストリアのラントシュタイナーによって発見され日本にも紹介された。
  これに着目した古川竹二・東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大学)教授は、血液型と気質の間に関連があるという説を唱え、1927年に研究論文「血液型による気質の研究」を学術雑誌「心理学研究」に発表。
  これをきっかけに、当時の最新の知識であった血液型を応用する試みが多方面で関心を集めた。
  特に日本軍は大量に徴兵した若者の適性を効率よく判断し、また健康状態を管理する必要に迫られていたため積極的に取り組み、昭和の初めに最初の血液型ブームが巻き起こった。
  この時期の研究は、現在の水準でみれば未熟なものだったが、科学的な態度で取り組まれ古川の研究は欧米の専門誌にも掲載されるなど、それなりに高く評価されていた。
  こうして、300以上もの研究が学術論文や学会で発表された結果、最終的には古川説は誤りであったという結論が合意を見た。
  これは、「ひとつの仮説が提唱され、科学共同体がその説を追試し、再現性や信頼性などを詳細に検討した結果、当初の誤りが確認された」というよくある話であり、その意味では科学という制度が正しく機能した一例である。
 ・ところが、1971年ジャーナリストの能見正比古の「血液型でわかる相性」という本によって古川学説は突如復活した。
  能見の主張は基本的に古川学説を踏襲したものだが、科学的検証をせず、多くの場合、研究経緯不明の自説を一般向けの書籍で普及させることに専念した。これがベストセラーになり現在に至る。
 ・かくして、80年から90年代にかけて、血液型性格判断を検証する研究が数多く行われ、それぞれが論文として公表されているが、ほとんど全てが否定的な結論を出している。
 ・血液型によって罹患しやすい、しにくい病気があるという主張は、そもそもこの罹患の差はまだ十分に立証されたものではなく、確定された事実ではない。仮に関連があったとしても、ごく僅かに検出できるかできないかレベルの話である。
  病気のかかりやすさの違いが性格の違いにつながるという因果を論じたとしても、現実の性格や行動の違いが、再現性を持って確認されていない。
  (「免疫に関するモデルで血液型による差は説明できる」という「表現」は正しいかもしれないが、前提となる「観察事実」がそうなっていない。)
 ・主張者たちが根拠にしている実証的データもあるが、それを調べてみると、基本的な調査技法やデータ分析方法の誤用を数多く認める事ができる。
  例:能見は2万人以上からアンケートを集めて、その結果から自説は裏付けられたと言っているが、
    ・その詳細が研究論文として公開されたことはない。
    ・アンケートは、自著の愛読者や講演会に来た人達から集めたと説明。
    ・心理学者が厳密なサンプリング方法で行った調査研究では、血液型性格判断を支持するデータは得られていない。
  例:職業によって血液型に差がある
    ・嘘ではないにせよ、手当たり次第にさまざまなグループをさまざまな時期に調査して、統計的に偏りがありそうな所だけを後付けで解釈する手法を用いている。(調査統計では「第一種の過誤」を招くものとして戒められている)
     都合のよい部分だけ抜き出し、都合の悪い部分は隠してしまえば自分に都合のいいデータをいくらでも作り出せる。
 ・心理学者の研究によると、血液型性格判断は「的中感」(思い当たるフシがある)を持ちやすく、これが血液型への信奉を支えている。
  ・バーナム効果(フォアラー効果):自分に対するあいまいな性格描写が的中しているように感じられる現象。
  ・心理学者の大村政男は、FBI効果と称して下記の3つの効果を挙げ、血液型性格判断を信じるメカニズムを整理した。
   ・フリーサイズ効果:血液型性格判断の性格描写が誰にでも当てはまる効果。
   ・ラベリング効果:そう言われるとそう思えるという効果。
   ・インプリンティング:言われたとおりに思い込んでしまう効果。
 ・遺伝によって決まる血液型をもとに根拠のない枠組みで人間関係や能力が評価され、人事採用や配置、処遇等が決められてしまうのは大いに問題である。(ブラッドタイプ・ハラスメント)

●「ゲーム脳の恐怖」は正しいか
〔この説の主張〕
 ・2002年、日本大学文理学部体育学科の脳神経学者・森昭雄教授の著書「ゲーム脳の恐怖(NHK出版)」で、「テレビゲームを長時間おこなっている人の脳波が、重い痴呆の人の脳波に大変類似している」という研究結果を発表。
  森教授が独自に開発した簡易脳波計によって、ゲームをやってる被験者の脳波を測定し、「ノーマル脳人間タイプ」、「ビジュアル脳人間タイプ」、「半ゲーム脳人間タイプ」、「ゲーム脳人間タイプ」の4種類に分類。
  このうち深刻なのは週に3~4回、1日に2~7時間ゲームを長くやっている「ゲーム脳人間タイプ」の脳波で、β波がα波よりも下がっている。
  これは重い痴呆の人の脳波の特徴であり、β波が下がっているという事は、人間の判断力を司る前頭前野の働きが低下していることを意味する。
  α波:主に後頭部に発生する周波数8~13ヘルツの脳波。発生要因については諸説あるがはっきりしていない。
  β波:主に前頭部から発生する14ヘルツ以上の脳波。
 ・森教授は、この「ゲーム脳人間タイプ」について「キレる人が多いと思われます、ボーっとしている事が多く、集中力が低下しています。学業成績は普通以下の人が多い傾向です。物忘れは非常に多い人達です。時間間隔がなく、学校も休みがちになる傾向があります」、
  「主観かもしれませんが、表情が乏しく、身なりに気を使わない人が多いようです。気がゆるんだ瞬間の表情は、痴呆者の表情と非常に酷似しています。ボーっとしているような印象です。ゲーム仲間で集まる事が多いようですが、関わりあいは浅く、ひとりで内にこもる人が多いようです」などと分析。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・ゲーム脳は明らかにニセ科学でありこれ自体が有害。
 ・子供が1日に何時間もゲームばかりやっていたら、成績が下がるのは当たり前であり、そもそもそういう状況を親が放置しているのであれば、それはゲームより「親」が問題である。

〔調査内容〕
 ・森教授は「脳神経学者」を名乗っているが、日本大学大学院文学研究科出身で、博士課程で医学に転向し筋肉に関する論文で医学博士号を取った。日本大学のプロフィールを見ても、教えていたのは「生理学」、「解剖学」、「運動生理学」で脳や神経の研究が専門ではなく脳波に関する基本的な知識が欠落している。
  森教授はα波を「高振幅徐波」と呼び、β波の振幅をα波の振幅で割ったβ/α値を脳の異常を示す指標としているが、この指標は森教授独自の主張であり根拠がない。
  しかし、α波は定義上、徐波(α波より周波数の低い8ヘルツ以下の脳波の事。逆にα波より周波数の高い脳波を速波と呼ぶ。)ではありえない。
  α波は目を閉じて安静にしていれば自然に発生する程度のものであり、なんら異常なものではなく、「ゲーム脳の恐怖」で書かれている「α波とβ波が重なると痴呆」というのも臨床医からは否定されている。
 ・「ゲーム脳の恐怖」では「考えごとをしたり、頭を使うようなことをすると、β波がよく出ます」とも書いているが、これも不正確であり、実際は大脳皮質の活動が活発化するとα波だけでなく全ての脳波の振幅が小さくなる。ただβ波が小さくなる割合はα波ほどではなく、α波がより小さくなるのでβ波が目立ってくるだけ。
 ・「ゲーム脳の恐怖」でも痴呆者への聞き取り中の脳波と健常者の安静時の脳波が比較され「痴呆の人の聞き取り中と健常な人がボーっとしているときの脳波は似ている事がわかります」と述べらており、これは言い換えれば「ゲーム中の脳波」は「健常者の安静時の脳波」に似ているという事。
 ・β波は脳にストレスがかかっている時に強く出るので、常識的に考えれば、β波が強い状態の方が脳にとって良くないはずだ。
  「ゲーム脳の恐怖」でも「ホラー映画のような異常な緊張を伴うテレビゲームをおこなう事で、β波が増大してしまいました」と書き、こうした緊張状態が続くと「自律神経のバランスが崩れてしまいます」と警告している。
  つまりゲームがβ波を下げるのも上げるのもいけないという。
 ・その一方で、森教授は「ゲーム脳」防止のために、ジョギングなどの運動、お手玉や10円玉立て等の手先を使った遊びを奨励しており、こうした運動をすると、一時的にβ/α値は下がるが、終わるとすぐに回復している。これが脳によいと言う。
  だが、「携帯型ゲームの積み木合わせゲーム(テトリスのことと思われる)」をしている時の脳波のグラフも載っているが、こちらもゲーム中はβ/α値は下がるが、終わるとすぐに回復している。
  つまりゲームと同じ結果が出ているのに、運動は良いがゲームは有害だと言っている。
  (なお、テトリスについて2009年米ニューメキシコ州のマインドリサーチ・ネットワークが行った研究によれば26人の思春期の少女に3ヶ月間、毎日30分テトリスを遊んでもらったところ、テトリスで遊んでいない対照グループの少女達と比べて大脳皮質の厚みが増え、脳の活動能率が上がっている事が観察されたという)
 ・スポーツ選手の中には、大事な試合中、緊張を強いられて、強いストレスにさらされている者もいるはずで、それはゲームのような遊びによるストレスとは比較にならないだろうが、そういうスポーツによるストレスについては森教授は都合よく無視している。
 ・脳波でもδ(デルタ)波やΘ(シータ)波は、赤ん坊や子供には現れるが、健康な成人が目覚めている時にはめったに現れず、こうした脳波が現れると脳に異常がある可能性がある。
  δ波:0.5~4ヘルツの脳波。おもに就寝中に発生する。統合失調症や認知症の人だと増えることがわかっている。
  Θ波:4~8ヘルツの脳波。うとうとしている時に発生する。
  また、棘波や鋭波といった脳波も、脳の異常の指標になる。
  棘波:突発的に出現する波形が尖った脳波で、20~70ミリ秒しか続かないもの。
  鋭波:突発的に出現する波形が尖った脳波で、70~200ミリ秒しか続かないもの。
 ・ところが、森教授の開発したブレインモニタEMS-2000という装置は1台90万円もするのに、α波とβ波しか計れない。(従来の簡易脳波計でも10万円ぐらいでδ波やΘ波も測定可能)
  森教授と共同でEMS-2000を開発した株式会社イーオス(現イオス商事)は、もともと医療機器メーカーではなく自動券売機や自動販売機、水分計等を作っている会社。(現在は、医療機器及び医療消耗品、介護機器・用品の販売とあり製品開発はやっていない模様)
  「ゲーム脳の恐怖」がベストセラーになって注目を集めたにもかかわらずマスコミの取材にも応じようとせず、公式サイトからEMS-2000についてのページを削除してしまった。
 ・それどころか森教授が測定していたのは「脳波」ではないという指摘もされている。
  森教授は、脳波の測定方法について「双極誘導」だと言い、「おでこに2つの電極をつけ」、それとは別に「不関電極という電極を1つ、おでこの毛の生え際あたりに貼りつけます」と説明しているが、不関電極というのは単極誘導で用いられるもので、双極誘導では使わない。
  しかも、不関電極は脳波の測定基準になる点であり、脳波の影響を受けない耳たぶにつけなくてはならない。おでこにつけると不関電極が脳波をとらえてしまい、正確な測定ができない。
  脳波を測定する際にはアーチファクト(本物の信号とまぎらわしいノイズ)に注意する必要があり、特に瞬きをしたり目を上下左右に動かすと、目の周囲の筋肉が電気信号を発するが、森教授のようにおでこで脳波を測定すると、このアーチファクトを拾ってしまう。
  メディカルシステム研究所のサイトによると「ゲーム脳の恐怖」に書かれているのと同じ方法で脳波を測定したところ13~30ヘルツのβ波の帯域のアーチファクトがとらえられることが確認されたという。
  森教授がβ波だと思っていたものは、実はほとんどがアーチファクトだったらしい。
 ・「ゲーム脳の恐怖」に書かれている「キレる人が多い」などの記述は(本人もことわっているとおり)主観であり「ゲーム脳」との関連が統計で示されている訳ではなく、成績や、欠席率は統計を取って示す事が可能なはずだがやってない。
 ・森教授は脳波だけでなく、研究対象である「ゲーム」についても無知であり、アクションゲームのことをロールプレイングゲームと呼んでいたりする。
 ・森教授は、こうしたスリルのあるゲームをやっていると「ナイフで自分を防護しようと思うようになるかもしれません。さらにエスカレートすると自分の身を守る為に警官のピストルを奪おうとする行為に及んでしまうかも知れません」と警告しているが、既にその手のゲームがいくつも大ヒットしていても日本中で警官のピストルを奪ったりする事件は激増していない。
  日本の場合、刑法少年犯のうち、殺人で検挙された者が最も多かったのは1961年(テレビゲームがない時代)で448人。1998年(バイオハザード2が発売された年)117人、2004年には62人にまで減少。
  少年だけでなく全年齢で見ても、日本の殺人事件はこの半世紀で大幅に減少している。アメリカでも同様の傾向。
 ・ハーバード大学医学部のローレンス・カトナー博士らが、1254人の中学生を対象にした調査によれば「グラン・セフト・オート」のようなM指定(対象年齢17歳以上)の暴力的なゲームをプレイした事のある子供は、プレイした事のない子供より、喧嘩をしたり面白半分に物を壊したり、教師とのトラブルを起こしたりする割合が高いと判明した。
  また、いじめの加害者になる割合は、週に1時間未満しかゲームをしない子では1.4%だが、週に15時間以上もゲームをする子供では15%にもなった。
  ⇒このデータからは、ゲームが原因だと断定できず、もともと暴力的な性格の子供が暴力的なゲームを好むのかもしれないし、週に15時間も子供にゲームをさせているような放任主義の親に育てられた子供は、ぐれてしまうケースが多いのかもしれない。
 ・ゲームの悪影響についての主張の多くが架空のもの。
  ・2001年米国小児科学会公共教育委員会が「3500件以上行われた研究のうち、18件を除く全研究がメディアと暴力の関係を立証した」と発表。
   ⇒実際には「3500件以上」という数字はある本から孫引きされたもので、数字を裏付けるデータは存在しなかった。
   ・2007年バージニア工科大学乱射事件の直後、チョ・スンヒ容疑者が「カウンターストライク」というゲームに熱中していたというニュースが流れた。
   ⇒警察がチョ容疑者の学生寮の部屋を捜索したところ、ゲーム機もゲームソフトも見つからず、チョ容疑者のルームメイトも彼がゲームをやっているところは一度も見た事がないと証言。

●逆行催眠でよみがえった記憶は正しいか
〔この説の主張〕
 ・精神分析学者ジグムント・フロイトが創始した精神分析の理論によれば、私達の無意識の領域には、自我を脅かすような願望や衝動をはじめ、過去の心的外傷体験などのネガティブな記憶や感情などが「抑圧」されて封じ込められている。
  これらは、全く意識されることはないが、完全に消え去った訳ではなく、しばしば形を変えて意識や身体に浮上してくる。
  これが心身の病理的症状を引き起こし、人を苦しめる。
  フロイトは神経症の治療のため、催眠を用いて無意識にアクセスした。抑圧された記憶でも、意識の防衛がゆるい催眠状態であれば呼び出すことが可能になり、それを意識化して解放する事で症状が消失する。
  以降、催眠技法は無意識に抑圧された過去の記憶を引き出すために、広く活用されてきた。催眠の中で過去の時間にさかのぼる技法を、逆行催眠もしくは退行催眠と呼ぶ。
  この技法は心理療法に有効なばかりでなく、たとえば犯罪の捜査に用いれば、目撃者が思い出す事の出来なかった詳細な記憶までも引き出す事ができる。
  実際にアメリカでは犯罪捜査に使われ、事件解決に貢献した例が数多く報告されている。
  また、過去にさかのぼるうちに、出生以前の記憶や、前世の記憶までもよみがえる事も発見された。
  例:コロラド州のバージニア・タイという主婦は、18世紀末にアイルランドに住んでいたブライディ・マーフィーという人物だった事を思い出した。
    そして町の様子をはじめ、両親や結婚相手の名前職業などをアイルランドなまりの英語で詳細に語った。
  このような前世の記憶を手掛かりに心理的な問題を解決する「前世療法」は、精神科医ブライアン・ワイスによって体系化され広く普及している。
  また、1961年ニューハンプシャー州に住むヒル夫妻は、夜間ドライブ中に不思議な光を放つUFOを目撃し、一時的に意識を失った後、そのまま帰宅したが、その後奇妙な感覚や悪夢に襲われるようになり、2年後に医師による逆行催眠を受けたところ、夫妻は宇宙人の円盤に連れ込まれ、様々な機械を使って身体検査を受けていたという記憶がよみがえった。
  前世の記憶や宇宙人の誘拐により消された記憶がよみがえったケースが相次いで知られるようになた。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・心的な問題を抱えた人が、その不幸の原因を自分の過去の体験にもとめて心理療法を頼りにし、心理療法家はその問題の解決のために逆行催眠を有効な手法と信じ、患者と共同しながら解決を探ったことがこの錯誤をもたらした。
  症状は過去のトラウマが原因であって現在の自分には責任がないこと、自分はこの世界で孤立した存在ではなく前世から精神はつながっていること、自分はこの宇宙の中でかけがえのない特別な存在であるということ、こうした「物語」が心理療法に有効に働いたという事はあるかもしれない。
  心理療法では、患者の心的な問題を解決できる事が目的であり、その物語の客観的な真実性は問題にされない場合が多く、客観的な事実が明らかになってもそれで患者の問題が解決しなければ意味がない。
  ここで必要なのは治療現場の「臨床の知」と客観的な「科学の知」の切り分けである。

〔調査内容〕
 ・フロイトは当時ヒステリー治療を催眠を用いて効果を上げていたフランスのシャルコーのもとで催眠を学び、ウィーンでその技法を実践したが、有効ではない患者も多かったことから、催眠をあきらめ自由連想法(患者がリラックした状態で心に浮かぶことを言葉で話す)を確立した。
  精神分析の流れをくむ現代の心理療法現場では、催眠を含む様々な無意識へのアクセス技法が用いられている。夢判断もその一つ。
  余談だが日本において催眠の科学的研究のさきがけとなったのは、千里眼事件で東大を逐われた事で知られる福来友吉博士。
 ・フロイトの精神分析論をめぐっては、それが科学と言えるのかどうかは大きな議論があり、科学哲学者カール・ポパーが指摘したように「無意識への抑圧」という概念を乱用すれば、おおよそどんな心理・行動でも説明可能になり、フロイト説が誤っていたとしてもその証明が不可能になってしまう。(「反証可能性」の欠如)
  無意識の抑圧を中心概念とした精神分析や深層心理学は科学と言えないとされてきた。
 ・一方で催眠という技法は、(現代の心理療法の主要な手法とは言い難く、また科学的検証が十分でない事も確かだが)適切に用いる事で一定の有効性を発揮できると経験的に考えられている。
  ただ、催眠という心理生理状態のメカニズムについては、未だに完全に明らかにされているわけではない。
  催眠状態に共通してみられる特徴としては、「意識の清明度の低下」と、意識を一点に集中するための「意識の狭窄」がある。
  そのために意識のコントロールが低下し普段であれば受け入れがたいような暗示でも受け入れやすくなる。
  この被暗示性が高まった状態が恐怖症の治療などを促進するが、これは場合によっては深刻な問題につながる。
  治療者による暗示によって、もしくは治療者と患者が共同して作りあげる物語によって、実際は存在しなかった偽の記憶が形作られてしまう。
 ・エリザベス・ロフタスによれば、実際になかった出来事であっても、繰り返し思い出すように求め、イメージを喚起させて、それを疑わずに補強証拠を与えていくと偽りの記憶は植え付けられ、それは現実の記憶と区別がつかないリアルな体験として思い出されるという。
  心理療法では、治療者と患者が協力しあって、あいまいで漠然としたイメージの断片をふくらませながら、問題の解決に向かってセッションを繰り返す。
  当然、抑圧理論を信奉する治療者は虐待が原因だと期待し、また患者もその原因の発見を期待する。その双方の努力の中で、虐待の物語が作り出され、同時に症状が回復に向かうのである。
  この問題はアメリカやイギリスで社会問題化し、90年代を通して法廷やマスコミを舞台に激しく論争が行われたが、ほとんどの虐待の記憶は心理療法家によって作り出された偽記憶だと考えられるようになって終息に向かった。
  現在、アメリカの多くの州でトラウマを受けた被害者に催眠を用いた記憶亢進を図った場合、回復された記憶は法廷では証言することは許されないことになっている。
 ・アメリカの犯罪捜査の現場からは、目撃者に催眠を施すことで記憶の引き出しに成功し、それが事件解決につながったという報告が多くなされているのも事実。
  とはいうものの、心理学者の見解では、必ずしも催眠という特殊な状態が想起を促進するのではなく、普通に警察官が矢継ぎばやに質問するよりも、催眠のためにリラックスさせ、ゆっくりとイメージさせることの効果が重要だと考えられている。
  また、催眠を用いる捜査手法にも、偽記憶の問題がつきまとう。そのため、実際には催眠状態での証言がそのまま法廷証拠になるのではなく、物的証拠を得るための一つの手がかりとして用いられているにすぎない。
  催眠が事件目撃の記憶を促進するかどうかについては、実験的な手法でも多くの検討が行われたが、明確な有効性が確認された訳ではない。
  一連の実験結果を統計的に再分析(メタ分析:個々の研究データにはさまざまな誤差がつきものであるため、同じ現象を対象とした複数の研究結果を統計的に処理して、真の効果の程度を明らかにする研究手法)した研究からは、確かに催眠には想起を促進する効果が生じる場合もある。
  しかし、その効果が期待できるのは、例えば「記銘材料が日常的や現実的なものである場合」や、「1日か2日前の目撃である場合」など、限定的な条件下のみであって、条件によっては催眠がかえって記憶の想起に負の影響を与えることもあると指摘されている。
 ・前世の記憶については、詳細な調査が行われると、巷で言われているような「歴史的な事実と一致」という事実がない事が明らかになるケースがほとんど。
  ブライディ・マーフィーの事例では、当該の人物達の実在をはじめ、確かな証拠は確認されなかった。また、彼女の証言は必ずしも前世の記憶を想定しなくても説明がつくものであった。
  認知心理学では、情報そのものは想起できても、その情報源となる情報(ソース情報)が欠落してしまう現象はよく知られており、これが原因で記憶の錯誤がしばしば起きる。
 ・ヒル夫妻誘拐事件に始まるUFOによる誘拐事件以来、アメリカでは数多くの人々が催眠下で自分もUFOに誘拐され人体実験をされたり身体に何かを埋め込まれたりする体験を思い出したが、これに対応する客観的事実が確認されたことはない。

●母乳で育てないと子供は健康にならないか
〔この説の主張〕
 ・母乳は赤ちゃんにとって最適な食事であり、WHOおよびUNICEFが共同して発表した「母乳育児を成功させるための10ヶ条」には、医療関係者は全ての赤ちゃんに母乳が与えられるよう援助すべきだと書かれている。
  赤ちゃんに母乳以外のものを与える事はもってのほかであり、その事がこの10ヶ条を読んでもわかる。
 ・母乳育児のメリットは科学的にも証明されている。
 ・母親にとって、赤ちゃんを母乳で育てる事は最低限の義務であり、母乳が出にくくても母乳を出す努力が重要である。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・母乳は赤ちゃんにとってたしかに優れた食事であるが、母乳信奉者の主張には、少々行き過ぎたものがある。
 ・母親ひとりで問題を背負い込むことがないよう、家族や周囲のサポートを充実させることの方が、完全母乳を推進させることよりも重要。

〔調査内容〕
 ・母乳育児のメリットとしては、
  ・感染症などへの防護作用(分娩後、数日間分泌される初乳は、通常の母乳とは成分が大きく違い、病原微生物から赤ちゃんの身体を守る働きを持っている物質を含んでいる)
  ・母乳育児は乳がんに罹りにくくする(授乳期間が長いほど乳がんのリスクが低下するという研究論文が存在し、授乳期間が1年延びれば乳がんリスクは数%下がる事が示されている)
  ・母乳は消化吸収が良く、赤ちゃんの負担が少ない。
  ・アレルゲンとなる異種タンパク質をあまり含まない事などから、アレルギー発症リスクを少なくなると考えられているが、アレルギー予防効果については逆の結果が出た論文もあり、まだはっきりしていない。
  ・母乳を飲ませた子供は知能指数が高い事を示した論文もあるが、調査の精度が低かったり、逆の結果が出たという報告もある。明確な根拠も不明。
  ・母乳は、子供の対人関係に好ましい影響を与えることを示唆する研究がいくつも発表されているが、子供の生活環境や親の養育態度の違いといった原因を除外できないため、それが母乳だけの影響であるかどうかまでは断定できない。
  ・人工栄養で育った子供はキレやすいという説については、根拠がなくそもそもキレるという状況がどのようなものなのかも明示されていない。
 ・母乳の栄養面では、必要な栄養素が十分に揃っているわけではない。
  ビタミンKは、母乳だけでは十分に確保する事が出来ず、出産の現場では生後間もない赤ん坊にビタミンKを与えており、これを怠ると命にかかわる重大なトラブルを招く事もあるため注意が必要。
  鉄分も不足しており、早期に影響が出る訳ではないが、長時間、母乳だけで育てた場合、赤ちゃんが貧血にかかる可能性がある。
 ・10ヶ条については、あくまで母乳を十分に与えられる(そして、赤ちゃんが無理なく飲み込める)ケースについてのものであり、体重2500グラム未満の小さな赤ちゃんの場合は母乳を飲んでくれないことがあり、低血糖症を招いてしまったケースも実際に報告されている。
  また初めての出産時には母乳の分泌が十分でない人が多い事や、母乳の分泌量には個人差がある事も踏まえて、母乳以外の選択肢についても柔軟に対応する必要がある。

●千島学説は正しいか
〔この説の主張〕
 ・千島学説とは1963年当時、岐阜大学の生物学の教授であった千島喜久男博士が提唱した学説で、それまでの生物学や医学の常識を覆すきわめて革新的な内容を持つ学説であったため他の科学者の反発を招き、今日まで正当な評価を受けられなかった不遇の学説。
 ・千島博士は、ガンや感染症の原因は汚れた血液にある事を看破し、血液が汚れる原因は不適切な食事にある事を発見した。
  食事療法などを行うとガンが改善する事があるが、千島学説に基づけば、そのメカニズムもすべて理解できる。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・千島学説は検証するまでもないほど間違えている。
 ・どんな奇想天外な説でも主張する自由はあるし、これが本当ならと信じる自由もあるが、現在の千島学説は「標準医療のアプローチは間違っているので、治療できる病気も治らない。食事療法が一番効果的」だとする主張の根拠として都合良く使われてしまっている。
  がんについては、本人や周囲が納得しているなら仕方ないが、感染症については第三者にまで影響が出てしまう恐れがある。
  千島学説では「結核菌が検出されるのは(どこかで感染したからではなく)身体の不調によって自然に生じた」ことになり、その治療法も栄養不足にならないよう「無添加の自然食品を食べよう」ということになる。
  この結果、結核菌はバラ撒かれ、周囲の人々が感染の危険にさらされる。
 ・定説と権威に疑問を投げかけ批判するプラスの役割より、人々が築き上げてきたものを捨てさせるマイナスの役割が大きい学説には、速やかにご退場願う。

〔調査内容〕
 ・千島学説ほどその分野の基本的な事実をすべて否定しようとするものは珍しい。
 ・千島学説の根幹をなしているのは「赤血球分化説」と「細胞新生説」、「腸造血説」である。
  その他にも、「組織の可逆的分化説(赤血球から生じた細胞は赤血球に戻ることがある)」、「バクテリア、ウィルスの自然発生説」、「進化論の盲点(生物は弱肉強食で進化したのではなく共存共栄で進化した)」等があり、8大原理と呼ばれる。
 ・「赤血球分化説」と「細胞新生説」は、簡単に言うと「細胞は分裂などせず、血液中の赤血球から5つの形態で自然に誕生する」というもの。
 ・「腸造血説」は、簡単に言うと「骨髄の造血幹細胞など存在せず、血液は食物の栄養をもとに小腸内の繊毛で作られている」というもの。
 ・千島学説の支持者は千島学説の正当性を説明する際、他の科学者による反証する研究が(千島学説を否定できないので)一切行われていないことを主張するが、実際はわざわざ反証するまでもないというのが本当のところだろう。
 ・国立大学の教授まで務めた千島が、なぜこうした珍妙な説を主張したのかは、当時の事情にあった。
  千島が自身の説の着想を得たのは昭和14年(1939年)のことだとされている。
  現代では確立された定説も、当時はまだひっくり返る余地がある仮説だった。(細胞内の染色体に遺伝子があるという説が仮説として唱えられたのが1902年、間違いなさそうだということになったのが1920年。遺伝子の正体がDNAであることがわかりはじめたのが1940年代、DNAが遺伝物質であることが確実になったのが1950年代)
  まだ仮説しかない時代で、その中に1つの別の仮説として出てくること自体は特に問題ではないが、研究が進み新事実が次々と積み重ねられてもそれらに懐疑的な目を向けるばかりで、独自の道を突き進んでしまったのは問題。
 ・細胞の自然発生説を主張したのは千島ひとりではなく、ソビエト連邦のレベシンスカヤという同時代の研究者も、同様の説を唱えていた。
  レベシンスカヤはスターリン政権下の1920~50年代のソ連で一世を風靡した「ルイセンコ・グループ」の一員。
  ルイセンコは農学者で「小麦を低温処理すると開花時期が変化する」ことに注目し、そこから「生物の進化では(形質は親から子に受け継がれたり自然淘汰されるのではなく)環境によって後天的に獲得した形質が遺伝する」と唱え、メンデルやダーウィンの説を否定するものだった。
  ルイセンコはスターリンに気にいられ、ソ連の科学研究の要職を歴任し、その結果、ルイセンコ説に対立する主流派の科学者達は弾圧の憂き目に遭った。(また、農業生産拡大のために農法を指導したが失敗し、ソ連の農業生産性は減退し、この説を採用した毛沢東時代の中国や北朝鮮でも飢餓が生じることになったとも言われる)
  遺伝子を無視したレベシンスカヤの細胞新生説はルイセンコ説と相性が良く、ソ連の革新的な研究者として扱われることになる。
  1950年代に、レベシンスカヤの説が日本に持ち込まれると研究者の間で賛否両論の議論が巻き起こった。多くの科学者が否定的な立場をとる中、賛成派の主要な論客だったのが千島。
  千島は自説と相性が良いレベシンスカヤ説がソ連という大国を代表する学説になっていること、それの影響を受けて主流派の定説に疑問を持つ研究者が日本にも増えてきたことに意を強くしたのか、レベシンスカヤ説を強く擁護した。
  その後、DNAや遺伝子に関する研究が進むにつれ、ルイセンコらの主張は次々と否定されていき、結局ルイセンコらの学説は科学として成立しておらず、ソ連の科学研究をいたずらに混乱させるだけに終わった。
  それに伴い、日本でもルイセンコの支持者は激減、数年後には顧みられることすらなくなった。
  千島学説の支持者は、千島学説が正しいとわかると定説が覆るため、権威的学会に抹殺されたと主張するが、千島学説にもたしかに晴れの舞台はあった。

●「死者の網膜写真」は可能か
〔この説の主張〕
 ・網膜写真(オプトグラム)とは、死の刹那に見た光景や犯人の顔が網膜に焼きつき残っているというもので推理小説などで使われていたりする。
 ・現実でも1948年2月6日付けの読売新聞に「網膜から犯人像検出 明日の科学捜査」と題された記事が掲載された事があり、この記事では「一時ドイツで研究に成功したと考えられている」という。
  また、鑑識課の話として「将来成功の可能性ありと見ている」との話も紹介されている。
 ・目の仕組みは、形や色、明暗を感じる視細胞の中で働くロドプシンという物質によって、網膜に光の濃淡が焼きつくような仕組みになっている。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・網膜写真は、もし実現すれば画期的な利益を私たちにもたらしてくれるに違いないが、その実現はなかなか難しいようである。

〔調査内容〕
 ・ドイツで行われていた研究とは、ドイツの生理学者、ウィルヘルム・キューネ教授の研究で、始まったのは1980年代。
  最初はカエルの網膜を観察していたところ、偶然思いついたアイデアだという。
  彼はその後、ウサギを使った実験を思いつき、網膜上に何らかの写真像を得ることに成功したという。
  ところがこの実験は、眼球を使わずにレンズを代わりに使って網膜に感光しており、また得られたとされる像はウサギが生前に見た光景ではなく、摘出後に光像を結ばせて得られたものだったので、網膜写真の成功例とするには少し違う。
  とはいえ、全く見込みがない訳ではない。キューネ教授の研究はその後進展は見られなかったものの、彼に触発され網膜写真の研究は日本でも行われるようになった。
 ・日本で研究を担当したのは、元警視庁鑑識課主任技師の高村巌氏で1951年から網膜写真の研究を開始した。
  工夫を重ねることでそれらしきものは現像されたというが、鮮明な像をなかなか得られなかったようで、残念なことに研究は壁に当り停滞してしまう。
  最終的に成果がないまま高村氏は研究を打ち切る報告書を提出。その結果、日本での網膜写真の研究も終わりを迎えることになった。
 ・出所が怪しい網膜写真というものはあるが、どれも信憑性が低い。
  1870年にフランスの法医学会で議論になった写真がある。これは当時「ブリオン博士」なる人物から同会宛に送られた1枚の写真で、そこには1868年に殺害された女性が最後に見た飼い犬の姿が写っていたという。
  写真を見ると確かに何かが写っているが、この件は同学会の法医学者マキシム・ヴェルノワによって検証され、網膜写真ではないという結論が出されている。

●人間は真空中では破裂するか
〔この説の主張〕
 ・人体は、地球の大気1気圧の中では1平方センチ当たり約1キログラムの圧力を受けており、それに反発するだけの力が内側からかかっているので、極端に気圧が低い場所では身体が膨張し、最悪破裂する。
 ・逆に深海のような鉄でできたカプセルさえ押しつぶしてしまう水圧の中に人間が投げ出されてしまうと、簡単に押しつぶされてしまう。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・これはちょっとした勘違いに基づく間違った知識で、真空中で人体が破裂する事も深海の水圧でぺちゃんこになる事もない。
 ・「科学的」とは、「実際に確かめる」、「どの程度確からしいかを客観的に推論する」、「間違えたら修正する」という姿勢そのものである。

〔調査内容〕
 ・1966年、NASAの研究所において、開発中の宇宙服を真空状態で実験するため、人工的に真空状態を作り出す真空チャンバーに宇宙服を着た技術者が入る実験が行われていた。
  ところが実験が始まってほどなくして、宇宙服が空気漏れを起こして、実験台になっていたNASAの技術者ジム・ルブランは酸欠状態に陥り昏倒。
  すぐにチャンバーが加圧され、救助されたため一命を取り留めたものの、生身の人間が十数秒間、真空にさらされて生還するという稀有な例となった。
  ルブランによると、真空状態におかれた時、舌の上で唾液が沸騰する感触がしたという。
  この一件からわかるように、人体は真空にさらされたからといって即座に破裂したりしない。
 ・上記の「地球の大気1気圧の~」の説明は、風船のように内側から外側に向けて気圧をかけることで形を保っている物体に対する説明である。
  人類史上初めて月面着陸に成功したアポロ宇宙船の船内は地上と同じ1気圧にすると船体の強度を上げる必要があるため、またなにより、真空中に出た時に宇宙服がパンパンに膨張してしまって着て動く事が出来なくなるので、1/3気圧に抑えた純酸素で満たしてある。
  もちろんそのままでは呼吸に支障があるので、呼吸用の空気を純酸素とし、酸素分圧を適正に保つ事で低い気圧の中でも酸欠になることなく生活できる。
  ちなみにエベレストの頂上の気圧も地上の1/3程度であるが、登山者の身体が膨張したという話は聞かない。
 ・また「身体の水分が沸騰し膨張し、体積が膨張する事で破裂する」という説明がされる事もあるが、たしかに真空中にさらされれば体温程度の水でも瞬時に蒸発するが、そもそも体内の水分は皮膚や血管の中にあり、それが真空にさらされるには、既に身体がバラバラになってなければならない。
  ただし、生身の人間が真空中に長時間放りだされたら命はない。破裂はしないものの非常に重度の減圧症になるようなもので、全身の血管に気泡が生じて閉塞する部分が多発し、なにより窒息してしまう。
  ソユーズ11号は地球への帰還準備中に空気漏れ事故を起こし、帰還カプセルが地上に降りた時には乗組員の3人は窒息死した状態で発見された。
 ・深海生物すべて引き上げた途端に膨らむわけではなく、膨らんでいるのは魚の体内にある浮き袋である。
  浮き袋を持たない魚やタコ、イカ類、エビやカニなどは海面に引き上げられても体が膨張することはない。
  ようするに、体内にガス圧で膨らんでいる部分を持たない生物は、海面でも深海でも体にさほど変化がない。(ただし環境が激変するので弱って死んでしまうことが多い)
 ・深海にもクラゲやイソギンチャクなどの、指で押しただけで体が破壊されるような柔らかい生物が大量に生息している。
  なぜ深海にすむクラゲやイソギンチャクは潰れないのかというと、実は水という物質は圧力を受けてもほとんど体積が変化しない。
  つまり水を多く含む生物の細胞は、深海程度の水圧に潰れることはない。
  実際に深海における生物遺骸の分解についての研究のため深海底に豚の死体が沈められたことや、サバなどの浅瀬にすむ魚類の死体が、深海生物撮影時の誘因用の餌として沈められることがよくあるが、いずれも特にぺちゃんこになったりはしない。
  中に空気が入った物体が強い水圧を受けると中の空気そのものの体積が圧力に応じて縮小するため水圧に耐えられず潰れてしまう。
  発泡スチロールやカップ麺容器などを海底に沈めると、そのままの形で縮む。
  だが、豆腐のようにフニャフニャで脆いものでも、水分を多量に含む物体は水圧では潰れない。実際コンニャクと豆腐が深海に持ち込まれて潰れないことが確認されている。

【続く】
 

読書感想②

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 2月11日(土)00時21分34秒
編集済
  【自然界に潜む超科学の真相】
●万能細胞「EM菌」で健康になれるか
〔この説の主張〕
 ・EM菌(有用微生物群)は「数十種類の有用な微生物を培養し安定的に活動できるようにしたもの」で、1982年に琉球大学農学部比嘉照夫教授が研究により生み出された。
 ・これにより、無農薬有機栽培でも作物は病気にかからず害虫の被害も受けなくなる。
 ・その後の研究で、EM菌は環境浄化、ニオイ対策、生ゴミ処理、建設、健康などの多様な分野で効果的である事が判明した。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・効果があるとしてもその効果は小さく、他の微生物資材と同程度(一般的な微生物資材も効果的なものはあまりない)が最大の効果。
 ・EM菌の説明は科学というよりオカルト。
 ・教育の現場では、「いい話ならば無根拠でも信じる事」より「事実にこだわる姿勢」を教えてもらいたい。

〔調査内容〕
 ・EM菌の効果が信頼できる研究で示された事はなく、国内、国外においていくつかの論文が発表されたが、論文の結論を総合すると「効果はほとんどなかった」。
 ・タイでの研究「EM及びEM資材の有効性の評価とその農業および環境に与える影響」で「農薬としての効果」「害虫防除の効果」「肥料としての効果」「飼料の消化性への効果」「汚水処理効果」を調査した結果、そのほとんどは「全く効果なし」で効果がみられるものも低い効果しかみられず。
 ・インドネシア、オランダでも実験されたが結果は「効果なし」。
 ・広島県保健環境センター2003年の調査では、「室内実験で水質の浄化作用が全く認められなかった」ために、EM菌の使用を奨励しないと発表。
 ・岡山県、福井県、三重県も同様の結論。2008年福島県の調査では「高濃度の有機物が含まれる微生物資材を河川や湖沼に投入すれば汚濁源となる」と指摘。
 ・効果が確かめられたとする論文もあるものの、その多くにEM開発側、販売側が関わっている。
 ・タイの論文によれば、EMの効果に肯定的な論文は査読論文でなかったりほとんど知られていない論文誌に発表されているとのこと。
 ・EM開発者の説明によると、「EMは「結界」や「波動(重力波かも?)」を発生させるので土にまかなくてもペットボトルに入れて吊るしておくだけでも効果がある」、「EMで作った米の上にタバコを乗せるとニコチンがビタミンに戻る」、「コンクリートに混ぜれば耐用年数が大幅に上がる」、「EMX(EMから生成)は末期ガンやC型肝炎も良くなる」、「EMを撒いた土の上にムシロを敷いて寝るだけで病気が治る」、「EMは神様だと考える事」(Web Ecopure「新・夢に生きる」(比嘉氏のコラム))
 ・そもそもEMは、世界救世教の教義の一つである自然農法を研究するため設立された「自然農法国際総合開発センター(現 自然農法国際研究開発センター)」内で研究開発されたもの。(比嘉氏自身は世界救世教の信者ではないというスタンス)
 ・教育の現場では「様々な意見もあるけど信じよう」、「水質浄化などに関心を持つ事自体が重要」といった理由でEMを取り入れている所がある。
 ・学校のプールにEMを投入した例では、水棲の昆虫(ヤゴ(トンボの幼虫)など)が著しく減少するなどの被害もみられた。小さな池への投入ではメダカが死ぬ等の例もあるとのこと。


●ポールシフトは起きるか
〔この説の主張〕
 ・ポールシフトとは極の移動のこと。
 ・11600年前まで地軸は今より約30度ずれており、南極点は南極大陸よりややインド洋側の海上にあった。そのため西南極は南極圏の外にあり温暖で動植物が栄えていた。
 ・極が急に移動し、現在の位置になったため、南極大陸は氷に覆われてしまった。
 ・12000年前に滅びたといわれるアトランティス大陸とは南極の事だったという説もある。
 ・北極圏も同様で、かつての北極点は現在のカナダ辺りにあり、シベリアは温暖な気候でこれはシベリアの地中から氷漬けのマンモスが多数発見されているが、その胃袋からは豊かな植物が発見されていることからも明らか。
 ・極の急激な移動でシベリアが寒冷化した事によりマンモスは瞬時に凍りついてしまった。
 ・歴史学者チャールズ・ハッチンス・ハプグッド教授は、1958年に著書「移動する地殻」を出版し、従来のポールシフトを修正した「地球全体が傾いたのではなく表面の薄い地殻だけが滑った(内部の核やマントル層はそのまま)」とする説を唱えた。
 ・この説の裏付けとして「ピリ・レイスの地図」(1513年オスマン・トルコ帝国のピリ(提督)レイスが製作したといわれる地図)を提示。
 ・この地図には当時まだ発見されていなかった(南極大陸の初探査は1820年)はずの南極大陸が描かれ、しかも氷の下に隠された海岸線まで正確に描かれていた。
 ・他にも、16~17世紀の多くの世界地図に「テラ・アウストラリス(南の大陸)」と書かれた大陸が記入されている。これは、手本となった超古代の地図が存在した事を示しており、元の地図を描いた者はまだ氷に覆われていない時代の南極を知っていた。
 ・またポールシフトが起これば、気候が激変し人類文明はアトランティスのように滅亡してしまうかもしれない。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・ポールシフト説は大陸移動説により葬られた。
 ・しかし「超古代には高度な文明が存在した」と主張するオカルト本の著者にとってそうした文明が滅びた理由を説明するのに都合がいい、また「まもなく地球に天変地異が起きる」と唱える予言者やカルト団体にとって都合がいいという理由で生き続けている。

〔調査内容〕
 ・ハプグッドが影響を受けたのは、アメリカの電気技師ヒュー・オーキンクロス・ブラウンの説である。
 ・ブラウンは1948年に「極地の氷が増加して地球のバランスを崩し、地軸が移動して6000年ごとに大異変が起きる」という説を唱え、大災害を防ぐため原子爆弾を使って南極大陸の氷を溶かすべきだと主張。(ニューヨーク・タイムズ1948年9月1日社説中にブラウンの予言を紹介)
 ・地球は楕円体であり、赤道の方が極より21000メートルも厚いので極が少し厚くなったぐらいでバランスが崩れる事などありえない。
 ・厳密にいえば、極運動により地軸は完全に安定してはいない。天の北極点より西経90度の方向へ角度にして0.3秒(1秒は1度の1/3600)ずれた辺りを中心に、0.2秒以内の円を描いて約1年周期で旋回。
 ・極運動は大気や水の移動によって、バランスが変化するためと言われているが、地軸のゆらぎというのはこの程度のもの。
 ・ハプグッドは1970年の著書「極点への道」では「移動する地殻」での説を放棄し、地球内部の正体不明の力が地殻の移動を引き起こすと唱えた。
 ・地震波を利用した探査によれば、マントル層は部分的に融解しているがほとんど固体(かんらん岩を主成分とする岩石だと想像されている)であり、マントルの上をプレートが滑るという事は岩の上を岩が滑るという事。
 ・2011年の東日本大震災で放出された全エネルギーは約200京ジュールで広島型原爆の約3万倍なので、これが地球の全表面(51000万平方キロ)で同時の起きて3300キロ移動した場合、全世界が徹底的に破壊され人類も滅亡していたはず。(そもそもそんな大異変を起こすエネルギーなど存在しない)
 ・1958年当時、アルフレート・ヴェーゲナーの大陸移動説はまだ大陸移動のメカニズムが説明できなかったため地質学会では受け入れられなかった。
 ・1960年に地質学者ハリー・ハモンド・ヘスが、大西洋中央海嶺から海底が拡大している証拠を発表。この発見がプレートテクトニクス理論へと発展。
 ・確かに数千万年前の中生代には南極は温暖だった。(南極点からわずか650kmの地点ではジュラ紀前期の肉食恐竜クリオロフォサウルスの化石も発見されている)
  しかしこれは大陸移動のため、何千万年もかけてしだいに南下し、現在の位置に至った。(南極の氷床の調査から現生人類(約10万年前頃)が地上に出現した頃、南極大陸は既に寒冷な土地だった証拠が見つかっている。例:2004年ドイツのコーネン基地(西経0度)では約19万年前の氷床コアを採取。ポールシフト説では11600年前まで南極圏の外にあったはず)。
 ・1846年以来、シベリア各地で発見された数十頭の氷漬けマンモスは地層から推定されるその死亡時期はバラバラ。例:マガダンで発見された赤ちゃんマンモス(44000年前)、テレクチャフのマンモス(35000年前)、タイミールのマンモス(11500年前)等
 ・マンモスの胃の中から見つかった植物は、モミ、マツ、スゲ、シラカバ、ヤナギ、クルミ、キンポウゲなど寒帯にも生息する植物ばかりだった。
 ・ピリ・レイスの地図も、南極大陸のように見えるものは、南米大陸の海岸線を描いたもの。
 ・昔の地図製作者はわからない部分を想像で埋める事がよくあった。西欧では18世紀ごろまで南半球には北半球と同じくらいの面積の大陸があると考えられていた。
  そこで、16世紀初頭の地図製作者達は世界地図の南半球に、当時想像されていた「架空の大陸(テラ・アウストラリス)」を描きこんだ。

●フリーエネルギーは実現するか
〔この説の主張〕
 ・空間には「宇宙エネルギー」とか「真空エネルギー」と呼ばれる無尽蔵のエネルギー(フリーエネルギー)が眠っている。
 ・アメリカではブルース・デ・パルマの「Nマシン」、エドウィン・グレイの「EMAモーター」、ジョー・ニューマンの「ニューマン・マシン」、ロバート・アダムスの「アダムス・モーター」、ウィンゲート・ランバートソンの「WINシステム」など。
 ・イギリスのジョン・サールの「サール効果発電機」、ドイツのウルリッヒ・シューマッハの「シューマッハ・モーター」、スイスの宗教団体メタニタが開発した「MLコンバーター」、インドのパラマハムサ・テワリの「宇宙力発電」など。
 ・それらの中には超効率(入力以上の出力を取り出す)を実現したものがいくつもある。
 ・永久磁石は釘を吸いつけた状態ではエネルギーが消費され続けている。これは無限にエネルギーが湧き出しているという事。
 ・先のシューマッハ・モーターや、日本でも湊弘平氏の「靖国一号」(1985年1月26日日経産業新聞で紹介。2001年6月7日テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」でも「湊モーター」が紹介)、河合輝男氏の「河合モーター」(1991年7月17日のフジテレビ「スーパータイム」で紹介。1993年10月13日日刊工業新聞にも記載)など永久磁石から磁気エネルギーを取り出したという。
 ・他にも、2008年6月、大阪のベンチャー企業ジェネパックス社が水から電気を取り出す「ウォーターエネルギーシステム」を開発し「水で走る自動車」を完成したと発表しテレビなどでも報じられた。
 ・フリーエネルギーの実用化は従来の石油や原子力から富を得ている者達によって妨害され闇に葬られており、開発者は殺されている。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・本物のフリーエネルギーが実現する可能性も、ものすごく小さいが、あるかもしれない。
 ・陰謀より最初から間違いだったと考える方が妥当。
 ・騙されたい、信じたいという人がいる限り、フリーエネルギーの話は廃れないだろう。

〔調査内容〕
 ・物理学の世界では空間にゼロ点エネルギーが存在するとされているのは事実だが、それを取り出せるかどうかは別問題。
 ・エネルギーを利用するためには、「エネルギーの落差」が必要。(例:水車)
  ガソリンエンジンの場合、炭化水素(高エネルギー)が燃焼(酸素と結合)することで二酸化炭素や水(低エネルギー)になる。その差のエネルギーを爆発力という形で取り出しエンジンを動かす。
  仮に「宇宙エネルギー」や「真空エネルギー」があったとしても宇宙にくまなく満たされているなら、落とせる場所がない。(海に水がたくさんあっても水力発電に使えないのと同じ)
 ・永久磁石から無限にエネルギーを取り出す試みも全て失敗している。
  なぜなら物理学の基本を知らず、「力」と「仕事(=物体に加えた力×物体が動いた距離)(=エネルギーと同値)」を混同しているから。
  物体が地面に置かれている時、重力(力)が加わっているが位置は変わらないので仕事はしておらずエネルギーの消費もない。(磁石も同様)
 ・靖国一号は、電気通信大学の超常現象研究会の学生が再現を試みたが、予想通りすぐに止まった。また、湊氏は日本磁力発電株式会社を作って発明の売り込みを続けたがいまだに実用化していない。
 ・河合モーターも、単にモーターの能率が上がったというだけ。
 ・シューマッハ・モーターも、その後、何の音沙汰もない。
 ・水からエネルギーを取り出すというが、水は酸素と水素がバラバラの状態よりエネルギーが低い、いわばエネルギーを失った後の燃えカスのようなもの。
  水を酸素と水素に分解すれば、またエネルギーを取り出せるが、分解するためのエネルギーは酸素と水素が結合して水になる時のエネルギーと同値で、全く得になってない。
 ・ウォーターエネルギーシステムは、金属の板(アルミニウムと言われている)をたくさん重ねたものに水を通すと水素が発生し、その水素を使って発電するというもの。
  しかし、大阪大学の菊池誠教授や京都女子大学の小波秀雄教授は、その原理を金属の酸化反応だと結論付けている。
  水に触れると金属は錆びる(=酸化する)。水中の酸素が金属に奪われることで余った水素が出てくる。しかし金属の表面はどんどん酸化していくのでいずれ水素の発生は止まる。
  そうなると金属を新しいものに交換しなくてはならない。
  アルミニウムの原料であるボーキサイトの主成分は酸化アルミニウムで、純粋なアルミニウムを作るのに大量の電力を使う。
  つまり、「水で走る自動車」は金属を燃料にして走っている。なお、ジェネパックス社は2009年2月にホームページを閉鎖。以後は不明。
 ・フリーエネルギーの歴史は詐欺と誤解の歴史。
  ・1813年アメリカのチャールズ・レッドへッファーが「永久運動機関」をニューヨークの家に設置し見物人から入場料を取る。
   ロバート・フルトンがこれを「人力によるクランク運動」だと見抜き、居合わせた人々と一緒にトリックを暴いた。
  ・ジョン・ウォレル・キリーが「キリー・モーター」を発明し、投資を募った。怪しげな用語を用いて人々を煙に巻いたが1898年にキリーが死んだ後、彼の家を調査するとポンプから圧搾空気を鋼鉄線に見せかけたパイプを通して動かしていた事が判明。
   その他、大容量のコンデンサを隠しておく等の手口がある。
  ・1917年アメリカでガラベド・ギラゴシアンが超効率の「ギラゴシアン・ホイール」を発明したと主張したが、翌年、下院の委員会が5人の科学者を派遣し調査したところ、単なる「はずみ車」だと判明した。
   「蓄えていた回転エネルギーを一気に放出している」のを「超効率」だと誤解していた。(入力:1/20馬力(長時間)⇒出力:10馬力(一瞬))
  ・先のニューマン・マシンは、入力の数値を過小評価していて、見かけ上、効率が100%を超えていた。
  ・先のアダムス・モーターも、入力の測定を間違えていた。
  ・先のテワリの宇宙力発電について、井村宏次氏が著書「スーパーサイエンス」(1992年)で、テワリから送られた手紙に「数えきれない宇宙力発電機を建造し、入力/出力効率は300~400%の間を上下している」と書かれていたと紹介している。
   しかしその後、宇宙力発電機なるものが世に出たという話はいっこうに聞こえてこない。
  ・上記の他のものも同様で何十年も前に完成したはずなのに実用化までこぎつけた話はいっこうに聞かない。
  ・上の「EMAモーター」のエドウィン・グレイの場合、実験を何度かやって出資者から金を集めた後、スタッフとともに失踪した。
   日本では井出治氏がEMAモーターの再現に挑戦しているが、超効率は確認できていないという。
  ・発明者の劇的な失踪は稀で、ほとんどの場合、フリーエネルギー装置が完成したと騒がれて一時は話題になるものの、その後、発明者の努力に関わらずいつまで経っても実用化せず、立ち消えになるパターン。
  ・フリーエネルギー研究者は世界各地に大勢いるので、陰謀組織が全員を監視し、妨害し続けるのは無謀、むしろ陰謀組織自身が発明して巨大な利益を手にした方が得ではないか。

●隕石落下はどれくらい危険か
〔この説の主張〕
 ・2013年2月15日午後9時20分(現地時間)、ロシア連邦ウラル地方のチェリャビンスク州付近で隕石が大気圏に突入し、高度20キロで爆発した。
  1491名の負傷者と多くの建物に窓ガラスが割れたりドアが吹き飛ぶなどの被害が出た。被害総額は10億ルーブル(約30億円)と推定されている。
  NASAの発表によれば、この隕石は直径17メートル、質量1万トンで、爆発によって発生したエネルギーはTNT換算で約0.5メガトンと見積もられている。
  隕石の落下によって負傷者が出たのは、これが初めてであり、このような珍しい現象がこの時代に起きたのは大きな変化の前触れだろうか。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・隕石は昔から結構な頻度で地球に落下しているが、人がいない海や少ない場所に落ちる可能性の方が高いので記録がないだけ。
 ・直径数十キロレベルの小惑星が衝突する可能性は今のところないが、数十メートルレベルのものについては危険性がある。

〔調査内容〕
 ・地球に落下してくる物体は大小合わせて、年間約4万トン、実に1日100トン前後と推定されている。
 ・大気圏に突入した物体は(空気との摩擦ではなく)空力加熱で数万度の高熱を帯び、光を放つ。これが「流星」である。さらに-4等より明るくなると「火球」と呼ばれる。
  ※空力加熱:高速で大気中を飛ぶ物体の前面で空気が圧縮され、熱を帯びる現象。
  流星の90%以上は直径0.1ミリ以下の小さな塵(宇宙塵)で、高熱によって空中で蒸発してしまう。
  直径数センチ程度のものになると蒸発せずに地上に落ちてくる。これが「隕石」である。(厳密に言うと宇宙にある間はまだ「隕石」ではない)
  チェリャビンスク隕石ほどの大きさのものなら「小惑星」と呼んでも差し支えない。
  岩の塊が空中で爆発する理由は、大気圏に突入した小惑星には大きな空気抵抗がかかるうえ、高熱によって内部のガスが膨張し、バラバラに分解し、その破片がさらに空力加熱にさらされ高熱を帯びる。
  そのため、爆発的な熱の放出が起き、輝きを増す。
  チェリャビンスク隕石は地上や低空ではなく高空で爆発したので被害はまだマシな方だった。
 ・隕石によって人が傷ついたり、物が破壊されたという事例は他にも多数あり、人類の文明が生まれる前には地球の環境を激変させたもの(直径数十メートル~十数キロ)もあった。
 ・恐竜を滅ぼした直径約10キロの小惑星の場合、地球にぶつかる可能性は1億年に1回。チェリャビンスク隕石ぐらいならば10年に1回。直径1メートル以下なら、地球のどこかに毎年何十個も落ちていると考えられている。
 ・隕石の記録がほとんどないのは、地球の表面の7割は海で、陸地も大半が砂漠や草原やジャングルなどの人口過疎地域だから。
  ただ、現在は人口も増え人間の住む地域も拡大し、さらに都市(人口密集地)も増えたため、人口密集地に落下する確率、予想される被害の大きさは、昔よりも格段に上がっている。
 ・国際スペースガード財団(SGF)というNPO等が隕石の監視を行っており、現時点では地球への衝突の危険性のある大きな小惑星はない。(アポフィス等近くまで接近してくるものはある)
 ・直径数十メートルくらいの小惑星は発見されていないものが多数あると考えられており、この落下の危険性は否定できない。

●「百匹目の猿」現象は本当か
〔この説の主張〕
 ・ある特定の情報や行動が集団の中に広がり、特定の値を越えると、それまでその情報や行動を拒んでいた者や遠く離れた者にまでテレパシーのように伝わる現象。イギリスの生物学者、ライアル・ワトソンが発見し著書「生命潮流」で発表。
 ・1952年宮崎県の沖合にある幸島で、京都大学の研究グループがニホンザルの観測のためにサツマイモの餌付を行っていた。
  サツマイモには土がついており、猿たちにとっては食べづらくもあったのか、あまり気に入っていない様子が見られた。
  ある日「イモ」と名付けられた当時1歳半のメス猿がサツマイモを「川の水で洗う」という行動を考えついた。
  この行動はやがて、子供の猿を中心に少しずつ群れの中へ伝わっていった。しかし、大人の猿達にはなかなか受け入れられなかった。
  ところが1958年の秋に、当時イモ洗い行動をしていた猿の数を便宜上99匹(正確な数は不明)とした時、100匹となる新たな猿が加わった時、今まで受け入れなかった猿達にもあっという間に広まった。
  しかも、この行動は幸島から200キロ以上も離れた大分県の高崎山の猿の群れやそのほか日本全国の猿の群れにも広まっていた。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・ライアル・ワトソンによって創作された話である。

〔調査内容〕
 ・「生命潮流」では、霊長類研究者の「百匹目の猿」に関する逸話が伝承を断片的ながら存在したと記載。
  また、霊長類研究の第一人者である河合雅雄博士の論文を参考文献にあげているが、実際の論文では「約4年半の間にイモ洗い行動をする猿が17%ほど増加した」ということだけで「百匹目の猿」現象が起きたような事を示すような記録は載ってない。
  河合博士自身も「百匹目の猿」現象を支持する観察記録など存在しない事を明らかにしている。ハワイ大学の哲学教授ロン・アームンドスンらによって行われたインタビューの中で「「百匹目の猿」に関する逸話が伝承などなかった」と述べられている。
 ・遠く離れた場所でも起きたという話については、「他の群れや動物園の個々の猿が偶然にイモ洗い行動を覚えた事はあるかもしれない。しかし幸島以外でイモ洗い行動が他の群れのメンバーに広まったという観察はない」

●動物の地震予知はあたるか
〔この説の主張〕
 ・動物には、人間にはない不思議な能力があり、その代表的なものが「地震予知」。
 ・地震が起きる前には、その数日前から多数の動物が異常行動をとっていたという報告が出ている。
 ・動物には、人間には感知できない音や振動、電磁波、臭いといったものを捉える能力が備わっているので、それらを駆使する事で地震発生前の自然界の異常を察知していると思われる。
  大地震直前に起こる動物の異常行動などの現象を「宏観異常現象」という。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・動物の異常行動と地震の関係は、科学的に証明される可能性はあるかもしれないが、人間に役立てられるのは現時点では難しい。

〔調査内容〕
 ・動物の異常行動と地震の関係は、現在進行形で研究が進められているテーマ。
 ・動物等の「異常な状態」を確認するためには「正常な状態」を知りつくしておかなければならないが、「正常な状態」というものが固定ではない。
  例:いわし雲や飛行機雲は「異常な雲(地震雲)」に見える事がある。
    2008年5月12日に中国四川省でマグニチュード7.9の大地震が発生したが、その数日前に「カエルの大移動」が目撃された。
    だが、その後何度か「カエルの大移動」が目撃されたが地震は起きなかった。
    このカエルが「ヒキガエル」の一種ならば、生態上、大群で現れても不思議ではない。
    つまり、「カエルが大移動するシーズンにたまたま地震が起きた」ととらえた方が合理的。
 ・宏観異常現象が持つ最大の問題は、「大地震があった」という結果からさかのぼって「異常だった現象」を探そうとするため、「因果関係の立証がすでになされている」と誤認しがちな点。
  「異常だった現象」が起きたが「大地震が起きなかった」場合のデータも絶対に必要。

●キルリアン写真にはオーラが写っているか
〔この説の主張〕
 ・人の体の周囲には、光り輝く「オーラ」があるとされる。このオーラは一部の特殊な能力者を除くと通常は見る事が出来ない。
 ・1939年、旧ソ連の電気工学者セミヨン・キルリアンは、そのオーラを誰でも見られる写真という形で捉える事に成功した。
  撮影方法は被写体を写真感光板にのせて高電圧をかけるというもので、被写体としたのは植物の葉、人間の指など。
  撮影されたそれらの周囲には光り輝くオーラ状のものがはっきりと写っていた。
  このキルリアン写真はのちに世界中で研究され、その結果、人間の場合、感情の起伏や病気の有無などで光の写り方が変化を見せることがわかった。
  また植物の葉を半分に切断し、キルリアン写真を撮影すると、切り取ってなくなった部分と同じ葉の輪郭が再現される事もわかった。これを「ファントム・リーフ(幻の葉)」現象と呼ばれる。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・オーラの正体はコロナ放電。
 ・ファントム・リーフ現象は、高電圧によって葉の切り口から蒸発した水分が広がっていく際、たまたま元の葉の形と似た状態になった時に撮影できたものだと考えられる。
 ・キルリアン写真自体はとても美しく、芸術的な作品として受け継がれてほしい。

〔調査内容〕
 ・オーラの正体はアメリカのドレクセル大学、スタンフォード大学、アリゾナ大学、イギリスのキングズ・カレッジの各グループ、ならびに九州工業大学の藤田威雄教授らの研究によって、「コロナ放電」であると結論。
 ・コロナ放電とは、局部的に高電圧が生じる事によって起きる放電現象で、太陽のまわりをゆらめくコロナのような外観からその名がついたとされる。
  キルリアン写真では被写体に高電圧をかける。そのため被写体から放電現象が起きてフィルムを感光させ、オーラ状の写真が撮れる。
  撮影時に使う電動ガラスに指を押しつける力、角度、そして特に湿り気によって電流の形が左右されるらしい。なお、筆者が実験したところ、指の場合は湿り気よりも角度と圧力の方が重要なポイントになりうる。
  ただし、角度や圧力は主観的であるため、一定させるのは難しく、キルリアン写真が感情などによって左右されるという主張も、こういった不安定な要素が一因だと考えられる。
 ・葉の場合は、水分がポイントになり、特にファントム・リーフ現象の場合は重要である。薄く水分が少ない葉では非常に起こりづらく、著者の実験でも切り口から少ない水分が蒸発して、わずかに輪郭が広がる事はあったが、成功例はなかった。
 ・ファントム・リーフ現象をオーラの残像だと主張している心理学者セルマ・モス博士のグループでさえ、1年間も失敗を続け、1000枚以上も失敗写真を撮り続けたという。

●相対性理論は間違っているか
〔この説の主張〕
 ・2011年9月、長基線ニュートリノ振動実験OPERAが光とニュートリノを730キロ飛ばす実験をしたところ、ニュートリノの方が光より60ナノ秒早く到達したと発表。
  読売新聞は「現代物理学の基礎であるアインシュタインの特殊相対性理論では、宇宙で最も速いのは光だとしている。今回の結果は同理論と矛盾しており、測定結果が事実なら物理学を根底から揺るがす可能性がある。」と報じた。
 ・産経新聞も「光速で動く物体が時間が止った状態だとすると、それより速いニュートリノは時間を遡っているのかもしれない。すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性がある。」と解説している。
 ・物理学者達はアインシュタインを絶対視しており理論の検証を全くしてこなかった。
 ・アインシュタインが相対性理論を生み出す基礎になったのは1887年(19世紀)に行われた「マイケルソン・モーリーの実験」だが、この実験はこれ以降一度も追試された事がない。
 ・このことは科学者の世界ではタブーであり、真相を共謀して隠している。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・相対性理論を否定する証拠はなく、むしろ肯定する証拠が多数あり実社会でも役立っている。

〔調査内容〕
 ・たとえ光より速い粒子があったとしても、相対性理論とは矛盾しない。相対性理論では「物体が光速の壁を超えることは(無限のエネルギーが要るので)不可能」と述べているだけで、生まれた時から光速を超えている粒子が存在する事を否定していない。
 ・ニュートリノが光より速くても時間を遡っているわけではなく、時間を遡るということは発射時刻より前に到達することだが、この実験では光より少し速いだけで発射時間より後に到着している。
 ・2012年5月にOPERAが再実験を行ったが、光とニュートリノの速さに明確な差は確認できなかった。
 ・2012年6月8日、同チームはこの実験結果を発表し、前回の実験結果を撤回した。
  前回の実験は失敗であり、原因は実験に使ったGPS信号を地下に送る為のケーブルに隙間があいていたり、時計の発信器の周波数にも少しずれがあったりしたことで、その結果約59ナノ秒の遅れが生じたため。
 ・相対性理論を間違いだと主張している者は日本にも大勢いるが、彼らは全員、本職の物理学者ではない。(物理学以外の分野で博士号を持つ者もいるが、ほとんどは科学の高等教育も受けていない素人で一般向けの入門書しか読んでない。)
 ・アインシュタインは何度も間違った説を唱えた事があるというのは常識で妄信することはなく、相対性理論の正しさを信じているのは矛盾がない上、数々の実験で正しさが証明されているから。
 ・マイケルソン・モーリーの実験は、20世紀前半だけを見ても、ミラー、トマシェック、イリングワース、ピカードとスタヘル、ヨースら、何人もの学者が追試を行っている。
  このうち、エーテルの存在を示唆する結果が出たのは1920年のミラーの実験だけだったが、他の科学者はその実験結果を再現できず、約30年後R・S・シャンクランドがミラーの実験を分析し、統計誤差と実験室の温度勾配によるものだと推測。
 ・マイケルソン・モーリーの実験で用いられた装置はマイケルソン干渉計と呼ばれ、現代では大学生でもごく普通の実験に用いている。誰がどうやって全世界の学生の口をふさげるのか。
 ・そもそもアインシュタイン自身は特殊相対性理論発表前にマイケルソン・モーリーの実験を知らなかったと述べている。
 ・相対性理論は、現代でも頻繁に検証が行われており、例えば、2011年NASAの重力観測衛星グラビティ・プローブBが(一般相対性理論が予言した)「慣性系のひきずり」を発見したと発表。
  粒子加速器の実験などでも特殊相対性理論の予言と一致しており、矛盾した結果は出ていない。
  GPSには一般相対性理論を計算に入れて信号の周期をわずかに遅らせる補正が組み込まれている。

●「ID(インテリジェントデザイン)理論」は正しいか
〔この説の主張〕
 ・1990年代後半にアメリカの科学者の間から起こった新しい科学の考え方。
 ・従来の科学では、生物の進化を含めた世界の成り立ちは、自然の要因によって偶然に起こったものだとしてきた。
  だが、その中には偶然という言葉では説明できない「デザイン(構想や意図、意志、目的)」が働いているとしか考えられないものがある。
  それを科学として認めようという理論と運動。
 ・これまでの科学の前提や方法、哲学はもはや時代遅れであり、特に公認学説として権威を振るってダーウィンの進化論は矛盾だらけだ。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・科学研究の上ではID論は必要とされていない。
 ・科学教育とは本来、「真実に辿り着くための方法や姿勢」を教えるものであり、「道徳的に良い話」なら「科学的に間違っていても構わない」という考え方や、「願望を押しつける道徳的な良い話」を教育に持ち込むのは不適切であり、大人達のエゴだと言えるのではないだろうか。

〔調査内容〕
 ・ID論は新しい考え方ではなく、現代科学の夜明けの時代、科学的探究は神や聖書のといった「善なる真理」の存在をはっきりさせることはあっても否定することはないと考えられてきた。
  例:ニュートンは神学者としての研究も多く残している。ボイルの法則を見出したボイルも、自分の遺産の一部を使って無神論に対抗する講義をするよう遺言した。
 ・科学技術が日常生活に恩恵をもたらす事になると、さらに多くの人々が、いずれ科学は「善なる真理」を間違いない事実だと証明してくれると信じるようになった。
  しかし、残念ながら科学的探究の果てにたどりついた「真実」は、多くの場合「善なる真理」を裏付けるものではなかった。
  真実に失望した人々の中には、それでも諦めず「善なる真理」を証明する科学を求めようという動きがあり、科学の枠組みの中で新たな仮説を立てた人もいたし、枠組み自体を変えようとした人もいた。
  ID論もそうしたものの一つに過ぎない。
 ・ID論は、「聖書に書かれた事が真実」だとする「創造科学(宇宙や地球は聖書の記述通り数千年前から古くとも数万年前に創造主によって天地創造されたとする考え方)」をベースにしつつ、創造科学とは違い現代科学の全てを否定せず「生物の進化そのものは否定しない」等の調整を加えた上で、「進化には知的なシナリオがある」と主張したものである。
  創造科学では進化に目的があるというが、その考えは19世紀にスペンサーが唱えた説の焼き直しである。
  多くのID論者は自分達の研究は、宗教とは無関係だとしているが、創造科学を否定する主張はなるべく避ける傾向がある。
  進化論者と議論する際も「地球の古さや人類の起源」は話題にしない事が多く、知的デザイナーついても、その正体を追求するのは目的ではないとして、神との関係については触れない。
  こうしたスタンスのため、ID論の主張は彼らが矛盾だらけだと批判する進化論よりさらに矛盾に満ちたものになっている。ID論者が科学哲学や宇宙の存在意義、科学の限界などに議論を誘導するため、ID論をめぐる議論はきわめて難解で抽象的なものになる。
 ・ID論が批判する進化論の限界にしても、すでに解決済みのものがほとんどで、進化論に沿って研究を続けている人々は可能性こそ感じても限界など感じていない。
 ・ID論の提唱者であるディスカバリー研究所(キリスト教系の組織の支援を受けたNPO民間シンクタンク)のケーシー・ラスキン氏はナショナルジオグラフィックの記事で、
  クジラの進化について「クジラの世代交代の期間が長く個体数を増えない。これが進化と言うなら、体組織の発達を急ごうとした結果、最悪のケースを招いたとしか言いようがない。陸生生物がクジラに進化するまでどれだけ突然変異が必要なのかを考えてみると1000万年やそこらでは不可能で計算に合わない。」と指摘。
  クジラの祖先はカバやラクダのような偶蹄類の祖先と近く、細くて長い蹄を持つ小型の脚のある動物で淡水の川や池のほとりで水から出たり入ったりしながら暮らしていた。
  そこから400万年ほどかけて、古代クジラ(現在のクジラとは異なるムカシクジラ亜目に分類されるものの中で、ひれと尾びれを持って水中生活に適した形態になったもの)と呼べるような形に進化した。
  ラスキン氏は、クジラが短期間で進化できたのは知的なデザイナーがクジラの進化を導いたからだと主張する。
 ・進化論を支持するオクシデンタル大学の古生物学者、ドン・ブロザロ氏は同じ記事の中で「進化の過程を示す化石(事実)が見つかっている。」と反論。
  進化論ではクジラの進化を突然変異の結果だと考える。エサが豊富で競争相手の少ない海辺での暮らしに向いているものが増える⇒その中でより海の暮らしに適してものが子孫を残す、これを気の遠くなるほど繰り返された結果、ようやく今のクジラに行きついた。
  したがって、クジラの祖先が全て一直線にクジラに進化した訳ではなく、(水底を歩くような形のもの、ビーバーのような尾で泳ぐもの、ペンギンのようなヒレのある足をもつものなど)進化の過程で様々な種類に枝分かれしており、実際にそれを裏付ける多様な形態の化石が発見されている。
  そしてそのほとんどが絶滅し、今のクジラだけが生き残った。
  クジラの祖先の中には、ほとんど水中で暮らしていたのに出産だけは地上でするといったものがいた。現在、地球上に生きる動物の中にもそうした例は多い。ID論で言うデザイナーはなぜそんなやっかいな生態を持つ生物を創ってしまったのか。
 ・アメリカのリーハイ大学の生物学者でID論者であるマイケル・ベーエ氏は、同じ記事の中で
  「バクテリアの鞭毛はパーツが1つでも欠けると全体が機能しなくなる。脊椎動物の目と同じように「還元不可能な複雑さ」を備えている」として、段階的な進化ではとても考えられないと主張した。
 ・前出のブロザロ氏は「バクテリアの鞭毛に関しても、その進化過程とみられる中間的な組織構造が複数発見されている。また、バクテリアほど複雑ではない「準鞭毛」といった組織構造も自然界には存在している」と反論。
  さらに、まるで鞭毛のために作られたように見える仕組みも、元々は別の機能があり、たまたま現在の鞭毛モーターのように動くようになったと考えられるのだという。
 ・ID論支持者が進化論批判を続けるおもな理由は教育にある。
  アメリカの保守層が多い地域では、子供にキリスト教に根差した教育を受けてほしいと考える人が多く、学校で進化論を教える事に根強い反発がある。


【続く】
 

読書感想①

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 2月 5日(日)18時06分12秒
編集済
  『謎解き 超科学』
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)
株式会社 彩図社
平成25年

巷に流れる「科学的に証明された」と銘打たれた人体や超常現象に関する知識が本当にそうなのかを調査した本。
科学的な根拠として、実験や論文の有無やその内容が科学的かどうか等の視点で追求している。

この本を読んで以下のように思った。
人間には、「複雑で不確実で正しさのない現実」を「簡単にわかりやすく完璧に正しく理解する方法」や、「解決に手間や時間がかかりそれでも正解がない問題」を「簡単に手っ取り早くそして正しさも保証して解決する方法」があって当たり前、という認識がある。
本来の科学的な方法では、現実や問題に対して「仮説を立て試行錯誤の実験を繰り返し、ようやく自分なりの回答がでたものを、多種多様な他人に見てもらい、その上で反論されたものを取り込んで、また仮説の変更や試行錯誤の実験を行い・・・」という事を何度も繰り返して、ようやく「現時点では正しそう」という限定的な正解を得る。
だが、この方法は「それを知る(解決する)事が何より楽しい」と思える人以外には、この多大な手間や時間、資金をかけ、多数の前で批判され、そしてそれらが無駄になるかもしれないという「自分資源の浪費」、「自分の無知をさらす恥」、「無駄になる不安」と戦う事を強いられる苦行になる。
そして、一般的にはこのような地道な方法は(自分がこの方法を取らない言い訳のつもりか)「かっこ悪い方法」と見られがちで、もっとスマートでエレガントな裏技的テクニックを称賛する向きもある。
スマートでエレガントな裏技的テクニックを使っても必ず失敗するわけではなく、たまたまうまくいく場合も多々あり、それを強くアピールする事でよりこの傾向が強くなっていく。
また、人間には「信じたいことだけ(都合の良い事だけ)見ようとする(信じたくないことは無意識に認識しないようにする)」性質もあり、その結果、現実とはそぐわない事でも自分に都合が良ければ素直に信じてしまう傾向がある。
人間のこういう傾向が、いろいろな(この本で言う)超科学を生み出していると思った。

【日常に潜む超科学の真相】
●電磁波は健康被害を引き起こすか
〔この説の主張〕
 ・電磁波は身体に悪い
 ・電子機器に取り囲まれているのは電子レンジの中にいるのと同じ

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・健康に悪影響を及ぼすという証拠は見つかってない。
 ・仮に何か影響があったとしても、検出するのが難しいほど軽微だといえる。
 ・安全だと言える根拠は科学的研究結果から得られるが、危険だと言える根拠は雑誌やテレビなどからしか得られない。

〔調査内容〕
 ・電磁波は周波数の低い順に電波、光、放射線(エックス線、ガンマ線)
  電離放射線:原子核の周りにある電子を弾き飛ばせる高いエネルギーを持つ(光(紫外線)、放射線)
  非電離放射線:原子核の周りにある電子を弾き飛ばせるほどエネルギーを持たない(電波、光)
  基本的に周波数が高いほどエネルギーも高いので、電波は光よりも弱い(健康被害がない)。
  電子レンジ等のマイクロ波が人体に及ぼす影響は、「熱を加える」くらいであり一般の電子機器から発せられるものは微弱
 ・上記のような「メカニズム論」ではなく実際の影響を調べる研究も盛んに行われている。
  例:「送電線と電磁場とガンの関係の調査」
    95年米国物理学会の報告、96年全米科学アカデミーの報告、96年米国学術研究会議の報告⇒いずれも否定
  例:「小児白血病と磁場の関係」
    97年国立がん研究所の報告⇒否定
    ただし、弱い相関を示す研究結果も少数だがある
  例:「携帯電話の使用と脳腫瘍のリスク」
    98年「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」掲載論文⇒否定
    ただし、弱い相関を示す研究結果も少数だがある

●サブリミナル効果は存在するか
〔この説の主張〕
 ・本人が何も気づかぬように、ごく小さな刺激を無意識下に与える事によって、他人の行動を自由自在に操る事が出来る。
  ジェイムス・ヴィカリーという広告業者が1956年にドライブイン・シアターで行った実験、シアターのスクリーン上にごく短時間だけ画像をフラッシュさせる特殊な装置を開発し使用、映画の画像に被せて「ポップコーンを食べろ」、「コーラを飲め」という文字を5秒に1回、3000分の1秒という短時間だけ表示。
  この実験を6週間続けられ、参加者は延べ4万6千人になり、実験の結果、映画館の売店のコーラの売上が18.1%増え、ポップコーンは57.7%も売上がのびた。
 ・サブリミナル市場が発展。「テープを聞くだけでみるみる痩せるダイエット」といったサブリミナルテープの会社が米国とカナダだけで2000社もあり、その市場規模は5000万ドルと見積もられてる。
 ・NHKや日本民間放送連盟の番組放送基準によって厳しく禁じられている。これはサブリミナル効果が強力なため。
 ・ブライアン・キイが著書で、リッツ・クラッカーにはSEXという文字が表面に誰にも気づかれぬように描かれており人々に無意識の性的興奮を引き起こし購買意欲を高めていると暴露。
 ・1985年英国のヘビメタバンド「ジューダス・プリースト」の音楽レコードを聞いた米国の18歳の少年2人が「やっちまえ!やっちまえ!」と呟きながら突然ショットガンで自分の頭を撃ち自殺した。
  音楽レコードの音を逆再生すると「やっちまえ!やっちまえ!」というメッセージが隠されていた。これは「バッチワード・マスキング」というサブリミナル手法で、少年らの遺族によってこのヘビメタバンドは訴えられた。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・サブリミナル効果自体は存在する。
 ・ただし、それは自在に人をコントロールできるような強いものではない。

〔調査内容〕
 ・ヴィカリーの実験に関する論文がどこにもなく、当時の中学生向けの雑誌に載った記事がこの実験について一番詳しいと言われているほど、まともな報告の一本すらない。
  この2年後に米国連邦通信員会や議会の求めに応じてヴィカリーが追試を行った(この時は20分の1秒)が、全く効果がなかった。
  この他にも追試が何度も行われているが成功した例はほとんどない。
  1962年になってヴィカリー本人が「アドバタイジング・エイジ」という広告専門雑誌のインタビューに答えて「あの実験は顧客を増やそうと思ってした作り話だった」と告白。
 ・サブリミナルテープについて「自信を強化するテープ」と「記憶を強化するテープ」を用意してラベルをわざと張り替え逆にして被験者に聞いてもらうという実験が行われている。
  結果はテープの内容ではなくラベルの方の影響をよく受けていた。
  全米科学アカデミーが下部組織である米国学術研究会議(NRC)に評価依頼した事がある。調査の結果、NRCは1991年に「サブリミナルテープが人間の能力を増すという主張を支持するような理論的な根拠も実験的な証拠もどこにもない」と結論づけた。
 ・キイの主張については、主張しているのが彼一人しかいない。クラッカー表面を使ってロールシャッハテストごっこをしているようにもみえる。
  実際、広告のどこかに性的メッセージを隠してみて、被験者側の反応がどう変わるかといった心理実験も行われているが、効果なしという判定がほとんどだ。
 ・ジューダス・プリースト事件は、曲と自殺の因果関係が不明だとして、訴えは却下された。
  また、音を逆転させて無意識下にメッセージが送れるかどうか、といったテストも行われているが失敗している。
 ・NHK等のTV放送で禁止されているのはサブリミナルに効果があるからではなく「本人も気付かないうちに他人の意識をコントロールしようと試みること」自体が倫理的ではないから。
 ・人には見慣れたものの方をより好ましく思うという性質がある。
  被験者が気がつかないほど素早く人の顔写真をフラッシュさせて見せておき、その後で、フラッシュさせた顔とそうでない人物の顔のどちらがより好ましいかを聞くと、フラッシュさせた顔を選ぶ傾向がある。
  ⇒サブリミナル単純接触効果

●牛乳を飲むと不健康になるか
〔この説の主張〕
 ・牛乳を飲む人ほど骨粗鬆症になりやすい。
 ・世界で最も牛乳をよく飲んでいる国はノルウェーだが、国民の骨粗鬆症の発症率は日本の5倍。(美健ガイド社から出ているマンガ冊子「牛乳はモー毒?」に記載)
 ・日本人には乳糖不耐症(乳糖を分解する酵素を持たない)の人が多く、消化できなかった乳糖が大腸の浸透圧を高めて下痢を引き起こし水分やカルシウムなどの栄養素が出て行ってしまう。
  また、小さな子供の未熟な消化器官では分解できないため飲ませ過ぎると完全に分解されていない動物性タンパク質が血液中に入り込み免疫反応を起こし牛乳アレルギーを起こす事もある。
 ・牛乳はもともと仔牛のための飲み物であり、それを人間の大人が飲むのは自然の摂理に反する不合理な習慣である。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・牛乳はカルシウム補給源として有用な食品。
 ・牛乳に限らずどんな食べ物でも摂り過ぎは禁物。
  アメリカでは1日約720ミリリットルの飽和脂肪酸が少ない無脂肪乳や低脂肪乳の摂取を奨励。

〔調査内容〕
 ・この説が生まれた背景には、糖尿病や動脈硬化など昔はあまりなかった病気が増えたのは外国から入ってきた食習慣のない食べ物に原因があると考えがある。
  さらに、新谷弘実医師の著作「病気にならない生き方」が100万部を超えるベストセラーになった事が影響していると考えられる。
 ・1人当たりの年間牛乳消費量は1位からエストニア、アイルランド、フィンランド、アイスランド、オーストラリア、イギリス、スウェーデン、ノルウェーの順で8位(国際酪農連盟の報告書2010)
  骨粗鬆症が日本の5倍になるという根拠になるデータがないし、そうした事実も存在せず、北欧諸国における大腿骨頚部骨折の発症率が高いという報告だけある。
  これも牛乳と骨折に相関がみられるというだけで原因とまではいえず、他の要因(例えば北欧に住む人は高齢者も含めて日本人より身長が高い)も考えられる。
 ・1978年~1992年にかけて約4500人を対象に広島で行われた追跡試験では、牛乳の摂取頻度が高い人ほど、腿骨頚部骨折(骨粗鬆症の指標)のリスクが低い傾向が見られた。
 ・40歳~59歳の人約3万3970名と、40歳~69歳の人4万1664名を10年間追跡調査した2つの研究をメタ解析した研究では、カルシウム摂取が最も少ない女性グループが最もカルシウム摂取が多いグループと比べて椎骨骨折の相対危険度は高水準だった。
  つまり、牛乳摂取量が多いほど骨折はしにくくなる。
 ・乳糖不耐症であっても(1日に1L牛乳を飲むような場合でなければ)ある程度は分解できる。(奥恒行「ヒトにおける乳糖の一過性下痢に対する最大無作用量とそれに及ぼす食べ方に関する研究」(平成13年度牛乳栄養学術研究会委託研究報告書(全国牛乳普及協会2002年7月)))
 ・カルシウムは主に小腸上部の十二指腸や空腸で吸収されているので、大腸がゴロゴロしたとしても吸収には関係ない。
 ・小さな子供の牛乳アレルギーについては注意が必要。

●「磁気がコリをほぐす」は本当か
〔この説の主張〕
 ・昔から現在まで磁気治療機器が販売されてる。
 ・厚生労働省も「家庭用永久磁石磁気治療器」を認めている。
 ・「コリンエステラーゼ抑制説」(大手の家庭用永久磁石磁気治療器メーカー)では、(血管を弛緩させ血流を増大させる)アセチルコリンを分解してしまうコリンエステラーゼという酵素の働きを磁石で阻害できる。
 ・「ヘモグロビン酸素放出促進説」(桐蔭横浜大学工学部の川久保達之教授)では、磁力によってヘモグロビンから酸素が多く放出されることによってコリなどの体の不調が解消される。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・まだ科学的、医学的な根拠が足りていない。
 ・メーカーでは磁力の強さによってランク付けを設けているところもあるが、そもそも強ければよく効くという根拠もない。

〔調査内容〕
 ・永久磁石が健康に良い効果をもたらすという確実な証拠はまだない。(一部、肯定的な研究はある)
 ・赤血球の大部分であるヘモグロビンは鉄を含んでいるが、血液は磁石にほとんど影響を受けない。仮に血液が磁石に引き寄せられるとすると血液の流れを阻害することになる。
 ・「永久磁石による痛みの低減効果はプラセボ効果ではないか」(米オクラホマ大学の研究。「アメリカ苦痛管理ジャーナル」で発表。2004年)
 ・「磁気健康器具には治療効果がない」(英国医師会誌「BMJ」。2006年)
 ・「100ミリテスラの永久磁石による短期的影響として血行の促進は起きなかった」(Scientific Review of Alternative Medicine。2002年)
 ・「85ミリテスラの永久磁石による短期的影響として血行の促進は起きなかった」(ノヴァ南東大学。2005年)
 ・医療現場では家庭用永久磁石磁気治療器の10倍~20倍の3テスラの磁力を体に加えるMRIという機器があるが、人体に目立った影響が出るという結果はない。
 ・JIS規格のJIS-T2007の基準(患部に接する部分の磁束密度が35ミリテスラ以上200ミリテスラ以下など)を満たせば「家庭用永久磁石磁気治療器」の認定を受けられる。
  家庭用永久磁石磁気治療器の認定があれば、効能効果・使用目的として「装着部位のこり及び血行の改善。一般家庭で使用すること」と効能を表記する事が出来る。(厚生労働省告示第112号)
  厚生労働省によれば、効能効果があるという実績が過去にあったとしている。
  厚生労働省が根拠として示した論文は、中川恭一氏の「皮膚貼付用磁気治療具の治療効果について」(大手永久磁石磁気治療器メーカーの「医療用具製造承認申請書」の添付資料)。
  この論文の結論は90%以上の使用者に効果があるということだったが、この結論は販売している磁気治療器のパッケージに同封したアンケートはがきの集計結果から得られたもの。

●ゲルマニウムで治癒力が上がるか
〔この説の主張〕
 ・人の身体には微弱な電流が流れているが、そのバランスが崩れると体調不良を起こす。
  半導体のゲルマニウムの特性として生体電流をうまくコントロールすることで新陳代謝を活発にし様々な健康・美容効果が期待できる。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・アクセサリー系は、効果を期待しない方が良い。
 ・健康食品系は、積極的に摂取しない方が賢明。

〔調査内容〕
 ・ゲルマニウムは、アクセサリー系(身につける)と健康食品系(食べる)に大別できる。
 ・アクセサリー系のゲルマニウムについて、インターネットの通信販売と実店舗で購入可能な1万5000円未満の高純度ゲルマニウムブレスレット12点について国民生活センターが2009年にテスト。
  全てのブレスレットのベルト部分からはゲルマニウムは検出されず。12商品中8商品ではブレスレットに埋め込まれた小さな金属の粒部分にゲルマニウムが1.5%未満、そのうち1商品は0%。
 ・国民生活センターが日本最大の科学技術文献情報データベース「JDreamⅡ」に収載の「JSTPlus」と「JMEDPlus」を使い2005年以降に発行された原著論文が検索されたが、科学的根拠を示す論文は確認されず。
 ・国民生活センターは、業者に対し明確な科学的根拠がなければ効能に関する表示を取りやめるよう要望。
 ・健康食品系のゲルマニウムについて、無機ゲルマニウムと有機ゲルマニウムに分けられる。
 ・無機ゲルマニウムとしては酸化ゲルマニウムがあるが、これは継続摂取すると腎障害、食欲不振、嘔吐などの健康被害を引き起こす事が知られており、死亡例もある。
 ・国立健康・栄養研究所の報告では「酸化ゲルマニウムを含有させた食品を継続的に摂取することは避ける」べきだとしている。1988年には当時の厚生省が動物実験をもとに同様の注意勧告をしている。
 ・有機ゲルマニウムとしては医薬品として承認されているのは「プロパゲルマニウム」だけで、これ以外の有機ゲルマニウムについては信頼性の高い科学的データが十分ではなく、健康被害も3件報告されうち1件では死者が出ている。
 ・医薬品のプロパゲルマニウム(製品名「セロシオン(R)カプセル10」(B型慢性肝炎の治療薬))にしても重大な副作用として慢性肝炎の急性増悪があげられ製品説明書にも死亡例が報告されている旨の警告文が記載されている。

●デトックスで毒素を排出できるか
〔この説の主張〕
 ・人間は、残留農薬や食品添加物、生物濃縮による水銀やヒ素といった様々な有害化学物質や活性酸素といった毒素を身体に溜め込んでいる。
 ・デトックスによってこれらの毒素を排出する事で健康になれる。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・デトックスが健康にプラスに働くという科学的な根拠はない。
 ・デトックスと言う言葉自体がほとんど意味を持たない。

〔調査内容〕
 ・デトックスによって有害物質が排出されるという科学的根拠がない。
 ・イギリスの「若い科学者の声(VoYs)」(大学院生や博士号取得者が参加)の調査では、「デトックスは薬物中毒や中毒症状に対する治療行為以外では意味がない」と結論。
  さらに「デトックスについて同じ定義を用いている企業は1社もない」と指摘。そもそも「デトックス」は医学的な専門用語ですらない。
 ・足裏から毒素を排出する方法として、「足裏樹液シート」と「デトックスフットバス(イオンデトックス等とも呼ばれる)」が有名。
  足裏樹液シートは水分さえあれば、茶色くベタベタ(毒素を吸い取ったみたい)になる。
  デトックスフットバスは足を入れなくても機械の電極が錆びて水に溶けだし、水が茶色(毒素が溶け出したみたい)に濁る。
 ・大腸内に腸壁にこびりついて排出されずにずっと残っている「宿便」は確認されなかった。
  便秘によって数日間にわたって便が大腸内に留まる事はあるが、腸壁にこびりついているわけではない。
 ・デトックス健康法については、「運動で汗を流す」「食物繊維を意識して摂る」「適度な睡眠をとる」「ストレスを発散」など普通の健康法であり、わざわざ「デトックス」という言葉を使う必要が見当たらない。
  さらに、過度な運動や健康に良いといわれるものだけを偏食するなど極端なものは健康被害の原因になる。
  例:デトックスダイエットという名目で大量の水(毎日2L)を飲んでいた女性が水の飲み過ぎによるナトリウム欠乏症で脳障害を負った。

●「水からの伝言」は本当か
〔この説の主張〕
 ・水の研究者、江本勝氏による実験によると「ありがとう」という言葉を見せた水を凍らせると(波動の影響で)非常にきれいな結晶ができるが、「ばかやろう」という言葉を見せた水は凍らせても崩れた結晶しかできない。(写真集「水からの伝言」1999年)

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・実験結果は実験結果とは呼べないような代物。
 ・道徳としても薦められる話ではない。

〔調査内容〕
 ・物理学者の中谷宇吉郎氏の研究結果によって、空気の温度と水蒸気の過飽和度が決まれば雪の結晶の形はわかるという(中谷ダイアグラム)。
  つまり、結晶の形が「波動」などという同一条件を揃える事が不可能なものに依存していない事を示している。
 ・江本氏らが「水は答えを知っている」の中で触れられている実験方法は、-20℃以下で凍らせた氷を、-5℃の部屋でライトを当てながら顕微鏡で観察するというもので、きれいな結晶が現れるのは短時間でその後溶けてしまうという。
  ポイントは「かなりの低温で凍らせた氷を比較的暖かい環境で観察する」というところで、中谷ダイアグラムを横断するように観察していると説明でき、この場合安定した観察結果を得る事は難しい。
  つまりわざわざ不安定な環境で結晶をつくるという(実験として)信頼できないもので、観察者の主観によって実験結果に偏りが生じる可能性が高い。
 ・江本勝氏は、波動製品を扱う企業グループ(株式会社I・H・M)の代表で、実態不明の「波動」を測定できる「HADO-i」を30万円弱、波動の調整や転写が出来るという「数霊セラピーシステム」を40万円弱で販売。
  「水からの伝言」関連書籍はバイブル商法の手法と同じ。
 ・道徳としても、見た目の美醜で良い悪いを判断しているのは問題。また、自分の判断ではなく「水の結晶」に判断を委ねるというのも問題。

●「マイナスイオン」で健康になれるか
〔この説の主張〕
 ・マイナスイオンとは負の電気を帯びた粒子のことで、マイナスイオンは体の疲れをとったり病気を予防するなど様々な効能がある。
 ・小冊子「マイナスイオンの知恵袋」(有限会社ユニバーサル企画)によると、マイナスイオンは体に様々な良い影響があり、逆にプラスイオンは体に悪影響を与える。
 ・「空気マイナスイオンの科学と応用」(日本機能性イオン協会2004年)にはマイナスイオンの効能に関連する研究報告が数件掲載されている。
 ・緑の深い森を訪れたり滝を見に行ったりすると気分が晴れやかになるが、それはマイナスイオンの効果。
 ・大手電機メーカーなどの企業でも様々なマイナスイオン商品が出ている。

〔この本の著者が調査した結果〕
 ・そもそもマイナスイオンの正体が不明で、効果も非常に疑わしい。
 ・マイナスイオンは善、プラスイオンは悪という極めて単純な二元論や生活習慣病、ストレスに関するものは生活の中で不安に駆られている人の関心を引き付けるものがある。

〔調査内容〕
 ・科学の世界には「マイナスイオン」という用語は存在しない。(理化学辞典(岩波書店)、化学大辞典(東京化学同人)。科学大辞典第2版(丸善2005年)にはあるが「その詳細はわからない」旨の記載あり)
 ・化学におけるイオンとは「原子や分子が過剰な電子を持つか逆に失って電荷を帯びたもので、通常は溶液や結晶中に存在しており安定した電子構造を持つもの」でマイナスイオンの「帯電して浮遊している様々な微粒子」とは別物。
 ・マイナスイオン商品をみると、マイナスイオンの発生方法には主に「レナード効果」をもとにしたものと「コロナ放電」によって発生させるものがある。
 ・レナード効果とは、水が粉砕されて微小水滴になるとき、電荷が分離して小さな水滴が負に帯電することをいう。帯電のミクロなメカニズムは不明。
 ・コロナ放電によるものは、5千~1万ボルトで放電させると電子が陰極から放出され、主に酸素分子02に捕まえられてラジカルイオン(活性酸素含む)が生じる。
 ・「空気マイナスイオンの科学と応用」の研究報告は学術論文として査読を経て一般的な科学雑誌に掲載されたものではない。
 ・マイナスイオンの発生するヘアドライヤーネックレス、マイナスイオン化粧品などの効果の評価実験報告では、二重盲検法を使わずプラセボ効果を排除していない。
 ・マイナスイオン発生機器で測定されているイオンの濃度は極めて微量であり1立方センチあたり10の3乗~10の5乗個程度。(琵琶湖に耳かき一杯の塩を入れてかき回したときの濃度よりはるかに薄い)
 ・大手家電メーカーも大部分が撤退し、今ではマイナスイオン発生で使った技術を空気清浄や集塵、除菌といった分野に転用している。(但しそれについても宣伝された効果がなかった製品があった)
 ・マイナスイオン効能があるとしてトルマリン(電気石)を装身グッズにして販売しているが、放電が起きるような電圧には程遠い。
 ・微弱な放射線を発生するトリウム鉱石やチタンのブレスレットなども、全く効果が期待できない。

【続く】
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2017年 1月20日(金)23時20分43秒
  『生と死を握るミトコンドリアの謎-健康と長寿を支配するミクロな器官-』
 米川 博通
 株式会社技術評論社
 2012年

ミトコンドリアの仕組みと健康に関して説明した本。
誤植が多いのは気になったが、ミトコンドリアの意外な機能などがわかりやすく説明されてて面白かった。

第1章 ミトコンドリアと長寿命遺伝子
 30%~40%(腹6~7分目)のカロリー制限⇒長寿命遺伝子の活性化⇒長寿が実現
 メタボリックシンドローム:内臓脂肪症候群
 脂肪細胞(アディポサイト)とアディポ(サイト)カイン(生理活性のあるタンパク質)
 ストレス、過食、運動不足⇒脂肪の蓄積(内臓脂肪(腹囲)の増大)⇒善玉アディポカイン(レクチン、アディポネクチン)の分泌が抑制+悪玉アディポカイン(TNF-α、PAL-1、HB-EGF等)の分泌が増大⇒メタボリックシンドロームの発症!(高脂血症、糖尿病、高血圧症)
 【ミトコンドリアとの繋がり】
 カロリー制限⇒善玉アディポカイン増大⇒細胞内のカルシウムイオンやAMPが増加⇒CAMK、AMPKという二つの系が活性化⇒PGC-1aが活性化⇒ミトコンドリアの生合成が高まる⇒酸化的リン酸化を介してATPの生合成が高まる⇒糖や脂肪がどんどん消費される⇒メタボリックシンドロームを改善
 【長寿命遺伝子】
 インスリンシグナル系
  線虫から哺乳類まで共通。
  インスリン⇒インスリン受容体⇒PI3キナーゼ、AKT⇒・・・⇒FOXO。
 サーチェイン蛋白系
  染色体の(老化を起こす)ある領域に含まれる遺伝子を一斉に転写させなくする(不活性にする)働きに関与。(サイレンシング)
  サイレンシングの情報を制御するタンパクという意味を持つ「Sir」と呼ばれ、代表的なSir2(酵母での呼び名。哺乳類ではSIRT1と呼ぶ)は酵母、ショウジョウバエ、線虫、ヒト、マウス等の哺乳類まで広く存在。
  SIRT1の性質
  ①ヒストン脱アセチル化酵素:DNAに巻きついている「アセチル化したヒストン」からアセチル基を除去することで、弛緩していた染色体の構造が引き締まり、サイレンシングが起こる。
  ②NAD依存性ADリボシル化酵素:ADPリボースをNAD+からアミノ酸に転移させることを通じて細胞内の代謝の様子を察知、長寿命遺伝子に反映させる。
 個人的解釈:本の中ではこの他にもいろいろなメカニズムが記載されていたが、正直繋がりがよくわからなかった。
       この章では「カロリー制限をすると長寿命遺伝子が活性化し、その過程でミトコンドリアが関わっている」という事が言いたいのだと理解した。

第2章 うごめく糸屑 変わりゆくミトコンドリア像
 細胞内のミトコンドリアの数:約300個(「電子顕微鏡で連続切片からカウント」、「(遠心)細胞分画法」、「リアルタイムPCR」で同様の結果)
 人間の体内のミトコンドリアの数:細胞数(約60兆)×約300個=約1京8000兆個
 ミトコンドリアの姿:二重膜+クリステ(内膜の櫛の歯みたいな部分)という基本構造以外は不定形(死んだミトコンドリアは俵型)
 生きているミトコンドリアは(特に動物の場合)透明のため光学顕微鏡では見れない。
 バイオイメージングによって細胞内の特定のタンパク質やオルガネラ(細胞内の構造物)を光らせて生きたまま観察できる。

第3章 エネルギープラントとしてのミトコンドリア
 計算上、体重60kgの成人男性は1日当り85kgのATPを消費している。(実際は回路反応の効率が高い(使いまわしている)ため100g程度のATPで十分)
 動物の場合、生成されたATPの90%以上は体を構成するタンパク質、核酸、多糖類等の生体高分子の生合成に利用。(うち、88%はタンパク質の合成)
 ブドウ糖(グルコース)が完全に二酸化炭素と水に分解された場合、1モルあたり2880kJのエネルギーに相当。このうちATPに変換されるのは約45%で残りは熱になる。
 この熱が発生する場所がミトコンドリアであり、この熱が体温になる。
 【ミトコンドリアが膨大なエネルギーを作り出すメカニズム】
 発酵(嫌気性環境下で糖を分解し、エネルギー(ATP)を得る事)
  糖(ブドウ糖/グルコース)⇒[酵母(解糖系)]⇒ATPと副産物(アルコール)
 呼吸
  外呼吸:酸素を細胞にまで運ぶ過程。一般的イメージとして言われる呼吸。
  内呼吸:外呼吸で運ばれた酸素とブドウ糖からATPを生みだす仮定。細胞呼吸とも言う。
 細胞のエネルギー代謝の仕組み
              (アミノ酸↓)         (脂肪酸↓) (アミノ酸↓) (酸素↓)
  グルコース⇒[細胞内⇒解凍系⇒ピルビン酸⇒[ミトコンドリア内⇒アセチルCoA⇒TCA回路⇒電子伝達系⇒ATP(36分子)(酸化的リン酸化)
            (↓ATP2分子)          (CO2↓)    (活性酸素、水↓)
            (基質レベルのリン酸化)
 解凍系
  準備期
   第1段階
    グルコース+ATP2分子⇒D-フルクトース-1,6-ビスリン酸(FBP)+ADP2分子
   第2段階
    FBP⇒[開裂(酵素の働きで2つの物質に分かれる事)]⇒ジヒドロキシアセトントン酸(DHAP)※、グリセルアルデヒド-3リン酸(GAP)⇒1,3ビスフォスフォグリセリン酸(BPG)2分子
    ※ジヒドロキシアセトントン酸(DHAP)⇒グリセルアルデヒド-3リン酸(GAP)
  報酬期
   第3段階
    BPG2分子+ADP4分子⇒ATP4分子+H20+ピルビン酸
  酸化還元反応などを加味すると
   グルコース+2ADP+無機リン酸+NAD+ ⇒ 2ピルビン酸+2ATP+NADH
   NAD+は飢餓時やカロリー制限時にNAD+/NADHの量比でそれらの状態をチェックするセンサーとして機能するため、脱水素酵素の働きによってNAD+の量を常に戻す必要がある。
   長寿命遺伝子にも深く関わる。
 TCA(クエン酸)回路(場所:マトリックス)
  一巡するとアセチルCoAによって持ち込まれたアセチル基が2分子の二酸化炭素に変えられ、電子伝達系の材料であるNADHやFADH2がつくられる事になる。
  また、糖(糖代謝)以外の分解、(逆に遡る事で)合成も行う。
  タンパク質(アミノ酸代謝)⇒[消化管で消化]⇒アミノ酸(構造により「糖原性」「ケト原性」に分かれる)
   糖原性アミノ酸⇒[脱アミノ化※]⇒[TCA回路]⇒分解(ATP)+[TCA回路を逆に辿り]グルコース(新糖生)⇒グリコーゲン(肝臓に蓄積)
   ケト原性アミノ酸⇒[脱アミノ化※]⇒アセトアセチルCoA⇒アセチルCoA⇒[TCA回路]⇒分解(ATP)、または[脂質代謝の経路を逆に辿り]脂肪酸やケトン体
   ※肝細胞のミトコンドリアで行われるアミノ酸分解の過程。この過程でアンモニアも生成されるが尿素回路(オルニチン回路)を経由して尿素や尿酸に変換され尿として排出される。
  脂質(脂質代謝)⇒[消化管で消化]⇒脂肪酸、グリセリン
   脂肪酸⇒アシルCoA⇒アシルカルチニン(ミトコンドリアのマトリックスに入る)⇒アシルCoA⇒[β酸化※]⇒(アセトアセチルCoA)⇒アセチルCoA⇒[TCA回路]⇒分解(ATP)
   グリセリン⇒[解凍系]⇒[TCA回路]⇒分解(ATP)
   ※脂肪酸を酸化させる事でアセチルCoAを取り出す代謝経路
  その他、コレステロール代謝等
 電子伝達系(場所:クリステ)
  NADHからの電子は各複合体に含まれる電子受容体の電位差によって、最も電位差の低い酸素に向かって流れる。水力発電所とそっくり。
  マトリックス内の水素イオンが膜間腔に排出された結果、ミトコンドリアマトリックスと膜間腔の間で高い電位差(マトリックスで-180ミリボルト(pH8))を生じる=膜電位
  電子伝達系で作りだされるATPの総量はグルコース1分子に対して34分子(ミトコンドリア全体では36分子)
  複合体Ⅰ:NADH⇒NAD+に酸化。2個の水素イオンと2個の電子が補酵素CoQ(コエンザイムQ)に渡され、2個の電子あたり4個の水素イオンがマトリクスから膜間腔に排出
  複合体Ⅱ(TCA回路の酵素:コハク酸脱水素酵素):コハク酸からの2個の水素イオンと2個の電子をFADを介してCoQに伝達。4個の水素イオンを膜間腔に排出
  複合体Ⅲ(構成成分にチトクロームb、c1):還元型CoQ(CoQH2)がチトクロームbに電子2個を渡し、2個の水素イオンを膜間腔に排出。自らは酸化型CoQに戻る
                      この時、電子の1つがチトクロームc1を経てミトコンドリア内膜の膜間腔側に存在するチトクロームcに電子を渡す⇒複合体Ⅳへ
                      もう一つの電子は再度CoQに戻り、一電子還元する。その結果、マトリックスから2個の水素イオンを膜間腔に排出する。
  複合体Ⅳ(電子伝達の最後の複合体。栄養素と酸素が合流):チトクロームcから渡された電子により、酸素分子が4電子還元され、マトリックスの水素イオンと結合して水が生成される。
                              ここの働きが悪いと電子が内膜中に溜まり、マトリックスや膜間腔に漏れ出し、酸素分子を還元し活性酸素ができる
  複合体Ⅴ(ATP合成酵素):膜間腔にある水素イオン3分子をマトリックスに戻す時のエネルギーを使って1分子のATPを作りだす。

第4章 死を呼ぶ赤いタンパク質 ミトコンドリアとアポトーシス
 アポトーシスとは「細胞の自殺」
  真核生物の細胞に存在する仕組み
  外因性(外部からの刺激で細胞が損傷)と内因性(DNAが損傷し修復不能)の場合があるが、ミトコンドリアが関係するのは主に内因性の方だが、外因性の方にも関与(ミトコンドリアを介すルートと介しないルートがある)。
  ①正常な細胞⇒②形が丸くなり核が凝縮(アポトーシス開始)⇒③アポトーシス小胞に分解⇒④マクロファージが貪食し処理(アポトーシス完了)
  ①⇒②間の詳細
   ①⇒イニシエータカスパーゼ(カスパーゼ9,8,12など)⇒エフェクターカスパーゼ(カスパーゼ3,7など)⇒②
   カスパーゼ:アポトーシスに関与するタンパク質。哺乳類では14種類見つかっている。ミトコンドリアが関与しているのはカスパーゼ9。
         カスパーゼ9⇒ミトコンドリアから流出したチトクロームc(赤いタンパク質)と結合して活性化⇒カスパーゼ3が活性化
   また、核DNAがヌクレオソームという158塩基対の長さの短い単位で切断される。(アガロース電気泳動でDNAの断片が不連続に現れる(DNAラダー))
  病原菌との戦闘終了後のリンパ球の行方
   死のシグナル⇒デスレセプター(受容体)⇒カスパーゼ8⇒[Bidというタンパク質の末端を切断]⇒tBit⇒[Bax、Bakが活性化しミトコンドリアの外膜に穴を開ける]⇒[チトクロームcを放出]⇒アポトーシス

第5章 「ミトコンドリア・カタストロフィー」はこうして起こる
 ①ミトコンドリアDNAの有害な突然変異、部分欠損などでミトコンドリアDNAに機能異常が存在する⇒②電子伝達系を中心とした呼吸鎖複合体の活性が低下する⇒③それに伴い膜電位やATP生産量が低下する⇒④有害な活性酸素が増加する⇒ミトコンドリアの突然の停止(ミトコンドリア・カタストロフィー)
 ミトコンドリアDNA
  大多数の動物種は環状二本鎖構造(ゾウリムシのような原生動物では線状二本鎖構造)で長さ5ミクロン程度、塩基対の数は約16300とほぼ一定。
  遺伝子は37個(リボゾーム2個、トランスファーRNA22種、タンパク質13種)
  また、約900bpの部分「D-ループ」には遺伝子はないがミトコンドリアの複製やRNAの転写に深く関わっている。進化速度が速い
  特徴①動物のミトコンドリアDNAは、核のDNAや植物のミトコンドリアDNAと違ってイントロン(介在配列)が存在しない。
  特徴②タンパク質やリボゾームRNAをコードする遺伝子の間にいくつものトランスファーRNAの遺伝子が存在。
  特徴③ミトコンドリアのコドンは核のコドンと異なる個所がある。
  特徴④一部のタンパク質をコードする遺伝子では、ミトコンドリアDNA上で完全な終止コドンができておらず、転写後メッセンジャーRNAにポリA鎖が追加されるとき、TがTAAとなって新たに終止コドンが出現するようになる。
  特徴⑤核DNAと違って動原体や分裂装置(中心体や紡錘体)がない。
 ミトコンドリア・カタストロフィー
  細胞分裂後に娘細胞に入るミトコンドリアDNAの数はバイチャンス(偶然)で決まるが、だいたい同じ数が入るように分配される。
  個体が一種類のミトコンドリアDNAしか持っていない状態を「ホモプラズミー」と呼ぶ。(一般的)
  個体が二種類以上のミトコンドリアDNAを持った状態を「ヘテロプラズミー」と呼ぶ。
  ⇒1つのミトコンドリアDNAに突然変異が起きてミトコンドリアの機能に影響を及ぼす場合、そのミトコンドリアDNAはミトコンドリア病を起こす(この本では「病的ミトコンドリアDNA」と呼ぶ。なお、正常な方は同様に「野生型」と呼ぶ)
  ⇒病的ミトコンドリアDNAが7割を超すとミトコンドリア・カタストロフィーが発生して細胞が死ぬ。

第6章 ミトコンドリア母性遺伝の真実
 1.種内交雑ではミトコンドリアDNAの母性遺伝は厳密に起こる。その原因は発生初期に起こる父親のミトコンドリアDNAの選択的排除による。
 2.種間交雑では父親のミトコンドリアDNAが子孫に残ることがある。その原因は、細胞質とミトコンドリアの不和合性にあると思われる。
 3.この父親のミトコンドリアDNAに対する選択的排除機構は核ゲノムによって支配されている。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年11月28日(月)23時21分9秒
  『【図解】確率がわかる本』
 山本誠志
 有限会社 青橙舎
 2011年

確率について、極めて初歩的ながら重要な事(確率は「順列」で考える等)を分かりやすく説明した本。
特に、「数学的な確率」と「現実的な確率」を分けて考えている。

確率の面白さや大切さと同時に確率の限界や期待外れ感がわかる。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年11月26日(土)18時46分13秒
  『生きて動いている「有機化学」がわかる』
 齋藤 勝裕
 ベレ出版
 2015年

有機化学についてより理解しやすくした本。
とりあえず基本部分を抜粋。

化学反応:電子雲のフワフワと頼りない反応

有機化学反応:無機化学反応より複雑な反応。
       1.①古い共有結合を切断⇒②新しい共有結合を生成、の2段階の異なる変化が必要。
       2.有機化合物は大きく複雑なので、分子のどの部分(と他の分子のどの部分)が反応するかという問題が生じる。
       3.一度の反応で終了することはほとんどない。
         中間体:反応の途中で生じるもの。
         反応機構:有機化合物が中間体に変化して、最終生成物に至るまでの経路。
 ①置換反応:置換基を他の置換基に置き換える反応。
   タイプⅠ:始めに置換基が(イオン分解して)脱離してから別の置換基がくっつく。、陰イオンが原子核を目指しているように見えるため求核反応とも言う。光学異性体の片方を反応させるとラセミ体が生成される。
   タイプⅡ:始めに有機化合物に別の置換基がくっ付いてから既存の置換基が脱離する。ラセミ体は生じない。
 ②脱離反応:大きな分子から小さな分子が抜け落ちる反応。抜け落ちた後は通常、二重結合になる。
 ③付加反応:不飽和結合に小分子が結合する反応。脱離反応と逆。
       金属の結合は表面と内部では状態が違い、表面では手(電子)が余っている。これが触媒作用のキーポイントになる。


有機化合物:炭素を含む化合物のうち、一酸化炭素や二酸化炭素のように簡単な構造の化合物を除いたもの。
 基本は、炭素と水素だけからできた化合物(炭化水素)。「本体部分」と「置換基部分」があり物性、反応性の大部分は置換基によって決まる。
 置換基-アルキル基(C、Hの一重結合)
    -官能基-①C、Hの不飽和結合(ビニル基、フェニル基)
        -②ヘテロ原子(炭素、水素以外の原子)を含むもの
 飽和炭化水素:一重結合だけ
 不飽和炭化水素:二重や三重結合を含む
 芳香族化合物:ベンゼン環といわれる六角形(六員環)を含む
命名
1:モノ、2:ビ(ジ)、3:トリ、4:テトラ、5:ペンタ、6:ヘキサ、7:ヘプタ、8:オクタ、9:ノナ、10:デカ、たくさん:ポリ
一重結合のみ:アルカン、二重結合を1個だけ持つ:アルケン、三重結合を1個だけ持つ:アルキン、ヒドロキシ基(OH)を持つ:アルコール、ホルミル基(CHO)を持つ:アルデヒド

共有結合:結合する2個の原子が互いに1個ずつの電子を出し合い、それを結合電子(雲)として互いに共有する事で成立する結合。
 有機化学に出てくるほとんど全てがこの結合。
 原子核同士はクーロン力による反発でくっつかないが間に電子雲が結合軸にそって紡錘形になる事で繋がる。
 σ(シグマ)結合電子雲:電子雲が結合軸にそって紡錘形になって存在。一重結合(C-C)。
 π(パイ)結合電子雲:分子面の上下に2本分かれて存在(但し電子的には1個分)。π結合とσ結合で二重結合(C=C)になる(見た目は3本に見える)。
            さらに分子面の左右にも2本に分かれてπ結合電子運が2個存在する事も出来る。2個のπ結合とσ結合で三重結合(C≡C)になる(見た目は5本に見える)。
 非局在π電子雲:本来なら一重結合のためσ結合電子雲のみでπ結合電子雲が無いはずが、共役二重結合のため周りの二重結合からのπ結合電子雲が入って繋がった存在。
         これにより二重結合部分同士が(一重結合部分で分離せず)ひと繋がりになる。
 共役二重結合:不飽和結合の一種。二重結合と一重結合が交互に並んだ結合(C=C-C=C)

分子間に働く結合(分子間力)
 水素結合:水分子同士のO(マイナス)とH(プラス)の間に静電引力が発生して結合。多くの水分子が結合するとクラスター(会合体)になる。
 ファンデルワールス力:電気的に中性であり、全ての原子、分子の間に働く引力。
  分散力:強さは距離の6乗に反比例。
      電子雲が雲のように揺らいでいるため、雲の偏りで一時的に極性が現れる。(電気双極子)
      するとその近くにある原子も影響を受け極性が現れる。(誘起双極子)
      この結果、静電引力が働く。(分散力)
  ππ相互作用:ベンゼンなどの芳香族は、炭素でできた環構造の上下を環状のπ電子雲がサンドイッチした構造。
         炭素環から突き出た水素原子は電気陰性度の関係でプラスに帯電。
         よって外側の水素環はプラス、内側のπ電子環はマイナスに荷電している。
        この結果、静電引力が働く。(ππ相互作用)
   ππスタッキング:2個のベンゼン環が少しずれて平行関係になって重なる。
   T型スタッキング:2個のベンゼン環が直角に向かい合う。
  疎水性相互作用:油分子の集団を無理に水の中に入れると水を避けるために集まる。
          見かけ上、引力が働いたように見える。

高分子:多数の単位分子が共有結合によって結合したもの。
 熱可塑性高分子:通常の高分子。加熱すると軟らかくなる。合成樹脂(プラスチック)等。鎖状構造。
 熱硬化性高分子:加熱しても軟らかくならない高分子。網状構造。

超分子:多数の単位分子が集合したもの。
    分子間力で引き合っている(結合ではない)。

光学異性体:アミノ酸など化学式は同じだが構造的に対称性がある。(不斉炭素:結合相手がアミノ基、カルボキシル基、水素、アルキル基のように不揃いの炭素)
      化学的性質は同じだが、光学的性質と生理的性質は異なる。
      アミノ酸の場合はL型、D型の2種類があるが、天然に存在するものは極少数の例外を除きL型。(理由は不明)
      化学的性質が全く同じなので片方だけを人為的に作るのは不可能で、必ず1:1の混合物(ラセミ体)が生成される。
      不斉合成:光学異性体の片方を優先的に合成する。
      ラセミ分割:ラセミ体からそれぞれの光学異性体を分離する事。生物の利用、天然界のものを利用する等、特別の工夫が必要。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年11月17日(木)23時27分53秒
  『元手300万円で資産を永遠に増やし続ける方法』
 松田 淳
 株式会社 ぱる出版
 2010年

著者が金持ちになる夢を叶えた経験から、不動産による投資法を説明した本。
株では7年間で250万しか稼げなかったが、不動産では同じ7年間でアパート5軒、マンション1棟、戸建て5戸を手に入れ、毎年2500万円以上の家賃収入を得ているらしい。
精神的なブロック(「自分にはできない」という思い込み)を外していく事が大切。
①現金で安い戸建てを購入する。
②セルフリフォームで安くバリューアップする。
③実需向けに利益を乗せて売却する・・・現金のストックが出来る
④①~③を繰り返して得た利益で、競売で高利回りのアパートを買う。・・・毎月の定期収入ができる
⑤アパートの賃料を貯める。
⑥①に戻る。・・・毎月の定期収入を積み上げながら現金も増やしていける
《具体策》
・銀行融資を利用して地方の高利回りのアパートを買い、家賃収入から銀行返済分を差し引いて残ったキャッシュフローで資産を増やす。(利回り=年間の家賃収入/物件価格)
・最初は小さい物件からはじめる
・任意売却:不動産の所有者がローンを支払えなくなった場合に行われる売却方法。売れてもお金は全て銀行に渡るため、持ち主は1円も入らない。
・特別売却:競売の一種で、一度期間入札を実施して入札者がいなかった物件を、執行官が買受可能価額以上で「早い者勝ち」で買い手を募る物件のこと。
・「全国賃貸情報新聞」や「家主と地主」といった情報誌や、「不動産ジャパン」、「建美家」、「Yahoo不動産」等のインターネット投資物件検索サイトを使って物件を探す。
・利回りの高い物件があればインターネットによる事前調査を行い特に周辺の空室状況は把握しておき、さらに先入観や感情に流されない必ず現地物件調査も行う。この時、元付業者への聞き込みなども重要
・マーケティングは、複数のサイトからその地域の情報をできるだけ取得する。特に「募集の家賃」、「価格帯別、間取り別の募集部屋の数」、「新築の数」などは必須。繁忙期の終わった4月過ぎに調べると部屋余りの状況が分かりやすい。
・元付業者:売主側の宅建業者(その物件についての情報を多く持ち、売主と直接つながってるので要望が通りやすく、売主と買主の両方から手数料をとれるので値引きなどにも応じやすい)
・客探しを管理会社に任せず、他の(駅前の)業者にも鍵を渡して客付けを依頼したり独自の広告を工夫する。
・欲しい客ではなく買える客である事をアピールするために断る時は業者に理由を説明して別の物件の紹介をお願いする。どんな物件をいくらくらいで買いたいのか、いくら現金がありいくらローンをひけるのかを伝えておく。
・狙うは平成モノの中古、高利回り、木造、水まわり(風呂、トイレ、キッチン、給湯関係)の新しい物件。
・雨漏り、シロアリ、傾きがある物件は買わない。
・需要が少なくてもそれ以上に供給が少なければ買い。
・激安=駄目物件とは限らない。
・管理会社は物件の近くの不動産会社を選ぶ
・セルフリフォームはホームセンターで売っている資材ででき、退去時の原状回復などは業者で頼んだ場合の10分の1程度で出来る。基本は貼る、塗る、交換する。クッションフロアからフローリング、和室から洋室への変更もできる。備品交換の前に補修を検討する。
・専門技術の必要な「掃除」はプロに頼むと意外に安い。
・競売での不動産鑑定士の評価書は主観で偏っている場合がある。
・スムーズに売るコツはあまり欲張らず一般の人が「めちゃくちゃ安い!」と思う価格で売ってしまう事。その売却益を税金がかかるまでに他の物件の購入に充てて同じ事を繰り返すと高速で資産が増えていく。

《実践録》
1棟目:2004年9月埼玉県毛呂山町木造アパート(1K×4戸)築17年
    購入価格800万円+(任意売却で売主に渡した)裏金100万円
    利回り17%家賃年収136万円(総家賃年収136万円)
    融資額650万円(金利1.7% 30年ローン。5年固定、以後変動金利)
2棟目:2005年3月神奈川県平塚市木造アパート(1R×8戸)築?年(バブル期に8700万円の融資を受けて建築)
    購入価格2500万円
    利回り15%家賃年収375万円(総家賃年収511万円)
3棟目:2006年2月栃木県宇都宮市重量鉄骨マンション(1K×32戸)
    購入価格12000万円
    利回り12%家賃年収1440万円(総家賃年収1951万円)
4棟目:2006年5月神奈川県津久井町木造アパート(1R×8戸)
    購入価格850万円
    利回り30%家賃年収255万円(総家賃年収2206万円)
5棟目:2006年9月東京都板橋区中古一戸建て(再建築不可)
    利回り13%家賃年収109万円(総家賃年収2315万円)
    購入価格840万円
6棟目:2007年3月神奈川県横須賀市木造アパート(2K×2戸、4K×1戸)
    購入価格150万円
    売却価格300万円(総家賃年収2315万円総売却利益150万円)
7棟目:2007年8月埼玉県熊谷市中古一戸建て(90平米)
    利回り24%家賃年収60万円(総家賃年収2375万円総売却利益150万円)
    購入価格250万円
8棟目:2008年6月埼玉県北葛飾郡中古一戸建て
    購入価格380万円
    売却価格800万円(総家賃年収2375万円総売却利益570万円)
9棟目:2008年12月埼玉県春日部市中古一戸建て
    購入価格215万円(リフォーム中)
    (総家賃年収2375万円総売却利益570万円)
10棟目:2009年1月埼玉県さいたま市木造アパート(1K×4戸)
     利回り13%家賃年収178万円(総家賃年収2553万円総売却利益570万円)
     購入価格1370万円
11棟目:2009年3月埼玉県松伏町中古一戸建て
     購入価格218万円(競売、特別売却で落札)
     売却価格580万円(総家賃年収2553万円総売却利益932万円)
12棟目:2009年8月茨城県稲敷市中古一戸建て平成築
     購入価格275万円(競売で落札)
     売却価格498万円(総家賃年収2553万円総売却利益1155万円)
13棟目:2009年12月秋田県アパート(1K×6戸)
     購入価格467万円(競売、特別売却で落札)
     売却価格720万円(総家賃年収2553万円総売却利益1408万円)
14棟目:2010年9月茨城県下妻市アパート(1K×4戸、1K×6戸)
     購入価格434万円(競売で落札)
     リフォーム後に賃貸予定(総家賃年収2553万円総売却利益1408万円)

最初は、買い付けまでのスピードを重視
サラリーマンを辞めてからは、ローンを利用せず、激安の物件を競売で現金購入し、セルフリフォームで価値を高めた上で、賃貸に出したり、売却したりして儲けるやり方にした。
ローンを利用しないのは、会社を辞めた事でローンがつきにくくなり、物件を買い過ぎないようにするためだったが、半ば強制的に融資のつきにくい体制を作り出したことで投資効率はさらにアップした。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年11月14日(月)23時21分7秒
編集済
  『よくわかる行動経済学』
川西 諭
株式会社 秀和システム
2010年

人間が行う「不合理行動」について、背後にある本源的なメカニズムから説明している本。
特に興味を持った点を抜粋。

不合理行動のメカニズムのキーワード:「無意識」と「学習」

意思決定のシステム
・システムⅠ:無意識のシステム(脳幹、小脳)
 ・本能的行動や習慣的行動
 ・ほとんど意識されない行動
 ・スピードが速い
 ・マルチタスクに対応
 ・自動的で融通が利かない
 ・あまり疲れない
 ・行動による学習

・システムⅡ:意識下のシステム(大脳新皮質の前頭前野)
 ・理性的行動・思慮的行動
 ・意識された行動
 ・スピードが遅い
 ・シングルタスクで視野が狭い
 ・臨機応変に行動できる
 ・疲労感や負担感がある
 ・言葉による学習

システムⅡがシステムⅠをコントロールする。
行動を繰り返す事でシステムⅡでやっていた事もシステムⅠで出来るようになる。

不合理行動
タイプ①:認知的節約(システムⅠを使う事でシステムⅡを節約する)による不合理行動
 A:過去に上手くいった行動を繰り返す
 B:周りの人たちの行動を模倣する
 C:後悔しないように、楽な選択をする
 D:問題を簡略化する
タイプ②:本能的評価による不合理行動
タイプ③:近視眼的な本能による不合理行動
タイプ④:不確実性による不合理行動
タイプ⑤:理性の限界による不合理行動

「正しい」プロスペクト理論
 《ステップ1》
  問題を「編集」する。
  不合理行動タイプ①-D「問題の要素を簡単化する」というシステムⅠの性質により全ての要素ではなく重要そうな二、三の要素だけに注目する。
 《ステップ2(1)》
  結果の望ましさを『価値関数』で評価する。
  価値関数の性質
  ①緩やかなS字型
   縦軸:本能的な主観的評価(価値)、横軸:金額(右側:得 左側:損)、損得なしが参照基準点(中心点)
   参照基準点付近での差は強く認識され、参照基準点から離れたところでの差はあまり認識されない
  ②損は得より心に響く
  ③感情を説明できる
 《ステップ2(2)》
  起こりやすさの程度を『過重関数』で評価して、加重された価値が最も大きい選択肢を選ぶ。
  過重関数の性質
  ①傾きが45度より緩やか
   縦軸:学生の選択から推測される主観的な確率認識、横軸:学生に伝えられた賞金を貰える確率
  ②小さい確率の過大評価(確率0%あるいは100%に近いときに45度線とのズレが非常に大きくなる)
  ③端点がはっきりしない

スーパーチャージ
 人間の心理や行動の傾向をより積極的に利用する事で、人間を助ける事が出来る。
 例:健康診断を地域の皆に受けさせたい
   地域全員を対象に抽選を行い、当選した人を発表する。
   当選した人が健康診断を受けていれば一万円を贈呈する。
   利用する性質:ギャンブルによる遊び要素、後悔回避、小さい確率を過大評価する

ヒットするゲームの共通点
①わかりやすく明確な目標がある
②主体的に行動できる
③何度失敗しても、また挑戦できる
④難しすぎず簡単すぎない
⑤目的を達成するとほめられる
⑥自分の上達を実感できる
⑦好奇心をくすぐる


利他的行動
(ここについては本の内容ではなく個人的に気になった点を記載する)
・最後通牒ゲーム、独裁者ゲームの実験で人間の思いやりや同情などの「(利己的動機ではない)利他的行動」の存在を肯定するものと結論付けているようだが、
 金額が1000円(900円と100円)ではなく100万円(90万円と10万円)だったら結果が変わるのではないか(不公平でも制裁しない人が増える)と思う。
 (単純に他人から低くみられるという「プライドの喪失」と金額を天秤に掛けた利己的行動の結果ではないかという可能性)
 また、独裁者ゲームでは相手から制裁を受けないとしていたが、実際はゲーム終了後に相手から悪口を言われたり悪く思われるのではという「相手からの間接的な制裁」の可能性を危惧したり、
 仮に相手がまったくこちらを認識できない状態でも実験の観察者は実験を見ているので、実験者が心の中で自分の事を嘲笑したり侮蔑しているのではないかという「第三者からの間接的な制裁」を危惧する可能性を排除してないのではと思う。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年11月13日(日)20時06分59秒
編集済
  『思考実験リアルゲーム 知的勝ち残りのために』
三浦俊彦
二見書房
2014年

思考実験について体感できる本。
思考実験をリアル実験、シミュレーション、フィクション、作業仮説と対比しながら、例題を元に展開していく。

例題は、
①抜き打ちテストのパラドクス
 (実施条件)次の月曜から金曜までの5日間のいずれか1日だけに必ず試験を行う
 (抜き打ち条件)試験がある、と事前にわかる日には試験を行わない
 は矛盾するか?
 ポイント:事前に「わかる」(知っている)、とはどういう事か?(信じている事、真実である事、信じるに至った経緯が適切である事)
②エウダイモニア(真の幸福)
 あなたが芸術家として
 ・存命中に天才・巨匠ともてはやされ、死後は速やかに永久に忘れ去られる
 ・存命中は無名で全く売れず、死後には永続的に高く評価され続ける
 のどちらを望むか?
 または、
 第一種の人生:普通の人生。
 第二種の人生:眠り続けるが幸福な夢を見続ける人生
 のどちらを望むか?
 ポイント:主観や客観、立場の違い?
 (個人的見解:第二種の人生を「騙されている」と認識するかしないかで変わるのではないか)
③5億年ボタン
 ボタンを押すだけで一瞬で100万円稼げるアルバイト。
 ボタンを押した瞬間、何もない空間にワープして5億年間一人で生きる。
 意識ははっきりしており眠る事も死ぬ事もない。
 そして5億年過ぎた瞬間に元のボタンを押した直後の状態に戻る。
 時間も身体も記憶も元に戻るので、終わった後は一瞬で100万円貰えた気分になる。
 このバイトをするか?
 ポイント:5億年期間の挟まり方。主観的経験の重要性(5億年ボタン)と客観的事実の重要性(エウダイモニア)。分岐
④人間転送機
 人間を瞬間的に別の場所に転送する。
 ポイント:転送と複製。
      同一性。行動主義(身体の動きが同じなら同一)、機能主義(行動+脳内の物理的諸部分の相互作用が同じなら同一)、心脳同一説(行動+機能+脳の素材そのものの物理的性質が同じなら同一)。
      完成した芸術作品と人生を完成させた人間
      宇宙の広さと永劫回帰(1度起きた事は無限に起きる)
⑤思考実験でデータ捏造
 アメリカの哲学者、クリプキが思考実験のデータ捏造により辞職。
 「人物が同一とはどういう事か」について従来の「性質による対象の同定」から「起源による対象の同定」に変えようとして自らの直感を捏造したと告白。
 この行為は責められるのか?
 ポイント:捏造の告白そのものの捏造。誠実性より創造性。
 人間の日常的な直感や本能的な感性がいかに信用できないかを暴き出す事が哲学の重要な役割の一つ。
⑥シュレーディンガーの猫
 箱の中に1時間に1/2の確率で崩壊して粒子を放出するように調整された放射性物質を入る。
 この箱の中に猫を1匹入れて密封する。
 箱の中で放射性物質から粒子が放出されると箱の中の装置が粒子を検出し箱の中に電流が流れ猫は即死する。
 粒子が放出されなければ猫は無事である。
 1時間後に箱を開けると猫はどうなっているのを実験者は目撃するだろうか?
 前提:量子力学によれば、ミクロの現象として「物理的に何が起こるか」は完全に決定論的に記述されるにもかかわらず、「実現したものとして観測されるのは何か」はまったくの非決定論的である。
    (「既に起きた(起きてない)事が確定した上で、(観測するまで)自分はそれを知らない」のではなく「(観測するまで)起きるか起きないかが確定しない」)
 ポイント:結果は、猫が生きているか死んでいるかのいずれか一方が必ず観測される。
      1時間経ってから箱を開ける直前までの間、箱の中の猫が本当はどうなっているのか?
      マクロな世界=重ね合わせ状態でありながら統計的には丸で古典物理学(ニュートン力学と相対性理論)によってただ一通りに決定論的推移しているように扱って構わない世界(疑似古典的世界)
      多世界解釈
⑦量子不死・量子自殺
 シュレーディンガーの猫であなたが猫の役になった場合、1時間後あなたはどうなっているか?
 ポイント:主観的には「私」は死なない(量子不死)。但し条件として偶然条件(必ず「生」の可能性がある事)、無知条件(結果を認識してない事)、即死条件(瞬時に意識を失う事)
      節度条件(「生」の確率が自殺装置の故障率より低すぎる賭けはしない事)、秘匿条件(他人に知られない事)
      量子自殺の観点からみればロシアンルーレットは必ず双方共に勝てるギャンブル
⑧2封筒問題
 胴元からそれぞれ中に金額が書かれた小切手が入った2つの封筒を差し出され、あなたはどちらか一つを選びとる。
 この時、胴元から「まだ中を見ないでね。どちらかはわからないが一方には他方の2倍の額を書いておいた。もし君の気が変わったならば封筒をもう一方の取らなかった方に替えてもいいよ」と言われた。
 この時、あなたはどうする?
 ポイント:現在持っている封筒の金額をAとして期待値を計算する。
      交換しない場合:A
      交換した場合:2A×1/2+A/2×1/2=5A/4 > 交換しない場合
      よって、交換したほうが得 ← この答えは誤り
      (自分が取った封筒、取らなかった封筒)=(A、2A)or(A、A/2)という認識がおかしい。
      前者のAと後者のAはそもそも同じ金額(A)である必要がない。
      ⇒(自分が取った封筒、取らなかった封筒)=(100円、200円)or(100円、50円)だけでなく(100円、50円)or(25円、50円)や(400円、200円)or(100円、200円)の可能性もありうる。
      よって(自分が取った封筒、取らなかった封筒)=(A、2A)or(2A、A)となるのが正しい。
      交換しない場合:2A×1/2+A×1/2=3A/2
      交換した場合:2A×1/2+A×1/2=3A/2 = 交換しない場合
      なお、自分が取った方の封筒を開封して金額を知った上ならば、上の誤りの方の考え方が正しくなる。
      (サイコロで出た目を当てるときに出目を見た人が「偶数だ」と言うことで1/6の確率が1/3に上がるのと同じように思われる)
⑨サンクトペテルブルグ・パラドクス
 確率1/2で表か裏になるコインで、賭けをする。
 初めに参加費を払い、コインを投げる。
 表が出たらそこでコイン投げは終わり、お金を貰う。
 裏が出たら引き続きコインを投げる。
 貰える金額は2のn乗(n:コインを投げた回数)円。
 期待値は無限大になるので、参加費がいくらであってもこのゲームをやるべきか?
 ポイント:期待値は利益についてのただの平均値であり、確定した利益を保証するものではない。
      コインの無限分割投げ(アキレスと亀のようにコイン投げ1回目から12時間後に2回目、そこから6時間後に3回目と投げ続けて、24時間で無限回投げ続ける)
とあり、基本的に各例題内の本文内の緑色に塗られた箇所が思考実験の「思考すべき問題」になっている。
それぞれ一見ばらばらに見えるが実は前問が後問を解くための布石になっているようだ。
(むしろ個人的にはこの著者がSNS辺りで⑧2封筒問題について「無限大論者」と論戦にでもなってそれがこの本を書いた理由ではと邪推している)
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年10月20日(木)01時06分45秒
  『確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで』
小島寛之
株式会社講談社
2015年

確率について「攻略する」ことを目的に書かれた本。

現在の確率の種類
 頻度論的確率
  最もスタンダードな考え方。
  ある現象の確率がpであるとは、たくさんの観測をするとその現象がpの頻度で生起すること。
  ミクロでは不確実だがマクロでは安定的になる。
  「たくさん」が実際にどの程度かが問題。
  大数の法則が数学的に証明された事でこの問題に「どの程度の試行回数」と「どの程度の比率の幅」を設定すればよいか、ということに大雑把には答える事ができる。
 数学的確率
  ある出来事の起きる「確からしさ」を数値で表すもので、「等可能性」に依拠させる。
  例えばコイン投げの確率は「表と裏が等可能性を持つ」と考え、「表」にも「裏」にも2分の1の確率を割り当てる。
  「次の1回の試行」に対して確率の数値を割り当てるという点が特徴で、そのため確率は抽象的で形而上的な数値になる。
  例えばサイコロ投げでは出る目はたった1つなのに、それ以外の「可能性」というようなものも考えるから。(「可能性」は事前にしか意味を持たない)
  このような抽象的で形而上的な数値を考えるには、何らかの数学的な枠組みが必要。(コインやサイコロの対称性や「公理」など)
 主観的確率
  「サイコロを1回投げて、1の目が出る」という事態に対して「私は、6分の1の信念の度合いでそれを確からしいと思う」とする考え方。
  ベイズ統計学に繋がる。
 ゲーム論的確率
  上記のいずれとも異なる全く新しい確率の考え方。
  ゲーム理論における「戦略」の考え方に立脚し、明示的には「確率」の概念を表に出さない。

確率モデルを作る
 ①不確実現象の根元となる出来事(標本点)を記号で表す。
 例:「明日の天気」の標本点⇒「晴」、「曇り」、「雨」、「雪」
   集合による表記:Ω={晴、曇り、雨、雪}
   ※標本点同士は互いに排他的。
   「明日の天気」の根元事象⇒{晴}、{曇り}、{雨}、{雪}
   ※標本点と根元事象は普通は同じだが、都合が悪い場合があるので分けて考えられている。
   「明日の天気」の事象⇒「雨傘を使う」={雨、雪}、「天気が悪い」={曇り、雨、雪}
 ②確率を導入するための基礎となる出来事たち(根元事象)に確率を割り振る。
  ・事象は0以上1以下の数値。
  ・根元事象の確率を全て合計すると1になるように設定する。(正規化ルール)
   p({晴})+p({曇り})+p({雨})+p({雪})=1
 ③②を土台にして、一般的な出来事(事象)に確率を割り振る。
  根元事象への確率の割り振りができると、一般の事象の確率は自動的に決まる。
  「雨傘を使う」={雨、雪}⇒「雨傘を使う」確率=p({雨})+p({雪})

後、大数の法則(強、弱)の証明、マルチンゲールとゲーム論的確率の詳細などを記載していた。

(個人的に思った事)
結局、「確率」の裏には「無限」という概念が見え隠れしているのが気になった。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 9月23日(金)00時45分23秒
  『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』
ダン・アリエリー 著
櫻井 祐子 訳
株式会社 早川書房
2012年

「不正」について行動経済学の観点から著者が行ったデータ等をもとに分析する本。
従来の合理的経済学では、不正が起きる仕組みは
不正がばれにくいかどうか、ばれた場合の罰則が自分にとって大きいか小さいかの便益を比較検討するだけでそこに善悪の判断は入らないという「シンプルな合理的犯罪モデル(SMORC)」で説明されていた。
よって不正を防ぐには
①不正が発覚しやすくする
②罰則を強化する
事が大切だという事になる。
また、一般的に不正は「一部の悪い人達」によって大規模に行われ、「大多数の善良な人々」は不正にほとんど関わりがないと思われている。
しかし、この本では上記のようなモデルは実際にはあまり関係なく、
不正の損害は「一部の悪い人達」が大規模に行うもの<「大多数の善良な人々」が少しずつ行う不正
であり、実際の損害の大きさを考えるならば、「大多数の善良な人々」が少しずつ行う不正の方を優先して対処した方が良いとしている。

つじつま合わせ仮説
 大抵の人は、露骨に金銭的な価値を明示しないもの(現金は盗まないが備品のボールペンは失敬する)や明らかに自発的に行ったと思われない場合(手でゴルフボールを移動させないが、クラブにボールが当たることは仕方がない)不正を行いやすい。
 なぜなら、自分の道徳心に対してつじつま合わせしやすいから。
 人は基本的に罪悪感を感じない範囲で不正を行う⇒よって不正をした後でも「自分は道徳的だ」と誇りを保つ事が出来る。

また、脳が疲れていたり、すでに反道徳的な行動(偽ブランドの商品を見に付ける等)を行っていたり、他人に影響を受けて、さらには他人の利益のために不正を行おうとする。
対処法としては、予め宣誓や署名をさせたり、監視(不正を見つけるためというより、監視されているという事実そのものに意味がある)、その他本人の道徳心を呼び起こすものに効果があるとしている。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 9月 4日(日)02時19分40秒
  『50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?』
林 總
ダイヤモンド社
2012年

会計と経営の関係を物語形式で説明した本。
かなり読みやすい。
気になった部分を元にメモ。

・限界利益とは?
限界利益=売上-変動費
言いかえると、その商品から原価を引いたもので、その商品の(会社が生み出した)「付加価値」のこと。
なお、限界利益-個別固定費(その部門の責任で発生した固定費)=貢献利益となる。

・利益ポテンシャルとは?
現金を稼ぎ出す力のこと。
利益ポテンシャル(PP) = 限界利益 / 在庫金額
            = 限界利益率 ×在庫回転速度
限界利益率 = 限界利益 / 売上高
限界利益率は、売上がもたらす限界利益(付加価値)の割合。大きいほど付加価値を生み出す力が大きい。
在庫回転速度 = 売上高 / 在庫金額
在庫回転速度は、在庫金額が一定期間で何回転したかを表した値。在庫が入れ替わる速度。

・売り手視点の業務改善策
売上↑ - 費用↓ = 利益↑
黒字:利益>0
赤字:利益<0
売上↑ = 客数↑ × 客単価↑
費用↓ = 変動費↓ + 固定費↓

・50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?
①まず、単純に限界利益で考える
材料費を50円削減すると、限界利益は50円増える。
売価を100円増やすと、限界利益は100円増える。
よって、100円の値上げの方。
②次に、限界利益率で考える
料理の値段を1000円、材料費率を30%(300円)とすると
材料費を50円削減すると、限界利益率 = 限界利益(1000 - 250) / 売上高(1000) = 75%
売価を100円増やすと、限界利益率 = 限界利益(1100 - 300) / 売上高(1000) = 72.7%
よって、50円削減の方。
③最後に、販売数と限界利益で考える
売上高を共に11万円とすると
材料費を50円削減すると、
販売数 = 11万円 / 1000円 = 110個
限界利益 = 売上高 × 限界利益率 = 11万円 × 75% = 8万2500円
売価を100円増やすと、
販売数 = 11万円 / 1100円 = 100個
限界利益 = 売上高 × 限界利益率 = 11万円 × 72.7% = 7万9970円
よって、50円削減の方。
販売数量が違う事がポイントだとしている。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 8月 1日(月)22時33分50秒
  『ギャンブルの経済学』
佐藤 仁
株式会社 リヨン社
2007年

ギャンブル、特にカジノに関するミクロ(プレイヤー、胴元)レベルからマクロ(国、民族)レベルの話題をまとめている。
気になった部分を下記に抜粋した。

《ギャンブルに負けないための10ヶ条》
①確率をしっかり頭に入れ、控除率の高いカジノゲームには手を出さない。
②長くプレイすると結局は「大数の法則」に収束してしまうので、多くの回数を避ける。
③平均的な賭け金でプレイするのではなく、少し賭けるときと大きく賭けるときのメリハリをつける。
④そのためのマネー・マネジメントを選択する。
 堅実で保守的な方法なのか、あるいはハイリスク・ハイリターンの挑戦的な方法なのかを資金や性格に合わせて選ぶ。
⑤ミニマムレートの低いテーブルを根気よく選ぶ。背伸びをしない。
⑥場の流れ、統計上のゆらぎを重視し、それを捉えた時に大きく勝つ方法を選ぶ。
⑦資金を計画的(バイイン(着席時に買い入れるチップの金額=投下予定金額)、トータル予算)に管理し、とりわけバイイン時に多くのチップを購入する。
 予算を失ったら潔く去る。
⑧マネー・マネジメントと資金の管理を徹底し、平常心を保ってプレイする。
 一時的な感情に走らない事。メンタル・コントロールが勝敗を分ける。
⑨サイドベット(付随的な賭け)に手を出さない。カジノ側の罠にはまらないように。
⑩一定額勝ったら席を離れ勝ちを確定する。ヒットエンドラン戦法で勝利を収めよう。

《日本のギャンブル市場について》
1996年の売上、パチンコは約30兆円、中央競馬は約4兆円、地方競馬は約7000億、競輪約1.5兆円、競艇約1.8兆円、宝くじ約8000億円だったが、
宝くじ以外は年々落ちてきた。筆者の解説では、富裕層ではなく中間層以下をターゲットとした現在のギャンブルでは、非正規社員等の低所得層の増加により
ギャンブルする余裕すら無くなった人が増えた事で客離れが発生してる事が原因だとしている。
富裕層は、競馬などの何かに賭けるタイプのギャンブルより、カード等の自分でゲームをプレイするタイプのギャンブルを好む傾向があり、
カジノはそういう富裕層をターゲットとしている。また、ギャンブル業界は富裕層に支えられる事で発展する。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 3月21日(月)12時20分16秒
  『グラフはこう読む!悪魔の技法』
牧野武文
株式会社三修社
2005年

多くの人はグラフからは数値を読み取るようなことはせず、漠然とグラフの形を頭に残す。
これを利用して「ウソではないが自分に都合がいいグラフの作り方」を説明した本。
逆に巷で新聞や雑誌などで用いられているグラフがいかに胡散臭いかも説明している。
やはり出所がはっきりわかった上で生データをみるのが一番安全。

棒グラフのごまかし
1 都合の悪いデータは隠蔽しろ!
  ・1年分のデータの半年分しか見せない
  ・10年分のデータで40年前の状況と現在を比べる
2 斜めに傾けて、視覚をあざむけ!
  ・グラフを立体的に斜めに並べる事で比較しづらくする
3 最も古典的なごまかしテクニック
  ・棒を途中を省略して差が目立つようにする
  ・棒の幅を広げて図案に見せる
4 間引いて、印象を変えろ!
  ・1年単位のデータを適当に間引いて急激な変化に見せる
  ・1年単位のデータを1ヶ月単位のデータにすることで変化がゆっくりしているように見せる
5 わずかな違いを大きく見せる
  ・縦軸を0から始めない
6 わずかな違いで天国と地獄にわける
  ・適当な基準値を0として縦軸の中央に置いて上をプラス、下をマイナスにする
7 収支グラフを粉飾する
  ・実数ではなく%にする

折れ線グラフのごまかし
8 見せたいところを強調する
  ・グラフの中の強調したい部分を丸で囲んだり意味深な横点線をひいたりする
9 グラデーションで錯覚させる
  ・下側を濃くする事で上昇している動きが強調される
10 予測値を追加する
  ・適当に権威がありそうな都合のよい予測値のグラフを書き入れる
11 その他大勢はまとめてしまえ!
  ・その他のデータの平均値をグラフに描いて、強調したいデータ(全体では2位)のグラフと比較する
12 だまされやすい「前月比」
  ・分母が毎月変わるので実数が元に戻っただけでも変化があるように見せられる
13 棒グラフか折れ線グラフか
  ・折れ線グラフだと単なる変化を表しているだけだが、棒グラフだと「量が着実に増えている」イメージを与える事が出来る
14 折れ線グラフの錯覚
  ・人間の目は二つの線の(間の)幅の部分を見てしまうため、一定の差で伸びているグラフでも角度がきつくなるほど差が縮まって見える
15 比べものにならないものを比べる
  ・ある年の値を100として、各年の割合を見ると本来であれば桁が違いすぎるなどの理由で比較できない数値を比較する事も出来る
円グラフのごまかし
16 デフォルメで印象を変えろ!
  ・アイスの購入目的の円グラフをアイス風にすることでグラフの円の大きさ等が年ごとに違っていてもデフォルメだと言い訳できる
17 グラフにすればもっともらしくなる
  ・グラフの元になったデータのとり方(誰を何人対象にしたのか?)はグラフ自体には現れない
18 傾けて印象を変えろ!
  ・円グラフの円を斜めにする(ひしゃげさせる)と円の位置によって面積の見え方が変わる

帯グラフのごまかし
19 「嫌い」も「好き」に変えてしまえ!
  ・グラフの元になったデータのとり方(アンケートでの聞き方は?)はグラフ自体には現れない
  ・選択肢に「0」ではなく「1以下」など不自然なものがある。
20 アンケート結果はでっちあげろ!
  ・質問内容、聞く相手、人数、回答の解釈などはアンケートする側が好き勝手に決められるので、アンケートをとる側の立場や動機を知っておく
21 見せたいデータを下に置け!
  ・積層グラフは一番下側は普通の棒グラフだが、上は基点がバラバラなので正確に読むことは難しい
  ・せめて棒グラフ内の境界(基点)の部分を補助線で結ぶ必要がある

絵グラフのごまかし
22 絵を分割して印象を変えろ!
  ・絵にすると値が高い(高さが増える)ほど横幅も広がるので、実際の値以上に大きく見える
23 比較させたくないときは面積グラフ
  ・人間は面積の比較は苦手だが、長さや立体の比較は得意
24 絵グラフならばごまかし放題
  ・絵の形状によって部分ごとに面積が異なるので恣意的に使いやすい(あくまで値を表しているのは「長さ」)

地図グラフのごまかし
25 地図グラフのごまかし
  ・地形や面積と実際の値は関係ないのに関係あるかのようにみえる。
  ・メルカトル図法などはそもそも歪んでいる
26 地図上の棒グラフ
  ・0の位置がバラバラなので細かい比較ができない
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 3月 5日(土)19時44分56秒
  『ネットワークビジネス9つの罠(落とし穴) ハマる人、ハマらないで成功する人』
マイク・カキハラ
株式会社ビジネス社
2011年

ネットワークビジネスの健全化を目指している著者が、悪いネットワークビジネスについて啓蒙している本。

ネットワークビジネスの罠
その1「誰にでも出来るよ」
 短期間でスーパースター(巨額の収益を得ている人)は、もともと始める前から膨大な人脈を持っている
 誰でも(始める事は)出来るが誰もが(成功)出来る訳ではない
その2「世界中の人たちが見込客だ!」
 誰かれ構わずアプローチする(スリーフット・ルール)をする人=うつぼメンバー
 は、大抵拒絶される。
 大抵の人は、「見込み客」ではなく、見込み客だと思い込んでいる「思い込み客」
 《見極め方》
 思い込み客:願ってはいるが動いていない客
 見込み客:願いを叶えようと具体的に行動している客
その3「セールスじゃないよ」
 当然、セールスである
その4「ABCで簡単リクルート」
 A:ビジネスや製品の説明をするアップライン(上位者)
 B:新人メンバー
 C:Bが誘ってくる見込み客(思い込み客)
 Bの誘いを断れず来たCを((Bが崇拝している)成功者)Aが大上段から金儲けの成功法を教えてやるという形式
 著者いわく、「Cを馬鹿にしたシステム」
 (個人的解釈:(偉そうに話す)Aのようになりたい、成功法を知らないCに恩を着せたとBが思う事でBのやる気(忠誠心)を出させるという効果を狙っていると思われる)
 こういうのに遭遇した場合は「それがどうした」といえばよい
その5「とにかく商品がすごい」
 とてつもなく大きな需要を望める商品や技術を独占的に所有している場合以外はあり得ない
その6「業績を伸ばしている会社だから安心」
 ネットワーク会社はメンバーに現金取引、宣伝販売などでリスクを冒させている分、自分自身の負うリスクはもともと低い
その7「あなたの組織を自動構築。ノルマがない」
 結局、一定数購入しないとマージンが払われないので「強制されない」というだけ
その8「早く参加したほうが有利だ」
 早く始めようが遅く始めようが成功する人は成功するし、しない人はしない
その9「成功できると信じていれば、きっと成功できる」
 やり方が間違っていたらどうしようもない

解決策
・人間は感情の生き物
・成功法という特効薬はない
・思い込み客を追い回すのではなく見込み客が訪ねて来るように仕向ける
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 1月22日(金)00時13分50秒
  『ウソを見破る統計学』
神永 正博
株式会社講談社
2011年

統計学の実際の使い方を物語形式でわかり易く説明した本。
株価や投資と統計学の関係等も記載。

・平均
 外れ値:例外的に極端な値
 外れ値があると平均値が外れ値に引っ張られてしまう
 中央値の場合、外れ値があっても安定した値になる

・データの検証
 統計資料を見る時は、言葉の定義や注意書きを確認する事
 比較対象を誤れば解析は無意味(異なる性質のデータ、データの不足、根拠がはっきりしないデータに惑わされない事)

・バラツキ
 分散:「平均との差を2乗した値」の平均を計算したもの
 標準偏差:「平均との差を2乗した値」の平均を計算し、さらにその平方根を取ったもの
      平均偏差より数学的に扱いやすい(仮にデータ3個(x,y,z)、平均値(a,a,a)で考えると三平方の定理による最短距離(直線)を求める式と同等(√((x-a)^2+(y-a)^2+(z-a)^2)。
      平均偏差の場合は、直角に折れ曲がりながら測る道のりと同等(|x-a|+|y-a|+|z-a|)
      歴史的には、ガウスが最小二乗法を考えた際に、誤差から独立で正規分布に従うと仮定すると、誤差の確率分布は正規分布の確率密度の掛け算になり、その形から、誤差の2乗の和が自然と出てくる事により、標準偏差(分散)の定義が平均と個々のデータの関係をより自然に表していると考えられている
      正規分布では、平均点から変曲点(曲がり具合が上に凸から下に凸になる(またはその逆の)境目)までの距離にあたる
 平均偏差:「平均値との差の絶対値」の平均値
      べき分布など標準偏差を計算するととんでもなく大きな値になってしまう場合に使用
 ヒストグラム:それぞれの階級に当てはまるデータの個数(割合)を縦軸にとった棒グラフ

・散布図と相関
 散布図:組となるデータ(例:身長と体重)を縦軸と横軸にとり、点を打っていく事でできる図
 相関係数:全てのデータが正の傾きの直線上にのるとき1(完全な正の相関)
      全てのデータが負の傾きの直線上にのるとき-1(完全な負の相関)
      データの間に直線的な相関が無い時は0に近づく(が、曲線的に関係がある場合もあるので注意)
      但し、正確にはサンプルサイズによって相関関係の意味が変わる
      因果関係があるとは限らない

・正規分布
 正規分布:平均値のまわりにデータが集まったハンドベル型カーブ
      縦軸は(確率ではなく)確率密度((横軸の)ある範囲を指定して初めて確率になる)
      横軸は確率変数(ランダムに変わる値)
      「ある範囲に属するデータの数を出して全体の数で割る」という計算の近似値を出すことに使用できる
      平均±標準偏差の範囲で約68%、平均±標準偏差×1.96の範囲で約95%の範囲に収まる
      一見正規分布に見えてもデータ(を出力している現象)によっては歪むものもあるので、正規分布とみなせるかどうかのチェックが必要
 二項分布:一定の確率で起きる現象がN回中に何回起きるかを表す確率分布
      例:20問中の何問テストの問題に正解できるか
 独立:ある現象(ある問題に正解)が他の現象(別の問題の正解)に影響を与えない。互いに無関係に起きる現象
    縦軸を相対度数、横軸を点数とすると、N(回)が増えていくと、左端に偏った山形から形がだんだん正規分布に近づいていく
 95%の信頼区間:95%の確率でその範囲に収まる、という範囲
          信頼区間の範囲(幅)を1/2にするためにはサンプルサイズを4倍にしなければならない

・分散投資
 利益を最大にする⇒収益率(投資に対する利益の割合)を最大化し、リスクを最小にする
         ⇒期待収益率(収益率の平均)を最大化し、収益率の分散を最小化する
         ⇒できるだけ相関の低い株に分けて投資すること(分散投資)

 効率的フロンティア(境界):縦軸にポートフォリオの分散(リスク)、横軸に期待収益率をとった時に描ける二次曲線(放物線)
              極小値がリスク最小で左に行くほどハイリスクローリターン、右に行くほどハイリスクハイリターン
              この放物線上にあるポートフォリオが効率的であるとする(実際の金融商品はこの線より上側に外れている)

 正規分布の場合、値動きが大きくなるほどそれが起こる確率は急激に小さくなり、やがて無視出来るほど小さくなる
 しかし、実際の株価の場合、値動きが極端に大きくなる確率が無視できないほど大きい
 また、普段は(相関が低く)連動していなくても世界金融危機のような大事件があると一斉に売りが入りリスク軽減効果が無くなる事もある

・検定1
 検定:ある仮説(帰無仮説)が正しいと言ってよいかどうかを統計学的に判断する方法
    「偶然といえる確率はどのくらい小さいか」を問題にしており、「結論が絶対正しい」とまでは断言できない
 帰無仮説:当たってほしくない(無に帰したい)仮説
 対立仮説:帰無仮説と反対の仮説
 P値:仮説が正しいとした時にそのサンプルが観察される確率。検定で最終的に算出する値
    この値が予め定めておいた値(有意水準)よりも小さい時、帰無仮説を棄却し、対立仮説を支持する
 有意水準:慣習として5%がよく使われる
 クロス表(分割表):縦×横の順序で表現される表
 観測度数:実際に観測された人数や個数、回数などのサンプルでの値
 期待度数:期待される人数や個数、回数などの値。例えば全体での値など
 カイ2乗検定:クロス表の検定に適している
        カイ2乗検定でP値を算出するには、(異常さの尺度としての)カイ2乗値と(カイ2乗分布は自由度によって形が変わるので)自由度の2つが必要
        自由度からカイ2乗分布を決定して、その分布のグラフにおいて与えられたカイ2乗値以上の部分の面積を(積分で)算出する事でP値を計算する
 カイ2乗値:観測度数と期待度数がどのくらいズレているかを測る⇒(観測度数-期待度数)^2/期待度数
       上記の式をクロス表の各マス目(セル)ごとに計算して合計したもの。ズレの尺度に使う
       期待度数と観測度数が一致すれば0になり、逆に期待度数から外れる(異常(滅多に起こらない)事態)ほどカイ2乗値は大きくなる
 自由度:独立に分布する変数の数-推定パラメータ数
     原則としてクロス表の自由度は(行数-1)×(列数-1)で求める事が出来る
 独立に分布する変数の数:クロス表の行数×列数
 推定パラメータ数:例えば(各血液型の)「人数」の1個
 なお、上記の場合自由度は4-1=3

・カイ2乗分布(イエーツの補正)
 誤差が無視できない場合に補正を掛けることで調整
 (基準1)期待度数が5未満のセルが全体の20%以上ある
     ⇒期待度数が小さいため、カイ2乗値計算時の分母が小さくなり、その結果そのセルに対応するカイ2乗値が大きくなりすぎる
 (基準2)2×2のクロス表
     ⇒表のサイズが小さすぎて、デコボコが大きく出過ぎてしまう
 上記のいずれかの基準に引っかかった場合は、イエーツ補正を掛ける(この基準の適用については様々な見解がある)
  補正前:(観測度数-期待度数)^2/期待度数
  補正後:(|観測度数-期待度数|-0.5)^2/期待度数
 これにより、カイ2乗値は小さくなり、P値は大きくなる。補正していない時より厳しめの判定になる。

・回帰分析1
 回帰分析:説明したい変数(被説明変数)と何らかの変数(説明変数)の間に式を当てはめる(要約する)手法
      相関と同様に因果関係は保証しないのでデータの内容には注意する事
 回帰直線:データを近似する直線。最小2乗法で求める。大きくなる、小さくなるという「傾向がある」事を示すには傾きが0でない事も、別途、傾きの範囲を95%信頼区間などで傾きの範囲を求めて確認する必要がある
 残差:それぞれのデータと直線との差
 残差平方和:残差を2乗して足したもの
 最小2乗法:残差平方和を最小にするものを求める方法
 R^2値(アールスクエア、決定係数):式の当てはまり具合(0~1)。R^2=推定値の分散/標本値の分散
                   「説明変数によって、被説明変数の変動(分散)の何%を説明できるか」
 推定値:直線の式で推定された値
 標本値:被説明変数の実際の値
 重回帰分析:複数の説明変数を使った回帰分析。ある結果に対して複数の要因がそれぞれどのような影響を与えているか、を調べる方法
       ワインの質(価格)を、ブドウ畑の冬の降雨量、育成期間の平均気温と収穫期の降雨量から重回帰分析でプロ顔負けの的中率になる等、しばしば驚くほど強力な手法になる

・回帰分析2
 曲線回帰:変数の関係が直線的でない場合でも、適当に変数を変換(して直線に近付け)する事で回帰分析できる
      一方あるいは両方の変数の対数をとると直線に近づく事がある
      例:一人当たりGDPと平均寿命の関係について、GDPは直線的に増えていく事ができるが、年齢はできない。
        この場合、GDPを対数に変換してグラフを描くと直線に近い形になる
      一見すると直線的な関係でも詳細に見ていくと曲線を当てはめる方が適切な場合もある
      但し、曲線の形をどんどん複雑にしていくとかえって関係が見えにくくなる場合もあるので、実際に手を動かして試行錯誤することが大切

・検定2
 ①コルモゴロフ・スミノルフ(KS)検定(正規性の検定)KS値が小さいほど母集団が正規分布に近い
  正規性が仮定できない→②へ
  正規性が仮定できる→③へ
 ②ウィルコクソンの順位和検定(平均値の差の検定)数値そのものではなくデータの順序に基づいて検定を行う。「よい」「悪い」などの質的データに対しても有効
  サンプルサイズが27以下のときは、マン・ホイットニーのU検定を使う
 ③F検定(等分散性の検定)2つの標本群の標準偏差の差異が偶然とみなせるかどうかを判定
  等分散性が仮定できない→④へ
  等分散性が仮定できる→⑤へ
 ④t検定(等分散でないとき)(平均値の差の検定)
 ⑤t検定(等分散のとき)(平均値の差の検定)
 ※②、④、⑤は目的(平均値の差の検定)は同じだが、検定に使う統計量(式)が違う

・ポアソン分布
 ポアソン分布:「独立な事件や事故などが決まった期間に何回起きたか」を横軸を「起きた回数」、縦軸が「決まった期間」の個数でとると
        正規分布が左に偏ったような分布になる。このような回数分布。
 指数分布:ポアソン分布する現象について、「その事件や事故が起こってから再び同様の事件(事故)が起きるまでの期間」を横軸に「期間」、縦軸に「起きた回数」をとると
      期間が0の時に最大で右に行くほど初めは急激に段々緩やかに下がっていく曲線になる。このような間隔分布。
      期間が0の時に最大なので互いに無関係な事件、事故は連続して起きやすい。よって事件が連続して起きても必ずしも関係があるとは限らない
 待ち行列:<例>サポートセンターの効率化
      ポアソン分布(横軸:サポートセンターの相談員の人数 縦軸:客の待ち時間が相談員一人当たり平均相談時間の何倍になるか)
       相談員1人 ⇒ 1
       相談員2人 ⇒ 1/3
       相談員4人 ⇒ 1/15
      になる。
      なぜこのような結果になるか?
      必要なデータ
      (a)相談が1時間に平均何件くるか
      (b)相談員が1時間に処理できる平均件数
      ※(a)<(b)である(相談件数は処理可能件数より小さい)こと。もしこれが逆に大きいと相談員が1人しかいない場合、処理の限界以上に相談が入ってきている事になり平均の相談時間が計算できない
      利用率:可能な平均処理件数に対して、相談が平均何件くるかを示したもの。(a)/(b)
      待ち行列理論の最も基本的な公式:平均待ち時間 = 利用率^相談員数 / (1-利用率^相談員数) × 平均相談時間
      1時間に平均3件相談が入る・・・・・・・・・(a)
      1時間に平均6件相談員1人が処理できる・・・(b)
      とすると、
      利用率=3/6=0.5
      仮に平均相談時間を(いくらでもいいのでとりあえず)1とすると
      待ち時間は上記式より相談員1人の場合:1
                   2人の場合:1/3
                   4人の場合:1/15
      となり上記と同じになる。
      以上の結果から「人数を増やすとその人数倍以上に効率が上がる」といえる
      ※但し、これはあくまで理想的な状態を仮定しており実際は待っている人の心理や定時などといったもっと複雑な状況や事情が絡む事が多い

・所得分布
 所得分布:横軸:所得額 縦軸:所帯数の割合。全体的に左に偏る(高額所得者の所得の合計が非常に大きい、もともと分布が歪んでいるなどが理由)
      日本人の所得分布には(正規分布とは異なる)2つの分布(対数正規分布、べき分布)が隠れている
 所得=収入-経費(給与所得控除)
 掛け算は対数では足し算になる(100×1000=10000 ⇒ 10^2×10^3=10^5)
 <庶民(2000万円未満)の場合>
  対数正規分布:Xが対数正規分布するとき、Xの対数をとったものが正規分布する
         この分布をとる=背後になんらかの「掛け算」の関係がある、ということを意味する
         庶民の所得=「小さな事の掛け合わせ」で決まっていると考える事が出来る
 <金持ち(2000万円以上)の場合>
  べき分布(パレート分布):横軸:所得の対数 縦軸:人数の対数
               傾きが右下がりの直線になる
               所得がx以上になる世帯の割合が、1/(x^パレート指数)、に比例する(所得の何乗かに反比例)
               その時々の運が所得を大きく左右する
  パレート指数:この場合、所得の何乗なのかを表す指数
         これが大きいとテイル(グラフのしっぽ(右側))は細くなり(極端な事が起こりにくい)、小さいと太くなる(極端な事が起こりやすくなる)

・株価
 株価はマイナスにならないので、「株価の変化率がそのまま正規分布する」という仮定は(例えグラフが正規分布に似ていても)不適当である
 ※身長やテストの点数もマイナスにならないが、それは身長などの場合は平均(例えば172.19cm)に対して標準偏差(例えば5.51cm)が小さく、マイナスどころかある程度の値(例えば117.09cm)以下になる確率が極めて小さく無視できるが、
  株価は平均株価のわりに標準偏差がかなり大きく、マイナスになる確率が無視できるほど小さくならない
  よってはじめからマイナスにならない分布を想定する必要がある
 株価は、変動が小さいところでは対数正規分布、大きいところではべき分布になる
 株価の分布は、変動の大きなところでは、時間のスケールを1分、15分、1ケ月のように変化させても同じ形をしている

・極値分布
 極値:最大値か最小値のこと
 極値分布:極値がどんな形の分布になるのかを理論的に計算しておいて、世界記録や最大降水量等の限界の予測に使う
      男子100mは9秒29、女子マラソンは2時間6分35秒まで記録が伸びると予想されている
      EVI(極値インデックス)によって極値分布の形、特にテイル(裾野)の形を決めている
 トリニティ(三つ組)定理:極値分布の形が3つのタイプに分けられる
  EVI<0の場合、ワイブル族 ⇒ 右に偏った山型で右端があっさり切れて縦軸が0(この時の横軸の値が極値(最大値、限界値))になる
  EVI=0の場合、グンベル族 ⇒ 左に偏った山型で右端は0に近い低い位置からほそぼそと0に近づく
  EVI>0の場合、フレッシェ族 ⇒ 左に偏った山型で右端は0より遠いそこそこ高い位置からだらだらと0に近づく
  ※最小値の場合は左右が逆になる
   EVI≧0の場合は、データの不足、記録の精度が不十分であることを示している

・金融危機
 山火事の規模と頻度は反比例する ←一種のべき分布
 ⇒燃えてしまう土地の面積の合計はあまり変わらない
  長い時間山火事が起きなかった場合、極端に被害が大きくなるので、小さい山火事がこまめに起きている方が好都合
 山火事の場合、火が付いている木の近くにある(繋がった)木に燃え広がる
 スモールワールド性:人間同士のネットワークは平均すると6~7人程度の隔たりしかない
           世界中の密接な繋がりが金融危機を大きくした
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 1月12日(火)02時25分23秒
  『スッキリわかるJava入門 実践編』
中山清喬
株式会社インプレスジャパン
2012年

Javaの中級者向けの入門書
文字列操作や、コレクション、クラス、インスタンスとシステム、ライブラリ等の基本処理の応用から、
ファイル形式とファイル操作、ネットワーク、データベース、スレッドといった中級レベルの処理のみならず、
java搭載ツール、設計のデザインパターン、テストとJUnit、品質の見える化やチーム開発手法といった
より開発について実践的な部分にまで踏み込んだ内容を分かり易く記載している。
プログラム言語としてのJavaをある程度理解した人が次のステップに進む時に読むとわかり易いと思う。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 1月11日(月)23時32分56秒
  『催眠誘導の極意』
林 貞利
現代書林
2006年

催眠術師が催眠術について説明した本。
分かった範囲で要約してみた。
大雑把なので内容が本書と異なる可能性があるので注意。

催眠:被験者にリラックスと集中を促す事で、被験者の無意識に働きかける
   被験者自身の(無意識的な)協力が不可欠
   身体 → 無意識 → 意識

言語:お願いでも命令でもない暗に仄めかす。前暗示(予告)、刺激(合図)、追い込み暗示(どんどん、もっと)
非言語:タッチング(触れる)、ミラーイング(被験者に気づかれないように被験者の動作や呼吸などをできるだけ真似る)、目を閉じた直後、驚愕時、アンカー、凝視

ベイス・サジェスチョン:被験者が無意識に納得できる理由。科学的である必要はない
            気でも霊でも何でもいいが被験者が暗に信じているものである必要がある
            例えば催眠術の効果を(あるかもしれないと)信じている人に予め「催眠術師があなたに催眠をかけます」というとかかり易い
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2016年 1月 9日(土)14時19分28秒
  『ゼロからのサイエンス よくわかる物理』
福江 純
株式会社 日本実業出版社
2008年

物理全般について比較的端的に書いた本。
この手の本にしては薄い部類に入ると思うが、現代物理学の内容がかなり広範囲にわたってわかりやすく記載されている。
現代物理学の入門書によいと思われる。

【力】
 運動の第2法則:質量m[kg]×加速度a[m/s^2]=力F[N=kg・m/s^2]
 力がまったくない時⇒運動の第1法則:慣性の法則
 複数の力がつり合っている時⇒運動の第3法則:作用反作用の法則
 運動量(m×速度v[m/s])は保存される(運動量の和は変わらない)
 衝突前:mv+0=mv
 衝突後:0+mv=mv
 角運動量(J=質量m×回転半径r×回転速度v)も保存される(回転半径が小さくなると速度が速くなる)
 力学的エネルギー(運動エネルギーと位置エネルギーの和)[J=kg・m^2/s^2]も保存される(一定)
 1/2×mv^2+m×重力加速度g[m/s^2]×高さh[m]=一定
 位置エネルギーは、ポテンシャルエネルギー、あるいは重力エネルギーともいう
 万有引力(重力)の法則:万有引力F=万有引力定数G×物体Aの質量M×物体Bの質量m/物体間の距離r^2
 現代の考えでは、重力を引き起こす重力子(グラビトン)という質量0で光速で動く素粒子が無限遠にまで届くと考えられている
 地球の周りを回るスペースシャトルの中は遠心力と重力がつり合った無重量状態(重力自体はあるので無重力状態ではない)
 重力はあらゆる物体が感じる「真の力」、遠心力、慣性力はその運動(回転運動、加速(減速)運動)中の物体だけが感じる「見かけの力」
 アインシュタインの等価原理:「真の力」と「見かけの力」を同じものとみなす
 月は地球に向かって落ち続けている
 ガリレオ・ガリレイ:最初の実験物理学者。地動説に対する異端審問について最初(1615年)は訓告で済んだがその後も活動を続け1632年に地動説を主張する「天文対話」を出版した事で異端審問にかけられる。
           宗教裁判について、当時の科学力(観測技術や理論的予測)では天動説と地動説のどちらが正しいかを確かめる術はなかったため「教会の権威」vs「科学的真理」ではなく、単なる哲学的主義主張の対立に近かったらしい

【波】
 波の性質を特徴づける量
 波長λ[m]:波の山と山、あるいは谷と谷、あるいは同じ位相(形が同じ場所)の間隔
 振動数(周波数)ν[Hz]:1秒間に振動する回数 周期=1/振動数
 波の速さv[m/s]:波は1周期で1波長だけ進む。(波のある位置にある物質は実際には動かず上下に振動するだけ)
           速度=波長×振動数

 横波:波の進行方向と振動方向が直角に交わる波
 縦波(疎密波):波の進行方向と振動方向が平行な波

 地震波:地震が発生すると、まずP波(縦波)が伝わり、遅れてS波(横波)が伝わる
 音波:縦波。摂氏零度の空気中:331m/s、水中:1500m/s、氷:3200m/s
    20度の二酸化炭素:275m/s、100度の水蒸気:405m/s
    20度のメタノール:1121m/s、20度の海水:1513m/s
    ガラス:5440m/s、鉄5950m/s
 電磁波:進行方向に垂直な2方向に電場と磁場が振動しながら伝わる横波

 波の干渉:複数の波が重ね合わさって強め合ったり弱め合ったりする効果

 音の3要素
 音の高低:振動数が大きいほど高い音になり、振動数が小さいほど低い音になる。音速(=波長×振動数)は媒質の性質で決まるので、波長も決まる
      振動数が2倍の音=1オクターブ高い
      ド(262Hz)レ(294Hz)ミ(330Hz)ファ(349Hz)ソ(392Hz)ラ(440Hz)シ(494Hz)ド(523Hz)
 音の強弱:音波のエネルギー。内耳が受ける刺激にも関係するので単純に音の強弱には比例しない
 音色:音の波の波形

 音のドップラー効果:音源と観測者が近付いている時は音が高くなり(振動数は大きくなり)、遠ざかっている時は音が低くなる(振動数が小さくなる)
           3.4m/sで走る自転車から発したソ(392Hz)の音は、近づく側ではラ(436Hz)、遠ざかる側では1オクターブ低いソ(196Hz)の音が聞こえる

 光線の3法則:直進、反射、屈折

 光の3原色(RGB):赤(700nm)、緑(546.1nm)、青(435.8nm)。全て混ぜると白色光になる
 色(料)の3原色(CMY):シアン(赤の光の吸収)、マゼンタ(緑の光の吸収)、イエロー(青の光の吸収)。全て混ぜると黒色になる
 色の正体は「人間側の認識」。赤色光(700nm)+緑色光(550nm)と黄色光(600nm)は異なる波長の光だが脳の認識では同じ黄色になる

 光の分散:屈折率が異なる媒質(例:空気とプリズム)に光が入射すると波長によって屈折率が少しずつ違うため白色光が色々な光に分解される
 光の回折:光の波長と同じくらいの微小な刻み目の縁などで、光がわずかに曲げられ縁を周り込む
 光の干渉:シャボン玉や水たまりの油膜の厚さは光の波長程度しかなく、この油膜の上面で反射した光と下面で反射した光が強め合ったり弱め合ったりする

【熱】
 断熱:熱の移動を断つ

 熱伝導:接触により熱源から直接熱を受け取る
 熱放射:熱源から放射される電磁波(主に赤外線)を受けてその輻射熱を受け取る
 熱対流:熱を持った空気の流れにより熱を受け取る

 熱の正体:実体はエネルギー。熱の量は原子や分子のミクロな振動エネルギーや運動エネルギーの総量

 熱平衡:完全に混ざり合い温度が確定できる状態
 熱力学の第0法則:温度の異なる2つの物体を接触させると、高温の物体から低温の物体に熱が流れる。そして十分に時間が経つと、両者の温度が等しくなって熱の移動は止まる(熱平衡)
 内部エネルギー:モノは、熱エネルギー以外にも、歪みのエネルギーや結合エネルギー等を持っており、これらの総称。
 熱力学の第1法則(エネルギー保存):物体の内部エネルギーの増加⊿U[J]=物体に与えた熱量Q[J]+物体に与えた仕事W[J]
 エントロピー:散らばり方の場合の数(状態の数)の対数をとったもの。大きいほど乱雑な状態
 熱力学の第2法則(エントロピー増大):熱は高温部から低温部へ流れる。温度が違った(区別される)状態より温度が等しい(区別できない)状態の方の場合の数が圧倒的に多い
 絶対零度:摂氏マイナス273.15度。ミクロな熱運動は全くなくなり、原子や分子はたった1つの状態に固定されエントロピーは0になる。実際には絶対零度に到達する前に量子力学的な性質が現れてきて古典的な熱力学は適用できなくなる
 熱力学の第3法則(絶対零度):温度が絶対零度に近付くとエントロピーも0に近づく。エネルギーレベルが最低の状態でエントロピーが0になる

 宇宙の熱死:宇宙が熱平衡に到達する事。実際には宇宙は膨張して、高温部と低温部が引き離されていくので熱平衡に達する事はない。

 マクスウェルの魔:中央が仕切られた一つの四角い容器がある。しきりには分子一個分の小さい穴が空いており悪魔が見張りをしている。
          容器の中について仕切りを挟んだ部屋をそれぞれA、Bとして、悪魔はある速度以上の分子がAから来た場合はBに通すが、ある速度未満の分子がAから来た場合は通さない。
          同様に、悪魔はある速度未満の分子がBから来た場合はAに通すが、ある速度以上の分子がBから来た場合は通さない
          この場合、AとBで熱平衡だった容器内が片方が高温、片方が低温に分かれる(エントロピーが減少する)ことになる。
          だが、実際このようなシステムがあった場合、悪魔自身のエントロピーが増大しシステム全体としてもエントロピーが増大する事がわかっている。

 非平衡開放系:人や星のように、外界にエントロピーを捨てながら、熱平衡から外れた状態で自分自身の構造をダイナミックに維持しているシステム

【水】
 流体:気体と液体の総称
 アルキメデスの原理:浮力はあふれた水の重さに等しい
 パスカルの原理:(重力などの影響を受けずに)静止している流体の内部ではどこでも同じ大きさの圧力が働いている
 (北半球では)高気圧の中心は下降気流になり地表付近では風は時計回りに吹き出し、低気圧の中心では上昇気流になり地表付近では風は反時計回りに吹き出す

 ベルヌーイの定理:流体の持っている運動エネルギーと内部エネルギーと位置エネルギーの総和は、流れの道筋(流線)に沿って一定
                  1/2×v^2 + 圧力/密度 + gh = 一定

 孤立波(ソリトン):単独で伝播する波。KdV方程式で表される。
           波がますます強くなろうとする非線形性と波がバラバラになろうとする分散性がうまい具合につり合った状態で存在
           粒子のように振る舞う

 波の分散:波長の違う波で速度が違う。波長の長い波の方が波長の短い波より速い。よって波長により波がバラバラの速度で進む。

 線形の波:振幅の小さな波同士は、重ね合わせて振幅を足し合わせる事が出来る

 非線形波:振幅の大きな波は、単純に重ね合わせる事ができない。非線形波は非線形性がますます強くなる性質がある

 チェレンコフ光:ほぼ光速で飛翔する宇宙線が水中などに突入するとくさび形に青白い光が発生。水中では光の速さが少し遅くなるが、宇宙線の速さは変わらないため光が取り残されるため。

 「人間は考える葦である」(ブレーズ・パスカル、パンセより):人間一人ひとりは、か弱い1本の葦に過ぎないが、”考える葦”であり、宇宙の広がりさえも認識できる。対して、自然や宇宙は強大であるけども何も知らない

 ラプラスの魔:全宇宙の全ての粒子のある時刻における位置と速度の完全なデータがあり、それぞれの粒子の振る舞いを完全に計算できる能力を持った存在(悪魔)
        この悪魔は全ての事象を完全に予測する事が出来るはずだが、現実は
        ・全ての粒子の振る舞いを足し合わせても全体の動きにならない(複雑系)
        ・たとえ確定的(決定論)なシステムであっても少しでも誤差が入ると(誤差が入らない場合と)全く異なる挙動を示す事がある(カオス)
        ・ミクロレベルでは物事(例:電子の位置と速度)が確定的でなく確率的にしかわからない(不確定性原理)
        により、この悪魔の存在可能性は否定されている

【場】
 マクスウェル方程式:電気と磁気を統合する式
 ①divD = p (div:発散)「電荷pのまわりには、他の電荷に影響を与える力の場(電場D)が存在する」これは電気に関するクーロンの法則を含んでいる
  プラスの電気から電場がわき出し、マイナスの電気に電場は吸い込まれる
 ②divB = 0 「(単独の磁荷は存在しないが)磁極の間には磁気の場(磁場B)が存在する」これは磁気に関するクーロンの法則を含んでいる
  S極に磁場は吸い込まれ、N極から磁場はわく
 ③⊿D/⊿t + J = rotH (rot:ぐるりと回転)「電荷が移動して電流Jが流れると、そのまわりに磁気の場(磁場H)が生まれる」これはアンペールの法則を一般化している
  電場が変動するとまわりに磁場が発生する
 ④-⊿B/⊿t = rotE 「磁気の場(磁場B)が変化すると起電力Eが生じる」これはファラデーの電磁誘導の法則である
  磁場が変動するとまわりに電場が発生する

 電磁波の伝播:進行ベクトルk∝電場ベクトルE×磁場ベクトルH (kはEとHの積に比例する)

 アインシュタイン方程式:Rik - 1/2Rgik + Λgik = 8πG/c^4 × Tik
             時空の形状 = 定数 × 物質・エネルギーの分布や運動
             重力の強さを小さくする ⇒ ニュートンの万有引力の法則
             原点では強い重力、遠方では重力が弱まるように仮定 ⇒ ブラックホールの解
             宇宙全体に方程式を適用 ⇒ 宇宙の構造(時空の形状)と宇宙に存在する物質・エネルギーの分布とが関係づけられる
             物質もエネルギーも全くないと仮定 ⇒ 波動解(時空のさざ波である重力波)
             その他、ビックバン宇宙論もインフレーション宇宙論もアインシュタイン方程式が基礎になっている

【粒】
 プラズマ(電離気体):水分子なら約3000Kになると解離し2個の水素原子と1個の酸素原子になり、さらに約1万Kを超えると水素原子自体が壊れ、原子核(水素の場合は陽子)と電子になる
            高温で気体が電離(プラスの電荷をもったイオンとマイナスの電荷をもったイオンに分かれる)したもの(ろうそくやガスコンロの炎に少し含まれている。蛍光灯やネオン管にも含まれている)
 反粒子:陽子(電荷+)と反陽子(-)、中性子(0)と反中性子(0)、電子(-)と陽電子(+)
 対消滅:粒子と反粒子が出会って、お互いに消滅してエネルギーに変わる事
 対生成:非常に大きなエネルギーからは粒子と反粒子を対で発生する事
     陽子と電子からなるプラズマの温度が60億Kぐらいになると、熱運動によって飛び回っている電子の運動エネルギーが、電子自身の質量と等価なエネルギー(静止質量エネルギー)と同じ位になる
     このような超高温のプラズマの内部では、陽子と電子、電子と電子、陽子と光子、電子と光子、光子と光子が衝突した時に、余剰の運動エネルギーから電子と陽電子が生成される
     電子と陽電子が電気的に結合すると、化学的には水素と同じ性質を持つ物質ができる。この不安定な物質をポジトロニウムと呼ぶ
 タージオン(遅い粒子):粒子や反粒子など、質量を持ち運動速度が光速を超えない粒子
 ルクシオン(光の粒子):光子や重力子のように、質量を持たず常に光速で運動する粒子
 タキオン(速い粒子):存在は疑問視されている、虚数の質量を持ち常に光速よりも速い速度で運動し続ける粒子。過去に信号を送る事ができ、因果律が破れる。

 光電効果:金属の表面に光を当てると電子が飛び出す現象
      紫外線だと弱い光でも電子が放出されるが、赤外線だとどれだけ光を強くしても電子は放出されない
      入射した光量子のエネルギーhv = 弾き出された電子の運動エネルギーK0 + 物質内の電子の結合エネルギーW
      弾き出された電子の運動エネルギーK0 = 1/2mv^2
      物質内の電子の結合エネルギーW = 停止している光量子のエネルギーh0

 光の二重性:光は粒子性と波動性の古典的な考え方では相矛盾する性質を併せ持つ
       空間を伝わる時は波、物質に吸収される時は粒子になる
       光は1個の光子だけを見れば粒子として振る舞うが、1度に1個だけの光子を放出しながら時間をかけて沢山の光子を放出し続けると、全体では干渉縞ができてくる
       1個ずつ放出しているので他の光子と干渉することはない⇒よって光子は自分自身と干渉した

 ミクロな世界:現在の量子力学では、下記のように考えられている
 離散的:物質に最小単位が存在することはもとより、粒子の位置や運動速度、エネルギー、果ては時空そのものさえも連続ではなく離散的
 確率的:物理量の値の測定が原理的に不確実(ハイゼンベルグの不確定性原理)
     また、非常に短い時間の間はエネルギーの保存が破れてもよい。(ハイゼンベルグの不確定性原理)
     シュレジンガー方程式:電子の確率雲の振る舞いを表す

 核力:電磁気的な力に反して核子(陽子と中性子)同士を結びつける非常に強力な力(強い相互作用、強い力)。原子核の大きさ(10^-15m程度)しか届かない
    実はクォーク同士相互作用
 ”素”粒子の分類(素粒子は現在では約140個ある)
  ハドロン(強粒子):核子や中間子のように核力を感じる物質粒子
   バリオン(重粒子):核子のように比較的質量が大きい。(核子、⊿(デルタ)粒子、Λ(ラムダ)粒子、Σ(シグマ)粒子、Ξ(グザイ)粒子)
   メソン(中間子):核子よりは軽いが電子よりは重い。(パイ中間子、K(クー)中間子、Ω(オメガ)中間子、η(イータ)中間子)
  レプトン(軽粒子):電子やニュートリノのように、核力は感じないものの、電磁気力と弱い相互作用をする物質粒子(電子、ミュー粒子、タウ粒子、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノ)
 β崩壊:中性子が原子核の外に出ると15分ほどで崩壊する崩壊過程。この崩壊には弱い相互作用(弱い力)が関与している。
     中性子 → 陽子 + 電子 + 反電子ニュートリノ
     かつて電子の正体が不明だった時に電子をβ線と呼んでいた事に由来
     反電子ニュートリノ:電子ニュートリノの反粒子。電荷を持たず核力も働かない。質量もほとんどゼロ

 クォーク:ハドロンには沢山の種類がみつかり、それらすべてが”素”だとは考えられなくなってきた
      ・重粒子バリオンは3つのクォーク(または反クォーク)からできている
      ・中間子メソンは1つのクォークと1つの反クォークからできている
      と考えると、少ない種類のクォークで全てのハドロンを説明できる
      第一世代:アップ、ダウン 第二世代:チャーム、ストレンジ 第三世代:トップ、ボトム
      と名付けられている。
      陽子 = アップクォーク2個+ダウンクォーク1個
      中性子 = アップクォーク1個+ダウンクォーク2個
      マイナスK中間子 = ストレンジクォーク1個+反アップクォーク1個
      なお、レプトンにおける世代は、
      第一世代:電子、電子ニュートリノ 第二世代:ミュー粒子、ミューニュートリノ 第三世代:タウ粒子、タウニュートリノ
      整数ではなく2/3のような分数電荷を持つ
      クォーク単体を取り出すことはできない
      赤、緑、青の色荷と呼ばれる電荷のような量子数を持ち、3つのクォークが結合してバリオンを作る時は必ず3種の色荷を持ったクォークが組み合わさって白色になる
      異なる色のクォーク同士はグルーオン(膠着子)と呼ばれる力の粒子を交換して結びつく
 量子色力学:上述の色荷を取り入れたクォークの量子力学

 (真の)素粒子の分類:6種類のクォークと6種類のレプトンが基本粒子の全て

 力の場:電磁相互作用、強い相互作用、弱い相互作用、重力
 ゲージ粒子:現代の物理学で考えられている、これらの力の場においてそれぞれの力を介在し仲立ちする粒子
       力の粒子の交換によって力の場が生じる。仲立ち粒子が活躍している空間を「場」という
       電磁力:[力を感じる粒子]荷電粒子 [力を伝える仲立ち粒子]フォトン(光子)γ
       弱い力:[力を感じる粒子]クォーク、レプトン [力を伝える仲立ち粒子]ウィークボソンW&Z(弱ボース粒子)
       強い力:[力を感じる粒子]クォーク [力を伝える仲立ち粒子]グルーオン(膠着子)
       重力:[力を感じる粒子]全ての粒子 [力を伝える仲立ち粒子]グラビトン(重力子)G

 物質場(物質粒子)も力の場(力の粒子)も同じ枠組みで扱える
 物質粒子と力の粒子の違い:パウリの排他律に従うか否か
 パウリの排他律:2つ以上の粒子が全く同一の量子状態を持つ事は出来ない
 フェルミオン(フェルミ粒子):排他律に従う粒子。陽子、中性子、電子等の物質粒子
 ボソン(ボース粒子):同一の量子状態にいくつでも入れる粒子。光子等のゲージ粒子

 統一場理論
  量子電気力学:特殊相対論と量子論を統一
  量子電弱力学:電磁力と弱い力を統一
  量子色力学:強い力の理論
  素粒子の標準理論:量子電弱力学と量子色力学
  重力場のみが量子力学と融合していない

 超対称性理論:フェルミオンとボソンの入れ替えに対応する対称性を超対称性とよび、この超対称性を取り入れた理論
        フェルミオンには超ボソン、ボソンには超フェルミオンというように様々な粒子に対して超対称性粒子(スージー粒子)と呼ばれるバートナー粒子が存在すると考えられている
  物質粒子(フェルミオン)
   クォークに対して超クォーク(スカラークォーク、スクォーク)と呼ばれる超ボソン
   電子に対して超電子(スカラー電子、スエレクトロン)
   ニュートリノに対して超ニュートリノ(スカラーニュートリノ、スニュートリノ)
   (超ボソンには語頭に”ス”をつける)
  力のゲージ粒子(ボソン)
   光子(フォトン)に対してフォティーノと呼ばれる超フェルミオン
   弱ボソンに対してウィーノ
   膠着子(グルーオン)に対してグルイーノ
   重力子(グラビトン)に対してグラビティーノ
   (超フェルミオンには語尾に”ィーノ”をつける)

 クォーク(色荷や反粒子も含める):36種
 レプトン:12種
 ゲージ粒子:20種類
 超対称性粒子を含めると上記の倍になる

 電子等の素粒子は通常、大きさを持たない点として扱う ⇒ 本当に点だとそこで物理量が発散してしまうという問題が発生する
 有限の大きさのヒモや環を使えば、重力場の問題も量子場の問題もともに解決かつ融合できる

 ヒモ理論(弦理論):素粒子が点ではなく有限の大きさ(プランク長さ10^-35m程度。なお陽子の大きさは10^-15m)を持ったヒモだという考え方
          ヒモのいろんな振動状態が各種の素粒子に対応

 超ヒモ理論(超弦理論):超対称性を持ったヒモと高次元時空の理論
  一般相対性理論:時空と重力のしくみを明らかにし、宇宙における様々な現象を解明
  量子力学(素粒子物理学):物質の構造とミクロな世界のしくみを明らかにし、物質の成り立ちや宇宙の始まりを議論できるようにした
  これら2つの基礎理論を統一するための理論
  超ヒモ理論が矛盾なく成り立つためには10次元時空が必要(現在認識できる時空は4次元)
  残りの次元がどうなったかについては下記のような考え方がある
  ・自然にプランク長さ程度の極めて小さな内部空間になってしまった(コンパクト化された高次元空間)という考え方
  ・マクロ生物が認識する4次元時空はより高次の次元の一部である(プレーンワールド(膜世界))という考え方
   この場合、4次元時空以外の他の次元(余剰次元)は、認識できないものの重力作用だけは相互に働いている
   余剰次元は4次元世界を支配する力の枠外にあるためコンパクト化されている必要はない

【天】
 オルバースのパラドックス:星に満ちた宇宙が暗いのはなぜか
  回答1>宇宙空間に存在するガスや塵などの物質が光を吸収するため
  反論1>星の光を吸収した物質は温められて光りはじめる
  回答2>星は銀河を、銀河は銀河団をつくるように、宇宙は階層的な構造をしているため
  反論2>現状をつくりだすためには無限の階層が必要
  回答3>宇宙が膨張しているため遠方の星からの光は波長が赤い方に延びる赤方偏移により、光のエネルギーが低くなるため
  反論3>一理あるが本質的な解決法ではない
  正答 >宇宙の年齢は無限ではないため、いま観測できる宇宙の果ては100億光年ほど、それより遠方の星からの光はまだ届いていないため(今見えている星の数が有限のため)

 ケプラーの第一法則(楕円の法則):惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描く
 楕円:取り決めに沿ってつぶした円。楕円上の点Pと、焦点と呼ばれる2つの点AとBとの距離の和PA+PBが一定
 ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則):太陽と惑星を結ぶ線分が一定時間に描く扇形の面積は常に一定。焦点に近いところでは惑星は速く動く
 ケプラーの第三法則(調和の法則):惑星の公転周期の2乗と軌道長半径の3乗の比は、全ての惑星に共通で一定の値になる
 ケプラーの法則は惑星だけでなく小惑星やわい惑星(準惑星)、彗星などでも成り立つ

 ケプラーの3つの法則とニュートンの万有引力の法則は数学的には同じだが物理的には異なる
 ケプラーの3つの法則:観測により得られた経験的な法則
 ニュートンの万有引力の法則:万有引力という原理に基づいた理論的な枠組み
 「その自然現象の物理的な仕組みを理解した」というためには、その自然現象に対して「観測によって得られた事実を説明できる」かつ「(隠された)現象を予言できる」必要がある

 惑星のタイプ
  地球型惑星(岩石惑星):太陽に近い水星、金星、地球、火星。塵が何段階かの集積を経たため固体の天体になった惑星
  木星型惑星(ガス惑星):木星と土星。固体の中心部ができた時に固体核の重力で周辺の水素ガスを大量に集めて主にガスからなる惑星
  天王星型惑星(氷惑星):天王星と海王星。太陽から遠いため氷の成分が増えた惑星
  灼熱惑星:ペガサス座51番星のまわりを回っている惑星。木星のようなガスでできているが、母星のすぐそばを公転しているため母星の光と熱を大量に浴びている

 体重計で針の重さを測る方法:同じ針を大量に集めて、測った後に本数で割る
 体重計で象の重さを測る方法:小船に象を乗せて沈んだところまで印をつけ、次に同じ印の所に沈むまで人を乗せて、その人数分の体重を足す
 地球や太陽の重さをはかる方法:万有引力の法則を使う
  地球の質量=重力加速度9.8m/s^2と地球半径6378kmから、6×10^24kg
  太陽の質量=地球の公転周期1年と太陽と地球との距離約1億5千万kmから、2×10^30kg

 ブラックホール:アインシュタインの一般相対論から生まれた最も奇怪な産物
         もっとも単純なシュバルツシルト・ブラックホールは、事象の地平面と呼ばれる球状の境界(ただしはっきりした境界ではない)で囲まれている
         「光でさえ吸い込むから真っ黒で見る事が出来ない」 ← 背後から光を当てる事で影を浮かび上がらせる事は出来る。よって見える
         「何でも吸い込む」 ← 無限大の胃袋を持つがその口(喉)の面積は有限なので、物質を大量に落とし込めば吸い込み切れずに吹き飛ばす
                     洗面台にバケツで水を一気に大量に流せば溢れてしまうのと同じ

 ビックバン宇宙モデル:宇宙の始まりが約137億年前のビックバンという大爆発(時空そのものの急膨張)でその後も膨張し続けている
 ①ハッブルの法則:遠方の銀河ほど高速で遠ざかっているという観測事実
 ②3K宇宙背景放射の存在:宇宙全体が約137億年前に高温の火の玉だったという証拠。火の玉の最後の光は波長が1マイクロメートルかそこらの赤外線(温度にして約3000Kの黒体放射)だったが、宇宙の膨張とともに波長が延びて、現在では1ミリより長いマイクロ波電波(温度にして3K)になってしまった
 ③ヘリウム元素組成比の値:ビックバンの火の玉の中で水素からヘリウムが合成され、25%がヘリウムになった
 等の観測的証拠により実証されている

 宇宙の始まり
  インフレーション期:無(4次元時空そのものが存在しない)の状態から量子重力効果によって誕生
            宇宙の4次元時空よりももっと上の高次元時空においては、常に時空に量子的なゆらぎが存在するが、そのほとんどは泡のように消え去る
            わずかな確率で時空の量子的なゆらぎが無の状態から有(10^-33cmほど)の状態へ顕在化し成長
            プランク時間と呼ばれる10^-44秒ほどの非常に短い時間で極めて急激に膨張
            引き続きビックバン(火の玉宇宙。エネルギー源は(高温相の)真空)に移行

 真空エネルギー:相対論によって空間は測定できる物理量になり、さらに量子論によって非常にミクロなスケール(10^-33cmほど)では空間も泡のようにゆらいでいる。この量子的なゆらぎの結果、量子論的な真空が持つエネルギー
         真空には水の温度のように高温相の真空(高いエネルギー状態)、低温相の真空などがある
         真空が高温相から潜熱(エネルギー)を放出して低温相に転移することを真空の相転移と呼ぶ

 現在の宇宙
  減速膨張:宇宙に存在する物質とエネルギーの重力が宇宙自体を引き寄せるため、膨張の速度は次第にゆっくりになる
  加速膨張:約46億年前から加速されつつある
       遠方の宇宙は過去の宇宙 ⇒ 遠方の宇宙の膨張則を調べれば、過去の宇宙の膨張則がわかる
       遠方の銀河からやってくる星の光のずれ(赤方偏移)を測定すると、遠方の銀河がどれくらいの高速で膨張しているかが分かる
       ただし、その銀河までの距離がわからない事には、膨張率すなわち加速度がわからない
       そこで超新星爆発の一種を利用して、距離を算出した。
       タイプIaと呼ばれる種類の超新星は、爆発時の最大光度が比較的よく揃っており、真の明るさが大体わかっている
       遠方の銀河でタイプIa超新星爆発が起これば、そのみかけの明るさを測定して真の明るさと比べる事により、遠方の銀河までの距離が判明する
       この方法で、非常に遠方の銀河までの距離と後退速度を調べた結果、宇宙膨張が加速しているとの結論を得た
       ⇒この場合、宇宙に存在する物質とエネルギーの重力に抗し、宇宙を膨張させようとする反発力が必要
  ダークエネルギー:宇宙を膨張させようとする反発力を生み出すエネルギー(まだ検出されていない)
           アインシュタインが捨て去った宇宙項と等価なもの
  ダークマター(暗黒物質):光その他の電磁波は出さないものの、質量を有して重力を及ぼす物質で正体は不明
               銀河や銀河団が重力システムとして存在するために必要で、重力レンズ効果もダークマターの存在を実証した
  重力レンズ効果:銀河や銀河団の重力によって遠くのクエーサーの光が曲げられる現象

 宇宙に存在するモノの割合
  通常物質:4%(星・銀河:1%、ガスなど:3%)
  暗黒物質:26%
  暗黒エネルギー:70%

【地】
 散乱:太陽光の一部が空気分子や、雲、埃や黄砂などによって散らされる現象
    分散は光が波長(色)に分かれる現象で、散乱は光線の方向が変えられる現象
    水滴や埃のように比較的大きな微粒子の場合、どの色(波長)の光も同じように散乱する ⇒ 白色になる(例:雲)
    大気がない宇宙空間では散乱が起きないので真っ黒にみえる
    空気分子のような光の波長と同程度の大きさの微粒子の場合、散乱される度合いが波長(色)によって異なる
    散乱される量は波長の4乗に反比例する
 レイリー散乱:青い光の波長は赤い光の波長の半分くらいなので、上記より青い光は赤い光よりおよそ16倍も散乱される
 蜃気楼:垂直方向に大きな気温差が生まれた時に、温められた空気は密度が少し小さくなるため光の屈折率が変わり、光線はまっすぐ進めず屈折する
     熱い空気が上に、冷たい空気が下にあると浮き上がって見える
     熱い空気が下に、冷たい空気が上にあると反射したように見える

 潮の干満(潮汐):1日に2回、潮汐力により海の水が引っ張られる事
 潮汐力:月の引力と地球の(月との)公転の遠心力の差
     地球(の中心(重心))と月は、遠心力と引力がつり合っている
     地球の重心以外の場所ではつり合っていない(遠心力は地球のどこでも同じ大きさだが、月の引力は月からの距離によって変わるため)
     よって潮汐力は、(地球の重心からみて)月に近い側では月の引力>遠心力で月の方向に引っ張られ、月から遠い側では月の引力<遠心力で月と反対側に引っ張られるように働く

 地震
  初期微動:P波。地表付近では毎秒6~7km
  主要動:S波。地表付近では毎秒4km
  震度:各地で計測した揺れの大きさ
  マグニチュード:震源における地震自体のエネルギーの対数

 地球(太陽系)の年齢:45.5億歳±0.5億歳
 放射年代測定:放射性同位体の半減期の違いを比べる事で推定。
 ウラン-鉛(U-Pb)法:放射年代測定の1つ。
              岩石や隕石中に含まれる鉛の同位体のうち、非放射性同位体の鉛204Pbと、238Uから放射性崩壊をしてできる同位体206Pbの割合を測定
              204Pbは最初から量が一定なので、岩石(隕石)が形成されてから時間が経てば経つほど放射性崩壊でできた同位体206Pbの割合が増えてくる
              したがって、現在の比率から逆算して岩石(隕石)ができた年代がわかる

【人】
 生物の3条件
 ・構成単位:外界と境界により隔てられた細胞のような構成単位を持つ
 ・物質代謝:外界から物質やエネルギーを取り込み、それを代謝変換して何らかの活動を行う
 ・自己複製:自分自身と(ほぼ)同じものを複製し増殖する能力を持つ
 同一性の保持
 ・無生物の場合:物質の同一性
 ・生物の場合:情報の同一性
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年12月29日(火)20時48分52秒
  『[マンガでわかる]物理のしくみ 相対性理論・宇宙論・量子力学―ロマン溢れる「ブツリ学」への招待』
小暮陽三・小暮満寿雄
PHP研究所
2008年

主に現代物理学の二本柱である相対性理論、量子力学についてイラストやマンガなどを交えてわかり易く説明した本。

・相対性理論
 特殊相対性理論:宇宙船の時計の遅れ
         互いに等速度で運動する座標系についての理論
 一般相対性理論:重力によって光は曲がる。そこでは時間がゆっくり進む

 ニュートン力学:絶対時間と絶対空間という二つの土台を持つ
 相対性理論:光速度不変の原理、ガリレオの相対性原理という二つの土台に入れ替わった

 絶対時間:時間は過去から未来へと一様に流れ、いかなるものにも影響されない
      時間は宇宙のいかなる場所でも、同じ時刻を指して進む
 絶対空間:物質と無関係に存在する
 ガリレオの相対性原理:宇宙には慣性系が同等に存在し、それらの系列の中では、全て同じ物理法則が成り立つ
 慣性系:一定の速度で走っている乗り物のようなもの。慣性系ごとに「固有時間」を持つ
 光速度不変の原理:光源の速さがどうあれ光の速度は変わらない

 ローレンツ収縮:空間は運動する方向に縮む。
         長さを測る=測り手が基準になるモノサシを持ち、ある2点間を「同時に」読み取る
         光速度不変の原理により導かれる

 速度が増せば重くなる:光速の70%で質量は1.4倍

 E=mc^2 (エネルギー=質量×光速の二乗)

・量子力学

 電磁波発生の方法
  波長:長
  アンテナの中の電流の振動:無線
  固体の熱振動。分子の回転、振動:ラジオ波、マイクロ波、レーダー
  原子内の電子軌道変化:可視光線、紫外線、赤外線
  原子核の振動、素粒子の質量の消滅:X線、γ線
  波長:短

 ある電磁波のエネルギーEは、hvを最小の単位として、その整数倍の値しか取れない
 E=hv (電磁波のエネルギー=プランク定数×電磁波の振動数)
 プランク定数h=6.626×10^-34ジュール・秒

 クォーク:提唱者ゲルマンの愛読書に出てくるカモメの鳴き声から命名された
      また、クォークの6種類、アップ、ダウン、ストレンジ、トップ、ボトム、チャームもゲルマンの遊び心による命名
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年12月19日(土)01時23分58秒
  『光とは何か』
江馬 一弘
株式会社 宝島社
2014年

タイトル通り、光とは何かについて書かれた本。

光単体では何も起きない。
他の物質と出会って初めて「何かが始まる」。

光の正体は「電気的な波」。
光の直進(性)の法則:光は障害物にぶつからない限り、まっすぐ進む。
光の真空中での速度は秒速約30万キロメートル(29万9792.458キロメートル)。
反射の法則:光が鏡に差し込む「入射角」と、その光が反射する「反射角」が等しくなる。
鏡で逆になるのは「左右」ではなく「前後」
鏡を遠ざけても鏡に映る自分の顔の範囲は変わらない。
分子や原子のミクロのレベルで考えると、鏡に反射した後の光は、鏡に反射する前の光と厳密には「別のもの」。
光の屈折:空気中をまっすぐに進んでいた光が、ガラスや水などの透明な物体に当たると、光は物体の表面(境界面)で急に進路を変えられて進んでいく。
これは「ホイヘンスの原理」という波の性質が原因。
屈折率=真空中の光速度÷その物質中の光速度
フェルマーの原理:2点間を通る光は、通行可能なルートのうち、最短距離で行けるルートを進んでいる。
最小作用の原理:ニュートンの運動の法則は「作用(アクション)の値が最小になる」など、自然界の現象には「何かの値が最小になる」(無駄をしない)傾向がある。
虹を7色と決めたのはニュートン。
プリズムで光が分散するのは、色ごとに物質中での速度が違うから。
レイリー散乱:光が分子のような非常に小さな物質に当たったときの散乱。空が青い理由。
海が青く見えるのは、散乱の効果よりも、水が赤色を吸収する効果の影響がずっと大きい。
ニュートン「光線に色はない」:光の波長の違いを脳が「色」というイメージで認識しているだけ。色は心理的な量。
ミクロのレベルで観察すると、光は物質の中で”水ヨーヨー遊び”をしている
波長の短い電磁波ほど振動数は大きく(高く)なる=エネルギーが高くなる。
物質の中で電子が振動すると、光(を含めた電磁波)が生まれる。
電子が速く振動すれば振動数が大きい電磁波が出来る。
固有振動数:電子を振動させるのに適度な振動数の事
共鳴(共振):固有振動数に一致する振動数の光(電磁波)が来ると、電子はその固有振動数で振動する。
熱放射:電子の振動や極性分子の振動・回転によって出てくる光(電磁波)。温度が高い物体ほど原子、分子が激しく振動するので電子も激しく振動し、振動数の大きい光がより多く放出される。
電子の「軌道ジャンプ」によって光が生まれる。
振動数が小さい(エネルギーが弱い)電磁波⇒固有振動数の小さい水ヨーヨー(結びつきの弱い電子(例えば金属内の電子)や極性分子)を動かす。
振動数が大きい(エネルギーが強い)電磁波⇒固有振動数の大きい水ヨーヨー(結びつきの強い電子)を動かす。
電子レンジのマイクロ波の振動数(周波数)は、2.45ギガヘルツ(1ギガヘルツ=10億ヘルツ)
水分子の回転する固有振動数は、300~600ギガヘルツ
よって本来なら振動数が一致しないので加熱されない。
そもそも、液体の水の場合、電磁波の振動数が小さいとなめらかに回転し、大きいと電磁波の変化に付いていけず動かない=どちらも加熱しない。
ちょうどよい振動数の時、電磁波の振動数より少し遅れて回転し、その結果「摩擦熱」が発生する。
つまり、水分子単体の固有振動数による「共鳴」は使っていない。
物質が透明であるためには、1.物質の表面や内部で光が散乱しない事 2.光が物質に吸収されない事。
ガラス分子の固有振動数は遠赤外線の振動数と一致。分子が振動する事で熱が発生(光が吸収されて熱に変わる)。
ガラス分子内の電子の固有振動数は紫外線の振動数と一致。電子が外側の軌道にジャンプし、その後エネルギーを失い、内側の軌道に戻るが、この時、電子は光を様々な方向に放出する。さらにレイリー散乱も複雑に絡まる。
よって遠赤外線も紫外線もガラスを透過できない。
可視光線の振動数はガラス分子とも電子とも一致しない。ガラス内の分子は少しだけ揺れて(一瞬だけ吸収して)すぐに再放出する。再放出された光を隣の分子も一瞬だけ吸収し、再放出する。これを繰り返して反対側まで行くと透過した事になる。この動きは真空中の光の速度より遅い。
手のひらを目の前にかざして電球からの光が目に入らないようにした≠光を遮った。
電球からの光は手のひらを通り抜けて目に飛び込んできているが見えていない。
なぜなら、手のひらを構成する分子の中で電子が振動して発生した二次光(多数の分子から出た光が強め合ったもの)が、電球の光と干渉し打ち消し合ったため。
紫外線にはUV-A(ガラスを8割ほど通過する、オゾン層に吸収されにくい、肌が黒くなる日焼けを起こす、比較的エネルギーが低い、肌の奥深くの真皮層にまで達してコラーゲンを変成させる、防止効果はPAと記載)とUV-B(ガラスをほとんど通過しない、オゾン層に吸収されやすい、肌が真っ赤になったり水ぶくれになる日焼けが起きる、比較的エネルギーが高い、防止効果はSPFと記載)の2種類がある。
電波のうち、振動数が10メガヘルツ以下(波長でいうとおよそ30メートル以上)のものは大気中の電離層に反射される。
電波のうち、振動数が10メガヘルツ以上のものは地表にまで到達する。
電波のうち、振動数が30ギガヘルツ以上(波長でいうとおよそ1ミリメートル以下)、または赤外線のほとんどは、大気中の水(水蒸気)の分子や二酸化炭素の分子による吸収や散乱を受けて地表に届かない。
一部の振動数の赤外線のみ地表に届く。
可視光線はほとんど届く。(一部は大気中の各種分子によって吸収される)
紫外線は、UV-Bについては、オゾン層に吸収されて地表には届かない。
じつは、光は波ではなく、波でもあるが粒でもある。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年12月17日(木)22時54分30秒
  『ブルーバックス 新装版 電磁気学のABC やさしい回路から「場」の考え方まで』
福島 肇
株式会社講談社
2007年

電磁気学について興味さえあれば初心者でも理解しやすく書かれた本。
電磁気学だけではなく電気回路の基礎などにも触れている。

場とは、空間自身が持っている性質

電場と磁場については
第一法則 荷電粒子は湧き出し・吸い込み型の電場を作る
第二法則 電流(運動する荷電粒子)及び変動する電場は、そのまわりに循環型の磁場を作る
第三法則 単極の磁石は存在しない
第四法則 磁場の変化はそのまわりに循環型の電場を作る

電荷が受ける力について
(1)荷電粒子は電場から力を受ける(電気力)
(2)運動する荷電粒子(電流)は磁場から力を受ける(ローレンツ力)
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年12月 8日(火)00時05分8秒
  『通読できてよくわかる電気のしくみ』
井上 伸雄
ベレ出版
2014年

オームの法則
電圧V(ボルト)=電流I(アンペア)×抵抗R(オーム)

抵抗R(オーム)=電線の材料で決まる値A×電線の長さL/断面積S

電力W(ワット)=電圧V(ボルト)×電流I(アンペア)
        =電流I^2×抵抗R

直流
・電圧が一定で時間が経っても変わらない。

交流
・電圧が0を挟んで+とーを時々刻々と反転しながら変化する。
 変圧器で電圧を自由に変える事が出来るのが利点。
 東日本は50Hz、西日本は60Hz。
 120°ごとに位相がずれた3相交流を使っているため、高圧線は3本で1組の送電線になっている。
 本来は+と-で6本必要なはずだが、120°ごとにずれる事で3本それぞれが他の+であると同時にもう一方の-になるので、3本で送電できる。

・変圧器
 1次側コイル巻き数N1回:2次側コイル巻き数N2回 = 1次側コイル交流電圧V1ボルト:2次側コイル交流電圧V2ボルト
 電圧の変化につられて電流が変化する事で磁界が変化し、電磁誘導が起きる事を利用。

・磁力
 右ねじの法則:電流がネジが進む方向、磁力線(磁界)の向きがネジを回す方向。
 電磁誘導:磁界が変化すると磁界と交わる方向に置いた銅線に電気が誘導されて電流が流れる。
 フレミングの右手の法則:親指が銅線の動く方向、人差し指が磁界の向き(N⇒S)、中指が電流の向き。
             電磁誘導(磁界と銅線の動き⇒電流の発生)を表す。
 フレミングの左手の法則:同上。
             モーターの動き(磁界と電流⇒銅線の挙動)を表す。

・インバーター
 直流を任意の周波数の交流にする。
 スイッチのON、OFFの切替タイミングを調整し、高速で切り替える事で実現している。
 電車のモーターでは送電線から送られてくる交流(50Hzまたは60Hz)を一度直流にした後、インバータを通して任意の周波数の交流に戻す事で回転速度(電車の速度)を調整している。

・電磁波
 金属棒に高周波の電流を流すと棒を取り巻くように磁界が出来る。
 空中に磁界が出来るとそれと直角に電界が出来る。
 (電界:空中なので電気は流れないが、そこに銅線を置けば電流が流れる領域。つまり電流が流れているのと同じ状態)
 電界により磁界が発生する。以下繰返し。
 アンテナ(金属の線または棒)を置くと電波を取り込んで電気の信号として取り出す事が出来る。
 アンテナの長さが電波の波長の1/2の時にもっとも効率的に取り込む事が出来る。
 電波の波長:波の山と山の間の距離。波長が短いほど周波数は高くなる。
 電波の周波数f=電波の伝搬速度c(=30万km/秒)÷波長λ
 アナログテレビ放送:90~220MHz
 デジタルテレビ放送:470~710MHz
 携帯電話・スマホ:710MHz~2.2GHz(波長:約42~14cm)
 ※アンテナを工夫して波長の1/4の長さで済むように設計されているので、アンテナの長さは10.5~3.5cm。

 電波の存在を初めて実験で明らかにしたドイツの科学者ヘルツが、この実験に成功した時、「この発見は何の役に立つのか?」と聞かれたのに対して「多分、何の役にも立たないだろう」と答えたと伝えられている。

 周波数 波長 呼び名 電波の伝わり方 運ぶ事が出来る情報量
 3THz~300GHz 0.1mm~1mm サブミリ波 雨、霧で弱められて遠くまで届かない 非常に多い
 300GHz~30GHz 1mm~1cm ミリ波(EHF)
 30GHz~3GHz 1cm~10cm マイクロ波(SHF)
 3GHz~300MHz 10cm~1m 極超短波(UHF) 次第に直進性が強くなる 多い
 300MHz~30MHz 1m~10m 超短波(VHF)これ以上の周波数は電離層を通過
 30MHz~3MHz 10m~100m 短波(HF) 電離層で反射して遠くまで届く 少ない
 3MHz~300kHz 100m~1km 中波(MF) 100km程度
 300kHz~30kHz 1km~10km 長波(LF) 1000km以上地表面に沿って遠くまで伝わる 非常に少ない
 30kHz~3kHz 10km~100km 超長波(VLF)

 (本書には書かれていないが参考として記載)
 405THz~790THz 740nm~380nm 可視光線

 レーダーの原理
  パルスを送信し、反射して返ってくるまでの時間から距離を算出
  物体までの距離L=電波の伝搬速度c(=30万km/秒)×T(秒)/2
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年12月 1日(火)00時02分38秒
  『<眠り>をめぐるミステリー 睡眠の不思議から脳を読み解く』
櫻井 武
NHK出版
2012年

睡眠は進化のミスか?
 もし眠りを必要としない生物がいたら生存競争で勝ち抜くのに圧倒的に有利。
 にもかかわらずそのような生物が出現しなかったという事は、睡眠は極めて重要な生理機能であるということ
 (水中や空中で生きるイルカや渡り鳥ですら睡眠の呪縛からは逃れる事は出来ない)
 シカゴ大学アラン・レヒトシャッヘン「もし睡眠が重要な役割をしていないというのならば、睡眠を残した事は進化が犯した最大のミスということになるだろう」

眠らないとどうなる?
 ラットの場合
 ・1週間では変化なし
 ・2週間で皮膚から毛が抜け、腫瘍を形成。運動性が低下し、体温も低下。食べる量は増えているのに体重が低下。(恒常性維持調節機能の破たん)
 ・3、4週間で免疫不全により細菌感染症を引き起こし死に至る

 人の場合、11日間(264時間)眠らなかった記録あり、この場合、一過性の精神の異常を来たしながらも再び眠る事で完全回復。
 ・2日目になると怒りっぽくなり、体調不良を訴え、記憶に障害が見られた。集中力が無くなりテレビを見る事も困難になった。
 ・4日目には妄想をするようになり、酷い疲労感を訴えた。
 ・7日目には震えを呈し、言葉を話す事も困難になった。
 致死性家族性不眠症:脳に異常なプリオンタンパク質が蓄積し神経細胞の機能が阻害される。
           中年以降に発症し、発病当初から頑固な不眠と精神的な興奮が持続する。
           進行性の高度な不眠、幻覚、記憶力低下などで、高体温、発汗、頻脈が現れる。(交感神経の過度の活動)
           やがて短期記憶障害、失見当識、せん妄状態、構音障害、運動失調、けいれんを呈し、1年以内に高度の意識障害に陥り、呼吸不全を伴う。
           末期には全く眠る事ができなくなり、発症後、平均して1年半ほどで死亡。
           正確には全く眠れないわけではなく浅い「第一段階」のノンレム睡眠と覚醒を頻繁に繰り返している。
 プリオン:生物学上の常識「セントラルドグマ」を覆したタンパク。感染力を持ち情報を伝えることができる。異常プリオンはタンパク質としての折りたたまれ方が異常。

睡眠の段階と現象
 覚醒:脳全体に周波数の高いβ波(閉眼時は後頭葉の近くで周波数の低いα波)
 レム睡眠:鋸歯状波、速波(覚醒時と同様の脳波)、急速眼球運動。ほとんどの場合、奇妙かつ複雑なストーリーの感情に訴える内容の夢を見ている。入出力をカットして脳だけをフル回転で空ぶかししている状態
 ノンレム睡眠1:α波の除波化とΘ波の出現。夢を見るが内容は平板的で単純(船に乗って波に揺られている、階段から落ちる、等)。浅い睡眠(実は覚醒と共通点が多い)
 ノンレム睡眠2:紡錘波(スピンドル)とK複合波の出現
 ノンレム睡眠3(除波睡眠):δ波が20~50%
 ノンレム睡眠4(除波睡眠):δ波が50%以上。脳波の振幅は大きく、周波数は遅くなる。深い睡眠
 (除波睡眠:4Hz以下の波(δ波)が現れている状態)

 覚醒:モノアミン動作性ニューロン(数Hzで発火)、アセチルコリン動作性ニューロン1(数Hzで発火)、アセチルコリン動作性ニューロン2(停止)
 レム睡眠:モノアミン動作性ニューロン(停止)、アセチルコリン動作性ニューロン1(数Hzで発火)、アセチルコリン動作性ニューロン2(数Hzで発火)
 ノンレム睡眠:モノアミン動作性ニューロン(活動低下)、アセチルコリン動作性ニューロン1(活動低下)、アセチルコリン動作性ニューロン2(活動低下)
 ※アセチルコリン動作性ニューロン2:筋肉の弛緩に関与しているニューロンが含まれている。

睡眠中の脳の動作の例
 覚醒(閉眼)⇒ノンレム1⇒ノンレム2⇒ノンレム3⇒ノンレム4⇒(ノンレム3)⇒(ノンレム2)⇒(ノンレム開始から60分以上後)レム⇒ノンレム1⇒ノンレム2⇒レム⇒ノンレム2⇒覚醒
 ノンレム睡眠、レム睡眠を4~5回繰り返して(睡眠震度の底はだんだん浅くなって)目が覚める。
 大脳皮質にある錐体細胞という神経細胞の活動が段々と同期してくる。(脳波の振幅が大きくなる)
 どの細胞も同じように活動しているので脳の情報処理能力は低下している。
 ノンレム睡眠中は、寝返り等、身体を動かすことはできる。
 除波睡眠中に車を運転して殺人を犯したり、料理して食べたり、絵を描いたりしたという報告がある。(ノンレムパラソムニア(ノンレム睡眠時随伴症)、睡眠関連摂食障害)
 除波睡眠状態に脳の機能の一部が覚醒していると、一部速いγ波が観察される。
 前頭前野が深いノンレム睡眠にある状態で、大脳基底部や他の運動制御領域が自分勝手に活動して「行動」が無意識下に発動してしまっている。

睡眠の効果
 除波睡眠により、「記憶が強化される」と考えられている。
 レム睡眠はパターン認識などの認知の能力を高めるといわれている。
 脳は覚醒時に行った「学習」を最適化するために、除波睡眠をとる必要がある。そしてたくさん使った部分ほど深い睡眠をとる。睡眠は脳全体で起こるものではなく局所的に起こるもの(ローカルスリープ)。
 睡眠深度が次第に浅くなる現象は睡眠が脳全体の現象からだんだん局所化していくことによるものらしい。

シナプスの可塑性:情報を送る側のニューロンを高頻度で刺激していると、そのシナプス間の結合が強化される現象。
         シナプスが形を変えたり増えたりする。
         脳を使っていると、どんどんシナプスが強くなり増えていって、脳のネットワークの興奮がどんどん上昇する可能性がある。

ホメオスタティック・シナプティック・プラスティシティ:シナプスの強度を一定に保つメカニズム。全貌は不明だが、ノンレム睡眠が関与しているという説がある。
                           脳が眠っている間に不要なシナプスや重複したシナプスを取り除いてもっと効率のよい神経回路を作るのに役立っているというもの。
                           ノンレム睡眠中にはシナプスの消失が多く認められている。

記憶の重みづけ
 レム睡眠中、感情を司る大脳辺縁系が活動していることが、最近の脳機能画像解析から明らかになっている。
 大脳辺縁系は記憶にも関与している。
 この事から、感情をもとに記憶の断片の重要性、重みづけによる分類と整理を行っているのではないかと筆者は考えている。
 その作業が意識に入り込んでしまったものが夢である。
 現在では、夢はレム睡眠中に行われる、いわば記憶に対する情動によるタグ、あるいはアイコンをつける作業中、それがノイズとして意識にのぼったものなのではないかと考えられている。

自律神経系の調整
 レム睡眠中には、交感神経と副交感神経からなる自律神経系の働きが大きく変動している事が知られている。

無意識と行動
 運動は本質的に意識を必要としない(例:歩いている時の足の動かし方、話すときの口の動かし方は意識しなくてもできる)
 意識は、適切な行動を選択する以上に「するべきではない行動を制限するもの」であるとさえいえる。

運動学習:やったことのない行動をする為には、しばらくは身体の各部分の動かし方を意識しながら覚えていくが、やがて無意識に「一連の行動」がとれるようになる。
     なお、「行動」は運動の組合わせである。

夢を作る脳のメカニズム
 レム睡眠中は覚醒時と同様に脳全体に活動パターンが見てとれるが、覚醒時と比べて橋被蓋、扁桃体、海馬、視覚連合野という部分はむしろ覚醒時より高い。
 橋被蓋:レム睡眠を駆動する中枢であると考えられている。
     アセチルコリンという脳内物質を持つニューロン(コリン作動性ニューロン)が橋被蓋の「外背側非蓋核」と「脚橋被蓋核」という部分に存在し、視床や大脳皮質に軸索を伸ばしており、レム睡眠時に大脳皮質を強力に駆動している。
     また、レム睡眠中の筋肉の脱力にも非常に大きな役割を果たしている。
     覚醒時の大脳皮質はコリン作動性ニューロンに加え、脳幹に存在し、モノアミンと総称される脳内物質(ノルアドレナリン、セロトニン、ヒスタミン)をつくるニューロン(モノアミン作動性ニューロン)によって駆動されている。
     このようにレム睡眠時には、覚醒時とは異なるメカニズムで大脳皮質の活動が刺激されている。
 レム睡眠中には扁桃体、海馬、帯状回前部という部分も強く活動する。これらは大脳辺縁系と呼ばれる部分の一部で、感情や記憶に関わっている。
 扁桃体:覚醒時には感覚系から入ってきた情報をもとに、リアルタイムでさまざまな感情を生み出す部分。
 視覚連合野:視覚イメージを再構成する機能を担う。
       なお、一次視覚野の活動は覚醒時に比べて低下している。(感覚系としての視覚システムは停止している)
       覚醒時は、視覚イメージを構成するための材料は、外の世界から目を通してリアルタイムの情報として脳にやってくる。
       レム睡眠中には、過去の記憶断片が視覚イメージの材料を提供。
 レム睡眠中に、一次視覚野、帯状回後部、前頭前野の背外側部などは活動が低下する。また、モノアミンという脳内物質をつくるニューロンが完全に停止している。
 特に、前頭前野の機能が低下すると、「おかしい」と疑う事ができなくなり、見たまま、ありのままを受け入れてしまう。
 前頭前野の背外側部にはワーキングメモリー(作業記憶)と呼ばれる機能があり、思考過程において瞬時に何かを覚えて情報処理に用いる機能。
 言葉の聞き取りや暗算等に使用。
 夢の中にあるのは体験と感情だけで、記憶できないので夢を見た直後に目覚めない限り夢の内容を覚えるのは難しい。
 夢の中の精神活動は一部の精神疾患に似ており、自分の脳内にわき上がってくるおかしな思考(妄想)や幻覚をそのまま信じてしまう。

ナルコレプシー
 アメリカでは2000人に1人程度、日本ではさらに高い頻度で発症する。
 80%は思春期前後に発症する。
 緊張感を伴う場面や感情が高ぶっている場合にも強烈な眠気に襲われて眠ってしまう。
 感情が高ぶると身体を支える筋肉の力が抜ける。(カタプレキシー(情動脱力発作))
 覚醒時からすぐにレム睡眠に陥ってしまうため、夢を現実と区別がつかない(幻覚)ことがある。
 脳はそのものに異常はないが、睡眠構築に異常がある。
 長い時間眠る事が出来ず、覚醒と睡眠が細切れになる。
 オレキシンという脳内物質の欠乏(オレキシンをつくる神経細胞の変性、脱落)により覚醒を維持できなくなるのが原因。
 オレキシンは、「視床下部外側野」という部分のニューロンによってのみ産生される。覚醒時に活動し、睡眠時には停止する。
 このニューロンは脳の至る所に軸索を伸ばしているが、特に脳幹に存在するモノアミン作動性ニューロンやコリン作動性ニューロンの部分に多く軸索を伸ばしている。
 一方、オレキシンを受け止めるオレキシン受容体は、ノルアドレナリンをつくる青斑核やセロトニンをつくる縫線核、ヒスタミンをつくる結節乳頭体、およびアセチルコリンをつくる外背側被蓋核という部分に強く発言している。
 ノルアドレナリン、セロトニン、ヒスタミンを総称してモノアミンと呼ぶ。
 オレキシンは覚醒状態が不適切なタイミングで切り替わらないように安定化するはずみ車(フライホイール)のような働き。
 覚醒が必要とされる(オレキシン作動性ニューロンが活性化する)要素
 ・体内時計:朝になるとオレキシン供給
 ・情動:気持ちが高ぶるとオレキシン供給
 ・栄養状態:空腹になるとオレキシン供給
 オレキシンをつくるニューロンが死滅する理由は依然として謎だが、自己免疫による炎症が関与している可能性がある。
 視床下部の中の視索前野という部分が睡眠の発現に関わっていると考えられている。
 ここにあるニューロンはオレキシン産生ニューロンと同じようにモノアミン作動性ニューロンやコリン作動性ニューロンに情報を送るが、脳幹の覚醒システムとは全く逆の活動パターンをみせる。
 これらのニューロンは抑制性の神経伝達物質であるギャバ(GABA)をつくっており、脳幹の覚醒システムを強力に抑制する。


レム睡眠行動障害
 レム睡眠中の夢の中で行った行動がそのまま身体の動きになってしまう。
 50代以上の高齢者の300人に1人が罹患しているという報告がある。中年の男性に比較的多くみられる。
 レム睡眠時には、脳幹に存在するシステム(グリシン作動性ニューロン)から、脊髄に存在して全身の筋肉に直接命令を下す運動神経の中枢(脊髄前角)に向けて麻痺させるシグナルが送られるが、このシステムが作動しなくなる病気。
 ちなみに、レム睡眠時の麻痺状態を体験したのが「金縛り」。
 ノンレムパラソムニアの極端な例ほどではないが、比較的複雑な行動をとる。

脳内物質
 グルタミン酸:作用時間が早く、持続性は低い。グルタミン酸作動性ニューロンの構造上、情報漏れがしにくく精度が高い。局所的な影響。
 モノアミン系:作用時間が遅く、持続性が高い。周辺の神経細胞にも影響を及ぼし、脳全体の機能(モード)を一斉に切り替えるのに向いている。
 コリン系:モノアミン系と同様。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年11月28日(土)00時21分3秒
  『いっきに! 同時に! 化学もわかる物理』
京極一樹
実業之日本社
2013年

化学と物理について共通点を中心に説明した本。
具体的には、エネルギー、化学結合、気体。

◆エネルギー
 物理の運動と化学の反応は実は同じような仕組み。
 〔物理の運動〕
 物理の「位置エネルギー」と、化学の「活性化状態(少しエネルギーの高い状態)」が似ている
 キログラムは実は重さではなく「質量(m)」の単位。これに対して「重量加速度(g)」を掛けたmgが「重さ(重量)」。
 「重量」は「力」(F=mg)。
 加速度:速度の増え方。質量を力に変えるもの。加えた力を質量で割ったもの(a=F/m)。
 仕事:力に逆らって行った、位置エネルギーを増やす方向(正の場合)の操作。(仕事(W)=力(F)×距離(s)=mgh(位置エネルギーと定義))
 〔化学の反応〕
 ヨウ素と水素を1:1で封入して加熱すると400℃くらいで気体のヨウ化水素が発生。
 ヨウ化水素を封入して加熱すると気体のヨウ素と水素が発生。
 結局どっちになるかは半々の確率で決まる。
 この時に、ヨウ素と水素、またはヨウ化水素は高温を得て分子の運動が激しくなり、原子結合が切れかかった状態(活性化状態)で組み換わる。
 結合を完全に切り離さなくて良いので、完全に切り離した場合より少ないエネルギーで組み換わる事が出来る。
 この時、白金Ptのような触媒があると、さらに少ないエネルギーで組み換わる事が出来る。(実際には触媒が反応物質を吸着し活性化して、少ないエネルギーでも反応できるようにしてしまう)
 〔エネルギー〕
 エネルギー:計算がうまくいくように定義されたもの。仕事をする能力。適当な日本語訳がない。「エネルギーは可能性である」と説明している所もある。
       (個人的解釈:化学エネルギーや位置エネルギーは貯蔵できる、電気エネルギーは金属を介して高速で伝わる、エネルギーを使うにはそれぞれに適した仕組みが必要という意味で、「制約のある可能性」と言えるのではないかと思う)
       運動エネルギー=mv^2/2
       力学的エネルギー保存の法則:mgh=mv^2/2
 保存力:力学的エネルギーが保存される。重力、万有引力、バネの力、電磁気力。
 非保存力:力学的エネルギーの一部が摩擦熱、放射熱(熱エネルギー)などに変わる為、保存されない。動摩擦力、粘性抵抗力、慣性抵抗力など。
      ただし、散逸した熱エネルギーなども含めるとエネルギーは保存されている。
 静止エネルギー:質量から取り出したエネルギー。E=mc^2(Cは光速)
 〔エネルギーの種類と比べ方〕
 1J(ジュール)
 =1Nm(ニュートン・メートル)    力学的エネルギー
 =1CV(クーロン・ボルト)      電気エネルギー
 =1Ws(ワット秒)          電力エネルギー
 =約0.239cal(カロリー)    熱エネルギー
 =0.624×10^19eV(電子ボルト) 静止エネルギー
 力学的エネルギー
 1N(ニュートン):1kgの質量の物体に1m/s^2の加速度を与える力
 質量1kgの物体の重量は、約9.8N=1重量kg
 1Jは、102重量グラムの物体に9.8m/s^2の加速度を与える力≒高さ1mにあるリンゴ1個の持つ位置エネルギー
 電気エネルギー
 1Jは、1クーロンの電荷を1ボルトの電位差だけ動かすのに必要な仕事
 E=電荷C×電位差V
 電力エネルギー
 1Jは、1ワット(W)の仕事率を1秒間行った時の仕事
 化学エネルギー
 カロリーは、1999年以降法令上は、栄養学や生物学以外では使えなくなった。
 カロリー:1gの水の温度を標準大気圧下で1℃上げる熱量
 食品のエネルギーを原初的に決定する際には食品を燃焼させて決定。
 実用的には、その食品の成分を分析して糖質、タンパク質、脂質、アルコールの割合を計算し、1gのエネルギーをそれぞれ糖質、タンパク質が4kcal、脂質、アルコールを9kcal
 1kJ=239cal
 ・加熱:0℃の水5gの温度を約48℃上げる
 ・融解:(氷の融解熱:約80cal/g)0℃の氷約3gを融解させる
 ・蒸発:(水の蒸発熱:539cal/g)100℃の水約0.44gを蒸発させる
 熱化学方程式(化学エネルギーの収支を記述)の種類
  反応熱/熱の出入り/定義/基準となる物質/例
 ・燃焼熱/発熱/物質1molが燃焼する時に発生する熱/左辺の反応物/CH4(気)+2O2(気)=CO2(気)+2H2O(液)+890kJ
  酸素と化合して大きな発熱を起きる反応。
 ・中和熱/発熱/中和反応により水1molが生成する時に発生する熱/右辺の水/HClaq+NAOHaq=NAClaq+H2O(液)+56kJ
  酸と塩基が反応して、塩(えん)と水が生じる反応。水の生成熱なので発熱量はほぼ56kJという一定値になる。
 ・生成熱/発熱・吸熱/物質1molが生成するときに出入りする熱/右辺の生成物/C(黒鉛)+O2(気)=CO2(気)+394kJ
  この熱は燃焼熱と見る事も出来る。
 ・溶解熱/発熱・吸熱/物質1molが溶解するときに出入りする熱/左辺の溶質/HCl(気)+aq=HClaq+72kJ
  生石灰(酸化カルシウム)は加水すると発熱するがこれも溶解熱。1モルの生石灰でコップ一杯(200g)の水を76℃くらい上げられる。
 ・蒸発熱/吸熱/液体1molが気体するときに吸収する熱/左辺の液体/H2O(液)=H2O(気)-41kJ
 ・融解熱/吸熱/固体1molが液体するときに吸収する熱/左辺の固体/H2O(固)=H2O(液)-6kJ
 ※aq:水溶液での反応を示す
 化学反応で発生する電気エネルギー、光エネルギー
 ・電気エネルギーの発生(ボルタ電池)
  出発系:Zn+2H+ (エネルギー準位が高い) ⇒ 生成系:Zn2++H2 (エネルギー準位が低い) エネルギーの差分が電気エネルギーになる。
 ・光エネルギーの発生(ホタルの発光)
  ルシフェリン+O2(酵素:ルシフェラーゼ)⇒オキシルシフェリンの励起(高エネルギー)状態 ⇒ オキシルシフェリンの基底(低エネルギー)状態 エネルギーの差分が光エネルギーになる。
 エネルギー例
 1kg×1mの位置エネルギー:10J
 1kgの食品(食パン)のエネルギー:5MJ
 1kgの(メタン)燃焼のエネルギー:56MJ
 弁当加熱(酸化カルシウム1kg)のエネルギー:1.1MJ
 質量1kgの静止エネルギー:9京J(TNT22キロトン(22000トン))
 (TNT火薬1gの爆発力は4.2kJ、1kgでは4.2MJ、1トンでは4.2TJ、100万トン(メガトン)では4200PJに相当)
 1万トンの隕石の運動エネルギー(2013年2月にロシア南部に落下し1500人弱の負傷者を出した直径約17mの隕石):126MJ(エネルギー300キロトン、TNT火薬30kgに相当)
 〔永久機関〕
 外部からエネルギーを受け取ることなく仕事をし続ける機関。
 第1種永久機関:仕事を外部に取り出す事が出来る。
 第2種永久機関:仕事を行う部分を装置内に組み込んでしまい、エネルギー保存の法則を破らない。
 永久機関らしいもの:水飲み鳥
 ・内部にはエーテルなどの揮発性の高い気体が密封されている。
 ・頭部の外皮に吸水性の布地などが貼られている。
 ・室温ではエーテルは限界まで揮発している。
 ①頭部のくちばしに水を含ませると湿った頭部から水が蒸発して頭部の温度が下がる。
 ②頭部のエーテル蒸気が凝縮して液体になる。
 ③頭部が重くなり、傾き杯の中の水にくちばしがつく。この時頭部の液体の増加分が底部に移り、頭部が軽くなり持ち上がる。
 ④①に戻る。
 ・杯の水と外気さえ供給し続ければ(壊れない限り)永久に動き続ける。
 永久機関らしいもの:惑星の運行
 ・惑星が太陽の引力ポテンシャルの中で、位置エネルギーと運動エネルギーを交換し合っている。
 (個人的解釈:第2種永久機関ではないかと思う)
 永久機関に近いもの:マグネシウム電池と太陽光の組合わせ
 ・「マグネシウム循環社会」構想
 ・空気マグネシウム電池で発電し、発電の結果生成された水酸化マグネシウムから太陽光を集光した高熱でマグネシウムを回収する。エネルギー効率90%以上。
 エネルギー保存の法則の破れ
 ・エネルギーが保存されない、無から有を生み出すかもしれない現象。
 ・素粒子物理学的真空:粒子と反粒子のペアが充満していて、極めて短い時間のうちに生成、消滅している空間。
 ・極めて短い時間であれば、大きなエネルギーが生じても測定されない(ハイゼンベルクの不確定性原理)。
 ・ハイゼンベルクの不確定性原理:量子力学が扱うミクロの世界において「位置と速度(運動量)を同時に確定する事はできない」、「時間とエネルギーを同時に確定する事が出来ない」という大原則。
◆化学結合
 ・静電気力による。この力は原子の性質によって左右される。原子の性質は電子の配列に依存。
  〔力〕
  ・強い力:核子・クォーク(色荷※)間に働く引力。影響範囲は極めて狭い。電磁気力の約1000倍。
  ・電磁気力(静電気力):電荷間に働く引力・斥力で、電荷量に比例し、距離の2乗に反比例する。
  ・弱い力:弱荷(※)間に働く引力で、影響範囲は極めて狭い。電磁気力の1/100程度。
  ・重力:質量間に働く引力で、質量に比例し、距離の2乗に反比例する。力の中では一番弱く静電気力の1/10の39乗。
  ※色荷、弱荷は、電荷に類似した「力が働く対象」を想定して作り上げた概念。
  ポテンシャルを微分すると力、力を積分するとポテンシャルになる。
  〔物質〕
  ・水素原子:10^-10m(東京ドームのグランドの直径(直径約100m)とすると)
  ・原子核:10^-14m(パチンコ玉の直径(直径約11m))
  ・陽子・中性子:10^-15m(仁丹の直径の1/10(直径約0.1mm))
  ・クォーク・電子:10^-18m(1/1000mm)
 ・原子と電子
  原子に近い(内側の)軌道にいる電子は「エネルギーが低い準位」、原子から遠い(外側の)電子は「エネルギーが高い準位」にある。
 ・周期表
  短周期の周期表:主に典型元素の並びを表す。
  長周期の周期表:遷移元素も含めた周期表。
  拡張周期表:さらにランタノイド、アクチノイドも含めた周期表。
  典型元素:(最外殻電子の数が同じため)周期表の縦に並ぶ元素の性質が似ている。
  遷移元素:(内側の電子が埋まり切っておらず最外殻電子も1個または2個で不定のため)周期表の横に並ぶ元素の性質が似ている。全て金属元素。
  ランタノイド:(電子配列が複雑なせいか)個性的な元素が多く、これらと第4周期のSc、第5周期のYを合わせてレアアース(希土類元素)と呼ばれている。
  アクチノイド:全てが放射性元素。トリウムとウラン以外の元素は天然ではほとんど存在しない。
  金属元素:電子を放出するためのエネルギーが小さく「金属結合」によって「金属結晶」を作る。電気をよく通す。陽イオンになり易い。光沢、延性、展性が大きい。
  非金属元素:電子をやりとりする際のエネルギーが大きく「共有結合」を作る。電気は通しにくい。陰イオンになり易い。光沢、延性、展性はほとんどない。
  半金属元素:ホウ素、炭素、ケイ素、リン、硫黄、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、アンチモン、テルル、ヨウ素、ビスマス、ポロニウム、アスタチン。
        金属結晶の密度が低い。イオン結合性、共有結合性のどちらの化合物も形成する。電気をあまり通さない半導体性がある。
        金属光沢はあるが、延性、展性はほとんどない。
  電子陰性度:他の原子の電子を引き寄せる力を相対的に表した値。原子間でこの値の差が大きければイオン結合、小さければ共有結合になる。
        ・原子が小さいほど(周期表で上に行くほど)電子を引き付ける力が大きくなる。
        ・原子核の電荷が大きいほど(周期表で右に行くほど)電子を引き付ける力が大きくなる。
        ・原子番号が大きいほど(周期表で下に行くほど)電子の数が多くなりその分布が広がって引き付ける力が小さくなる。
  共有結合:電子を共有した形で結合。酸素と酸素などのように同じ電気陰性度のもので結合し、分子を形成する。共有する電子が多いほど結合の強さが大きくなる。
  イオン結合:片方の原子の電子が、もう片方の原子の電子殻に移動し、双方が安定した閉殻を構成して、陽イオン、陰イオンとなり、その間の静電気力で両イオンが結合する。分子はできない。
  金属結合:自由に移動する電子が金属(陽)イオン同士を(反発を抑えて)結合。
  原子間結合:上記3つの結合。結合の強さは、共有結合>イオン結合>金属結合。
  分子間結合:分子同士にも原子間力が働く(分子間力)が、この分子間力で生まれる結合。イオン結合を含める場合もある。
        結合の強さは、(イオン結合)>水素結合>ファンデルワールス結合
  分子間力:(分子の形が面対称にならない場合に)分子内の電子の偏りによって生じる「極性」によって引き合い、反発する力。
  水素結合:電気陰性度の大きい窒素、酸素、フッ素などの原子と共有結合している水素原子が他の原子との間に作る結合。永続的で強さはファンデルワールス力の約10倍。
       水(液体)は水素結合で緩やかに結びついたもの。
  ファンデルワールス力:電荷の偏りの間に働く静電気力。瞬間的に生じる力。
             ・配向効果:内部に電子密度の偏りを持つ「極性分子」同士が接近して正負が向き合うように配向して引き合う。
             ・誘起効果:極性分子が無極性の分子に近づき、磁石(が鉄を吸いつける(個人解釈))のように電子密度の偏りを誘起させて引き合う。
             ・分散効果:無極性分子の分子中の電子密度の偏りが瞬間的に非対称になって相互に引き合う。
             次の様な現象はファンデルワールス力の分散効果によるもの(局所的には配向効果、誘起効果も寄与)
             ・気体が冷却されて液体や固体になる。
             ・ドライアイス、ナフタリンなどの、昇華、揮発しやすい物質を形成。二酸化炭素(液体)はファンデルワールス結合で緩やかに結びついたもの。
             ・パラフィン類など、軟らかい物質を形成。
             ・鉛筆の芯の材料であるグラファイトの単層「グラフェン」同士を接合。
  水の分子の結合角:(気体、液体の場合)104.5度(氷の場合)109.5度(雪(樹枝状結晶)の場合)120度。算出には電子軌道を考えた量子力学による計算が必要。
  銅線内の電流の移動速度:時速数十センチ。(電圧を加えてない状態での金属内での自由電子の速度は毎秒1km(光速の1/30万)だが向きがバラバラなので平均すると動いてない)
  グラフェン内での電流の移動速度:光速の1/300(予想)。電子の散乱が非常に小さいため。
  〔その他〕
  宇宙の年齢:138億歳(2013年3月に修正。従来は137億歳だった)。
  ビックバン:時空が急膨張
  炭素:炭素8から炭素22まで15種類の同位体があるが主な同位体はC12、C13、放射性同位体C14。C14は約5730年の半減期で崩壊するので他の同位体との比率を調べて年代測定に利用。
◆気体の体積
  気体:形状も体積も自由に変わる。
  液体:形状は自由に変わるが体積は(あまり)変化しない。
  固体:形状も体積も(あまり)変化しない。
  この本では、気体と液体を合わせて「流体」と呼ぶ。
  〔流体の基本原理〕
  ・アルキメデスの原理:流体中の物体は、その物体が押しのけた流体の重さと同じ大きさの浮力を受ける。
  ・パスカルの原理:密閉容器の中の流体に圧力を加えると、その圧力は流体全体に等しく伝わり、あらゆる面に垂直にはたらく。
  船の排水トン数(排水量):浮力=艦船の重量=排水量。実際は押しのけられた海水の重さを計る事は不可能なので、完成した船の喫水線を測定し、設計図から喫水線下の体積を算出してこれに海水の比重を掛けて算出。
  トリチェリの真空:約10mより深い地下水からは、組み上げポンプで水をくみ上げる事が出来ない。
           ガリレオの弟子のトリチェリが1643年、一方の端を閉じたガラス管に水銀を満たし、水銀を満たした皿にこれを立てると、その高さは約76cmになり、その上部は真空になる。
           大気の重さと水銀柱の重さが釣り合ったため。
           水と水銀の密度の比は約1:14であり、約76cmの水銀と約10mの水の重さが釣り合う。
  サイホンの原理:「サイホンの原理は大気圧によるもの」は誤り。
          実際は「重力(水圧の違い)で水は移動するが、水槽と水槽を結ぶ逆U字型の管の中の液体が繋がっているのは両方の液面に大気圧がかかっているため」
  〔気体の基本原理〕
  ・ボイルの法則:温度が一定の時、気体の体積は圧力に反比例する。
  ・シャルルの法則:圧力が一定の時、気体の体積は絶対温度に比例する。
  固体や液体の場合と違って気体の場合は分子を結合させる力がほとんど働かず、熱振動エネルギーの方が大きいために、このようなシンプルな法則が成立する。
  摂氏温度:水の融点と沸点の間を100等分した温度体系
  華氏温度:18世紀初頭当時の測定可能な最低室外気温(マイナス約18℃)を0°F、発案者のファーレンハイト氏自身の体温(約37℃)を100°Fとした日常の温度には負の温度が登場しない欧米で使われている温度体系。
       現在は水の融点を32°F、沸点を212°Fと定義。
  絶対温度:英国のケルビン卿が「理想気体」を想定して、物質の種類や性質に左右されない温度体系。0Kは-273.15℃。
  理想気体:気体の分子の大きさや分子間力を0とした仮想気体。
  アボガドロの法則:同一の温度、圧力、体積の気体には全て同数(アボガドロ数:6.02×10^23)の分子が含まれる。
           全ての気体1モルの体積は0℃、1気圧において22.4リットルである。
  1モル:物質の原子量の数字にグラムをつけた質量に含まれる物質量。例:12gの炭素12の中に存在する原子(分子)の数=アボガドロ数
  気体の状態方程式:圧力P×体積V/絶対温度T=一定(気体定数R)=1モルの場合は(1atm×22.4リットル/モル)/273.15K=0.082
           nモルの場合は:PV=nRT
  気体の圧力は気体分子の運動で考える事が出来る。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年11月15日(日)22時11分7秒
  『本当は嘘つきな統計数字』
門倉 貴史
株式会社 幻冬舎
2010年

事実の根拠として発表、提示される数々の統計データに故意の嘘や手法的な誤りが多々ある事を例示している。

読んでみて自分なりにまとめてみると、
主に
・調査の設問、目的
・サンプルデータの量と偏りと妥当性
・基準、調査結果の解釈の正当性
・調査する上で無意識に発生するバイアス(偏向)
・モニターまたは調査する側による恣意的な操作
について注意する必要があるのではと思った。

「美人が多い都道府県」
 ライブドアリサーチ2007年7月に実施した「美人が多い都道府県は?」インターネット・アンケート調査
 質問文:「出身地から『秋田美人』、『京美人』、『博多美人』など、一般に美人が多いと言われる地域があります。では、実際にあなたが美人だと思った女性の出身地で多かった都道府県はどこですか?あてはまる県をすべて選んでください。」
 第1位秋田県(21.99%)第2位東京都(12.73%)第3位京都府(9.54%)
 <解説>
 アンケートの質問文の冒頭に書いてある「秋田美人」、「京美人」の文言に判断が引きずられている可能性がある
 東京は人口が多いので美人の(不美人も)絶対数が多い。
 人があまり来ない県は仮に美人が沢山いてもその事を知っている人が少ない。
 自分の身近な地域に「美人が多い」という印象・先入観を持ちやすい。
 よってこのアンケート結果は妥当とは言えない。
 (個人的な解釈としては質問を「美人が多い『と思われている』都道府県」とすれば良かったのではと思った)
「長寿村」
 長寿村の定義:その地域の70歳※以上の人口/地域の全人口 が大きい地域。 ※近年では平均寿命が延びた事により75、80、85歳以上で見る事もある
 つまり長寿村とは、高齢者の割合が多い村ということで(単に若者がいない)過疎村というだけの可能性がある。
 長寿の秘訣を知りたければ、長寿村というエリアではなく百歳長寿者(センチネリアン)を調査した方がよい。
「世界一の美容整形大国はどこか」
 国際美容外科学会が2010年8月、世界で初めて国別の美容医療(美容外科と美容皮膚科の合計)の施術件数を発表。
 2009年における美容医療の施術件数
 1位米国(3031146)2位ブラジル(2475237)3位中国(2193935)4位インド(894700)5位メキシコ(835280)6位日本(742324)7位韓国(659213)
 2009年における美容医療の人口1000人あたりの施術件数
 1位韓国(13.7)2位ブラジル(12.9)3位米国(9.7)4位メキシコ(7.7)5位日本(5.8)6位中国(1.6)7位インド(0.8)
「GDP比較と借金」
 GDP:国内総生産(個人解釈:その国の経済規模(豊かさ?)を示す指標)
 単純比較だと日本と中国では中国の方がGDPは大きい。
 日中両国で暮らす人々の豊かさ:GDPを人口総数で割った一人あたりのGDPで見る必要がある。
 国の借金:2010年6月時点で904兆772億円
 「国民一人当たり711万円の借金がある」という解釈は正しいか?
 日本の借金=国債のほとんどは日本国民が持っている。
 海外に借金があるギリシャとは状況が違う。
 (個人解釈:日本の借金である国債のほとんどは日本の銀行が持っている⇒国民(預金者)の預金で国債を買っている。
       借金の債務者である国は、(国民から集めた)税金で借金を返す。
       帳尻があっているように見えるが、よく考えるとここで債務者側と債権者側、また属するそれぞれの中でも「国民」の立場や負担は同一ではないような・・・)
 (個人解釈2:ギリシャとの違いをより詳細に言うと「自国通貨建ての借金」かという事だと思う。
        日本の国債は自国通貨(円)なので、極端な話、日銀に大量に通貨を発行させれば即時に返済できる。
        それに対してギリシャはユーロ建てで自国に通貨発行権がないので、こういう荒業が使えない。
        日本の場合の問題は、大量の通貨を流通させるとハイパーインフレが発生する可能性があるという事。)
「最も会社に行きたくないのは何曜日」
 カナダのマギル大学が2010年3月に発表した調査
 ビジネスマンに聞いた「仕事のやる気(モチベーション)があるのは何曜日か?」
 1位が火曜日(特に午前)、最下位月曜日
 それに対し日本では、JTBモチベーションズが20~34歳会社員を対象に行った調査(2010年8月発表)では
 1位金曜日(36.3%)、2位月曜日(6.8%)、3位木曜日(5.0%)、4位火曜日(4.1%)、5位水曜日(3.7%)、6位土曜日(3.3%)、7位日曜日(1.2%)
 ※特になしは除いているため100%にならない
 よって国によってモチベーションの上がる曜日は変わると言える。
「1936年の大統領選挙の世論調査」
 リテラリー・ダイジェスト社:1000万枚の投票用紙を(自社雑誌の購読者名簿や電話加入者、自動車保有者(⇒いわゆる富裕者・中産階級=共和党支持者が多い)から)ランダムに選んだ有権者に配り、そこから237万枚の回答を得た
 ギャラップ社:(地域別、男女別、年齢階層別、人種別、職業階層別といういくつかの属性に関してサンプルの構成比が母集団の構成比と一致するように調整してサンプルをランダム抽出した)3000人に対して世論調査を行った
 結果はギャラップ社の予想が当たった。
「選挙の出口調査」
 出口調査:投票を終えたばかりの人に調査票を渡して調査。
      期日前投票の割合が多い選挙区、出口調査に拒否する人の存在が予想を偏らせる要因になる(個人的には調査員が調査する相手を選んでいる場合もあるのではと思う)
「ネット調査」
  メリット:面接調査、郵送調査(調査票作成、送付、回収、集計までに3~4週間)、電話調査に比べて短時間で結果を知る事が出来る(同24時間以内~1週間程度)。
       安上がり。
       気軽に回答できるので相対的に回収率、回答率が高くなる。
  デメリット:インターネットのユーザーが調査対象なのでサンプルが母集団を代表しない
        モニターに応募したネット調査の回答者の特徴:①正社員に比べて非正社員が多くなる。②高学歴で専門技術者が多いなどの傾向がある。③多くの側面で満足度が低く不公平感が強い(労働政策研究・研修機構の調査レポート(2005年))
        謝礼目当てにネット調査のモニターに応募する人が多いためと考えられる。
        情報流出の恐れが常に付きまとう
  高頻度で素早く調査を行えるため「前回調査と比べて結果がどのように変化したか?」というような時系列での比較を行うのに適していると考えられる。
「ブラッドリー効果」
 アメリカの世論調査で白人候補VS黒人候補という構図になった時、事前の世論調査では黒人候補に高めの支持率が出やすい
 人種差別の問題と密接な関係があり、白人の有権者が人種差別主義者と思われたくないために嘘の回答をする事が原因。
 ただしこのバイアスは以前に比べると小さくなってきているという指摘もある。
「少数の法則」
 サンプル調査の目的は、その背後にある母集団の特性を見極める事。
 しかし、サンプルが母集団の特性を反映するとは限らない。
 これを忘れると、「少数の法則」の罠に陥る。
 大数の法則:サンプルや試行回数を極限にまで増やしたときに、合理的な期待値に近づく現象
 少数の法則:少数のサンプルや試行回数で期待値通りの結果が出ると思ってしまう心理的バイアス
「黒人にだけ効く心不全治療薬」
 2005年6月23日米国の食品医薬品局(FDA)は黒人限定でよく効く慢性心不全治療薬「バイディル(BiDil)」を承認した。
 バイディル承認までの経緯:
  1980年代メドコ社によって開発着手
  1996年FDAに(全ての人種を対象とした)一般薬として承認申請
  1997年実験データが薬事法上の基準を満たしていないため承認却下。メドコ社は特許権を手放す。
  その後、開発者たちは過去の治験データを元に人種別の治験成績を検討し、
  たった49人のアフリカ系アメリカ人を被験者とした治験から
  「他の人種に比べて黒人で効果が高い」という結論に達した。
  この後、自分がアフリカ系アメリカ人であると自己申告した被験者1050人を対象に、半数に偽薬(プラセボ)を投与した治験を行い、
  プラセボ投与グループに対して死亡率が43%も低くなるという結果を得た。
  開発者から特許権を取得したナイトロイメド社によってFDAに承認申請され、無事承認された。
  これについて、バイディルの効果に疑問を持つ専門家から「全人種に対して有効なのでは」と批判された。
  なぜ、黒人限定で効果があると申請したのかについて、
  一般薬だと2007年で特許が切れてしまうが、特定人種に用いる新薬として特許をとれば2020年まで延長する事が出来る
  からではないかと指摘されている。
「全数調査(国勢調査)」
 母集団そのものを調べる全数調査でも統計数字の正確性が担保されないケースがある。
 ・未回収率の増加
 ・虚偽の申告
  ・インドネシア、インドなどでは年齢を重視しない国民性なので自分の年齢を0や5のキリがいい数字に丸めるエイジ・ヒーピングがよく起きるが、干支が浸透している国では干支から算出できるので起きない。
  ・自分の身体的特徴などのプライバシーや性、コンプレックスに関連する事柄について、虚偽の申告をしやすい。
「テレビ視聴率」
 日本のテレビ番組、CMの視聴率の集計は、ビデオリサーチ社が一手に担っている。
 調査対象世帯の数は全国を27の調査エリアに分け、関東地区・関西地区・名古屋地区がそれぞれ600世帯、それ以外では200世帯で合計6600世帯となっている。
 関東地区だけでも1702.2万世帯が自家用テレビを保有しているのでサンプル世帯の割合は0.004%に過ぎない。
 視聴率10%と出た場合に95%信頼度で±2.4%の誤差を考える必要がある。
 視聴率50%と出た場合に95%信頼度で±4.1%の誤差を考える必要がある。
 つまり例えば視聴率10%と視聴率12%の番組があった場合、どちらが本当に(母集団から)視聴されているかはわからない。
 ラジオの聴取率の調査は首都圏、関西圏、中京圏に分けて、それぞれ12歳から69歳までの個人3000人が無作為系統抽出法で選ばれる。
 首都圏では年6回(偶数月)、関西圏と中京圏では年4回(4、6、10、12月)1週間~2週間程度かけて実施される。
 聴取協力者には「薄謝」が支払われるが、細かい調査票にどこまで正確に記入してくれるかは不透明。
 スイスでは、録音装置付きの腕時計をつけてもらい、流れてくる音を全て録音して、ラジオの全番組の音声と照合する事で聴取率を算出する。
「東京ドーム満員5万6000人」
 消防当局に届け出されている東京ドームの定員は立ち見客も合わせて4万6314人だが、なぜか1988年のオープン当初から5万6千人と発表。
 (1995年からは5万5千人)
「Jリーグ」
 大宮アルディージャは2007年11月以降の主催試合で常態的に(試合前にスタジアムやその周辺で開かれていたイベント参加者も入場者に含めるという)水増しを行っていた。
 2007年春に2009年までに年間入場者数を30万人にするという自主的な数値目標をなんとか達成しようとした結果。
 達成できないと支援の縮小やサポーター離れにつながると危惧。
「初詣参拝客数発表」
 大阪国際見本市は会場の混み具合や前回の入場者数などかなり主観的かつアバウトな方法で推計していた。
 2006年に入場券の半券のみで集計する方法に変更したところ、入場者数は4日間開催で約五万人(2004年の実績:約13万5千人)と半分以下になった。
 初詣の参拝客数は、警察庁が全国の神社・仏閣に聞き取り調査を行った上で警察庁のまとめとして発表。
 ただ、個々の神社・仏閣のカウント方法がまちまちで精度もある程度客観的にカウントしている所もあるが、主観的にアバウトな発表をしている所も少なくない。
 現在では警察庁が数字の正確性について責任を取れないという理由から2010年1月から発表を取りやめた。
「観光客数」
 地域や自治体によってカウント方法がバラバラ。
 2009年度に観光庁が統一基準を作成。
 統一基準では調査対象となる観光地を「年間の観光客数が1万人以上、もしくは特定の月に5千人以上が訪れる地点」と定義。
 都道府県ごとに地域内客数と地域外客数に分けて調べる。
「関東大震災犠牲者数」
 1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災の死者、行方不明者の数は14万2000人余りというのが従来の定説だった。(震災予防調査会報告100号)
 だが、2003年に鹿島建設の武村雅之・地震地盤研究部長らの実態調査によって実際の死者、行方不明者の数は10万5000人余りであった事が判明。
 焼死者の一部が行方不明者としてもダブルカウントされていた事が原因。「性別不詳の遺体」の数(死者数に含まれる)と、「捜索願の届け出」の数(行方不明者数に含まれる)がほぼ一致。
 また被害に遭った家屋数についてもアパート一軒の被災をその中に住んでいた世帯数分のアパートが被災したという風にダブルカウントしていた。
 定説では25万4000棟余りだったが21万1000棟余りに下方修正される。
 明治から昭和初期にかけては死者と行方不明者の線引きがはっきりしていなかったのでこの時期の他の統計にも同様の間違いが存在している可能性がある。
「ウェブサイトの訪問者数」
 ユニーク・ビジター数:一定期間以内にウェブサイトを訪れた人を重複カウントすることなく集計した数の事。
 ユニーク・ビジターは、通常IPアドレスに基づいて判断するため本当にユニーク・ビジターかを正確に見極める事は不可能。
「エゾシカの生息数」
 エゾシカに限らず、野生動物の多くはその生息数を正確に把握することは難しく、推定に推定を重ねる事でおおよその数を把握するケースが圧倒的に多い。
 絶対数ははっきりわからなくても増減の方向性の把握は可能。
「降水確率」
 雨は「降る」か「降らない」しかないから降水確率は100%か0%しかないはず。(客観確率)
 降水確率は、その時間の風向きや湿度などの状態を予想した上で、似た気象状態のときにどれくらいの割合で雨が降ったかを計算。
「ベイズ統計学」
 Aの箱:赤玉30個、黒玉10個
 Bの箱:赤玉20個、黒玉20個
 目をつぶった状態で、AかBのどちらかを選び、そこから1個の玉を取り出したら赤玉だった。
 では、この人がAの箱を選んだ確率は?
 客観確率での回答:50%
 主観確率での:60%
  もしAを選んだとして、赤玉が出る確率は3/4
  もしBを選んだとして、赤玉が出る確率は2/4
  つまり、赤玉が出たという事は、選んだ箱はAである可能性が高くなるはず。
  Aを選んでいる可能性は、3/5=60%
  (モンティホール問題の個人的解釈)
  ドアはX、Y、Zの3つ。
  Xのドアを選ぶ ⇒ もしXのドアが当たりならば、残りの全てドアは外れ ⇒ 変えない方がよい
          ⇒ もしYのドアが当たりならば、Zは開かれYだけが残る ⇒ 変えた方がよい
          ⇒ もじZのドアが当たりならば、Yは開かれZだけが残る ⇒ 変えた方がよい
  よって変えた方が2/3当たり易い。
「飛行機は自動車より安全は本当か」
 分母に「延べ移動距離」を使った日本での死亡事故発生確率(2008年)
 飛行機:0.009(人/億人キロ)
 自動車:0.189(人/億人キロ)
 延べ移動距離は、同じ距離を移動するのに飛行機と自動車ではどちらが危険かを示しており、一度に大量の人間を長距離運ぶ飛行機に有利。
 分母に「利用回数(利用者数)」を使った日本での死亡事故発生確率(2008年)
 飛行機:0.00000772(%)
 自動車:0.00000256(%)
「DNA型鑑定」
 1989年に日本でDNA型鑑定「MCT118型検査法」を導入。塩基配列の一部だけを目で見るなどして調べるもので、ごく一般的な型だと16人に1人までの確率でしか個人を絞り込むことができない。
 現在は「STR型検査法」が取り入れられている。DNAの塩基配列のうち、15か所を機械で自動分析するというもので、確率的に4兆7000億人に1人という精度で特定の個人を絞り込むことが可能。
 ただし、一卵性双生児や骨髄移植のドナーと患者である場合に血液だけでDNA型鑑定を行った場合は同一人物と判定される。
 犯行現場に残された血痕や毛髪などから採取したDNAで人物を特定できても、そもそもその血痕や毛髪などがなぜその犯行現場に残っていたのかを別途証明できないと犯人と断定できない。(真犯人や警察がでっち上げた可能性がある為)
「利用可能性ヒューリスティック」
 記憶に残り易い事象は、それだけ主観確率が実際の客観確率に比べて過大に見積もられる。
 滅多に起きないにもかかわらず(滅多に起きないゆえに)メディアが大々的に報道した事により「よく起きている」と思い込む。
「フレーミング効果」
 同じ内容の事でも表現の仕方で印象が変わる。無意識のうちに人間の心理的な枠組み(フレーミング)が変化するため。
 死亡率10%と生存率90%では生存率90%の方が希望がある気がする。
「オーバーコンフィデンス」
 客観確率が低く、根拠もないのに自分の取った行動は成功につながると思い込む。
 例えば自信満々で宝くじを購入する人。
「確証バイアス」
 人は自分の信じたい事だけ信用する。
 (個人的解釈)
 上記のバイアスと合わせると、人間はその場の印象の良し悪しや強さやで判断しその判断を盲信する傾向にある。
 コミュニケーションには印象操作が重要だという事になる。
「リスクと真の不確実性」
 Aの壺:赤玉50個、黒玉50個
 Bの壺:赤玉?個、黒玉?個、合わせて100個ある
 あなたはA、Bのどちらかを選んで、取り出す玉の色を予想した上で、そこから1つの玉を取り出し、予想と実際の玉の色が一致すれば賞金を貰える。
 あなたはAとBのどちらの壺を選ぶか?
 この場合、大抵の人はAを選ぶ。
 これは、人間が「あいまいさ」を極端に嫌うためと考えられる。
 Aの壺のように、可能性を統計・確率的な手法によって推測できる不確実性を「リスク」
 Bの壺のように、可能性を統計・確率的な手法では推測できない全く未知の不確実性を「真の不確実性」
 と呼ぶ。
 サブプライム問題は、格付け機関が、誕生したばかりで過去のデータがほとんどない「真の不確実性」に分類されるべき「サブプライム証券化商品」について「低リスク」の高い格付けというお墨付きを与えた事が混乱を招いた要因。
「メタボ基準」
 男性の腹囲が85cm以上、女性の腹囲が90cm以上がメタボの「閾値」とされているが、2010年に厚生労働省の研究班が全国12カ所の40~74歳の男女約3万1000人を対象に行った調査では腹囲と脳梗塞や心筋梗塞のリスクには正比例の関係は観察されたが閾値で発症リスクが急速に高まるという現象は観察されなかった。
 つまり上記のメタボ基準の閾値には科学的根拠がなかった。
「リードタイム・バイアス」
 5年相対生存率:がんの治療開始から5年経過した時にどれだけの人が生存しているか
 がん検診の5年相対生存率とそれ以外での5年相対生存率を比較すると、検診を受けた方が生存率が高い。
 (発症から死亡までの)性質が全く同じがんでも検診の方が早期に発見されるので生存期間が長いように見える。
「レングス・バイアス」
 定期的に健康診断を受けている人は、(死亡しやすい)進行の速いがんに比べて(治療しやすい)進行の遅いがんや悪性度の低いがんが早期発見されやすい。
「セレクション・バイアス」
 自発的に自分の意思でがん検診を受けにくる人は普段から自分の健康に関心が高く自己管理が行き届いている人の割合が比較的多いので検診以外で発見されるグループと母集団の質が違う。
「スポンサー・バイアス」
 研究に資金等を提供してくれるスポンサーの意向に沿った調査結果を出す。いわゆる「ひも付き」
「血液型性格判断」
 バーナム効果(フォアラー効果):誰にでも当てはまるようなあいまいで一般的な事柄が記述されている事によって、その内容が自分に当てはまっていると錯覚してしまう心理的な現象
「3秒ルール」
 食べ物を床や地面に落としても、3秒(米国では5秒)以内に拾って食べてしまえば病原菌がつかないので食中毒にならないというルール。
 科学的にははっきりわからないというのが実情だった。
 最近の研究では「時間」ではなく「場所」が関係している事がわかってきた。
 生肉を扱う事が多い台所では病原菌が多く、日光などに照らされたアスファルトには病原菌は少ない。
 さらにどのような細菌が存在しているかも重要で、サルモネラ菌の場合は非常に移動速度が速くすぐに食べ物に付着する。
 結局、どの場所にどんな細菌がどれくらいいるかは事前にはわからないので、落ちた物は食べない方がよい。
「2010年9月5日、京都府京田辺市39.9度を記録」
 気温を計っていたアメダス(地域気象観測システム)京田辺観測所の温度計を設置したポールにつる草が大量に巻きついて正確な気温が測定できていなかった。
「地球温暖化データ捏造疑惑」
 二酸化炭素が原因で地球の温暖化が急速に進んでいる事を示す「ホッケースティック曲線」というものがある。
 この曲線は国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次報告書に記載され、地球の温暖化の原因が二酸化炭素であるという主張の重要な根拠となっている。
 この「ホッケースティック曲線」のオリジナルを最初に作成したのは米国のペンシルバニア州立大学のマイケル・マン教授(1998年に発表)。
 IPCCの中心的人物の一人である英国・イーストアングリア大学気候研究所(CRU)のフィル・ジョーンズ教授がIPCCの報告書を執筆する際にもこれを使用。
 2009年11月上旬に何者かがイーストアングリア大学のサーバーに不正アクセスし、約1000件の電子メールを盗み出しインターネット上に公開。
 フィル・ジョーンズ教授がマイケル・マン教授に送った電子メールに、このグラフのデータに「トリック」を使ったと解釈できるような内容が記載されていた。
 フィル・ジョーンズ教授は問題となっている電子メールが自分の発信したものである事を認めたが、「トリック」という言葉の意味はデータの改ざんという意味ではなく、別の意味合いで使ったと主張。
 この事件は「ウォーターゲート事件」をもじって「クライメート(気候)ゲート事件」と呼ばれ、英国議会や大学などが調査にあたった。
 英国下院の科学技術委員会は「トリック」という言葉は「観測データの補正」を意味するだけでねつ造はなかったと結論付けた。
 イーストアングリア大学の独立調査委員会、オランダ政府環境評価庁(PBL)もデータのねつ造はなかったと結論づけた。
 だが、フィル・ジョーンズ教授の出した電子メールの中には、地球温暖化の原因が二酸化炭素であるという主張に懐疑的な研究者の論文を掲載しないように呼びかける内容も見つかっており、研究者としての客観性、中立性に疑惑がぬぐえない。
「米国雇用統計」
 ①個別の家庭に対するヒアリング調査に基づく失業率
 ②企業に対するヒアリング調査に基づく非農業部門の雇用者数
 の2つ。
 ②の誤差が大きいと言われている。
 要因は、
 ・基準改定:毎月発表される月次データは全数調査ではなくサンプル調査による推計値のため、実績値と合わせるために年1度の頻度で行われる。
 ・途中段階で発表:月次のサンプル調査の結果は、翌月第1金曜日の午前8時30分に発表されるが、この段階ではサンプル調査の対象となっている事務所の40%から60%程度しか調査が進んでおらず、その翌月に全てのサンプルを対象にした改定値が必ず発表される。
 ・バースデス調整(BDA):新規の起業と廃業に伴う雇用の増減を、統計モデルによる推計値で算出。景気の波の影響が反映されづらい。
 ・季節調整:年末商戦で、10月、11月に大量の臨時雇用が発生し、1月に解雇されるという季節的なパターンを性格に取り除くのは至難。
 米国の雇用動向を把握するには、注目度はそれほど高くないが、毎週木曜日に発表される週間失業保険新規申請件数をウォッチした方が正確であると言えるかもしれない。
「金融システム健全性チェックテスト」
 テストの評価で、採点と合否基準について客観的であっても、そもそもの試験の難易度が主観的に決められてしまうと、試験として機能しなくなる。
 ストレステスト:金融機関の健全性を計る検査。景気の悪化や株価の下落などの「ストレス(負荷)」がかかったとき、どの程度の損失が生じるかをシミュレーションして、そのストレスに耐えられるだけの自己資本があるかどうかを判定。
 ストレステスト実施の狙いは、金融機関の経営状況を透明化し、金融機関の信用回復を図ること。(個人解釈:経営状態を暴くのが目的ではなく、あくまで「健全」である事をアピールする事が求められていると思われる)
 欧州銀行監督委員会(CEBS)は2010年7月23日に結果発表したストレステストでは、米国のストレステストでは15%(7年に一度)の不況を想定したが欧州は5%(20年に一度)の大不況を想定した非常に厳しいストレスで試験をしてそれほど悪い結果ではなかったとして、欧州の政策当局は「欧州の金融機関の健全性が証明された」と評価した。
 しかし市場関係者の間では、前提条件が甘いのではないかと指摘された。
 ・売買目的ではなく国債を満期まで保有する場合のリスクが考慮されてないので、一部の国がデフォルト(債務不履行)を引き起こした場合は保有する国債の価値が0になることで金融機関が大きな打撃を受ける可能性がある。
 (個人解釈:金融機関が国債を購入するような国がデフォルトを起こすのは一般的には20年に一度よりは確率が低いだろうから、(デフォルトを考慮しない)想定自体は常識的なのかもしれないが、問題は現実的に(国債を買っているのに)20年以内にデフォルトしそうな国がいくつか存在しているという事だと思われる)
「エンゲル係数」
 エンゲルの法則:人々の所得が上昇するにつれて、消費支出全体に占める食料費の割合が低下する経験則
 エンゲル係数:家計の消費支出に占める食料費の割合を示した数値。エンゲル係数が低下する程、生活水準が向上しているとされる。
        20%以下:上流家庭 30%前後:中流家庭 50%近く:生きるのがやっとの家庭
 日本の一般家庭では、1963年のエンゲル係数38.7% 1979年には29.2% 2005年には22.9%と過去最低を記録。エンゲル係数を見ると非常に豊かになったという事になる。
 しかし、実際は、
 ・少子高齢化により、高価な食事をあまり摂らないお年寄り世帯が増え、大量に食事を摂る子供の数が減った。
 ・エンゲル係数は世帯当たりの平均で算出するが、核家族化が進んで1世帯当たりの構成人数が減少(1963年4.30人、2009年3.11人)
 ・不況対策として消費者がより低価格の食品を購入。
 により、エンゲル係数が本来の生活水準以上に低下していると思われる。
 実質賃金などの他の指標と合わせて判断する必要がある。
「いじめと虐待」
 いじめの定義が実態にそぐわない、定義が主観的で判断が難しい、判断主体である学校や教師が問題が明るみになるのを防ぐため隠蔽するインセンティブが働く。
 メディアが大々的に取り上げる事で社会全体が虐待について神経質になり今まで黙認していたものも通報するようになる事で虐待の通報件数が増えた部分もある。
「名ばかり高齢者」
 名ばかり高齢者:既に亡くなっているにも関わらず、孤独死や年金不正取得のために戸籍上、生きていることにされている高齢者。
 日本の平均寿命算出では、
 ・人数は少ないが平均寿命の数字に対して大きな影響を与える「超高齢者」(男性98歳以上、女性103歳以上)は最初から除外している
 ・高齢者の消息が十分に反映されてない住民基本台帳ではなく、調査員が面接で消息を確認している国勢調査をもとに行っている
 ので、あまり影響はない。
「コメの作付面積」
 ・農協や自治体で組織する各都道府県の水田農業推進協議会の作成した統計
  協議会に参加する農家の自己申告に基づいて現地調査し、それを積み上げる(自家飯米だけを作っている農家や減反に非協力的な農家の作付面積は十分に把握できないので過小評価に繋がり易いと指摘されている)
 ・農林水産省の作成した統計
  約3万地点を実測するサンプル調査を行い、サンプル地区のデータを全国に当てはめて全体の作付面積を推計(統計誤差は都道府県ベースで1~3%程度)
 の2つが存在するが、全国で約5万ヘクタールほどの差異が生じている。
「経済効果」
 正確な需要予測はそもそも不可能(東京湾アクアラインの交通需要予測)
 マイナスの経済効果の存在
  ・ワールドカップにおける観戦のために仕事をずる休みする事などによる経済損失
   英国の調査会社:2002年の日韓共催のワールドカップにおいて英国では約600万人が病気などと偽って会社をずる休みする恐れがあり、それによる経済的損失は最低約1860億円に上るとの推計。
  ・クールビズによる電気代の抑制や、オフィス内温度の上昇(28度設定なら多数のPCや人がいるオフィス内では30度を超える)による労働生産性の低下
   日本建築学会:神奈川県の電話交換手100人を対象に1年かけて行った実験によると、室温が25度から1度上がる毎に作業効率が2%ずつ低下。28度だとオフィス1平方メートル当たり約1万3000円の損失。
   財団法人日本不動産研究所:日本のオフィス面積は2006年12月時点で8349平方メートル。
   上記を基に、2005年におけるクールビズ導入企業の割合(経団連の調査)やオフィス空室率などを考慮して、著者が算出したクールビズ対象期間6月~9月の4ヶ月での損失は4322億円。
   一部民間シンクタンクが試算したクールビズの経済効果:1008億円
  ・猛暑の景気刺激効果
   2010年夏の猛暑が景気を刺激し、夏の平均気温が1度上がると日本のGDPが0.3%押し上げられる(シンクタンク試算)と言われている。
   しかし度を越した暑さは、外出する人が減り行楽地の観光収入が減少、野菜の生産が滞る、暑さによる労働生産性の低下といったマイナスの要因もある。
   さらにロシアでは7月29日にモスクワで38.2度を記録。干ばつや森林火災の発生、ロシア国内の穀物作付面積の25%が壊滅状態。
   英国のHSBCの試算によると、猛暑によるロシアの経済損失額は150億ドルに達し、GDPは0.5%~1.0%押し下げられる。
   この影響が日本も含めた世界各国に広がった。
   ロシア政府は、2010年8月5日、穀物の輸出を禁止する事を決定。(国際連合食糧農業機関(FAO)によるとロシアの小麦生産は2007年時点で世界第4位)
   小麦の国際価格に上昇圧力がかかり、小麦の約9割を輸入に頼っている日本では小麦を使用した食料品の値上げにつながる。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年10月25日(日)18時31分40秒
  『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい静電気の本』
高柳 真 監修
日刊工業新聞社
2011年

静電気について説明した本。

・静電気も動電気も結局は電気の事。導体に流れるのが動電気で不導体(絶縁体)に溜まるのが静電気のようだが、半導体の存在のせいであまり意味がない区分けになった。
・2種類の不導体同士を接触させ、またはこすり合わせる事で片方の電子がはがれ、もう片方に移る事で片方がマイナス、もう片方がプラスに帯電する。
 接触帯電:異なった物質がくっついて離れると帯電する。仕事関数(物質の表面から電子1個を放出させるのに最低必要な仕事量(エネルギー。単位は電子V(ボルト))の小さい方から大きい方に電子が移動する。2つの物質の仕事関数が釣り合うまで移動する。
      離れたときに放電する事がある。(剥離放電)
 摩擦帯電:2つの物質をこすり合わせる事で一方から他方に電荷が移動する。接触帯電と圧電気(ピエゾ電気)の複合。
      同じ素材同士でも摩擦面積が違うと摩擦熱による温度差で、温度が高い方が物質のイオンの移動がしやすくなり、移動する事で帯電する。
・帯電列は下記の通りだが、実際は逆になったりする事もあるので参考程度に思っておく事。
 【マイナス】テフロン 塩化ビニル ポリプロピレン ポリエチレン ポリウレタン ポリスチレン ポリエステル 金、銀 アクリル 鉄 木綿 アルミ 絹 レーヨン ウール ナイロン 毛髪 雲母 石英 ガラス【プラス】
・ライデンコップ:外側にアルミホイルを巻いた紙コップを2個用意して重ねる。この時にある程度の長さのアルミホイルで作った帯を挟んで出しておく(端子用)。
 コップのそばでティッシュペーパーを使ってアクリル定規をこすり、アルミ帯に触れる動作を何十回も繰り返すと1万ボルト以上の電気がライデンコップに溜まる。
 一人がライデンコップの巻いてあるアルミホイル部分を片手に持ち、何人かで次々に手を繋ぎ、最後に手を繋いだ人がライデンコップのアルミ帯に触ると電気が流れてビリっとくる。(人間電線(百人おどし))
 電流自体は1万分の1アンペア程度で人体にはほとんど害はないが火花が出たりする危険はある。
・静電気で回るフランクリンモータというものがある。
・圧電トランスは普通のトランスの電磁誘導とは違い、交流電流⇒振動による圧力⇒圧電効果による発電、で変圧、発熱や磁気がなく効率は高いが出力が小さい。
・小型惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンは放電室で電子レンジと同様のマイクロ波をキセノン(気体)に照射してイオン化し、次に、多くの小孔のあるスクリーン電極および加速電極それぞれに制御電圧をかけて、放電室でできたイオンを電気的に加速し、その反動で推力を得る。またプラス電荷のイオンを噴出する事で機体自体がマイナスに帯電して(噴出できなくなって)しまうのを防ぐため中和器でイオンビームと同量の電子を放出してキセノンイオンを中和する事で安定した推力を保つ。
 なお、イオンエンジンの推力は1円玉を持ち上げる程度の力だが、燃焼(燃料)を必要としないので7年という長期間(60億キロメートル)、宇宙空間で航行し続ける事が出来た。
・アースは導体の電気を逃がすのにはもってこいだが、静電気の場合、不導体自体には電気が流れずアースと接触している部分しか静電気が逃げないのであまり効果がない。
・加湿の場合、65%以上で除電効果があるが、ナイロンなど一部の材質のものではほとんど効果がなかったりする。
・除電器はイオンを吹き出す事で電気を中和するが完全に中和することはできない。

<静電気の科学>
・クーロン力
 電荷と電荷の間に働く電気力は、それらを結ぶ線上に働き、その向きはプラス電荷とマイナス電荷で引力が、プラス電荷同士、マイナス電荷同士で斥力(反発力)が働く。
 力の大きさは、双方の電荷量に比例し、電荷同士の距離の2乗に反比例する。
 F[力(ニュートン)] = Q1[電荷(クーロン)] × Q2[電荷(クーロン)] / 4πε0[真空の誘電率(F/m)]r[距離(m)]の2乗 ≒ 9 × 10の9乗 × Q1 × Q2 / rの2乗
 (補足:C = A[アンペア(A)] × s[秒] 1クーロンは1Aの電流が1秒間流れた時に蓄えられる電荷量)

・電界、電位、電圧の関係
 山に例えると、電位は標高(基準値(海面)からの高さ)、電界は勾配(傾き、傾斜率)、電圧は高度差(2地点間での比高)。
 電界:単位長さ当たりの電位変化。電気力線密度。電荷の大きさに比例し、距離の2乗に反比例
    電位を微分すると電界になる。
 電位:電界を積分すると電位になる。
    物体に電荷が溜まった時、その物体の電位はどれくらい上がるかをカンタンに計算できるように導入(便宜的に定義)したのが、その物体が持つ固有の値「静電容量C」
    電圧V=Q/C
    静電容量Cは物体の形にもよるがおおよそ、その表面積Sに比例し、電位の基準となる相手側電極との距離Dに反比例する。
    C = 導体間の誘電率ε × S / D
    通常、机上の電極の場合、相手側電極は地球(地面)で数百ミリから数千ミリ程も離れた距離の電位を基準点とするので静電容量Cはそれほど大きくない。
    しかし2枚の導体のフィルムを数μmという極端に短い距離(間隔)で向かい合わせるとその静電容量Cは非常に大きくなり、その時の電荷は
    Q = C × V
    で計算でき、たくさんの電荷を蓄える事が出来る。これがコンデンサ。
 電圧:荷電した物体を1つの点からもう1つの点に移動させる際必要な仕事 / その物体の電荷。
    単位電荷がある点から別の点に移動する際に得られる仕事とも言える。
    電流を流す力のことであり、2点間の電位差は電界の強さを決める。
    感電する時のショックの大きさは流れる電流の大きさによる。
    導体の場合、静電容量Cは大きいので、電圧が低くても大きなショックを受ける。
    不導体の場合は、静電容量Cが小さいので、電圧が大きくても荷電量Qは小さくなりショックも小さくなる。

・誘電体、誘電分極、誘電率、静電誘導
 誘電分極:帯電した物体を不導体に近付ける(電界を加える)事で、帯電した物体に近い方に帯電した物体とは逆の電荷が現れる現象。
      自由電子がない不導体でも、分子自体に電荷の偏りがあり、これが電界の影響を受けて整列したり、あるいは分子内の電子が、加えられた電界と逆方向に偏るために引き起こされる現象。
      この時、外部の電界と逆向きの電界を作る為、不導体内の電界は外部の電界より弱くなる。この差を埋めるため不導体が変形する(ひずむ)事によって釣り合わせようとする(マックスウェルの応力、圧電の逆効果)
      誘電体に機械的な圧力を加えてひずみを生じさせると誘電分極現象が起き、電荷(圧電気(ピエゾ電気))が発生する。(圧電効果、圧電の正効果)
      また、分極現象を起こすには物質内部の結晶構造を変化させればよい⇒加熱する、というわけで、加熱によっても帯電現象(パイロ電気)が生じる(焦電効果)
      誘電体の中には外から電界を与えなくても自発的な分極を持つものがある。これらを焦電体と呼ぶ。例:電気石(鉄、アルミニウム、ホウ素などを含む)、ケイ酸塩鉱物。
      高感度のものだと人体から出る赤外線でも分極ほど敏感なので、赤外線センサ等で使われる。
      パイロ電気は通常、表面に付着した空気中のイオンにより中和されているが、温度が変わると分極の大きさが変わる為、表面電荷の変化分だけが観測される。
      焦電効果は1次の焦電効果(加熱による分極)、2次の焦電効果(熱膨張圧による分極)の2つの効果が合わさったもの。
 誘電体:誘電分極を起こす不導体。
 誘電率:誘電分極の起こり易さ。真空の誘電率の倍数で表現するものを比誘電率、誘電率が大きい物質を強誘電体という。
 静電誘導:帯電した物体を導体に近付ける(電界を加える)事で、電流が流れる事。静電誘導で生じた誘起電荷という。
      導体内部の電位がどこでも一定になるように電荷が移動する。よって導体内部は等電位になる。
      一般に、導体上に電荷が現れるのは電圧を印加した場合と、静電誘導の場合。
 静電遮断:物体の外側を導体で覆い、内部に電界が生じないようにすること。
      覆い(導体)の表面の電荷が移動して外部の電界を打ち消すため、覆い内には電界が無くなる。

・放電針
 静電気の放電は、表面が滑らかな部位より、先端が尖った部位からの方が起こり易い。

・雷
 地表で大気が暖められる⇒強い上昇気流が発生⇒高い上空まで水滴(雲)が持ち上げられる⇒上空に行くほど低温のため水滴は氷の粒子(結晶)になる⇒粒子同士が激しくぶつかり合って摩擦や破砕する⇒静電気発生で帯電する⇒雲の上層はプラス、下層はマイナス(地表ではプラスの電荷が誘起)の電荷が蓄積し雷雲が形成される⇒上層と下層の電位差または下層と地表の電位差が拡大して限界値を超えると空気が絶縁崩壊を起こし放電⇒放出された電子が気体分子と衝突してこれを電離させることによりプラズマが発生し雷になる
 少しでも電気の流れやすい経路を通ろうとする為、ギザギザな形(稲妻)になる。また、空気がその熱のために瞬間的に膨張して周りの空気を激しく振動させるためゴロゴロと鳴る。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年10月21日(水)23時32分11秒
編集済
  『日本人は「経済学」にだまされるな!』
中原 圭介
(株)中経出版
2013年

(この本を含めた)「経済学」の胡散臭さについて考えさせられる本。

読んでみて思ったのは、結局、経済学がなんで胡散臭く感じるのかと言うと、
本来、巨大で複雑怪奇な「経済」という化物を簡単に理解できるとする論調にあると思う。

まるで、多次曲線を直線1本で表そうとする、あるいは、盲目の人が象の一部分を触っただけで象の全てを解った気になるような(実物に対して)大雑把過ぎる理解。
それを学問としての格式・歴史や数学的な記述等で権威付けして正当化している。
悪く言えば騙しかもしれない。
本来、問題を解決するために問題やその状況を単純化する「モデル化」は効果的な方法だが、経済学は「自分の都合のいい理論を成立させる」ためにあまりにも現実を「単純化」しすぎている感が否めない。
単純化のみならず、データを恣意的に解釈したり都合の悪いデータを排除をしている場合もある。

しかし、なんだかんだで「経済学」は人々の間に根付き、上は総理大臣から下は学生まで経済学を学んだり信奉している人々は後を絶たない。
何故かを考えると、下記の様な「需要」があるからだと思われる。
・理解の及ばない複雑な現象を単純でわかりやすいものだと思い込みたい。(血液型性格診断や「気」という概念のみによる生命理論なども同様)
・結局、金儲けという人間の欲をストレートかつエレガントに揺さぶるテーマを扱っているので、人々の関心を買いやすい。
・とにもかくにも学問としての歴史と権威がある(と一般に思われている)ので(自分に都合がよくてそこそこ権威を持った経済理論を背景にすると)相手を説得しやすい。

昔、宮廷で未来を予言したり王に助言をした占い師のような役割を現在の経済学や経済学者は担っているのかもしれない。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年10月18日(日)22時22分59秒
  『知りたい!サイエンス DNAを操る分子たち -エピジェネティクスという不思議な世界-』
武村 政春
株式会社技術評論社
2012年

同じDNAを持つ細胞がどうやって、ある細胞は赤血球、ある細胞は胃壁、ある細胞は骨といった形で分化するのか、という問題について説明している。

エピジェネティクス(エピ:後 ジェネティクス:遺伝学)
 細胞にあるDNAは、受精卵から発生が始まった後、後成的なしくみによって細胞ごとに色々な姿へと変化していく。このしくみ、またはこのしくみを研究する学問の事。

DNA(デオキシリボ核酸)
 機能的には遺伝子(エキソン。ヒトの場合、1.5%)、イントロン(介在配列)、その他(ノンコーディングRNAの設計図)で構成。
 下記の各RNAに対応する遺伝子も存在し、この3つのRNA以外にもRNAが多種存在する。これらからコードしないRNAのこと(mRNA以外)をノンコーディングRNAと呼ぶ。
 物質的にはデオキシリボヌクレオチドが長く連結している。
 デオキシリボヌクレオチドは塩基、デオキシリボース、リン酸からなり、塩基部分は、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)の4種。
 AとT、CとGがペアになり2本のDNAが抱き合い、さらによじれて二重らせんと呼ばれる構造をとる。

遺伝子
 タンパク質の設計図としての意味を持つ部分。4種の塩基を3個組合わせ(コドン)てアミノ酸20種の並び方を決定。
 遺伝子をもとにしてタンパク質が合成される事を「遺伝子発現」という。

染色体
 クロマチン繊維の全体。クロマチン繊維はヌクレオソーム(DNAとヒストン八量体(1個につきDNAがおよそ2周巻きつく糸巻きの役割))が数珠つなぎになって折りたたまれて形成される。

セントラルドグマ(中心定理)
 遺伝子発現の過程には「転写」と「翻訳」がある。
 転写は、DNAの塩基配列がmRNA(メッセンジャーRNA)に写し取られる(但しTはU(ウラシル)に置き換わる。Cが壊れる(脱アミノ化)とUになり正誤を判別できないのでDNAではUを使わない)
 初期のmRNA(mRNA前駆体)はイントロンを含み遺伝子がない(エキソンとして断片化)しているので、イントロンを切り離し、エクソン同士をすための化学反応(スプライシング)を行う。
 真核細胞の場合、
 ①転写する箇所のクロマチン繊維が脱凝縮していること。
 ②RNAポリメラーゼⅡという酵素が来る直前、または同時に基本転写因子と呼ばれる複数のタンパク質が、次々にプロモーターにやってきて結合する。
 ③遺伝子のすぐ上流に存在するプロモーター(転写調節領域)よりもさらに上流のかなり離れた所(または遺伝子内部のイントロン内)にあるエンハンサーという塩基配列にアクチベーターと呼ばれるタンパク質のかたまりが結合すると基本転写因子たちと(ときにはメディエーターというタンパク質のかたまりを仲介役として)相互作用し、転写の開始が促進される。
 ④その基本転写因子のひとつに二重らせん構造をほどいてDNAを1本ずつにするヘリカーゼという酵素活性をもったタンパク質があり、それによって二重らせんがほどかれる。
 ⑤RNAポリメラーゼⅡによりmRNAが合成される。
 翻訳は、リボソーム(タンパク質合成装置)においてrRNA(リボソームRNA:リボソームの主成分)にmRNAが読み取られ、tRNA(トランスファーRNA)によって運ばれたアミノ酸を結合してタンパク質を合成する。

DNAの複製
 DNAポリメラーゼという酵素によって複製される。
 しかし、これだけでは単なる複製であり、神経細胞や肝細胞への分化を説明できない。


エピジェネティック
・ヒストン
 タンパク質の一種。
 H1、H2A、H2B、H3、H4の5種類あるがここで重要なのはH1以外の4種類。
 この4種が2個ずつ計8個が複合体を形成したボール状のものをヒストン八量体という。
 DNAとヒストンからなるクロマチン繊維は、ある場面(複製後細胞分裂直前、不活性・非発現時)には凝縮し、また別の場面(通常時、複製直前、転写時)では脱凝縮する。
 ・ヒストンのアセチル化
  アセチル基(CH3CO-)がヒストンから突き出た尻尾(ヒストン・テイル)にある決まったリジンというアミノ酸の残基(タンパク質に組み込まれたアミノ酸は厳密にはアミノ酸ではないのでアミノ酸残基と呼ばれる)と結合する。
  H3の場合N末端側のアミノ配残基から数えて9、14、18、23、56番目のリジン残基がアセチル化する(56番目以外はヒストン・テイルに存在)。
  H4ではN末端側のアミノ配残基から数えて5、8、12、16番目。(全てヒストン・テイルに存在)
  アセチル基にはカルボニル基(-C(=O)-)が含まれているため、塩基性の物質と反応しやすい。
  リジンはプラスの電荷を帯びており、ほかの塩基性アミノ酸なども比較的多いのでヒストンはプラスの電荷を帯びている。DNAはヌクレオチドに含まれるリン酸のせいで全体としてはマイナスの電荷。
  リジン残基にアセチル基が結合する事でプラス電荷が覆い隠される。これによりDNAとの相互作用を小さくして脱凝縮が起こる。これ以外にもアセチル基には目印、あるいはタンパク質間の連絡に使われていると考えられている。
  ヒストンのアセチル化を外すのはヒストンデアセチラーゼ(ヒストン脱アセチル化酵素:HDAC)であり、これにも多くの種類が存在する。
 ・ヒストンのメチル化
  メチル基(-CH3)がヒストン上の決まったリジン、もしくはアミノ酸残基の一つのアルギニンに結合。
  H3の場合、mRNAの合成を行うRNAポリメラーゼが、ヒストンメチル化酵素の一つ「set1」タンパク質を連れてきて、4番目のリジンをメチル化させると転写の開始が促されるが、これが「HP1」と呼ばれるタンパク質が9番目のリジンをメチル化すると凝縮が起こり転写が抑制される。
  アルギニンのメチル化も同様な機能を持つ。
  メチル基は塩基性にも酸性にも強く、安定している。
 これらのヒストン修飾が複製後の細胞にも受け継がれていく。
 ヒストンコード仮説(ヒストン・クロストーク:ヒストン同士の、あるいはヒストンを介するかけ合い)
  ヒストン上のある特定の修飾パターン(ヒストンコード)のみを認識する調整タンパク質が多種存在し、ヒストンコードと結びつことで転写の促進や抑制を行うとする仮説。

・シトシン
 DNAの4つの塩基の内、Cにもメチル化が生じる。具体的には塩基配列がCGになっている部分のCにのみメチル化が起こる。
 プロモーター部分のCがメチル化すると転写因子が結合できなくなり、転写が抑制される。
 複製後の細胞にも受け継がれていく。

・ポリコーム群遺伝子、トリソラックス群遺伝子
 ホメオティック遺伝子群
  動物における体節の繰返しが、単なる繰り返しではなくなって少しずつ変化をともなった多様な組織、器官になっていくときに重要な働きを担う遺伝子グループ。
  ホメオティック遺伝子群からつくられる一連のタンパク質はホメオドメインと呼ばれるDNA結合部位を持っており、遺伝子発現をコントロールする転写因子としてはたらく。
  ホメオティック遺伝子の染色体上の位置関係がちょうど身体の前後軸においてそれぞれのホメオティック遺伝子が発現する体節の位置関係をそのまま表している。
 例えば肝細胞は細胞分裂しても肝細胞のままなのは、どの遺伝子を転写し、どの遺伝子を転写しないかを記憶(細胞記憶(転写記憶))しているからといえる。
 細胞記憶を持ち、ホメオティック遺伝子群を制御する遺伝子が存在する。
 その機能を持つ遺伝子がポリコーム群遺伝子やトリソラックス群遺伝子。
 ポリコーム群遺伝子からはポリコーム群タンパク質がつくりだされ、ターゲットとなるホメオティック遺伝子の転写を抑える。
 ポリコーム群タンパク質がPRC1とPRC2というタンパク質複合体を形成し、PRC2がクロマチンのヒストンH3の27番目のリジン残基をメチル化し、続いてPRC1がやってきてメチル化部分周辺のクロマチン構造を変化させ畳み込む。
 トリソラックス群遺伝子からはトリソラックス群タンパク質がつくりだされ、ターゲットとなるホメオティック遺伝子の転写を促進する。
 トリソラックス群タンパク質複合体の一種、Swi/Snfの場合、ATPを加水分解して出たエネルギーを使ってクロマチンと結合してヌクレオソームの構造や位置を変化させることで転写因子や転写調節因子等を呼び込む。
 また、ヒストンメチル化酵素として働くトリソラックス群タンパク質の一つはヒストンH3の4番目のリジン残基をメチル化する事で転写を促進する。

・ノンコーディングRNA
 RNA干渉:非常に短い低分子二本鎖RNA(ノンコーディングRNAの一種でmiRNA(マイクロRNA)と呼ぶ)が、塩基配列特異的にターゲットとなる(自分の塩基配列と相補的な塩基配列を持つ)mRNAにとりつきこれを分解したり翻訳反応を阻害することによってタンパク質の合成を抑制するメカニズム。
       miRNAとmRNAは1対1の対応関係にあるのではなく1種類のmRNAに複数のmiRNAが作用したり、1種類のmiRNAが複数のmRNAをターゲットにしたりといった複雑なネットワークが存在する事も明らかになりつつある。

三毛猫(白、黒、茶の三色の毛を持つ)にはオスがいない理由
 哺乳類では雌に2本あるX染色体のうち1本を不活性化(バール小体)することでX染色体の遺伝子発現量を雄に合わせる。
 母胎内で発生を始めてからしばらくするとX染色体の不活性化が起きる。
 『父親由来のX染色体と母親由来のX染色体のどちらを不活性化するか』は『その時点で存在する細胞ごとにランダム』で決められる。
 以降の分裂ではそれが引き継がれていく。
 猫に白い毛をもたらす遺伝子は常染色体上に存在するが、『白以外の毛をもたらす遺伝子はX染色体上に存在』する。
 『黒と茶の遺伝子は対立遺伝子の関係』なので、雄の場合、(X染色体が1本しかないため)黒か茶のどちらかしかない。
 ところが雌の場合、X染色体が2本あり、不活性化時点での細胞ごとに父、母のどちらが不活性になるかランダムなので仮に父が黒、母が茶の場合は混在することが可能。
 これに白の遺伝子もあれば雌の三毛猫になる。

哺乳類は単為生殖しないのか
 単為生殖:雌単独で卵のみから子をつくる生殖方法。例:女王バチ
 インプリント遺伝子:精子、あるいは卵子でしか発現していない遺伝子。卵としての性質、精子としての性質を刻印するかのように働く。
 卵母細胞を人工的に処理して(本来精子でしか発現しないインプリント遺伝子を発現させるように改造)精子の代役として卵子と受精させることによりマウスに子供が出来た。
 この子マウスも普通に雄と交尾して子供を作る事が出来た。
 また、雌のインプリント遺伝子では胎児や胎盤、新生児の成長を抑制する働きのものが多く、雄の方は促進するものが多い。
 哺乳類では雌が子宮を持つため常に単為生殖を引き起こす危険性があり、これを防ぐための安全装置として働いているものと思われる。
 

読書感想

 投稿者:管理人  投稿日:2015年10月 4日(日)21時38分41秒
  『周期表でスラスラわかる! 「元素」のスゴい話 アブない話』
小谷 太郎
青春出版社
2011年

元素の話を時事等に絡めて説明した本。
例によって気になった所をメモ。

化学的には原子の周りの電子こそが主役で原子核はおまけ(化学変化に影響しない)だが、(核)物理にとっては原子核こそが主役で電子はおまけ。
核燃料を作る時には、ウランの同位体を分ける必要がある。この場合化学的な方法では困難なため、物理的な遠心分離によって分ける。
ギリシャ時代では科学という概念自体が存在せず、そのため「観察」や「実験」といった科学的手法もなくもっぱら思索や議論によって哲学的な観点から説を唱えた。
この時代にも元素説といった現在の科学的な理論に近い説もあったが悪く言えばあてずっぽうでたまたま当たっただけともいえるが、これは上記の理由から仕方ないとも言える。
元素説に示されていた火の元素やエーテル(光の媒体)は試行錯誤の実験の末に発見できず、酸化や相対性理論によって説明できたことでこの説は棄却された。
イーサネットの語源はエーテルからきている。

「金Au」
錬金術は化学の創設に貢献したかについて、貢献したという説と、錬金術師が発見した元素はヒ素As、アンチモンSb、リンPの3種しかないし大抵が詐欺師か愚か者と評されている事から、ほとんど貢献してないとする説がある。

「銀Ag」「銅Cu」
金銀銅は超新星爆発で作られるが、原子番号が大きいほど希少になる。
金属結合する時に内側の電子もちょっと寄与するため、融点が高く酸化しにくくなる。変化しにくいので貨幣として使いやすい。
銀は金より腐食しやすく硫黄Sに触れると硫化銀AgSとなり黒く変色する。
臭化銀AgBrが光に当たると分解されてAgに戻る反応を利用したのが写真フイルム。

「スズSn」「鉄Fe」
スズは銅に少量混ぜる事で、銅よりも硬く融点を少し低くして900度(純銅1085度)と加工しやすい「青銅」になる。
鉄は地球の質量の3分の1を占めるありふれた金属だが融点が1535度と極めて高く、加工には技術が要る。

「テクネチウムTc」
加速器による原子核衝突などで作られる人工元素で自然界にはほぼ存在しない。
化学者が人工元素と天然元素を区別する理由がないと納得する(物理学者が説得に成功する)まで11年かかったため、その間名前がなかった。
なお、天文学者が太陽のスペクトル上に発見したヘリウムが化学者に認められるまでに四半世紀かかっている。
テクネチウムは寿命30万年でβ崩壊し電子を放出してルテニウムに変わる為、天然には存在しない。
ただし、天然の元素ウランが崩壊した時に、ある確率でテクネチウムに変わるため、ウランが含まれる鉱石には微量ながら存在する。

「ポロニウムPo」「ラジウムRa」
キュリー夫人ことマリー・キュリーが発見した放射性元素
【放射能の基本】
原子核には不安定な種類があり、時間が経つと崩壊して放射線を出して別の原子核に変わる。
例:ポロニウム208Poは、平均寿命200日で崩壊して鉛206Pbに変わる。
なお、ある原子がいつ崩壊するかは確率でしかわからない。
放射能:崩壊して放射線を出す能力、あるいは性質。
α線:原子核が崩壊し、飛び出したヘリウム原子核。
   元の原子の原子番号は2減り、質量数は4減る。
   質量数が多すぎる原子がこの崩壊を起こしやすく、またこれ以外に自発核分裂をする場合もある。
自発核分裂:勝手に核分裂を起こし、起きた後にどんな元素になるかは決まっていない。
      ウランUやプルトニウムPuなどで起きる事がある。
      自発でないものは、中性子をぶつけた場合に起きる。
β線:中性子が多すぎる原子核で、中性子から陽子に変わる(原子番号が1増える)時に吐き出す電子。
   なお、反対に陽子が多すぎる場合、β+線(陽電子)を出してβ+崩壊する。
   あるいは陽子が電子捕獲して中性子に変わる(原子番号が1減る)崩壊をする。
γ線:α崩壊やβ崩壊をした時に放出される電磁波。

「ウランU」「プルトニウムPu」
ウラン238Uの寿命は64億年、235Uの寿命は10億年と放射性元素の中では例外的に寿命が長い天然元素。
ウランより小さい短命の放射性元素はウランやトリウムの崩壊やそれらが崩壊してできた元素が崩壊して出来る。
ウランやトリウムより大きな質量数の原子核はこれらの崩壊からは生まれないので、人工的に合成されて「発見」された。
ウラン235Uは中性子をぶつける事で人為的に核分裂を起こす事が出来る。
但し、ウラン235Uはウラン全体の0.7%しか存在しない。
高濃度のウラン235Uに中性子をぶつけると連鎖反応を起こす。
ウラン238Uの方は劣化ウランと呼ばれる。
プルトニウムは寿命が35000年と比較的安定。
劣化ウランに中性子をぶつけるとプルトニウム239Puが出来る。

「ウンウンオクチウムUuo」
合成したという報告はあったがIUPAC(国際純正・応用化学連合)が未認定のため仮称になっている。
「ウン(1)」「ビ(2)」「ニル(0)」「オクト(8)」で、この場合原子番号118の事。
認定されると命名は発見者の案が尊重される建前になっている。
元素の合成は現在の理論上6000種以上の核種が合成可能と見積もられているが2000種ほどしか確認されていない。
残り4000種の内周期表に載るのは陽子数117と119以上のもの。
中性子星なども巨大な元素なのかもしれない。

「ヨウ素I」「セシウムCs」
2011年3月11日にマグニチュード9、最大震度7の巨大地震と10mを超す大津波が東日本を襲い、福島第一原子力発電所から多量の放射性物質が大気中に飛び散り広範囲にわたって土壌を汚染した。
放出された放射性物質のうち寿命が短いものは遠くには届かず、寿命が極端に長いものは放射能が弱いので放射線源としては問題にならない(化学的毒性は別)。
深刻な問題を引き起こす可能性があるのは寿命が数日から数年で体内に取り込まれやすい元素。
筆頭はヨウ素131Iとセシウム137Cs。
ヨウ素131Iは陽子53個、中性子78個で寿命は11.58日でβ崩壊を起こしキセノン131Xeに変わる。
なお同位体であるヨウ素127Iは安定で放射能はなく天然にあるものは全てこれ。
海苔や昆布などの海草がなぜかヨウ素を集める性質を持つ。人間が食べると甲状腺に蓄えられ成長ホルモンなどに使われる。
セシウム137Csは寿命43.38年。
天然のセシウム133Csは安定しており放射能もない。
セシウムは柔らかい金属で水と反応して燃える。ヨウ素と化合したヨウ化セシウムCsIは放射線検出素子になる。
これ以外に用途はないらしいが、一応レアメタルに指定されている。
2011年時点で日本の経済産業省や石油天然ガス・金属鉱物資源機構は31種類の金属をレアメタルと呼んでいる。
但し、どういう金属をレアメタルとみなすかの基準はわりといいかげん。
・地殻中には結構な量があるが有用な鉱石が少ないもの(チタンTiやマンガンMn)
・化学的性質が似かよっていて鉱石から純粋な単体を分離して抽出するのが困難なもの(希土類)
・大して役に立たないが何故か入っているもの(セシウムCs、ルビジウムRb、タリウムTl)
・地下資源が少数の国に集中し、政治的、外交的に不安定なもの(バナジウム、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン)
・存在量が少ないのにレアメタルに含まれてないものがある
レアメタルは投機の対象になりやすく値段が乱高下し、またそのため本当の需要量がわかりにくいので安定供給しにくい。

「マンガンMn」
鉄鋼の製造時に添加する事で酸素と硫黄を取り除くと共に鋼の強度を上げる。
アルミAlと混ぜ合わせてビール缶にする。
マンガンの地下資源は約7億トンと見積もられ、そのうち半分が南アフリカにある。
しかしそれを凌ぐ膨大な量が海底にマンガン・ノジュール(マンガン塊)として存在するが、利用は技術的に困難。

「タングステンW」
融点が高く硬いので超硬合金、特殊合金、電球のフィラメントに利用。
脱硝触媒や脱水素触媒にも使用。

「ヒ素As」
リンPと化学的性質が似ているため、体内でリンが使われるはずの反応がヒ素と反応してしまい生命活動が阻害される。
謀略渦巻く中世宮廷ではよく使われ、この当時のヒ素は不純物として硫黄が含まれていたため、これを検出するために銀食器を用いていた。
ヒ素化合物はマラリア、ぜんそく、結核、その他の治療薬、美容サプリとしても使われていた。効能があったかは疑問だが、1851年には歴とした医学雑誌にヒ素は健康や美容によいという論文が載ったが、説の出所はホラ話だったらしい。
ナポレオンの遺髪には10ppm以上の濃度のヒ素が検出されたが、流刑に処される前の毛髪からもっと高濃度の39ppmのヒ素が検出された。
これらのヒ素は当時の医薬品に含まれていたヒ素が原因ではないかと思われる。ただしこれは毒殺されていないという事を表しているわけでもない。

「水銀Hg」
水銀単体はあまり毒性はないが、有機水銀((CH3)2Hgなど)は猛毒。
有機水銀は防カビ剤などに使われた事があり、1972年のイラクでそれを使った種籾を誤って農民達が食べてしまい大惨事に発展した。
また古代中国皇帝が不老長寿の薬として水銀化合物を飲んで結局早死にする事が多かった。
民間療法などで水銀による治療法が出回る事があるが効果はほとんどないと思われる。

「セレンSe」「亜鉛Zn」
人体にある元素は、酸素と水素(水)、炭素と窒素(タンパク質や炭水化物)、カルシウム(骨)、リン(DNAやATP)で質量の98.5%を占める。
後は硫黄(爪のタンパク質)、カリウムやナトリウム(細胞内外にあるイオン)、塩素(塩化ナトリウム)。
さらに体内の濃度が10の-4乗より低い微量元素で必須なもの(微量必須元素)にはヒ素、銅、鉛、カドミウムがある。これらはいずれも毒だが微量ながら必要とする。
セレンも同様に多量なら方向感覚を失う病気になる毒だが不足すると成長不良や心不全になる元素。
亜鉛は毒性はあまりないが不足すると小人病や味覚異常、肝臓障害、皮膚炎などが引き起こされるという報告がある。
ヒ素や水銀同様に健康サプリとして信仰されている事がある。

「カルシウムCa」「マグネシウムMg」
両方ともに生体に必須な金属。
マグネシウムはカルシウムの10分の1。
これらも元素信仰の対象になり易く、健康に良いからと多量にとる事を奨励される事が多い。
「微量必須元素を多量に摂ると身体に良い」という発想はノーベル化学賞、ノーベル平和賞を受賞したライナス・カール・ポーリングが「ビタミンCを多量に摂ると風邪をひかないしガンにもかからない」と主張した事によるものと思われる。
結局ビタミンCがそれらに実際に効く事を実証した実験結果は出なかったが、権威ある化学者の主張なので「そういう説もある」程度に扱われている。
「毒元素を微量に摂ると身体に良い」という発想は「ホルミシス効果」と呼ばれるが実証はされていない。

「水素H」
宇宙に存在する元素の4分の3を占める。
宇宙誕生(ビック・バン)後
・超高温、超高密度
・クォークや反クォークや、人類に未知の粒子やらが溶け混じり、ぶつかり合って消滅や生成を繰り返す。
 クォークと反クォークが衝突すると光を放って消滅する。
 高エネルギーの光同士が衝突するとクォークと反クォークのペアが生成。
宇宙が膨張するにつれて温度が下がると、光同士が衝突してもエネルギーが足りなくてクォークと反クォークは生成されなくなった。
 残ったクォークと反クォークがぶつかり合って消滅していき最後はすべて消えてしまうはずが、なぜかほんのわずかだけクォークの方が反クォークより数が多く、残ってしまった。
 残ったクォークは陽子(原子核・素粒子派的には水素)や中性子を形成した。これが宇宙の全物質の起源。
ここまでで0.0001秒。
3分後に温度が10の9乗Kより下がり、ヘリウム原子核(4He)やベリリウム原子核(7Be)が生成される。
15分後にヘリウムになりそこなった中性子の残りが崩壊して陽子に変わる。
ここから38万年後、宇宙がさらに冷える事でようやく陽子の周りに電子がくっつける(化学・物性派でいう水素)ようになった。
ここで宇宙空間から荷電粒子がほとんどなくなるので、電磁波が荷電粒子に邪魔されずに宇宙空間を飛び回れるようになる。(宇宙の晴れ上がり)
この時宇宙空間にあったものは水素とヘリウムとわずかなリチウムと太陽表面ほどの強い光(とダーク・マター)。
このあと数億年後に恒星が形成され、核融合が始まる。
この核融合ではビック・バン歴3分の時と違い中性子がないので、陽子と陽子を無理やりくっつけて重水素を作る必要がある。
陽子同士は反発するため、陽子がくっ付いた直後に片方の陽子が中性子に変わる偶然が必要。
重水素が出来ればこれに陽子や3Heがぶつかる事で4Heが出来る。この過程をp・pチェインと呼ぶ。
さらに、恒星内に炭素、窒素、酸素が含まれていると数十億年分の燃料を数千万年で燃やし尽くすCNOサイクルが(質量にもよるが)可能になる。
CNOサイクルでは、炭素が触媒のような働きをして効率的に水素をヘリウムに変える。

ビック・バンはそもそも宇宙膨張説の反対論者が宇宙膨張説を指して「宇宙がドカンと始まった説」というようなニュアンスでラジオ番組で言った名称。

「ヘリウムHe」
水素とヘリウムで宇宙に存在する元素の98%を占める。
天文学者が発見した元素。
水素やヘリウムは軽く常温でも高速で運動するため地球の重力を脱し宇宙に飛び出してしまう。そのため大気中には存在しない。
常温のヘリウム単原子分子の平均速度は1400m/sでこれは窒素の平均速度の2.6倍。
音速は媒質の分子の速度に比例するので、ヘリウムの音速は空気中の約2.6倍になり、共鳴振動数が2.6倍高くなり吸い込むと「ドナルド・ダック・ボイス」になる。
大きくて重い原子核が壊れα崩壊を起こしたときに放射線としてα粒子(4He)が飛び出るが、これは逆に言うとヘリウム原子核は化学的のみならず核物理学的にも丈夫で安定しているという事。
なお、ヘリウムは地下から汲みだされるがこれは地中の放射性元素が出したもので、放射線のなれの果てとも言える。

「リチウムLi」
宇宙初期から存在した最初のアルカリ金属。
水と反応して燃えて、出来た灰を水に溶かすと強いアルカリ性を示す。
一番外側の電子が1個だけなので容易に引き剥がされ、酸素などにその電子がひっつく。この時に電子を受け取った酸素などはエネルギーを吐き出すので熱や光が発生する。
リチウムは金属の中で最も密度が低く水に浮く(燃えながら)。
ただし、水素は高圧化で金属になりこれはリチウムより密度が低くなる。金属水素は木星内部に存在すると考えられている。

「ベリリウムBe」
銅と混ぜると硬くてバネに適した合金になり、また原子番号が小さい(電子が少ない)のでX線光子を(厚みにもよるが)透過する性質からX線検出器窓などにも使われるなど有用でレアメタルに指定されているが、毒性がある。
ベリリウム7Beは寿命77日でリチウム7Liに変わる。
現在残っているベリリウム9Beは宇宙線の核反応で合成されたもの。
・宇宙を飛び回っている陽子やα粒子が宇宙空間の炭素や窒素、酸素の原子核に衝突してぶっ壊し、その破片としてベリリウム9Beが生成されるので存在量が少ない

「酸素O」
酸素O2は酸化力が強いため他の物質と化合して大気中から姿を消して、いずれは大気から酸素はなくなる。
しかし地球では光合成により太陽の光と二酸化炭素から糖C6H12O6と副産物として酸素O2が作られる。
ちなみに光合成を行う葉緑体は元は独立した生物。
酸素による大気汚染に対抗するため、ある種の生物は酸素のない地中に逃げ込み、別の生き物は酸素を利用する術(糖を酸化させてエネルギーを取り出す)を身に付けた。
ミトコンドリアも元は独立した生物。
水中に水素イオンが多いと舌は「酸っぱい」(酸性)と感じ、少ないと「苦い」(アルカリ性)と感じる。
よって、酸っぱいの反語は苦い。
甘酸っぱいという味はあるが苦酸っぱいという味はない。
ラヴォアジエの命名した「酸素」という言葉が「酸化」や「酸っぱい」などと似ているため紛らわしく混乱の原因になったと言える。

「炭素C」
人間は炭素からなり炭素を食べ炭素を排出していると言える。
元素的には体内には酸素の方が多いが酸素のほとんどは水H2Oの形で存在。
外殻に電子を4つ持つ、電子の拘束力がちょうどよい(弱いと炭素原子同士が金属結合してしまう)等の理由で複雑な構造を作る事が出来る。
 

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